池袋駅から特急「ちちぶ」で約1時間20分。秩父市は埼玉県の西端に位置する人口約7万人の門前町で、夜祭や芝桜や山登りで観光客を集める。駅弁は西武秩父駅舎と一体になった商店街に入るキオスク型観光売店で販売され、埼玉県内で事実上唯一の駅弁屋と駅弁だともされていたが、2017(平成29)年の商業施設リニューアルにより、駅弁らしい商品はすべて消えた。1969(昭和44)年10月14日開業、埼玉県秩父市野坂町。
西武秩父駅の商業施設「西武秩父仲見世通り」の撤去で消えた駅弁が、新施設「祭の湯」で復活していた。2017(平成29)年4月24日の同施設のオープンとともに発売か。かつては作り置きの弁当を店頭販売していたが、現在はフードコートで食券を購入しカウンターで注文する必要がある弁当。
施設の名前とロゴマークを描いた赤い掛紙を使う。中身は中身は白御飯の上に平たく広いロースカツ2枚をソース漬けにして重ね、こんにゃくや紅生姜などを添えるもので、従前と同じ。出来たてアツアツのわらじかつは、衣の厚さと肉の薄さ、肉質の固さと臭みで、よりB級グルメを食べている気がした。価格は2018年の購入時で950円、2019年10月時点で970円、2023年時点で1,090円。
※2023年11月補訂:値上げを追記上記の弁当「祭の湯(秩父名物わらじかつ弁当)」と同じく、駅の温浴施設「祭の湯」のフードコートで買える弁当。食券販売機は共通だが、注文カウンターは異なるという不思議な売り方。中身はわらじかつが炙り豚味噌に変わっただけで、掛紙も容器もその他の具も価格も同じ。炙り豚味噌というよりはベーコン状の焼豚がカリカリして、こちらは食べておいしい焼豚丼。価格は2018年時点で950円、2019年10月時点で970円、2023年時点で1,090円。
※2024年9月補訂:写真を更新2018(平成30)年9月28日に購入した、西武秩父駅弁の掛紙。上記の2024年のものと、まったく同じ。地名駅名が入る掛紙を持つ弁当であるにもかかわらず、フードコートで注文する商品であるからか、これを駅弁と紹介する記事はみられない。
2024年に西武秩父駅で購入。ここではかつて「わらじかつ弁当」やおにぎり弁当や幕の内弁当に岩魚すしなどが売られ、リニューアル前は釜飯の駅弁も売られたが、上記のフードコート弁当を残してすべてなくなり、おにぎりやパンの販売になっていた。これはその店内に加え、通路の真ん中で客を呼んでいた商品。たまご焼、豚味噌、しゃくし菜、お醤油、しゃくし菜炒飯で5個の小さな飯球を、惣菜向けの透明プラ容器に並べ、商品名とその説明イラストを記したシールを貼る。シールでは商品名が「秩父おむすび」と読め、レシートには「おにぎり5個パック」とあった。まるで駅弁はいまどき古臭いと決別したような、土産物店のお惣菜。調製元に関する情報は発信されていない。
2024年に西武秩父駅で購入。いなりずし2個と、細巻きより太いかんぴょう巻3個。つまり、お惣菜。このように西武秩父駅では、改装で2016年に釜飯やわらじかつ弁当のような駅弁が消え、改装後に外観はともかく中身はわらじかつやおにぎりや幕の内だった弁当も消え、売店から駅弁がなくなってしまった。調製元は秩父市街で大正時代から続くいなりずしとのりまきの専門店であり、これはまだ地元の商品ではあるが、広域配送のコンビニ向け惣菜工場に替わるのも時間の問題か。
西武秩父駅で幕の内弁当やおにぎり弁当を売った調製元の、秩父名物わらじかつ弁当。弁当そのものに、名称や内容などの表示はなく、容器の見た目はまるでホカ弁。中身は白御飯にロースカツのソース漬け2枚を載せる、正しい姿のわらじかつ丼。B級グルメらしからぬ、箸で切れる柔らかいカツと整った見栄えを備えていた。
2016(平成28)年の西武秩父駅の温泉施設への建て替えのため、下記の駅弁らしい姿をしたわらじかつ弁当を販売する西武鉄道直営食堂が閉店していたため、この代替品を購入。翌年5月のリニューアルオープン後は、これが西武秩父駅弁の主力商品になってしまった。どうみても駅弁でなく、近所のスーパーか弁当屋のお惣菜。価格は2016年の購入時で618円、2018年時点で680円。2024年に来てみたら、売店での弁当の販売がなくなっていた。
※2024年9月補訂:終売を追記2017(平成29)年5月の西武秩父駅商業施設リニューアルオープン後に見つけた弁当。ボール紙の箱に黒いプラ製トレーを入れる、市販の仕出し弁当向け容器に、五目飯、焼鮭、エビフライ、鶏唐揚、鶏肉巻、串肉団子、焼売、かまぼこ、玉子焼、コンニャク、サトイモ、ニンジン、がんもどき、昆布巻を詰めていた。味はともかく、地域性も駅弁の雰囲気もまるでなく、ここであえて買うものではない感じ。2024年に来てみたら、売店での弁当の販売がなくなっていた。
※2024年9月補訂:終売を追記西武秩父駅の幕の内駅弁。中身は日の丸御飯にエビフライ、鶏肉巻、玉子焼、肉団子、しゅうまい、極薄なかまぼこ、こんにゃくなどの煮物、金時豆など。市販のボール紙製長方形の容器をそのまま使う外観も、黒いトレーに入った中身の風味も、まるっきり惣菜弁当。「秩父釜めし」と同じ売店で売られるが、釜飯とは調製元は異なる。価格は2000年代で700円、2014年4月の消費税率改定で720円。2024年に来てみたら、売店での弁当の販売がなくなっていた。
※2024年9月補訂:終売を追記2009(平成21)年7月20日に購入した、西武秩父駅弁のパッケージ。上記の2015年時点のものと絵柄が異なるが、市販の惣菜弁当向けパッケージの単なるバージョン違いであり、大きさも中身も実質的な価格も変わらなかった。
訪問時の西武秩父駅弁は掲示でも実物でも、秩父釜めし、この幕の内弁当、おにぎり弁当の3種と8年前から半減していた。それでも池袋まで特急で1時間ちょっとしかかからない私鉄の駅で、コンビニ弁当やファストフードではない弁当が販売され続けていることは、珍しいのではないかと思う。
西武秩父駅で無名な駅弁のひとつ。「四季彩心」と書かれた市販の正六角形のボール紙製容器に、鮭おにぎり、たらこおにぎり、梅おにぎりを詰め、おかずとしてハンバーグ、エビフライ、鶏唐揚、玉子焼、スパゲティ、カップゼリーなどを添える。見た目は仕出し弁当風で、味はスーパーの惣菜風で、秩父とは何も関係がない中身であり、駅弁と紹介する弁当の雰囲気はない。ハイキングのお供として、ここにはこのようなお弁当の需要があるのだろう。価格は2000年代で700円、2014年4月の消費税率改定で720円。2024年に来てみたら、売店での弁当の販売がなくなっていた。
※2024年9月補訂:終売を追記2012(平成24)年の発売か。秩父の名物グルメである「わらじかつ丼」について、これを西武秩父駅に併設された商店街の食堂が、店内に加えて弁当でも提供し始めたものだと考えられる。調製元が鉄道会社しかも大手私鉄というのは珍しい。
秩父の風景と芝桜と夜祭りの写真を掲載した掛紙で、惣菜弁当向けな市販の長方形のプラ製容器を巻く。中身は白御飯の上に平たく広いロースカツ2枚をソース漬けにして重ね、こんにゃくや紅生姜などを添えるもの。元ネタの実物は、カツが容器からはみ出したり、もっと黒かったりするが、脂とタレの味の濃さに肉の固さと筋の多さも含め、味で実物をうまく再現していると思う。価格も含めて優秀なB級グルメ駅弁。
秩父のわらじかつ丼は、現在の埼玉県秩父郡小鹿野町で1916(大正5)年に創業した食堂「安田屋」が提供し始めたものが元祖とされる。これがオートバイでのツーリング客に親しまれ、2000年代からバイクツーリング関係の本に載り始め、2010年代には東隣の秩父市を含めた地域の名物として広まったようだ。埼玉は平成時代から駅弁不毛の地であるが、これは地元の名物の駅弁化であるから、駅での定着が期待できる。
西武秩父駅の商業施設「西武秩父仲見世通り」は、リニューアルのため2016(平成28)年5月までに全店舗が閉店。翌年5月にリニューアルオープンしたら、秩父鉄道御花畑駅方面への通路がなくなり、店舗数が激減し、駅弁は壊滅していた。この駅弁も西武鉄道の直営食堂ごと消えた模様。
※2017年7月補訂:終売を追記上記のわらじかつ弁当の、カツ2枚のうち1枚を豚肉味噌漬に置き換えたもの。それ以外はまったく同じ。正統派のわらじかつ丼ではないが、こんな味の変化があってもよい。この駅弁も上記のとおり、食堂ごと消えた模様。
※2017年7月補訂:終売を追記西武秩父駅で最も有名な駅弁であり、過去には埼玉県内で事実上唯一の駅弁であった。発売時期は不詳だが、21世紀に入り知名度を上げていった。駅弁の名前は一般に「秩父釜めし」と呼ばれているが、現地の掲示で「山菜釜めし」「まるなかの釜めし」「釜めしパック」、掛紙で「秩父釜めし」や「釜めし弁当」と様々。
平たく赤いプラ製の惣菜容器に透明なふたをして、この掛紙をかけて、ビニールひもで十字にしばる。中身は茶飯の上をクリ、山菜、こんにゃく、きんぴらごぼう、紅生姜、錦糸卵で覆うもの。駅弁としては安い価格で、実は具に肉も魚も使っておらず、山の中の駅の駅弁らしい感じ。価格はこのスタイルになってずっと500円であったが、2014年4月の消費税率改定に伴い515円に値上げ。
西武秩父駅の商業施設「西武秩父仲見世通り」は、リニューアルのため2016(平成28)年5月までに全店舗が閉店。翌年5月にリニューアルオープンしたら、秩父鉄道御花畑駅方面への通路がなくなり、店舗数が激減し、駅弁は壊滅していた。この駅弁を売っていた「ミニコンビニ」を名乗る巨大キオスクは、だいたい同じ位置で極小のウォークイン式売店に退化、駅弁らしい商品はすべて消え、市販のボール紙箱の惣菜弁当ばかりが残った。
※2017年7月補訂:終売を追記2009(平成21)年7月20日に購入した、西武秩父駅弁の掛紙。現在と絵柄は変わらないが、注意書きや調製情報の位置や内容が異なる。容器と中身は2015年のものと同じであった。
下記の駅弁の、2010(平成22)年時点での姿。2001(平成13)年当時に「山菜釜めし」と売店に掲示して売られた駅弁と同じものであり、価格も同じ。普段は515円のプラ容器版が売店で販売され、予約をするか駅弁大会ではこの陶器のものが売られたようで、雑誌やテレビなどでの駅弁特集で登場するのはこちらだった。上記のとおり、2016(平成28)年の西武秩父駅商業施設リニューアルによる売店の閉店とともに消えた模様。
※2017年7月補訂:終売を追記フタまで陶製の小ぶりで本格的な釜を容器に使用、味付け御飯の上を鶏肉・山菜・錦糸卵・こんにゃく・栗・梅・紅生姜で覆う。紅生姜の強い匂いが他の具の香りや味をすっかり消してしまっているのが残念。西武秩父駅は池袋からの特急レッドアローが発着する秩父観光の玄関口だが、駅弁屋は朝は開いていなく夕方は売り切れているため、観光のついででの駅弁の入手はなかなか難しい。特に釜めしは。なお、駅弁の名称は駅売店の掲示による。西武秩父駅に駅弁ありと雑誌やテレビが発信し始めた頃には、なくなっていた感じ。
※2017年7月補訂:終売を追記フタまで陶製の小ぶりで本格的な釜を容器に使用、味付け御飯の上を鶏肉・椎茸・ごぼう・しめじ・うずらの卵・きくらげが覆う。具がややしなしなしている感がある以外は釜飯の基本を押さえている。埼玉県内の駅弁販売駅は、東京の駅弁を売る大宮駅を除けばここだけかもしれない。なお、駅弁の名称は駅売店の掲示による。今ではもう販売されていない模様。