東京の鉄道ターミナルのひとつ。明治5年(1872年)の品川駅〜横濱駅で日本初の鉄道が仮開業して以来、東海道本線と東北本線を結ぶ路線が分岐したり、鉄道の車庫や工場が設けられたり、市電や私鉄が乗り入れたり、鉄道の重要な拠点のひとつであった。1922(大正11)年から2010(平成22)年まで品川駅の駅弁があり、その後は東京駅と同じ駅弁が売られる。1872(明治5)年5月7日開業、東京都港区高輪3丁目。
下記の駅弁「ザ・品川駅弁」の、2009(平成21)年時点での姿。掛紙がボール紙のふたに替わり、そのデザインも変わり、しかし価格と中身は変わっていないし、商品名とパッケージ記載名称が一致しない点も変わらない。
この駅弁は2010年10月頃に調製元が駅弁から撤退したため失われた。
※2011年1月補訂:終売を追記長方形の容器に木目柄のボール紙でふたをして、商品名とまるで異なる文字を書いた掛紙を巻いて、ひもで十字にしばる。中身は海苔御飯に焼鮭、エビフライ、鳥唐揚、焼売、ごぼうなどの煮物、ウインナー、玉子焼、かまぼこなど。風味や雰囲気は、ホカ弁の定番商品であるのり弁当の高級版という印象。味に不満はないが、これははたして駅弁なのかという不満はある。
下記の駅弁「薩摩No.1弁当」の、2009(平成21)年時点での姿。ふたがボール紙製に変わり絵柄も変えたが、中身はまったく変わらず、しかし価格は50円の値上げ。引き続き鶏肉も豚肉も昭和の品質で、あまりうまくない。
この駅弁は2010年10月頃に調製元が駅弁から撤退したため失われた。
※2011年1月補訂:終売を追記2006(平成18)年に発売か。横に長い木目調容器を輪ゴムで留めて、墨絵の掛紙を巻く。中身は正方形のプラ製トレー3個に詰まり、左から順番に、甘い玉子そぼろとおかかの御飯、焼売に鶏照焼に鶏唐揚に薩摩揚に肉団子にミニ薩摩芋、豚生姜焼丼。薩摩揚と薩摩芋で薩摩ナンバーワンとは弱々しい限りだが、掛紙の勇ましい墨絵には見るべきものがある。
明治維新の立役者である薩摩藩士の小松帯刀(こまつたてわき)は、1870(明治3)年に数え年36歳で早世したことで、同時期に同じような活躍をした土佐藩士の坂本龍馬とは対照的に、2008年のNHK大河ドラマ「篤姫」がスポットライトを当てるまで、長らく歴史の表舞台から忘れ去られていた。常盤軒の小松重春が1923(大正12)年に品川駅で構内営業を開始できたのは、その祖父である小松帯刀が鉄道敷設に尽力したためとされる。品川駅弁と薩摩とのつながりは、そんなところにある。
昔ながらの駅弁らしい深さと大きさの長方形経木枠の容器を二段重ねにして、調製元の名と松の画を記した包装紙で包む。中身は下段が日の丸御飯、上段が焼鮭、玉子焼、エビフライ、串肉団子、竹輪天、煮物など。
つまり下記の駅弁「二つ折そぼろ弁当」とは、包装紙の色と御飯の内容のみが異なるのだと思う。味は格別というほどのものではないが、三桁台の価格は良い感じで、こんな上品な包装の駅弁はとても珍しい。
この駅弁は2010年10月頃に調製元が駅弁から撤退したため失われた。
※2011年1月補訂:終売を追記包装紙に包まれ茶筒でも入ってそうな外観。その中には長方形の容器が2段重ねにされ、下段は茶飯の上に刻み椎茸と錦糸卵と鳥そぼろが載り、上段には煮物に肉団子に玉子焼と竹輪磯部揚げや海老フライが入る。下段は具が少なく茶飯が目立ち、上段は他の種類と同様に揚げ物が油臭いが、同じく他の種類と同様に茶飯と煮物は上質で、東京都内で2段重ねで950円なのだから、なかなか勉強されていると感じる。
この駅弁は2010年10月頃に調製元が駅弁から撤退したため失われた。
※2011年1月補訂:終売を追記1992(平成4)年に発売。他の駅なら「栗めし」を名乗りそうな駅弁。経木枠の正方形の容器は、半分が減農薬米コシヒカリを使用したという、非常に甘い栗を3個載せた茶飯、半分がトレーに入ったおかずで、野菜は有機をうたういいだこやじゃがいも等の煮物と、焼鮭・薩摩揚・鶏つくね。デザートにあんずが入る。有機野菜、無農薬、無添加の食材を使ったという。品川駅弁では非常に珍しく、掛紙に駅弁マークが入っている。
この駅弁は2010年10月頃に調製元が駅弁から撤退したため失われた。
※2011年1月補訂:終売を追記品川駅の幕の内弁当。東海道五十三次の品川宿の絵を掲げた長方形の容器を使用、黒地に赤枠の御膳風に見せた中身は、他の品川駅弁でおなじみの煮物や枝豆、エビフライや鮭に加え、きんぷらごぼうや牛肉しぐれ煮などが入る。容器が軽くて丈夫でほどほどの大きさであるため、テーブルのない東海道線の普通列車でも食べやすい駅弁。
この駅弁は2010年10月頃に調製元が駅弁から撤退したため失われた。
※2011年1月補訂:終売を追記発泡材でできた大きな大きな長方形の容器に、茶飯の上に海苔を敷いて鳥きじ肉モモ焼が並べられ、煮物やしめじや玉子焼やポテトサラダが入る。付け合わせやおかずに特徴はないが、茶飯・海苔・きじ肉の味と食感はかなり良い印象。見た目の豪華さと一緒に楽しめる駅弁。この駅弁はもう販売されていないと思う。
※2010年10月補訂:現存疑義を追記フタと底は紙製ながら枠は経木製の容器を、昔ながらに掛紙をかけ紙ひもでしばり、食べる前から駅弁らしい良い雰囲気。中身は茶飯の上に鶏肉が載り、椎茸・コンニャク・人参等の煮物に玉子焼に煮豆が添えられる。分量はそれなりに少なめだが530円の低価格で味も良い。常盤軒の駅弁には保存料と着色料と、なぜか必ず枝豆がひとつ入っている。この駅弁はもう販売されていないと思う。
※2010年10月補訂:現存疑義を追記秋季限定の駅弁。ゴムでとめられた栗型容器を使用、茶飯の上に栗を載せた栗御飯に、煮物と鳥唐揚とうずら玉子串フライが入る。大都会と栗飯駅弁のミスマッチが楽しく、茶飯と煮物の味は良いが、揚げ物の油臭さと栗の過度な甘さはいただけない。分解も折り畳みもできない掛紙一体型容器は、掛紙収集家泣かせである。私はボンド付けされた外枠を数分間かけて丁寧にはがした。
この駅弁は2010年10月頃に調製元が駅弁から撤退したため失われた。
※2011年1月補訂:終売を追記