大原駅からいすみ鉄道で4駅16分。国吉は2005(平成17)年までの夷隅町(いすみまち)、1954(昭和29)年までの国吉町(くによしまち)の中心地で、遡れば上総国の上総苅谷藩の陣屋があったという。いすみ鉄道の沿線では大原と大多喜に次ぐ主要駅であり、商工会との合築で駅舎を持ち、その中に小さな売店があり、ここで駅弁が販売されていた。1930(昭和5)年4月1日開業、千葉県いすみ市苅谷。
2014(平成26)年4月に700円で発売。「房総の里山弁当」に続く、まちおこし、鉄道おこしタイプのお弁当。いすみ鉄道と国吉駅を応援する駅前旅館が、国吉駅のある千葉県いすみ市の産品を使い、昔懐かしい駅弁の立ち売りの姿を導入し、まずは5月までの土休日に売り出した。
長円形の容器に巻く掛紙は、今回の訪問時に観光列車向け鉄道車両「キハ28」が引退するということで、その顔を使う特製版になっていた。中身はいすみ産の米と大原漁港のタコを使うたこめしに、「さんが焼」、鶏竜田揚、玉子焼、大根桜漬を添えるもの。売り方を含めて観光客向け、イベント向け、土産物向けの弁当であっても、食べて普通においしい、地の物と地元の雰囲気を味わえるお弁当でもあった。
夏季の6月から9月までは販売を休止か。房総の太巻き寿司「房総の里山弁当」はなくなってしまったが、こちらは毎週末の販売が定着した。いすみ鉄道の列車内では、所要時間や設備や混雑のため食べにくくても、国吉駅にはテラスやベンチがあるので、下車して次の列車までのんびり過ごせる。昼間の列車での立ち売りや、停車中の車内に乗り込んでの販売に加え、駅の売店でも買える。価格は2017年時点で800円、2022年時点で1,000円。
2010(平成22)年3月6日に発売した、国吉駅といすみ鉄道で初めての駅弁。市販の竹皮製容器に、いすみ鉄道の春の風景の写真を房総半島の形で切り抜いた写真とおしながきを印刷した黒い掛紙を巻く。中身は3種の太巻き寿司、伊達巻、おから入りつくね揚げ、サンマ煮、煮物や漬物とゼリーなど。この金太郎飴のような創作太巻は房総半島スタイルの郷土料理だそうな。具は飯と玉子と着色とカチカチで少量の山菜しかないのだが、ここに個性がある。味よりも風味で楽しむ駅弁。
原則として要予約、土日曜日限定数量限定での販売であったが、この日は売店に置かれていたものを購入できた。この駅弁は調製元の都合、調理者の体調不良により、2012年10月までに販売終了となったが、2014年4月に期間限定で復活、後に土休日の販売が再開された。夏季の6月から9月までは販売休止。2017年頃までの販売か。
※2021年3月補訂:終売を追記2012(平成24)年6月23日の調製である、国吉駅弁の掛紙。当時の掛紙には、おしながきが記されていた。
2014(平成26)年11月16日に入手した、国吉駅弁の掛紙。いすみのタコの炊込飯に、さんが焼、玉子焼、鶏唐揚などを添える。2014年5月の土休日に、国吉駅で立ち売りでの販売を実施、同年10月から販売が継続されている。夏季の6月から9月までは販売休止。