東京駅から電車で約25分。横浜市は神奈川県の東部で東京湾に面した、人口約380万人の港町。東京の衛星都市として人口日本一の市であるほか、異国情緒とウォーターフロントで多くの観光客も集める。駅弁は、大正時代からの駅弁屋がコンコースやホーム上や駅周辺各地に駅弁売店を構え、「シウマイ弁当」は日本一売れる駅弁とされる。1915(大正4)年8月15日開業、神奈川県横浜市西区高島2丁目。
2022(令和4)年3月19日から4月30日まで販売。発売の理由は示されていない。ビーフステーキのイメージイラストでできた掛紙を巻く黒い容器に、白飯を詰め、牛ステーキを並べ、オニオンソース、かぼちゃとエリンギの素揚げ、タマネギとピーマンのグリル野菜、大根やパプリカなどのピクルス、小松菜とぶなしめじととうもろこしのマスタードソース和えを添える。
この値段であれば駅ビルのレストランで基本的なステーキをいただけると思うので、そうでなく駅弁で食べたい、崎陽軒の味を食べたい、と思わせるような個性は、特に感じられなかった。シウマイで発展した駅弁屋なので、牛肉でなく豚肉の扱いに長けると思う。
横浜開港150周年を記念して、2009(平成21)年4月28日に、9月27日までの期間限定駅弁として発売。赤い黒塗りの容器を使用、商品名と牛鍋イラストに「開国博Y150」ロゴマークなどを印刷した掛紙を巻いて、輪ゴムで留める。中身は白御飯にとても濃い色の牛ロースすき焼き肉と牛そぼろを薄く全面に敷き詰め、エリンギ、ししとう、ニンジン、柴漬けを貼り付けるもの。
横浜駅にはなく、しかし全国的にはありふれた牛肉駅弁。味付けはとても濃く、肉も固めで、牛丼駅弁としての風味は並。しかしこれは横浜が発祥の牛鍋が題材ということで、この味はそのコンセプトに合致していると思う。この駅弁は人気なのか、いつもどこでも売り切れており、発売後1か月間で売店に十何回も訪問し、ここでようやく買えた。こんな好評のためか、10月以降も販売が継続されている。2011年までの販売か。
※2015年9月補訂:終売を追記2009(平成21)年6月2日に購入した、横浜駅弁の掛紙。上記の期間限定駅弁「横濱牛めし」の、さらに6,8,9月限定のパッケージ。JRグループの観光キャンペーン「横浜・神奈川デスティネーションキャンペーン」が2009年6月1日から8月31日まで実施されることにちなみ、約150年前の開国当時を描いた錦絵を掛紙に採用、キャンペーンのロゴマークも左下に刷っている。中身や価格はまったく同じ。
観光キャンペーンのロゴマークには、1989年開通の横浜ベイブリッジ、1961年オープンのマリンタワー、1927年開業のホテルニューグランドを描き、1993年開業の横浜ランドマークタワーと、1997年開業のクイーンズスクエア横浜がシルエットで登場している。1990年代以降のみなとみらい地区の開発の進展で、横浜を代表する観光エリアは中華街とここに収まった感じ。ロゴマークの右半分が存在しなかった時代、船員や米兵で賑わう異国の妖しさを求めて文化人や芸能人がお忍びで遊びに来ていた本牧や山下町などの雰囲気は、この頃を境にあらかた失われてしまった。
2009(平成21)年7月5日調製の、横浜駅弁の掛紙。上記の期間限定駅弁「横濱牛めし」の、7月限定のパッケージ。掛紙記載のとおり東海道線全通120周年を記念して掛紙の絵柄を変更、略年表に長距離切符をイメージしたアイコンと、「湘南電車」と呼ばれた80系電車の写真を使ったデザインを取り入れた。「横浜・神奈川デスティネーションキャンペーン」期間中でもあり、このロゴマークも付いている。中身や価格は非限定版と同じ。
1950(昭和25)年の東海道本線東京・沼津間でのデビューが半世紀後にも語られる国鉄80系電車は、1957(昭和32)年までに652両が製造され、東海道、飯田、身延、中央その他本州の直流電化区間で使用された。しかしその特徴的な顔である掛紙記載タイプの先頭車両は、なぜか1両も保存されることなく、全車がスクラップ処分されてしまった。藤沢駅のホーム上のキオスクがこの顔を再現したほか、同時期に製造された京王帝都電鉄の2010系電車が愛媛県の伊予鉄道を経て千葉県の銚子電気鉄道へ移籍し、似たような顔で新型車両として2010年にデビューしている。
横浜商工会議所が2005年11月2日に開催した「第1回ハイカラ弁当コンテスト」に出品された、すべてプロが調製した10作品から、グランプリを獲得した作品の商品化。横浜の開港当時に人気を呼んだと言われる牛肉を素材に昔なつかしい味というコンセプトだそうな。
駅弁にも使われるトレー接着長方形の容器に透明なプラ製ふたをして、昔の横浜の観光名所であるマリンタワーに牛が登る絵を描いた掛紙をかけてセロテープで留める。中身は御飯の上に牛すき焼きを敷き詰めて温泉卵を添えるもの。
つまり牛丼だが、具の内容でも全体的な風味でも、すき焼きを強く感じる。開港の歴史を誇りに思い続ける横浜市中心部いわゆる関内の政財界に受けそうな内容。駅弁マークにそっくりの横浜弁当マークはマズイと思うが、美味かつ開港場の地域色を反映し、見た目がとても駅弁らしく、崎陽軒に競合商品がないので、横浜駅か関内駅あたりで駅弁化を期待したいもの。
なお、2007年末頃に京急連絡口脇の弁当売店が撤去されたため、この弁当は現在は駅では買うことができない。2017年までは、羽田空港や東京駅などで時々買えたらしい。
※2022年7月補訂:終売を追記イズミ食品のデパ地下弁当。この調製元が駅弁、空弁、高速道路弁当へ飛躍するきっかけとなった、上で紹介のグランプリ作品「牛めし」と中身は同じ。商品名のとおり、これを国産牛でつくったものらしい。
ということは、、、となるが、戦後長年にわたる多数意見の積み重ねで食料の過半を輸入に頼る社会を創り上げた日本国民が、弁当あるいは駅弁に輸入牛を使うとは何事かと怒り出す方が筋違いというもの。ただ、同じ売り場で両者を併売するのは、最近のご時世においてイメージ上どうかとは思った。
なお、2007年末頃に京急連絡口脇の弁当売店が撤去されたため、この弁当は現在は駅では買うことができない。
※2011年2月補訂:現況を追記商工会生まれの駅弁屋の、2006年頃の新作か。ちょっと大きめな長方形の容器を、紫色の紙枠にはめる。中身は白御飯に牛カルビを容赦なく貼り付けて、もやしやゼンマイやキムチなどを添える、韓国風な焼肉弁当。
通常の駅弁にはあまりない猪突猛進な牛肉丼で、価格は高いが牛肉の分量や濃厚な風味はもっと高いと、評判を集めている模様。羽田空港の空弁としての紹介例が多いが、新横浜駅や横浜駅の駅弁とも見なせると思う。
なお、2007年末頃に京急連絡口脇の弁当売店が撤去されたため、この弁当は現在は駅では買うことができない。
※2011年2月補訂:現況を追記