東京と日本の中央駅。東海道・山陽・東北・上越・山形・秋田・北陸の各新幹線、東海道・中央・総武・東北の各線、山手線や京浜東北線などの電車が、一日あたり3000本以上行き交い、100万人以上の利用者で終日賑わう。駅弁はJR東日本やJR東海の子会社のもので約100種類とも、エキナカの商品を含め400種類以上とも、デパ地下の弁当を含め1000種類以上とも言われ、さらに全国各地の駅弁も集まり、こちらも日本最大。1914(大正3)年12月20日開業、東京都千代田区丸の内1丁目。
2024(令和6)年3月16日に、東京、新宿、上野、大宮の各駅で発売。同日の北陸新幹線の敦賀駅までの延伸開業を記念したもので、掛紙の絵柄も新幹線電車と路線図と、福井県内の観光名所の写真でできている。掛紙の裏面でも路線図と写真で福井県内の観光名所をアピール。中身は東京駅から福井県への延伸と繋がりをイメージしたとされる、海鮮ちらし寿司、里芋のころ煮と厚揚げの煮たのと菜の花お浸し、羽二重餅とさつまいも旨煮とにしん昆布巻、あとは日本ばし大増の煮物、ひじき煮と鶏照焼。羽二重餅を除き福井にしかないものは無いけれど、商品名と掛紙の絵柄と駅弁売店での大量陳列で、北陸新幹線の延伸開業を東京でアピールした。6月まで販売する予定。
2024(令和6)年4月10日から23日まで、東京駅や新宿駅などで販売。駅弁の日に合わせ、日本鉄道構内営業中央会の会員のうち31社が各社おすすめ駅弁に共通ノベルティ「千社札風カード」を添付して期間限定で販売した駅弁の、東京駅バージョン。駅弁の名前は日本鉄道構内営業中央会のプレスリリースによる。現物には箱で「幕之内」、食品表示で「駅弁の日にぎわい幕の内」と書いてあった。
これは日本食堂、日本レストランエンタプライズ、日本ばし大増の時代からの仕出し弁当で、過去に成田空港駅や東京総合車両センターなどで売られた商品「やまびこ」にそっくり。2024年時点でも税込み1,026円で現行の商品について、8区画の中身を少し変えて、カードを添付して記念駅弁にした感じ。中身は日の丸御飯、あさり御飯、ゆかりめし、タケノコやれんこんなどの煮物、赤魚白醤油焼とかまぼこと玉子焼、鶏唐揚ときんぴらごぼう、豚肉ハンバーグとポテトフライと菜の花、切り干し大根サラダと和菓子。
2023(令和5)年11月10日に東京、上野、新宿、大宮、高崎の各駅で発売。日本鉄道構内営業中央会の「駅弁マーク」制定35周年を記念し、会員のうち29社が主に11月10日から期間限定で販売した31種類の記念駅弁のうち、東京駅の駅弁屋のもの。正方形の容器は4区画に仕切られ、日本ばし大増の伝統の味「江戸うま煮」、東京名物「深川めし」、大船軒看板商品の「鯵の押寿し」、やまゆり牛時雨煮と鎌倉ハムとキャベツ炒め。
掛紙の絵柄も4区画で、このとおり書いてある。加えて駅弁の名前と記念の文字、「鯵の押寿し」のスリーブの絵柄、「深川めし」のふたの絵柄、日本ばし大増と大船軒のロゴマークと駅弁マークも記す。JR東日本クロスステーションが吸収した各社で長らく売られた駅弁の、いいとこがとりいれられた、駅弁ファンが感心しそうな記念駅弁。これは11月10日から1月中旬までの販売。
JR各社の発足30周年を記念して、2017(平成29)年4月8日から16日まで、東京駅の駅弁売店「駅弁屋 祭」「駅弁屋 踊」と新宿駅の駅弁売店「駅弁屋 匠」で販売。掛紙には商品名と記念の絵柄とおしながきと、JR各社が共通で使えそうな「おかげさまでJRは30周年」の絵柄を掲載する。
中身は15区画に「3つのお祝ご飯と、30種類の食材を使ったおかず」を詰めたという。内訳は、めで鯛ちらし、赤飯、日の丸ご飯、紅鮭塩焼き、昆布山椒煮、煮穴子、キャロットラベ、スモークチーズ、うずら玉子醤油漬け、玉子焼き、紅白蒲鉾、さくら大根漬、紅白なます、炙り鯵の酢〆、海老酢漬、高野豆腐の煮物、椎茸煮、筍煮、人参煮、蒸し鶏、枝豆梅肉あえ、蒸し鶏ネギ塩ダレ、ひじき煮、あさりの時雨煮、豚みそ漬け焼き、牛肉オイスターソース煮、竹輪磯辺揚げ、しらすかき揚げ、鯖トマトソース煮、厚揚げの素揚げ、アイガモスモーク、ポテトサラダ、緑茶羊かん、マンゴーシラップ漬けと、全34種。まるで青森駅弁「ひとくちだらけ」のような怪作。それでもさすがは東京で、味も見栄えも美しくできている。ただし調製は、神奈川県の大船軒。
1987(昭和62)年4月、日本全国で約2万キロの鉄道網を運営していた日本国有鉄道は、6つの旅客鉄道会社と1つの貨物鉄道会社と、5つの関連組織に分割された。主因は赤字。それは国鉄当局や国鉄職員の怠慢なのか、低運賃と不採算路線を押し付けた政治の圧力か、労使関係を荒らしストライキを頻発した労働組合の横暴なのか、国有企業は本質的にそうなるものか、30年を経過しても総括されていない感じ。総論としては国鉄分割民営化は成功だったと、権力を持つ政界関係者やテレビや新聞は語る。しかし世界を見渡せば、イギリスでもニュージーランドでもアルゼンチンでもどこでも、民営化した鉄道の国有化や国営化が珍しくなくなっている。
駅弁の誕生130周年を記念し、2015(平成27)年9月11日に東京・上野・品川・新宿・大宮駅の駅弁売店で発売。同年10月のJR東日本の駅弁キャンペーン「駅弁味の陣2015」にもエントリー。大人の休日の駅弁と同じような雰囲気を感じる、小さな二段重ねのお弁当。
添付のおしながきでも紹介される中身は、「壱の重」こと上段に銀ひらす漬焼、サンマ菊花和え、薩摩揚、マイタケやナスなどの煮物、柿型の和菓子など、「弐の重」こと下段に、マツタケを貼る五目御飯と、カニやイクラなどのちらし寿司。
2011(平成23)年10月8日から10日までに東京駅で開催された「第14回東日本縦断駅弁大会」で販売された商品で、ヨネスケこと落語家の桂米助氏のプロデュースによるもの。まきすを用いた容器を、商品名を描いた掛紙で巻く。竹皮柄の紙に包まれた中身は、白おこわ、銀鮭粕漬焼、大山鶏の照焼、丹波黒豆、江戸焼玉子、タケノコやニンジンなどの煮物、りんごシロップ漬など。築地の老舗が詰まるという都会の弁当なのに、見ても食べても内容でも、整然の中に風情が感じられた。
ヨネスケ氏は本業の落語の傍ら、タレントとしてワイドショーなどで活躍するほか、駅弁空弁紹介ブログ「ヨネスケの駅弁!空弁!食べて答弁!!」(http://blog.livedoor.jp/yonemeshi/)を運営し、その内容が著書「ヨネスケの駅弁・空弁600選」にもなっている。駅弁評論家としての顔がどれだけ知られているかは分からないが、このまま東京駅弁としてのデビューを期待したいところ。
2011(平成23)年9月17日から25日まで東京駅で開催された「東北応援駅弁大会」で販売された商品。中身は商品名どおりの温泉玉子付きハヤシライスで、耐水紙製のカップに白御飯を敷き、半熟卵と福神漬をプラ製ミニカップで詰め、その上に牛肉とタマネギを混ぜたデミグラスソースを詰めた透明なふたをしたもの。
ハヤシライスは好物だが、常温では油のクセが気になるもの。この商品も品質や風味は悪くないはずが、さすがにそんな欠点は消せない。おそらくここで話題になればレギュラー入りを描いた実験的作品だろうが、残念ながらまったく話題にならなかったので、もう二度と出会えないと思う。
2010(平成22)年10月9日から11日まで東京駅で開催された「第12回東日本縦断駅弁大会」の開催記念駅弁。容器に経木のふたをかけ、江戸時代の錦絵を模して非なる絵柄の掛紙で巻く。中身は日の丸俵飯に焼鮭、かまぼこ、玉子焼、サトイモやニンジンなどの煮物、キス天ぷら、アサリ佃煮。内容こそ確かな幕の内駅弁であるが、掛紙も容器も中身も詰め方も、やっつけ感が先行。御飯の味は良かったのだが、これはどうしてしまったのだろうか。
日本テレビの朝の情報番組「スッキリ!!」とNREとの共同開発により、2010(平成22)年10月9日から11日まで東京駅で開催された「第12回東日本縦断駅弁大会」で販売されたお弁当。正方形の容器に、内容をイメージした写真やイラストを掲載する賑やかな掛紙をかける。中身は白飯に茶飯、鶏南蛮に甘辛とろ豚、タケノコやニンジンなどの煮物にひじきや青菜煮浸しなど。
テレビ局とのタイアップ駅弁は、メディア自信の情報発信が期待されるため、通常は黙っていても話題になるもの。しかし情報過多の東京では、そうはいかなかった。会期中3日間とも見た目に売れ行きは鈍く、駅の駅弁ではまず見ない割引販売まで行い、個人ブログで話題になることもなかった。実物も味はともかく、肉の単価か間接経費が高かったのだろうか、価格相応の顔ではない。豚丼と鶏丼だけのシンプルな内容にするか、価格を880円くらいにしておけば、そんなことはなかったのにと思う。
掛紙に記載されるとおり、有料の衛星放送「スカパー!」が2009年10月に実施した鉄道関連番組一挙放送キャンペーン『「鉄道の日」特集』に合わせて、同月に販売された期間限定駅弁。真っ白なトレーを入れた白い容器に透明なふたをして、駅弁の名前を大きく書いた掛紙を巻く。
9区画の中身はじゃこ載せ雑穀飯、ひじき載せ白飯、ブリ照焼、とうふハンバーグ、青菜のおひたし、厚揚げ、こんにゃくなどの煮物と砂肝、ホタテ風味揚とレンコン天、桃シロップ漬など。駅弁の名前になった「スカパー!鉄道大使」でファッションモデルの紗耶が好きな食材を集めたそうで、個々の味はNREがしっかり作ったが、見栄えでも内容でもコンセプトがまるで感じられないので、モデルのファンでないと感心できる点が探せないかも。その点で価格にも割高感があった。
映画「釣りバカ日誌18」の公開に合わせて、2007(平成19)年8月28日から9月24日まで、JR東日本系のコンビニ「NEWDAYS」で売られたおにぎりセット。中身の写真に商品名や映画名、プレゼントキャンペーンの案内など情報量の多い掛紙で、プラ製の惣菜容器を包む。
映画のロケ地である岡山にちなんだという中身は、タコ煮付き山菜おにぎりとあなごきざみ付き味飯おにぎりが各1個入り、鶏唐揚と玉子焼とタクアンを付ける。見栄えはやや駅弁っぽいが、風味はコンビニのもの。東日本キヨスク改めJR東日本リテールネットの販売だが、調製はNREの名義になっている。
映画「釣りバカ日誌18」の公開に合わせて、2007(平成19)年8月28日から9月24日まで、JR東日本系のコンビニ「NEWDAYS」で売られたコンビニ弁当。中身のイメージ写真に商品名や映画名、プレゼントキャンペーンの案内など情報量の多い掛紙で、ちょっと駅弁っぽい容器を包む。
映画のロケ地である岡山にちなんだという中身は、酢飯の上にママカリや海老や赤貝を散らしたばら寿司と、たこめしが入り、煮物や菜の花を付ける。風味は良好、映画の知名度も抜群、しかしこれだけで岡山をPRできたかは、なんともいえない。
プロ野球マスターズリーグ5周年を記念して、2005(平成17)年11月3日から販売。黒いトレーを入れた正方形のボール紙箱は、フタに村田兆治投手と石毛宏典内野手の写真を載せ、裏ぶたに2005年度の日程表を記す。昭和の食卓をイメージしたという中身は、日の丸御飯に白身魚フライやハムカツ、海老や焼鮭や玉子焼など。日程表が1月22日までなので、その頃までの限定商品と思われる。
プロ野球マスターズリーグとは、日本のプロ野球で活躍したOBが2001(平成13)年から、毎年11月から1月まで札幌・東京・名古屋・大阪・福岡の5チームに分かれて対戦する野球興行。かつての有名選手の勇姿が再び見られることが人気なのか、一試合平均で約一万六千人もの観客を集めるという。フタ記載の「挑戦する勇気と悦び」は5年目シーズンのキャッチフレーズ。
2004(平成16)年4月9日から11日まで、八戸・盛岡・仙台・大宮・東京・新宿・品川・上野の各駅で5,000個を販売した、NRE史上初の「駅弁の日」記念駅弁。東北・上越新幹線が開業した1982年頃の幕の内駅弁を再現したという。
ふたと枠に経木を使った正方形の容器を、当時そのままのデザインの掛紙で包み紅白の麻ひもでしばる。中身は日の丸御飯と焼マスに白身魚フライ、蒲鉾に玉子焼、鶏つくねに各種煮物など。いずれも昔の雰囲気を再現しながらもそれなりに高級感があり、国鉄時代に不味い不味いと言われていた幕の内駅弁より確実に上品であった。