東京駅から快速電車で約40分。千葉市は千葉県の西部で東京湾に面する、人口約98万人の城下町で県庁所在地。かつては行政や陸軍で、第二次大戦後は工業都市として発展した。駅弁は1928(昭和3)年から万葉軒が販売、かつてはコンコースや各ホーム上に駅弁売店を構え、安価な名物駅弁をいくつも擁した。1894(明治27)年7月20日開業、千葉県千葉市中央区新千葉1丁目。
ごくまれに、千葉駅の隠れた名作とも評される駅弁。2000年代に春限定の駅弁として発売か。後に通年販売に格上げされた。掛紙には千葉県の地図を掲載し、県内の潮干狩りスポットを列記する。中身は茶飯にアサリの生姜煮、甘く煮たハマグリ、刻み海苔と柴漬けを載せ、イワシ団子、イカ味噌焼、レンコンの挟み揚げ、 ひじき煮などを添えるもの。具材の選択と味付けに筋が通っている。2020年の春頃までに、ひっそりと終売か。
かつて千葉の名物であった、潮干狩りで賑わった遠浅の生命豊かな海を、埋立と工場進出による工業地帯化で経済的に豊かな海に変えたことは、とかく罪悪視されがちである。しかしそれが千葉や日本の発展を支えたことも、見逃してはならないと思う。なお現在でも、富津や木更津まで行かなくても、船橋や稲毛の人工海浜で潮干狩りができる。
※2021年3月補訂:終売を追記2012(平成24)年11月30日に購入した、千葉駅弁の掛紙。絵柄は上記の2019年のものと変わらないが、表記はとてもシンプルだった。このように安い駅弁であったが、2015年時点で850円、2015年7月から900円、後に980円、2019年10月から1,050円と、後にどんどん値上げされた。
2005(平成17)年7月10日の調製である、千葉駅弁の掛紙。なるほどこれは駅弁の名前どおりの潮干狩りだな、昭和30年代まで現在の千葉市あたりの海岸もこんな風景だったのかな、と想像できるシンプルな絵柄。
1940(昭和15)年の発売という、千葉駅で伝統の駅弁。赤い掛紙の絵柄は、昭和時代から変わらない。平たい容器に味付飯を詰め、ハマグリ4個の串焼きを3本並べ、紅生姜で彩り、マグロ照焼、ニンジンとタケノコの煮物、玉子焼、鉄砲漬を添える。串に刺したアサリ大の焼ハマグリが風味も食感も軟らかく、レトロ感を帯びてきた掛紙とともにいい味を出す。
千葉で潮干狩りができたのは、もう半世紀以上昔の話。今や政令指定都市という大都市となり、駅前には巨大なモノレールの橋脚が林立する。価格は2007年12月から900円、2014年4月の消費税率改定で930円、2019年時点で1,000円、同年10月から1,050円。2020年の春頃までに、ひっそりと終売か。
※2021年3月補訂:終売を追記2006(平成18)年5月14日に購入した、千葉駅弁の掛紙。絵柄は変わらない。右下に法令の強化による、食品表示やリサイクル識別表示が加わったことがうかがえる
2000(平成12)年9月9日10時の調製と思われる、昔の千葉駅弁の掛紙。収集者は箸袋を掛紙に貼り付けた。絵柄は現在とも過去とも変わらない。駅弁マークが付き、JR東日本の観光キャンペーン「TRAiNG」のロゴマークが載り、バーコードが付くような変化はある。
1987(昭和62)年12月31日17時の調製と思われる、昔の千葉駅弁の掛紙。絵柄は国鉄時代のものと変わらない。
1980年代、昭和50年代のものと思われる、昔の千葉駅弁の掛紙。その絵柄は当時から、21世紀の現在まで変わらない。
2010(平成22)年11月20日に「鯛」と同時にデビュー。千葉駅弁では記憶にない陶製の釜飯容器にプラスティック製のふたをして、駅弁の名前と三種の貝を描いた茶色い正方形の掛紙をかける。中身は貝の煮汁で炊いた炊込飯の上に刻み海苔を振ってからアサリ煮、サザエ煮、ハマグリ煮を載せ、はんぺん、ひじき煮、海苔佃煮、タイ味噌などを添えるもの。潮の香りで他駅の貝飯に負けていないし、見栄えでも催事場で映える。2014年までの販売か。
※2015年8月補訂:終売を追記2009(平成21)年9月14日の発売。丸い加熱機能付き容器を、商品名や宣伝文や中身の写真などを印刷した紫色のボール紙容器に詰め、輪ゴム2本でしばる。中身は御飯の上にハマグリの白焼きと豚肉のそぼろを敷き、ほうれん草のピーナツ和えとセロリなどの漬物を添えるもの。固形のゼリーは加熱により醤油ダレに変身し、これをかけて食べる。セロリの臭いがきついものの、駅弁の名前どおりハマグリと豚肉でモリモリ食べられる、丼タイプの駅弁。駅弁大会へも積極的に輸送された。現存しない模様。
※2015年7月補訂:終売を追記1999(平成11)年の復刻発売。ずしりと重いハマグリ型の不安定な陶器は、昭和40年代ものを復刻したという。これに炊込飯を詰め、アサリとハマグリとサザエの醤油味を並べる。御飯の薄味と貝の濃い味が、よく合うと思う。価格は2001年の購入時で980円、2005年6月現在で1,000円。2005(平成17)年の秋頃に、下記の「やきはま丼」へリニューアル。
上記の駅弁「はまぐり丼」を、2005(平成17)年の秋頃にリニューアルか。駅弁の名前を「やきはま丼」に改め、ハマグリ型の陶器も書き換えて、ここでは赤い網に収めた。これにごぼうの炊込飯を詰め、焼きハマグリ、煮ハマグリ、ハマグリ白焼きを載せる。価格は100円の値上げ。千葉駅で最も特徴的な容器を使う駅弁として、調製元の公式サイトの絵柄に使われるなど主力の商品であったが、2015年時点で現存しない模様。
※2015年7月補訂:終売を追記