高崎駅から信越本線の普通列車で約30分。碓氷峠の前の終着駅。首都圏と日本海側を結ぶ幹線鉄道が急勾配を登る麓にあり、機関車を付けたり外す鉄道の要衝として、1997年に新幹線が開通するまで約百年間も栄えた。ここで売られた駅弁「峠の釜めし」は、あまりにも有名。1885(明治18)年10月15日開業、群馬県安中市松井田町横川。
抹茶色のボール紙を立体的かつ巧みに組み立てた容器に、商品名やカゴなどを描いた紙帯を締める。中身は二段構造で、下段に鮭、タラ、焼きの小さなおむすびを各1個、上段にコロッケ、肉団子、焼き鳥、きんぴら、煮昆布、付合せを詰める。もともと軽井沢駅の駅弁だったそうで、その名残りが掛紙に残る。車中では食べにくい自宅向け商品。米と鳥の風味はいけてるが、価格は割高。2010年頃から、おそらく現存しない。
JR東日本の観光キャンペーン「LOOK EAST」のオリジナル駅弁131種類のひとつとして、1989(平成元)年3月に発売か。プラスティックのミニ容器が三段重ねになり、ボール紙の枠にしっかりはめられる。中身はその容器のそれぞれに、小柄な焼きおにぎりがひとつずつに、串焼鳥やきんぴらごぼうや煮昆布などが添えられているもので、いずれも香りが良く味もなかなか。駅弁大会に持ってきても喜ばれるのではと思うが、製造数が少ないのか、現地でも滅多にお目にかかれない模様。2010年頃から、おそらく現存しない。
※2020年1月補訂:発売年を追記ボール紙を三角形に組み立てて容器とする。中身は写真のとおり、みそ漬・こんぶ・梅干・たら・さけが入ったおむすびが各1個ずつ、アルミホイルに包まれて収められている。味は良好。400円で満腹になるお得な駅弁だが、理由は販売の個数か頻度か時間帯か、ふらりと立ち寄っただけではまず入手できない印象だった。2007年現在でなくなっている模様。
※2007年7月補訂:終売を追記上信越自動車道の横川サービスエリアで買えたおにぎり。調製元は横川駅の駅弁屋。でもここまでくると、駅弁に準じた商品というよりはむしろ、ただのコンビニおにぎり。今回はわざと開いてみたが、つまみをひくと簡単に開く、全国共通のコンビニおにぎり向け包装をした、ネギ味噌入りおにぎり。包装の絵柄には一応、釜めしの容器のようなものが使われていた。
日帰りバスツアーの参加者向けに車内配布された昼食。伊東駅弁「特製おむすび弁当」とまったく同じボール紙箱を使用、中身は高菜むすび、ゆかりむすび、白身魚フライ、鳥唐揚、オレンジなど。味は可もなく不可もなく。駅弁と無縁な弁当であるはずが、調製元が横川駅弁の荻野屋で、割りばしとおてふきとビニール袋が「峠の釜めし」と同一であり、「日本最古の駅弁屋」や「信越本線横川駅」をうたっている。なお、積込場所の上信越自動車道諏訪湖サービスエリアに弁当販売はなかった。