東京と日本の中央駅。東海道・山陽・東北・上越・山形・秋田・北陸の各新幹線、東海道・中央・総武・東北の各線、山手線や京浜東北線などの電車が、一日あたり3000本以上行き交い、100万人以上の利用者で終日賑わう。駅弁はJRの子会社が調製するもので100種類以上とも、エキナカの商品を含めて400種類以上とも、デパ地下の弁当を含めて1000種類以上ともいわれる、世界一の駅弁販売駅。1914(大正3)年12月20日開業、東京都千代田区丸の内1丁目。
1987(昭和62)年に当時の日本食堂が東京駅などで発売。翌1988(昭和63)年6月に日本食堂からJR東海エリアのジェイ・ダイナー東海が分社したため、東海道新幹線の改札の内外で両社の深川めしが売られるようになった。日本食堂が社名を変えたり他社を買収したり他社と合併したりしながら、30年以上も売られ続ける、東京駅では歴史のある駅弁。直近では2021(令和3)年9月22日のリニューアル。
容器を収めるスリーブには、商品名と宣伝文、江戸市街を描いたようなイラストに、中身の写真を掲載する。長方形の容器に茶飯を敷き、アサリと生姜の味噌煮で覆い、ネギを載せ、玉子焼、かまぼこ、ふき、たくあんを添える。東京駅弁の深川めしは下記のとおり、過去にはアナゴの駅弁であったり、ハゼを入れたりしたが、今回はアサリのぶっかけ丼のようなものになり、本来の深川飯に近付いたように思えた。アサリの駅弁はこの時点で、佐賀県の鳥栖駅を除くと、横浜、千葉、五井、木更津、安房鴨川と、ほぼ東京湾を囲むように残存しており、ここに東京が加わることとなった。
深川飯は、現在の東京都江東区深川の漁港や河岸で漁師などに親しまれたという、貝などの海産物のぶっかけ丼。戦後昭和の都市化と埋立で深川から漁業が消えた、1962(昭和37)年の漁業権放棄の頃には、アサリの炊込飯や、アサリとネギのぶっかけ丼であったらしい。これが東京駅の駅弁の名になった1980年代には、深川に深川飯を提供する食堂が現れたり、雑誌やテレビが深川飯を取り上げたりして、郷土料理として発掘され始めた。1939(昭和14)年の宮内庁の全国郷土料理調査では、埼玉県小川町の「忠七(ちゅうしち)めし」、東京都深川の「深川めし」、大阪府難波地方の「かやくめし」、岐阜県の「さよりめし」、島根県津和野地方の「うずめめし」を、日本の代表的な郷土料理、日本五大名飯としたという。
2020(令和2)年2月3日に650円で発売、2021年の販売はなく、2022年2月3日にも販売。2000年代に節分での販売が定着し、駅弁でも各地で出ている恵方巻きについて、東京駅の名物駅弁「深川めし」のものが作られた。あさりだし茶飯、あさり味噌煮、玉子焼、ごぼう煮、かに風味かまぼこを海苔で巻いた、小柄な太巻きを1本、プラ製トレーに収め、掛紙を巻く。掛紙の絵柄と具材が、現行の駅弁から取り入れられている。2020年のアナゴ煮と海苔で半分ずつ巻く姿が、今回は普通の海苔巻きとなった。
東京駅で買える深川めしのうち、これを1987(昭和62)年に発売した日本食堂の後身でないところが作るもの。駅弁屋や食堂会社でなく、鉄道弘済会売店「キヨスク」の流れをくむ弁当売店「膳まい」で売られる。調製元は東京から遠く伊豆半島の弁当製造業者。
デパ地下弁当タイプのプラ容器に透明なふたをして、商品名と木橋を描いた桃色の掛紙で巻く。中身は茶飯をアサリ煮と焼アサリ串と錦糸卵で覆い、タケノコとシイタケも載せ、山菜と大根桜漬を添える。味は淡泊で、付合せも滋味がなく、業務用冷凍食品の多用を感じ、在来線のNRE(日本レストランエンタプライズ)や東海道新幹線のJRCP(ジェイアール東海パッセンジャーズ)の東京駅弁より二段くらい落ちる印象。掛紙の絵柄とともに、寂しさのある落ち着き。
2022(令和4)年10月18日から31日まで、首都圏及び静岡・長野・宮城・福島・山形・岩手・新潟駅の駅のコンビニ「ニューデイズ」で販売。この年はこの前半2週間に「牛肉どまん中」「金色のひっぱりだこ飯」「チキン弁当」の、続く後半の2週間に「峠の釜めし」「いかめし」「深川めし」の駅弁風おにぎりが、それぞれ販売された。鉄道開業150年記念Newdays「鉄道の日フェア」の一環で、限定鉄道グッズ販売、駅弁風おにぎり販売、これらの駅弁風サンドイッチの販売、駅弁大会などが行われた。
これは東京駅弁の日本ばし大増が監修し、埼玉県のJR東日本クロスステーションが製造し、駅のコンビニで販売する、自社完結の企画商品。駅弁の深川めしのふたと同じ絵柄の袋に、アサリの深川煮とごぼうの炒り煮を具としたアサリ風味御飯のおにぎりを詰める。油で崩壊し食べにくくも、油の風味を含めた駅弁の御飯の味が詰まっていた。
東京駅の名物駅弁「深川めし」の、2017(平成29)年時点での姿。2013(平成25)年のリニューアルで、2021(令和3)年9月までの販売。茶飯の上に海苔と煮アナゴと、「深川煮」なるアサリとゴボウと油揚げなどの煮物を載せてワケギを振り、小ナス漬、ベッタラ漬、玉子焼、ニンジンとコンニャクとインゲンの煮物を添えるという内容だった。リニューアル前よりも柔らかく美味くなったとも思うし、ハゼ甘露煮の省略を嘆く意見もあった。
※2021年10月補訂:新版の収蔵で解説文を手直し2017(平成29)年10月から11月まで販売した、深川めしの復刻版。ボール紙のふたの絵柄や、アサリ炊込飯にアナゴ2切れやハゼ甘露煮2匹を載せる姿は、2013(平成25)年のリニューアルより前の姿と同じ。アナゴの味は元の固さに戻らず、柔らかい今のもの。同年同期間のJR東日本の駅弁キャンペーン「駅弁味の陣2017」へのエントリーのために発売か。通常版も併売した。
2013(平成25)年4月20日に購入した、東京駅弁のパッケージ。4年後とほぼ同じだが、当時はQRコードの印刷がなかったほか、食品表示ラベルに価格と調製年月日時分が記されていた。中身は変わらない。
東京駅弁「深川めし」が、2012(平成24)年10月に東京駅の駅弁売店「駅弁屋 祭」で実演販売されていたもの。名前や価格は通常版と同じだが、パッケージの左上には「できたて」のマークが印字され、中身ではハゼ甘露煮に代えてアサリとゴボウの煮物が入れられていた。実演販売とはいえ温かいのは御飯だけだが、それだけで味がとても柔らかいものに感じた。
1987(昭和62)年に発売した、東京駅を代表する人気駅弁のひとつ。長方形の容器に江戸の風景を描いたボール紙でふたをして輪ゴムで留める。中身はアサリの炊込飯に海苔を敷いて、アナゴの蒲焼きとハゼの甘露煮を2個ずつ載せ、小ナス漬やべったら漬に煮物数個を添えるもの。現在の東京都江東区深川あたり、隅田川の河口周辺で江戸時代から親しまれた炊込飯を駅弁化したもの。2011年現在で一日あたり500個以上が売れているという。
深川飯の駅弁については、JR東日本の子会社である日本レストランエンタプライズ(NRE)と、JR東海の子会社であるジェイアール東海パッセンジャーズ(JRCP)でほとんど同じ商品を出しており、東京エリアでそれぞれの駅構内にて販売している。これは在来線コンコースで買ったNRE版。
※2013年8月補訂:写真を更新2008(平成20)年8月6日に購入した、東京駅弁のボール紙製パッケージ。上記の2012年時点のものと価格も中身も同じで、駅弁マークの有無だけが異なる。
2001(平成13)年10月14日に購入した、東京駅弁のボール紙製パッケージ。上記の2008年時点のものと比べて、価格や製造者の名称など食品表示ラベルの内容が異なるが、その他に違いはほとんどない。