東京駅から快速電車で約40分。千葉市は千葉県の西部で東京湾に面する、人口約98万人の城下町で県庁所在地。かつては行政や陸軍で、第二次大戦後は工業都市として発展した。駅弁は1928(昭和3)年から万葉軒が販売、かつてはコンコースや各ホーム上に駅弁売店を構え、安価な名物駅弁をいくつも擁した。1894(明治27)年7月20日開業、千葉県千葉市中央区新千葉1丁目。
2022(令和4)年10月に発売、同月からのJR東日本の駅弁キャンペーン「駅弁味の陣2022」にエントリー。この年の鉄道開業150年にちなんだ弁当であることは明白だが、日本鉄道構内営業中央会の鉄道開業150年記念復刻駅弁企画には含まれていない。掛紙は「昭和30年代の幕の内に使用した千葉県観光地」とのことで、60年前の千葉名所がわかる。
中身は梅じそ若芽ご飯、赤魚西京焼、鉄砲串つくね、ハス天、南瓜煮、豆腐揚、海老天、厚焼玉子、あさり佃煮、おくら天、菜の花漬、信田巻、椎茸煮、人参煮、大根漬、筍煮、蕗煮、生姜塩漬。この中身は千葉か昭和30年代か鉄道150年か、何かにちなんだのだろうか。現存する千葉駅弁の倍額となる、幕の内弁当タイプの記念駅弁。
千葉駅で定番だという幕の内駅弁。正方形の白いプラ製トレーをそのまま使い、商品名や調製元を書いたボール紙でふたをして、ひもで十字にしばる。中身は日の丸御飯に肉団子、エビフライ、鶏唐揚、マグロ照焼、ウインナー、タケノコなどの煮物、昆布巻、かまぼこ、焼アサリ串、リンゴ、味噌ピーナッツ、柴漬け。
アサリ串が千葉駅弁らしく、ピーナッツ味噌が珍しいが、おかずのチープさは筋金入り。ビニール袋入りの割りばしがトレー内に収まる姿も久々に見たと思う。こんな下等幕の内と呼べるような駅弁は、もはや日本中でここだけかもしれない。千葉駅弁の揺るぎない個性と文化を感じる。価格は2014年4月の消費税率改定で670円、2015年時点で700円、2019年時点で720円、2020年7月15日から800円、2022年4月16日から880円、2023年1月から900円、6月16日から1,050円。
※2023年11月補訂:値上げを追記2024(令和6)年5月5日に購入した、千葉駅弁の掛紙とふた。同年4月1日から23日まで千葉駅で販売。駅弁の日に合わせ、日本鉄道構内営業中央会の会員のうち31社が各社おすすめ駅弁に共通ノベルティ「千社札風カード」を添付して期間限定で販売した駅弁の、千葉駅バージョン。いつも売られる「万葉弁当」そのものに、昭和時代の絵柄を取り入れた掛紙をかけて販売した。だから容器と中身と風味と価格は変わらない。
2024(令和6)年1月10日に購入した、千葉駅弁の掛紙。京王百貨店の駅弁大会で、掛紙を復刻した駅弁「昭和レトロな掛け紙弁当」のひとつとして、普段の千葉駅弁「万葉弁当」に掛紙をかけて輸送販売した。この絵柄の掛紙は、1965年頃の市内局番2桁化以降、1978年の成田空港開港以前のものか。容器と中身と値段も、普段の万葉弁当と同じ。
2019(令和元)年5月4日に購入した、千葉駅弁のふた。同月の改元を記念し、昭和時代と現在の掛紙等4種類の絵柄を並べ、中央に「祝令和」と記したものに差し替えた。容器や中身や値段は通常版と同じ。
2009(平成21)年10月30日に購入した、千葉駅弁のふた。その絵柄は上記の2017年のものと、おおむね同じ。中身はまったく同じ。
2014(平成26)年9月までに発売か。千葉県土のシルエットに地名やおしながきを書いた緑色の掛紙を使う。中身は幕の内タイプで、白御飯の上にはアサリ生姜煮が載り、おかずのマグロ煮とサンマ蒲焼は銚子産、鶏味噌漬焼は香取産、しゅうまいと玉子焼は千葉県産、鶏つくねは匝瑳(そうさ)産、ひじきは房総産など。そんな感じで、掛紙のおしながきによると、それぞれが千葉の山海の幸だそうな。とはいえ、駅弁大会に出てくるタイプでない、味も中身も弁当として実用的な千葉満載。2020年の春頃に、ひっそりと終売か。
※2021年3月補訂:終売を追記2011(平成23)年10月8日から10日までに東京駅で開催された「第14回東日本縦断駅弁大会」で販売されたお弁当で、過去の千葉駅弁を復刻したものだという。万葉弁当は上記のとおり現役の駅弁なので、40年前くらいの掛紙と内容を再現したのだろうか。
正方形の平たい経木枠の容器を、千葉の海岸と特急「さざなみ」と東京駅を描いたのではないかと思う掛紙で包む。中身は日の丸御飯にハマグリ串焼きを置き、サワラ照焼、紅白のかまぼこ、玉子焼、アジフライ、鶏唐揚、ウインナー、とりそぼろあんかけ、タケノコやニンジンなどの煮物、切りイカなどの佃煮その他を詰めたもの。掛紙のイラストが不思議ちゃんで、おかずの内容が昔風。今出しても売れないだろうが、時々は食べてみたい味。
「さざなみ」は、「わかしお」とともに1972(昭和47)年7月に登場した、房総半島で初めての特急列車で、総武本線と内房線を経由して東京都内と館山や千倉を結んだ。1991年3月には「成田エクスプレス」に道を譲り京葉線経由で東京へ行くことに。当時は房総半島への行楽や用務になくてはならない列車であり、夏休み期間中は最大限に増発されたものだが、東京湾アクアラインや館山自動車道との競合に負けて2005年12月には日中の運転を取りやめ、現在は東京方面への通勤ライナー列車という位置付けである。
千葉駅の並等幕の内駅弁。千葉のベイエリアの名物を昭和末期風に描く専用のボール紙箱を使う。白いトレーに入った中身は、日の丸御飯に小粒なトンカツや焼鮭や鳥味噌焼にハマグリや蒲鉾や肉団子などのおかず。あらゆる面で感じるチープさに泣ける、千葉駅弁の個性や伝統をいつまでも残して欲しい商品。
紙箱に描く建築物のうち、よそ者に最も知られていないと思われる「TWIN BLDG.」は、千葉市中央区中央の千葉中央ツインビルか。千葉都市モノレール葭川公園(よしかわこうえん)駅に近い1989年竣工の再開発ビルで、千葉市優秀建築賞を取った17階建ての1号館と14階建ての2号館に、オフィスや公共機関やホテルなどが入る。価格は2005年の購入時で730円、2007年12月から750円。2014年時点で現存していないと思われる。
※2015年2月補訂:終売を追記珍しく1業者で2種類も出す、千葉駅版の「大人の休日」駅弁のひとつ。木目調で柔らかな長方形の容器に、下総(しもうさ)と上総(かずさ)つまり現在の千葉県をほぼサポートするエリアの名所名物を隙間なく描いた、昭和30年代の幕の内弁当の掛紙の絵柄を載せた掛紙をかける。
中身は桜海老の型押し俵飯に、鯛の佐倉味噌焼、マグロの竜田揚、落花生田楽、イワシの酢締めなど、下総上総をイメージした食材を詰める。大人の休日のコンセプトに従い、見た目も風味も千葉駅弁らしからぬ高級感が演じられる。予約制駅弁と案内されるが、現地に行けばけっこう置いてあるらしい。価格は2005年の購入時や下記の2013年時点で1,000円、2015年時点で1,100円。2015年頃までの販売か。
※2015年8月補訂:値上げを追記上記の駅弁「大人の休日 下総上総」の、8年後の姿。容器の中での具材の配置が変わったが、それ以外はほとんど変わっていない。千葉駅の駅弁は、月替わりでの新作も出るし、こうやって不思議と変わらない駅弁も堅持されていると思う。
千葉駅の上等幕の内駅弁。漆箱風のフタ付き容器に小さな掛紙を貼り付けて輪ゴムでしばる。中身は日の丸御飯に鳥味噌焼、塩鮭焼、鶏肉蓮根はさみ揚げ、イカ味噌焼、イワシ団子、魚肉入り豆腐など。妙に海のものが多く、ハマグリと菜の花も入るので、そこに千葉駅弁が感じられるが、千円札一枚で足りない駅弁にしては見栄えが足りないか。2014年時点で現存していないと思われる。
調製元の万葉軒という名称の由来は、本来は千葉なので千葉軒とするところを、千葉の十倍も大きく発展したいと願い、数字を一桁上げたもので、万葉集とは関係ないらしい。
※2015年2月補訂:終売を追記1988(昭和63)年1月4日6時の調製と思われる、昔の千葉駅弁の掛紙。絵柄も価格も1980年のものと同じであるが、国鉄がJRに変わったので、中央会の法人名が変わっている。
1980(昭和55)年7月20日8時の調製と思われる、昔の千葉駅弁の掛紙。旧国名で上総と下総に分けられる千葉県のうち、下総を古地図風に描く。この地図が語るとおり、江戸を水害から守るために利根川が銚子に向けられて以降、千葉県は本土と陸続きでない。