旅の友「駅弁」。実際に食べた９，０００個以上の駅弁を中心に、日本全国と世界の駅弁を紹介します。
高崎駅から信越本線の普通列車で約３０分。碓氷峠の前の終着駅。首都圏と日本海側を結ぶ幹線鉄道が急勾配を登る麓にあり、機関車を付けたり外す鉄道の要衝として、１９９７年に新幹線が開通するまで約百年間も栄えた。ここで売られた駅弁「峠の釜めし」は、あまりにも有名。１８８５（明治１８）年１０月１５日開業、群馬県安中市松井田町横川。
２０２０（令和２）年に上信越自動車道横川サービスエリアや東京都内の調製元店舗で発売か。「峠の釜めし」の牛肉版。釜型陶器を黒く塗り、色違いも印象の似た正方形の掛紙をかける。この容器に味付けご飯を詰め、牛すき焼きで覆う。峠の釜めしと同じ５種の漬物も付いてくる。駅で売られることはないようで、この京王百貨店の駅弁大会でも駅名を表記しなかった。なかなか買えない商品だが、買えて感動することもない。紙容器（パルプモールド容器）のバージョンもある模様。
１９６５（昭和４０）年頃に発売か。昔ながらの幕の内タイプの駅弁のような姿をした中身は、俵飯の日の丸御飯に、骨付き鶏もも揚げ、鶏もつ、こんにゃく、大根の味噌漬、きゅうり醤油漬、くり甘露煮、レモンとマヨネーズなどを詰めたもの。駅弁で最大級の鶏肉に最大量の鶏もつ、茶色が深いおかずの見栄え、そもそも車内で食べるに難儀する骨付き肉の使用と、まったく遠慮のない内容。高松宮の助言でできたとした資料を、どこかで見た気がする。現在は横川駅の中で買えることはなく、横川駅前のドライブインや軽井沢駅などで販売。
※２０２２年２月補訂：写真を更新し解説文を手直し
２０１８（平成３０）年８月４日に購入した、横川駅弁の掛紙。その絵柄も、駅弁の中身も、昔から変わらない。掛紙をよく見比べると、２００３年のものから栄養成分表示が加わり、２０２１年のものとは調製元の社名と所在地の記載の有無が異なる。
２００３（平成１５）年８月３日に購入した、横川駅弁の掛紙。「峠の釜めし」と同じく、この駅弁の掛紙の絵柄も長らく変わらない。細かい点で差異があるのも、峠の釜めしと同じ。中身もまた変わらない。
１９９７（平成９）年１０月の長野新幹線の開業を記念して発売か。黒い長方形のふた付容器を、深緑色の掛紙で包み、湘南電車色の紙ひもでしばる。中身は白御飯の上を鶏照焼と鶏そぼろで覆い、栗やこんにゃくを添えたもの。味はまあまあでも、近くの高崎駅に鶏飯駅弁の巨頭がいたり、自駅でも看板商品の「峠の釜めし」は鶏飯のようなもので、どうも分が悪い。掛紙の「創業明治十八年」シールの下には、「祝 長野行新幹線開通」の文字が隠れていた。２０１２年頃までの販売か。
高崎駅から長野駅までの新幹線は、将来に富山や金沢や福井を経て大阪方面までつながる予定で、その公式な名称は「北陸新幹線」。しかしこの名前は、北陸地方に至らず長野駅までの部分開業で使う路線名にはふさわしくない、しかしここで長野にちなむ名を名乗ると、将来の北陸方面への延伸時にどうするか、それとも延伸がなくなってしまうのではないかと危惧する見方があった。その妥協による結果が、路線名称「北陸新幹線」と路線愛称「長野行新幹線」。開業後数か月もするとすっかり、「行」なしの「長野新幹線」と呼ばれるようになった。
※２０２２年２月補訂：終売を追記
横にとても長いボール紙の容器に真っ赤な掛紙を巻く。中身は白御飯と生野菜サラダにポテトサラダ、真ん中にしめじのデミグラスソースをたっぷりかけたハンバーグが入る。
惣菜弁当では一般的なハンバーグ弁当は駅弁では珍しく、その品質は高く常温でもおいしくいただける。隠れたユニーク駅弁も知名度は無に近い、というよりゼロと言って良い知られざる名駅弁。ただ、２００４年か２００６年現在で終売となった模様。
２０１０（平成２２）年３月までに上信越自動車道横川サービスエリアやおぎのやドライブインで発売か。見てのとおり、白い専用紙箱にロースカツをソース漬けにした４切れ８個のカツサンドを詰めるもの。
「峠の釜めし」あるいは峠や鳥の駅弁とはまるで異なる内容と雰囲気の商品だと思うし、駅で買えたという話を聞かないし、横川駅の駅弁としては買われないタイプの商品であろうが、自動車の旅客で商売をするにはなくてはならないラインナップだと思う。ネット上ではごく一部のブログで不思議なほど絶賛されている。２０１９年までの販売か。
※２０２３年１１月補訂：終売を追記
上記の箱入りサンドイッチ「上州豚黄金カツサンド」の、２０１７（平成２９）年時点での姿。中身が４切れ８個から３切れ６個に減り、これにより紙箱が小さくなり、値段が１００円下がった。衣の固さとソース漬けの味がしっかりした感じ。駅での販売を見たことがなく、ネット上での情報も見られなくなった。「峠の釜めし」の駅弁屋のカツサンドとは、まさか思われまい。
上記の箱入りサンドイッチ「上州豚黄金カツサンド」の姉妹品か。現地では同時期に発売された模様。チキンカツのソース漬けを耳なしの食パンに挟んだサンドイッチを、４切れ８個詰める。紙箱は上記のトンカツ版とそっくりで、値段が同じで、名前が少し違い、アイコンを豚から鶏に変え、こちらは箱の横幅が少し長い。衣の固さとソース漬けの味がしっかりした感じ。２０１８年までの販売か。
※２０２３年１１月補訂：終売を追記