東京と日本の中央駅。東海道・山陽・東北・上越・山形・秋田・北陸の各新幹線、東海道・中央・総武・東北の各線、山手線や京浜東北線などの電車が、一日あたり3000本以上行き交い、100万人以上の利用者で終日賑わう。駅弁はJR東日本やJR東海の子会社のもので約100種類とも、エキナカの商品を含め400種類以上とも、デパ地下の弁当を含め1000種類以上とも言われ、さらに全国各地の駅弁も集まり、こちらも日本最大。1914(大正3)年12月20日開業、東京都千代田区丸の内1丁目。
2024(令和6)年6月18日に東海道新幹線の東京、品川、新横浜、名古屋、京都、新大阪の各駅で発売された夏季限定駅弁。昭和時代や20世紀ならともかく、アユ駅弁の新作が出ることや、すしでないアユ駅弁、そもそもアユの駅弁が売られることが、とても珍しいことだと思う。しかも東京など大都会の駅で。細身の長方形のプラ容器を収めるスリーブには、まきすのような模様を描く。
東海地方の名物料理である菜飯田楽をイメージしたという野沢菜混じりの御飯に、愛知県産「ハーブあゆ」をまるごと煮たものを2匹並べ、サトイモ煮、揚げ栗麩煮、青大豆煮、飛騨地方の「めしどろぼ漬け」を添える。鮎煮は骨も頭もうろこも、そのまま食べられる柔らかさ。その身も飯も塩気などの味付けが控えめで、当然に酸味もなく、ふんわりとした雰囲気でいただけた。
東海道新幹線の品川駅の開業に合わせて、2003(平成15)年10月1日に品川駅限定の駅弁として発売。後に販売駅は東京駅や新横浜駅、そして新大阪駅や京都駅、さらに名古屋駅にも拡大した。数年ごとに、あるいは四半期ごとに品揃えを入れ替えるジェイアール東海パッセンジャーズの駅弁としては、異例のロングセラーになっている。
茶飯を海苔と錦糸卵で覆い、イタヤガイ、ホタテ照焼、アサリ煮付、シジミ山椒煮、ハマグリ煮で5種類の貝で埋め、煮物と青菜と玉子焼を添え、紅生姜を別添する。駅弁の名前どおりの貝づくしで、味もおいしい。価格は2003年の発売時から長らく900円、2014年時点で960円、2017年時点で980円、2018年時点で1,000円、2023年時点で1,080円。
貝は今では品川の名物ではないと思うが、古く江戸時代から大正時代過ぎまで、品川は東京湾に面し、のちに江戸前と呼ばれる魚介類の産地であり、新橋駅までの線路は海上を通っていた。埋め立てで駅や車庫を拡張し、昭和時代には工場や住宅などのために埋立地がさらに沖へと広がり、品川から海と海産物が消えた。
JR東海が950億円もかけて品川駅に新幹線駅を増設したのは、大井の車庫への回送列車のため発着本数が毎時11〜12本に制限された東京駅の先に駅を設ければ、毎時15本の営業列車を運行できると説明されていたが、開業後2023年時点まで一貫して、品川駅を始発駅や終着駅とする列車は設定されていない。
※2023年4月補訂:写真を更新し値上げを追記2022(令和4)年10月1日に、東京、品川、新横浜、名古屋、新大阪の新幹線各駅で発売。調製元のジェイアール東海パッセンジャーズはこの設立20周年の日に、自社で調製し販売する駅弁の新ブランド「車窓食堂」を発足、すべての駅弁にそのロゴマークを付けたうえ、東海道新幹線の車窓から眺める「山」と「海」の豊かな風景をイメージした二段重という新作の駅弁「二段重山鶏とだし巻卵」「二段重海金目と鯖の煮魚」を発売した。
これは「海」で、公式な宣伝文は「だしと醤油でふっくらと煮上げた金目鯛の煮つけと、脂がのった鯖の優しい味わいの味噌煮が主役。ご飯は深川めしと白米の2種類、味付けの異なる2種類の煮魚が味わえる。」。小柄で浅く簡素な正方形大のプラ容器をふたつ重ね、波浪と漢字でブランドを描いたのだろう掛紙を巻く。中身は下段があさり御飯と白飯、上段がおかずで、キンメダイ煮付け、サバ味噌煮、玉子焼、がんもどき、梅干し、しいたけ、昆布佃煮、いんげん。
幕の内タイプの駅弁と考えると巨大な魚が2本も入る、お魚の、煮魚のお弁当。デパ地下で煮魚と御飯を買ってきたら同じものができそうで、惣菜が得意で駅弁では苦手な分野への挑戦に思える。タレや汁や脂が手指や掛紙やテーブルを汚さない、駅弁としての工夫があるのかもしれない。
2024(令和6)年2月23日に購入した、東京駅弁の掛紙。調製元の「猫の日フェア」として、2024年2月6日から26日まで、既存の駅弁「二段重海金目と鯖の煮魚」の掛紙を、ネコのイラストに差し替えて販売した。中身と容器と値段は同じ。
2020(令和2)年12月3日に東海道新幹線の東京、品川、新横浜、名古屋、京都、新大阪の各駅で発売。茶飯を海苔で覆い、ホタテ煮3個とカキ煮5個で埋め尽くし、玉子焼と野沢菜と柴漬けを添える。これほど巨大なカキを使う駅弁を、他に見たことがない。ホタテを含め、タレの味が強く、身の風味は弱めで、都会風の味。予定数量が無くなり次第販売終了とする。以後も12月から1月頃まで販売する冬季限定商品として売られる。
※2022年9月補訂:現況を追記おそらく東京や新横浜など東海道新幹線の主要駅で販売されると思われる、JRCP扱いの柿の葉寿司。経木枠の長方形の容器にボール紙の木目蓋をかけて、中身の飾り付け例のカラー写真を載せた包装紙で包む。中身は商品名のとおり、サバとマスの柿の葉寿司。しかしずいぶんと塩辛かった。
包装紙記載の製造元は、全国各地の百貨店に柿の葉寿司の店舗を構えたり、JR東海や近鉄の主要駅に商品を卸す、どちらかといえば地元密着より遠隔地展開タイプの柿の葉寿司屋さんか。スーパーの駅弁催事でも買ったことがあるが、なぜか会社名が異なる。
おそらく東京や新横浜など東海道新幹線の主要駅で販売されると思われる、JRCP扱いの柿の葉寿司。焼サバと鮭の柿の葉寿司を3個ずつの中身を和紙風シートで包み、白いボール紙箱を掛紙で巻く。同時に購入し食べた上の商品は塩辛かったが、こちらはそうではなく見た目のままの普通の味。
パッケージもまるで異なるし、同じ業者の商品とは思えないくらいの差異がある。製造者の所在地の上北山村は、いくら保存が利く商品でも東京や横浜に輸送するには時間がかかりすぎるはず。どこかでOEM生産して、その委託先が異なったのかなと、勝手に想像した。そういうタイプの駅弁は、駅弁大会に出てくる商品には少なくないという。
2020(令和2)年10月31日に購入した、品川駅弁のふた。その絵柄は2003年の発売時から上記の2023年のものまで変わらない。この時には「お弁当 BENTO」の文字がある、調製元の駅弁のロゴマークが付いていた。
東海道新幹線の主な駅で売られる冬の季節駅弁で、今回は2015(平成27)年12月3日からおそらく2016(平成28)年3月5日までの販売。正八角形の容器を3つに分けて、カニ御飯、イクラとサケのせ御飯、カズノコとブリのせ御飯を詰める、御飯で固めた内容。3種の丼で賑やかに、パッケージの絵柄はもっと賑やかに、東海道新幹線の沿線とはまるで関係のない北の海の味を取り入れる。販売はこのシーズンが最後になった模様。
※2021年2月補訂:終売を追記2013(平成25)年2月15日に購入した、品川駅弁のふた。上記の2020年のものとほぼ変わらず、発売当時からもほぼ変わらない。変化は英文表記と調製元のロゴマークくらい。
2007(平成19)年に冬季限定弁当で発売か。今回の2008年度版は、楕円形状の容器に透明なふたをして、同一形状で賑やかな絵柄のボール紙の枠にはめ、ラップに包んで食品表示ラベルを貼る。中身は炊込飯の上にブリ照焼、イカ照焼、貝柱、カニフレーク、ボイル海老、イクラ、シジミなどを載せるもの。
どちらかといえば夕食向け。見た目こそ具の節約で余ったすき間を紅生姜や錦糸卵で隠しているようだが、中身はしっかり詰まり、飯に対する具の分量は適切で、味もまあ良い。パッケージの食材のイラストと中身の一致は、JRCPのお家芸であるような。2010年度版から「冬の大漁御膳」と名を変え、同じ名前と違う中身で、以後も毎冬に出た模様。2016年までの販売か。
※2020年12月補訂:終売を追記2006年12月1日から2007年2月28日まで、各駅と車内で販売された季節限定弁当。正六角形の容器に商品名を描いたボール紙のふたをはめて、ラップで包んで食品表示ラベルを貼る。中身はカニほぐし身にグリーンピースと刻み椎茸を添えた御飯と、イクラに錦糸卵と鮭フレークや錦糸卵やガリを詰めた御飯で半分ずつ。
値が張るぶんだけ、風味と品質が良いと思うお弁当。しかし来年の今頃にはまったく別の弁当に化けているだろう。車中食としては悪くなく、駅弁やその文化の構成者としてはやはり良くない。ただ今回初めて、関東では新幹線改札内でしか購入できない駅弁タイプのJRCP商品が、今までは惣菜弁当やサンド・おにぎりのみ扱った改札外の弁当売店での販売を見ることができ、この措置は悪くない。冬季に限り、2010年までの販売か。
※2017年9月補訂:終売を追記2005(平成17)年6月12日に購入した、品川駅弁の紙ふた。上記の2013年のものと比べて、調製元のロゴマークの有無しか違わない。価格は据え置き、中身もハマグリの大小くらいしか違わず、ここでは異例のロングセラーとなっている。
2005(平成17)年の6月1日から9月14日まで販売された、夏季限定の駅弁。ふたがきれいに枠にはまる、木目調の楕円形の容器を、割りばしを挟みボール紙の枠にはめてラップで包み食品表示ラベルを貼る。中身は貝の炊込御飯の上にアカニシ貝と貝柱をどっさりと載せ、蒸しウニと小茄子漬と生姜を添えるもの。
見ても食べても貝づくしで、貝嫌いでなければ一気に食べ尽くせるし、添え物での口直しも完璧な感じ。評判も良かったようで、定番化あるいは来年の再登場が期待できると思う。
2005(平成17)年6月1日から9月14日まで、東京・品川・新横浜・名古屋・京都・新大阪の各駅と東海道新幹線車内で販売された、JRCPの季節駅弁の2005年の夏バージョンで、駅弁では珍しいハモのお弁当。以後も
角の丸い長方形の容器に、掛紙を兼ねた紙ぶたをかけてラップで包み食品表示ラベルを貼る。中身は一言ではも重。はものエキスで炊いた御飯の上に、弾力性のあるハモの蒸し焼きを約8切れ載せて、ゴボウや生姜などを添える。身にかけずに別添する専用のタレが、御飯やハモに合っている。