東京と日本の中央駅。東海道・山陽・東北・上越・山形・秋田・北陸の各新幹線、東海道・中央・総武・東北の各線、山手線や京浜東北線などの電車が、一日あたり3000本以上行き交い、100万人以上の利用者で終日賑わう。駅弁はJR東日本やJR東海の子会社のもので約100種類とも、エキナカの商品を含め400種類以上とも、デパ地下の弁当を含め1000種類以上とも言われ、さらに全国各地の駅弁も集まり、こちらも日本最大。1914(大正3)年12月20日開業、東京都千代田区丸の内1丁目。
2021(令和3)年6月10日に初めて販売した、夏の季節限定商品「あなごめし」。今回は2023(令和5)年6月22日に発売、7月31日まで東海道新幹線の東京、品川、新横浜、名古屋、京都、新大阪の各駅とリニア・鉄道館で販売。併せて弁当1つにつき、伊右衛門緑茶が20円引きかアサヒスーパードライが50円引きで買えるキャンペーンも実施した。
四角い容器に醤油たれ御飯を詰め、焼穴子煮で覆い、花椒(ホアジャオ)入り醤油たれをかけ、たくあん漬と花椒入り山椒を添える。山椒より辛い香辛料である花椒の使用が特徴。たれ飯と焼穴子とたくあんしか入れない、これ以上削りようがない没個性の内容に、花椒の香りで個性を加えた、新幹線の列車内で食べやすいお弁当。
1987(昭和62)年に当時の日本食堂が東京駅などで発売。翌1988年6月に調製元がJR東日本エリアの日本食堂とJR東海エリアのジェイダイナー東海に分割され、以後こちらは東海道新幹線の東京駅で売られる。現在は品川駅と新横浜駅でも販売。東京の味が駅弁で定着した、初めての商品だと思う。
ふたには昔の江戸の風景をイメージしたような、富士や木橋や漁などを描く。やや細長い長方形の容器に、アサリの炊込飯を詰め、おかかと海苔で覆い、穴子蒲焼、あさり煮付、海老と海苔の佃煮を載せ、玉子焼、油揚げ、べったら漬けを添える。現在の東京都江東区あたりの江戸時代の漁師飯を名前と中身に取り入れ、むしろこの駅弁の人気により深川飯の名が知られ地元に定着したのではないかと思う。原典はアサリなどの貝のぶっかけめしであったが、駅弁では穴子飯となった。
日本食堂は1998年から日本レストランエンタプライズ(NRE)、2020年からJR東日本フーズ、2021年からJR東日本クロスステーション。ジェイダイナー東海は2002年からジェイアール東海パッセンジャーズ(JRCP)。両者で販売を続ける駅弁「深川めし」は、2010年頃までは茶色いふたと、茶飯に海苔とアナゴとハゼを載せて煮物と小茄子漬を添えるところまで同じで、間違い探しのレベルでよく似ていた。その後はNRE版が青いふたのアサリ丼へ移行、JRCP版が茶色いふたの穴子飯を維持し、見た目で区別できるようになった。
上記の駅弁「あなごめし」の2022(令和4)年版で、6月23日から7月31日まで東海道新幹線の東京、品川、新横浜、名古屋、京都、新大阪の各駅で販売。併せて弁当1つにつき、特定の500mlペットボトルのお茶1本が50円で買えるキャンペーンも実施した。こうして8月にも買えた。ふたの絵柄も中身も味も、2023年のものと同じ。価格は1,280円で、当時はまだ「車窓食堂」ブランドがなかった。
※2023年8月補訂:新版の収蔵で解説文を手直し調製元の会社発足15周年を記念して、2017(平成29)年10月から12月まで販売。中身は駅弁の名前のとおり、JRCPの東京駅弁「深川めし」と品川駅弁「貝づくし」のセット。パッケージの絵柄もそうできていた。右側が深川めしで、茶飯をアサリとハゼとアナゴで覆い、左側が貝づくしで、茶飯を錦糸卵とホタテ、イタヤガイ、シジミで覆った。
上記の駅弁「深川めし」の、2008(平成20)年時点での姿。当時はやや細長い長方形の容器に茶飯を詰め、海苔、あなご、アサリ、ハゼで覆い、油揚げ、べったら漬、小なす漬を添えていた。東海道新幹線以外の東京駅の深川めしとそっくりだった。
2008年7月放送のテレビ東京「出没!アド街ック天国」で、NRE版とともに「全国おいしい駅弁の街BEST50」の第1位に選ばれ、不動の人気を再確認。価格は2008年の購入時で850円、2014年時点で910円、2016年時点で950円、2017年時点で980円。2020年時点で1,000円。
※2022年9月補訂:新版の収蔵で解説文を手直し長方形の発泡材製容器にラップをかけて、山椒とタレと箸袋を置いて、商品名だけを描いた紙フタをした後に、まるごとラップで包む。中身はアナゴの煮汁の炊込飯にアナゴ蒲焼を少々、それをタレでぐちゃぐちゃにしたものを大量に載せて、生姜を添えるもの。くどくてしつこい味付けだが、アナゴの分量では全国一なのではと思う。東京・品川・新横浜・名古屋・京都・新大阪の各駅と東海道新幹線車内での販売。現存しない模様。
※2017年9月補訂:終売を追記食べる前から不味いと決め付けられる宿命にあった、東海道新幹線東京駅のうなぎ弁当。長方形の容器に、割りばしを刺して商品名を記した木目調のボール紙のふたをかけて、ラップで包み食品表示ラベルを貼る。黒いトレーに入った中身は本体も付け合わせもまさに鰻重弁当。国産使用という鰻蒲焼に白御飯を覆い尽くすだけの大きさがあり、その風味や品質も悪くない。近年で食べた中では、最上級の現地収穫鰻重駅弁と感じ、そこにかつての皮ぷにょぷにょのイメージはない。現存しない模様。
今や東海道・山陽新幹線の車内からは、食堂車もビュフェもカフェテリアもサービスコーナーも売店も失われ、車内で調理または電子レンジで加熱の鰻弁当を食べる機会そのものが失われているため、新幹線のウナギ弁当がまずいだ皮が厚いだなどと語ると、世代がバレるかもしれない。
※2017年9月補訂:終売を追記2003(平成15)年4月19日の調製と思われる、東京駅弁の紙ふた。上記の2008年のものと違いは、バーコードの位置に注意書きがあるだけ。
1992(平成4)年10月19日16時の調製と思われる、昔の東京駅弁の紙ふた。その絵柄は、21世紀のものと変わらない。
1996(平成8)年2月12日の調製と思われる、昔の新幹線車内弁当のふた。当時の東海道新幹線では、ひかり号やこだま号のビュフェで、この容器に白御飯を盛り、ウナギ蒲焼きの真空パックを電子レンジで温めて載せ、車内で販売していた。東京駅や新横浜駅から名古屋駅までノンストップなのに、ウナギの名産地である浜名湖や静岡県内を走行中に、売りに来たりした。
1990年代に使われたのではないかと思われる、昔の新幹線車内弁当のふた。上のものと同じだが、色彩と注意書きがやや異なる。調製元のジェイ・ダイナー東海は、国鉄分割民営化の後の1988(昭和63)年に日本食堂を6旅客鉄道会社別に分けたうちのひとつで、2002(平成14)年の合併でジェイアール東海パッセンジャーズとなった。
1980(昭和55)年3月13日18時の調製と思われる、昔の東海道新幹線車内弁当の掛紙。駅での販売があったかは分からない。中身は鰻重か。かなり高額な弁当。
1972(昭和47)年3月31日の調製と思われる、昔の東海道新幹線車内調製弁当の掛紙。駅弁の掛紙と雰囲気は一緒だが、調製印や注意書きに列車内での製造販売に特有な表現が見受けられる。新幹線のうなぎ弁当はネガティブな意味で誰もが知る存在であったが、現在は消滅し見ることができない。