東京と日本の中央駅。東海道・山陽・東北・上越・山形・秋田・北陸の各新幹線、東海道・中央・総武・東北の各線、山手線や京浜東北線などの電車が、一日あたり3000本以上行き交い、100万人以上の利用者で終日賑わう。駅弁はJR東日本やJR東海の子会社のもので約100種類とも、エキナカの商品を含め400種類以上とも、デパ地下の弁当を含め1000種類以上とも言われ、さらに全国各地の駅弁も集まり、こちらも日本最大。1914(大正3)年12月20日開業、東京都千代田区丸の内1丁目。
交通新聞社の月刊誌「鉄道ダイヤ情報」の400号発行を記念して、2015(平成27)年8月1日から数量限定で、東京、上野、新宿、大宮駅のNRE駅弁売店と鉄道博物館で発売。掛紙の意匠は雑誌の表紙のスタイルで、表面と裏面の絵柄は鉄道のダイヤグラムと、同じ出版社の月刊誌「JR時刻表」で駅弁紹介コラム「駅弁探偵団」を連載するイラストレーターによるメインの中身の解説。
中身は、鉄道ダイヤ情報400号を意味する「DJ400」と印字した海苔で覆う白御飯、チキンカツ、車輪型マカロニ、鶏つくね、ひじきサラダ、鶏レバー時雨煮、ポテトサラダなど。鉄道撮影趣味者を指す「撮り鉄(とりてつ)」にちなんでトリを、鉄道乗車趣味者を指す「乗り鉄(のりてつ)」にちなので海苔を、鉄道趣味活動を「鉄活(てつかつ)」と略してカツを、そして鉄道にちなんで鉄分を多く含むとされる食材を取り入れた。対象者が狭く深くて、はたして売れるのかとは思うが、駅弁に加えて鉄道にも興味があれば、とても楽しいお弁当。
国鉄の関連団体である鉄道弘済会が設立した弘済出版社は、国鉄の動力近代化計画による蒸気機関車の急速な減少に伴うSLブームにより、昭和40年代の1972年11月に「SLダイヤ情報」を創刊した。1975(昭和50)年度限りで国鉄の現役蒸機が姿を消すと、誌名を「鉄道ダイヤ情報」に改題、旧国鉄やJRグループの列車時刻の紹介や掲載に強みを持つ鉄道雑誌として、この駅弁の購入時で月刊での発行が続く。各種の時刻表も発行する弘済出版社は、2001(平成13)年12月に、鉄道関係の業界紙を発行する交通新聞社と合併、以後は交通新聞社の鉄道ダイヤ情報や時刻表となった。
JR時刻表の通巻600号を記念して、2013(平成25)年3月30日から2か月間ほど販売。時刻表の表紙に加えて背表紙と小口までも、該当のJR時刻表2013年4月号の姿を再現した掛紙を巻く。駅弁の価格も時刻表と同じ。
中身は白御飯に時鮭の塩焼、アサリ時雨煮、刻み梅、牛肉時雨煮、サトイモやニンジンなどの煮物、サクラエビしんじょう、切り干し大根、金時豆、玉子焼、「祝600」と書いたようかんなど。多くの中身を時刻表の「時」にちなんだりこじつける。JTB時刻表の記念駅弁は「伊豆づくし」や下の「はっこう弁当」だったものが、こちらは直球勝負。まるで時刻表と駅弁の趣味者のための駅弁である。食べてしまえば、単なるおかずが少ない幕の内。
1987(昭和62)年4月の国鉄分割民営化に伴い、交通公社の時刻表から「国鉄監修」を取り上げて、従前の弘済出版社の「大時刻表」を「JRグループ共同編集」と位置付けて、現在のJR時刻表の発行が始まった。この駅弁で記念した通巻600号は、JR時刻表の前身である大時刻表の、さらに前身であるダイヤエース時刻表の、また前身である大時刻表の、その前身である全国観光時刻表の創刊号である1963(昭和38)年5月号から数えたものである。なお、JR時刻表弁当はJRCP版も販売されたそうだが、未確認である。
市販の月刊時刻表「JTB時刻表」の通巻1,000号を記念して、2009(平成21)年4月20日に東京・上野・大宮・新宿・品川の各駅と鉄道博物館で発売。4月11・12日の東京駅での駅弁の日記念東日本縦断駅弁大会でも先行発売。時刻表の「発行」1000号と「発酵」をかけて発酵食品を取り入れた駅弁で、駅弁の女王ことトラベルジャーナリストの小林しのぶ氏が監修した。
幕の内駅弁らしい大きさを持つ長方形の容器を使用、木目調の発泡材でふたをして、中身の食材の個々のイラストなどを掲載した掛紙ですっぽり巻いて、セロハンテープで留める。添付のおしながきにも書かれる中身は、白御飯に鶏肉粕漬焼、キンメダイひしお焼、塩辛納豆とサクラエビのかき揚げ、チーズ入りかまぼこ、とうふの味噌マヨネーズ、イカと鮭のこうじ漬、野菜の甘酢漬、かつおぶしとひしおの佃煮など。発酵食品を食材や調味料で12種も使ったというが、臭かったりクセがある感じを受けない、しっとりとした仕上がり。半年ほど販売されていた模様。
現在のJTB時刻表は、「汽車時間表附汽船自動車発着表」の名で1925(大正14)年4月に創刊。国鉄の内部で使われていた算用数字の鉄道時刻表を市販化した国鉄公認の時刻表で、当時のトップシェアであった漢数字の「汽車汽船旅行案内」を20年かけて駆逐した。第二次大戦後は鉄道と旅行と日本の発展で最大200万部を売るベストセラーとなったが、鉄道の衰退または国電化、1987年の国鉄分割民営化による現在のJR時刻表の登場、パソコンソフトやインターネット上での時刻表の普及などにより、現在は毎月約15万部の発行だそうな。
2009年4月20日に発売されたJTB時刻表2009年5月号(通巻1,000号)は、その発売がテレビや新聞などで多く大きく紹介されたため、多くの書店ですぐ売り切れてしまうとともに、ネットオークションに定価の何倍もの値段を付けて多数が出品された。通巻1号の時代はおろか、900号(2001年1月号)の頃にも考えられなかった現象だと思う。なお、第二次大戦直後の数年間は紙不足や社会の混乱により時刻表の定期刊行がなされておらず、現存しない巻がいくつかある。
サンケイリビング新聞社の生活情報紙「リビング新聞」の読者約100人によるプロジェクトチームが開発し、2007(平成19)年4月13日から15日まで東京駅で500個が販売された駅弁。2008(平成20)年4月5,6日の東京駅「駅弁の日記念駅弁大会」で、これを限定復活として再販売した。
竹皮編みの長方形の容器に東京都の形状を描いた掛紙を巻く。透明なトレーに入った中身は、アサリ飯、山菜おこわ、白御飯の俵飯が合計5個に、焼売、玉子焼、里芋やごぼうなどの煮物、金目鯛、豚煮込の小片が数個と桜大福など。
情報紙の宣伝文では“幻の豚肉”「TOKYO X」の使用を強調するが、風味どころか肉の種類の判別も困難な分量しか入らないし、幻と騒ぐのは東京都庁とメディアだけのような。そして本当に好評な駅弁であればレギュラー入りするはずで、評判は予定どおり終了する程度ではないか。宣伝に煽りが効きすぎていると感じられてならないが、それを忘れれば雰囲気の良い女性向けおつまみ。
NREとスポーツ新聞「サンケイスポーツ」を発行する産業経済新聞社がタイアップし、2009(平成21)年4月28日から売り出した、史上初と発表されている新聞付き駅弁。正方形8区画を持つ黒いプラ製トレーを紙箱に収めるスタイルはNREの記念駅弁でよく見かけるスタイル、その箱には星占いのイラストが描かれ、中にはおしながきが入っている。
中身は日の丸御飯、オムライス、五目炊込飯、ハンバーグとマカロニ、菜の花のおひたしとニンジンなどの煮物、プルコギ、蒸し鶏と桜大根漬、コーンとグリーンピースとスモークチーズ。見た目に違い、御飯の多い食事タイプのお弁当。新聞紙面の占いと駅弁の食材がリンクしていると書かれているため、駅弁に付いてきた6月6日のサンスポの24面「イレーネの西洋占星術」を見ると、黄道十二星座の牡羊座から順に「プルコギ」「チキンライス」「炊き込みご飯」「ハンバーグ」「チーズ」「パスタ」「にんじん」「牛肉」「春雨」「グリーンピース」「ゴマ」「鶏肉」とあり、確かにだいたい合っていた。3か月ほどで終売か。
※2016年9月補訂:終売を追記2013(平成25)年12月21日のリニューアル。6年ぶりの購入であり、その間に販売されていたかどうか記憶にない。容器も掛紙も小さくなり、中身から夕刊紙やおじさんやおつまみといった感じがなくなり、当初のコンセプトはどこへやら、ただの駅弁になったと思う。中身は掛紙に書かれるとおり、二段目の下段がいなり寿司、太巻き、細巻き、大根漬、箸とおしぼり、一段目の上段が海老フリッター、ぼんじり、合鴨スモーク、笹かまぼこ、鶏つくね串、シイタケ肉詰め、玉子焼、ひじき煮、根菜などの煮物、わらび餅。2015年までの販売か。
※2019年9月補訂:終売を追記2007(平成19)年11月のリニューアル。厚生労働省と農林水産省が2005年6月に策定し、2007年10月からタレントとイラストを使った本格的なキャンペーンを実施している「食事バランスガイド」に基づいた改訂をうたうが、もともと少量多種が特徴の駅弁であったため、中身は従前版とほとんど変わらない。よく見ると焼売に代えてニンジンと鶏つくね、里芋とイカリングに代えて長芋和えとスモークチーズが入っている。
下記の駅弁「夕刊フジ特選おつまみ弁当」の、2007年の春バージョンか。価格や容器とおかずの内容は変わらないが、下段の御飯6個が太巻2個、小鯛笹寿司1個、桜花茶飯2個の「お花見限定版」に差し替えられ、掛紙にもちょっと手を加えている。この駅弁もすっかり定番化したようだ。
読者投票で3度の内容変更を経た、下記の駅弁「夕刊フジ特選おつまみ弁当」の確定版。容器の構造や掛紙のデザインは変わらないが、掛紙の記事は入れ替わり、裏面は真っ白になった。中身は下段が第1弾と同一、上段ではゴーヤチップスとポテトサラダと鶏肉磯部揚とマーブルチーズが消え、板わさときんぴらごぼうと肉焼売と豚角煮が加わった。
下記の駅弁「夕刊フジ特選おつまみ弁当」の、2006(平成18)年6月18日限定版。日本時間で同日夜のサッカーW杯予選リーグの日本対クロアチア戦にちなみ、下段の俵飯6個を黒米、青じそ、ちりめんじゃこ、あさりの4種に替え、これでクロ・ア・チ・アを表している。掛紙も当日限定版に差し替え。価格とその他の中身は共通。12日のオーストラリア戦と22日のブラジル戦の際にもそれぞれのバージョンが出た模様。
2006(平成18)年5月23日に発売。産経新聞社の夕刊紙「夕刊フジ」とNREとの共同開発駅弁。正方形の二段重ね容器に透明なフタをして、夕刊フジの紙面風な掛紙をかけてテープで留める。中身は下段に白御飯と赤飯の俵飯に山くらげ、赤かぶ漬、野沢菜漬が、9区画に分かれた上段にアジ西京焼、ゴーヤチップス、半熟煮玉子、マーブルチーズ、鶏磯部揚、砂肝と枝豆などが入る。
駅弁の名前のとおり、おつまみとしてビールと一緒に楽しめるおかずを厳選し、同時にカロリーも抑えたという。確かにおかずはその相互や御飯にまるで合ってなく、お弁当として食べるとつらいかもしれないが、酒との相性は東京駅弁で一番だと思うし、新聞の読者層であるサラリーマンの中高年男性にも合っていそう。アンケートはがきが付いており、読者意見も反映して7月と8月にリニューアルを図るそうな。