東京と日本の中央駅。東海道・山陽・東北・上越・山形・秋田・北陸の各新幹線、東海道・中央・総武・東北の各線、山手線や京浜東北線などの電車が、一日あたり3000本以上行き交い、100万人以上の利用者で終日賑わう。駅弁はJR東日本やJR東海の子会社のもので約100種類とも、エキナカの商品を含め400種類以上とも、デパ地下の弁当を含め1000種類以上とも言われ、さらに全国各地の駅弁も集まり、こちらも日本最大。1914(大正3)年12月20日開業、東京都千代田区丸の内1丁目。
2003(平成15)年10月3日に東京駅で発売。ついにここまで来た、高級志向の高額駅弁。ふたも本体も仕切りもすべて経木の二段重ね容器に掛紙に、歌舞伎の曽我五郎時致を描いた掛紙をかけて金色の輪ゴムでしばり、それをさらに紫色の布製風呂敷で包む。中身は写真のとおり、お品書きが二枚も必要なほど多種多様な内容をテキストに起こすのは野暮なもの。NREが買収した老舗の幕の内弁当屋が腕を振るった。
一日30個で売り始めたが、テレビで何度も紹介されるなど好評のため70個に増産。乗車3日前までに電話連絡すれば、10時から19時までの東京駅発のJR東日本の新幹線指定席の座席まで届けてくれる。売店受取予約なら前日まで。当日でも八重洲中央口から中央通路へ向かって右手に現れる、東京駅構内NRE最大の駅弁売店「東京5号売店」で販売される。2006年1月現在で、販売個数は一日30個に戻った模様。2013年限りでひっそりと終売か。
※2019年9月補訂:終売を追記2010(平成22)年4月26日から8月頃までの予定で2,000個が販売された、極附弁当の期間限定パッケージ。緑茶飲料市場で約5割のシェアを持つ伊藤園とのタイアップにより、風呂敷が緑茶色になり、「お〜いお茶」の500mlペットボトルが1本付き、その製造過程での茶殻を箸袋にしたり、中身も御飯や揚げ物、煮物や甘味などに抹茶が取り入れられている。今回のおかずはずいぶんと、油で重いものが多かったような。
東北新幹線新青森開業に合わせた、2010(平成22)年12月4日の東京駅構内食品街「グランスタダイニング」内「ニッポンの駅弁」の開業に伴い、同日にオープニングスタッフとして発売。予約なしに買えるものとしては購入時で全国最高額の駅弁。予約が取れないほどの人気店だという、東京・南青山のフレンチレストラン「L'EMBELLIR(ランベリー)」のシェフが、駅弁で味わえる高級フレンチのフルコースというコンセプトで開発した弁当。
頑丈なボール紙製の真っ白な二段重ね容器を使用、ふたを開くとガラス容器のような色と質感をしたプラスティック製のケースやトレーが、銀色のマウントに整然とはめられる。中身はフルカラーのお品書きによると次のとおり。
新幹線の延伸にちなみ青森県産の食材を取り入れ、素材の味を大切にしたり生かしたりしたという取材記事が書かれる商品なのだと思うが、高価と少量と食べ慣れない味が気になり、トーキョーのセレブはこういうものを普段から食べているか好むのかと感心するばかり。私見で高級な料理とは、あらゆる食材をすりつぶしたうえで整形し、元の食材の香りを微量だけ残したゾルやゲルにしてしまうことなのだと思うところ。
しかし、上記の「極附弁当」と異なり、この駅弁の発売が新幹線開業やグランスタダイニング開業の話題に埋もれ、テレビの情報番組やワイドショーであまり紹介してもらえなかったからか、一日3個限定が常に売れ残る状態を見せながら、翌年の春頃までに販売を取りやめた模様。最高額のタイトルは瞬間風速に終わった。