東京駅から快速電車で約40分。千葉市は千葉県の西部で東京湾に面する、人口約98万人の城下町で県庁所在地。かつては行政や陸軍で、第二次大戦後は工業都市として発展した。駅弁は1928(昭和3)年から万葉軒が販売、かつてはコンコースや各ホーム上に駅弁売店を構え、安価な名物駅弁をいくつも擁した。1894(明治27)年7月20日開業、千葉県千葉市中央区新千葉1丁目。
長方形の容器を、駅弁の名前を書いた赤い掛紙で包む。中身は白御飯に豚焼肉を貼り付け、煮物と漬物を添えるもの。構成は普通の肉駅弁でも、メインの肉が普通でない。甘いタレが浸みた赤黒い、薄くて赤身も筋も固い焼肉は、柔らかさや脂の乗りやうまさを競う市販の弁当や駅弁とは一線を画す。1990年代まで400円台で提供された格安の駅弁は、当時の通学生などに支持された。安さとチープさが個性で特徴だった異色の駅弁。
価格は2004年時点で570円、2007年12月から580円、2014年時点で600円、2015年時点で650円、2015年7月から700円、2020年7月15日から780円、2022年4月16日から830円、2023年1月から880円、6月16日から920円。値段がチープでなくなり、普通に食べられる駅弁になってきた感じがする。
※2023年11月補訂:値上げを追記2004(平成16)年4月9日に購入した、千葉駅弁の掛紙。法定の表示の差異はあるが、この絵柄は長らく変わらない。中身も上記の2022年のものと、まったく同じ。
1991(平成3)年5月17日14時の調製と思われる、昔の千葉駅弁の掛紙。デザインは現在のものと同じだが、こちらはボール紙製のフタ。中身は上記の2004年で570円のものと現在と変わらないと思うが、デフレの13年でずいぶんと値上がりしたものだ。
JR東日本の駅弁キャンペーン「駅弁味の陣2017」にエントリーするために、同期間中の2017(平成29)年10月から11月までの販売か。エントリー名は「千葉元気豚めし」で、食品表示ラベルでの商品名は「元気豚めし弁当」。「万葉軒」とだけ記した、千葉県の地図をくりぬいた黒い容器を使う。
長方形の容器に白御飯を敷き、元気豚の焼肉と、タマネギとニンジンの炒め物を敷き、ししとうを載せ、きんぴらごぼう、菜の花おひたし、ピーナツみそを添える。過去に同じ名前の駅弁が出ていたが、これはその復刻や再販でなく、まるで千葉駅のB級グルメ駅弁「やき肉弁当」の別バージョン。固いわりに崩れやすい、薄い豚焼肉の味が、駅弁として個性的。
2009(平成21)年11月18日に発売。黒いトレーを接着した容器に透明なふたをして、商品名とタレントやその経営店の写真を印刷したボール紙の枠にはめる。中身は白御飯の上を牛カルビの焼肉で覆い、大豆ともやしとホウレンソウのナムルを添えるもの。つまり韓国風焼肉弁当。同じジャンルの東京駅弁「叙々苑特製焼肉弁当」の価格と品質を半分にした感じ。千葉駅に加えて成田空港や羽田空港のANA系売店「ANAFESTA」でも販売され、駅弁催事にもよく出てきた。2年間くらい販売した模様。
小倉優子(おぐらゆうこ)は、1983(昭和57)年生まれのグラビアアイドル。「こりん星」キャラクターで2000年代のテレビのバラエティ番組で活躍していた頃は出身地を伏せていたが、この駅弁が出た頃には千葉県茂原市の出身であることを公言するようになっていた。同じ名前の焼肉店の経営もスポーツ新聞の記事などで知られており、千葉と焼肉とタレント名を合わせた弁当の発売は当を得たものだったのだろう、この駅弁兼空弁はなかなかよく売れていた。
※2015年8月補訂:終売を追記2009(平成21)年9月に発売か。黒いトレーを接着した長方形の容器に透明なふたをして、輪ゴムで留めてから中身の写真を印刷したボール紙の枠にはめる。中身は白御飯の上にタマネギとニンジンの炒め物を敷き、豚ロース肉の味噌漬け焼きを1枚のっそり載せて、ほうれん草のピーナツ和え、鉄砲漬、赤かぶ漬、ラッキョウを添えるもの。中身が常温でも、パッケージの絵柄も含めて熱さを感じる駅弁。価格は2009年の購入時で850円、2015年時点で880円、2015年7月から900円。2020年の春頃に、ひっそりと終売か。
この駅弁は事実上「バーベキュー弁当」の後継作との考察があり、千葉駅や木更津駅、あるいは時刻表や万葉軒の公式サイトからも、バーベキュー弁当の存在が抹消されている。
※2021年3月補訂:終売を追記2009(平成21)年4月1日に発売。内容は名前のとおり、長方形のプラ製容器に白御飯を詰め、その上に千葉県産「元気豚」の味噌焼を貼り、タマネギソテー、きんぽらごぼう、豚味噌、柴漬けを添え、透明なふたをかけて、熱いデザインの掛紙で巻き、黄色いひもでしばっている。
食べればB級グルメ感が満点の豚味噌焼弁当で、中身も掛紙も燃えるようなパワーがみなぎる印象。650円の駅弁なのに本格的な豚焼肉重、しかし豚肉に白く脂が浮いていて、千葉駅弁らしいチープさが出ている。掛紙記載「レンジアップで一層美味しく」のとおり、駅弁売店ではレンジでの加熱を推奨しているそうで、そうすると容器が溶けてしまうのではと思うが、見栄えと味からチープさが消えてくれそう。1年程度の販売で終売か。
元気豚とは千葉県香取郡多古町の養豚業者「ジェリ−ビ−ンズ」が商標を持つ、ランドレース種と大ヨークシャー種とデュロック種を掛け合わせた三元豚(さんげんとん:3品種を掛けた雑種豚)。肉付きが良くサシが入り、柔らかくジューシーな豚肉なのだそうな。千葉県は乳用牛や豚や鶏卵の産出額で五指に入る、2008(平成20)年度の畜産産出額で全国6位の畜産県。人口三千万人の巨大市場を持つ首都圏の一角で、地の利(立地も土質も)を生かした農業で地位を築く。
※2015年8月補訂:終売を追記