東京駅から電車で約25分。横浜市は東京湾に面した人口約380万人の港町で、東京の衛星都市として人口日本一の市であるほか、異国情緒とウォーターフロントで多くの観光客も集める。駅弁は、大正時代からの駅弁屋がコンコースやホーム上や駅周辺各地に駅弁売店を構え、「シウマイ弁当」は日本一売れる駅弁とされる。1915(大正4)年8月15日開業、神奈川県横浜市西区高島2丁目。
かつて東京地区でのみ売られた「炒飯弁当」が、いつからか横浜地区でも売られるようになった。「横濱チャーハン」も現役で、つまり横浜駅のチャーハン駅弁は2種類になった。
シウマイ弁当と同じく、東京地区はボール紙のふたを使い、横浜地区は掛紙を使う。中身は炒飯、鶏唐揚、塩焼きそば、カニかまとクラゲの和え物、タケノコ煮、紅生姜、シウマイ3個。価格と分量を含め、シウマイ弁当のチャーハン版という感じが少しする。価格は2013年時点で780円、2014年4月の消費税率改定で800円、同年8月の豚肉高騰による価格改定で830円、2016年9月から860円、2018年9月から890円、2022年10月から930円、2023年10月から980円。
※2023年10月補訂:値上げを追記2023(令和5)年11月13日に購入した、横浜駅弁の掛紙。日本鉄道構内営業中央会の「駅弁マーク」制定35周年を記念し、会員のうち29社が主に11月10日から期間限定で販売した31種類の記念駅弁のうち、横浜駅の駅弁屋のもの。通常版の炒飯弁当の、掛紙に通常サイズの駅弁マークを掲載し、各社共通のしおりを添付した。容器や中身や価格は通常版と同じで、見た目も通常版とほぼ変わらない。11月13日から17日まで販売した。
2019(平成31)年4月27日から5月6日まで、JR横浜線の中山駅、相模鉄道の鶴ヶ峰駅と三ツ境駅、よこはま動物園ズーラシアの園内で販売。同動物園の開園20周年を記念して、既存の駅弁「炒飯弁当」の掛紙を、同園の開園20周年記念ロゴを描いたものに差し替えた。発売直前の告知はゴールデンウィーク10連休の話題に埋もれてしまったが、どうも駅への入荷数が一日あたり10個程度しかなかったようで、入荷側完売の状況だった模様。価格は通常版より10円高かった。
2015(平成27)年4月25日の調製と思われる横浜駅弁の掛紙。KADOKAWAの雑誌「横浜ウォーカー」と崎陽軒の共同企画で、ひょうちゃんの還暦を祝い、炒飯弁当に雑誌の表紙と同じデザインでモデルを「ひょうちゃん」に替えた絵柄の掛紙をかけて、4月24日から26日までの3日間で2000個を神奈川県内で販売した。東京地区では通常版を販売。中身は普段と同じ。なお、2014年はこの企画を「シウマイ弁当」で実施しており、2年ぶりに炒飯弁当へ帰ってきた。
2013(平成25)年4月27日に購入した、横浜駅弁の掛紙。角川マガジンズの雑誌「横浜ウォーカー」の2013年4月号からの月刊化を記念して、普段は東京地区で売られる「炒飯弁当」に、雑誌の表紙と同じデザインでモデルを「ひょうちゃん」に替えた絵柄の掛紙をかけて、同年同月26〜28日の3日間で1,500個を神奈川県内で販売した。東京地区では通常版を販売。なお、この雑誌は1998年3月の創刊時から隔週刊を続けていたものの月刊化であるから、おめでたいものではない。
発売時期は不詳。シウマイ弁当よりも古く、戦前昭和のおそらく1930年代かそれ以前から、姿や形や名前を変えながら売られる、横浜駅弁のチャーハン弁当。炒飯の駅弁は珍しい。かつては「やきめし」の名で売られ、最近では2006(平成18)年8月のリニューアル。中身は炒飯、鶏のチリソース、タケノコ煮、きゅうり漬、シウマイ2個。
価格は駅弁にしては安く、分量は控えめ。適度にパラパラして、常温で少し塩辛い炒飯のために、割りばしではなくプラ製スプーンを添付する。価格は2006年のリニューアル当時で550円、2010年9月の値下げで540円、2013年12月の単独値上げで580円、2014年4月の消費税率改定で590円、同年8月の豚肉高騰による価格改定で600円、2016年9月から630円、2018年9月から660円、2022年10月から690円、2023年10月から730円。
※2023年10月補訂:値上げを追記2019(令和元)年10月18日に購入した、横浜駅弁の掛紙。上記の2023年のものや、下記の2018年やそれ以前のものと変わらない。東京都内の上野駅で購入したので、調製元が崎陽軒の東京工場となっている。シウマイ弁当や炒飯弁当と違い、東京工場でもボール紙のふたでなく掛紙を使う。
2018(平成30)年4月28日に購入した、横浜駅弁の掛紙。絵柄も中身も、下の4年前や上記の1年後と変わらない。食品表示の表記が変わっただけ。
2014(平成26)年4月6日に購入した、横浜駅弁の掛紙。絵柄も中身も、下記の2011年や上記の2018年のものと変わらない。食品表示の表記が変わっただけ。
2011(平成23)年4月29日に購入した、横浜駅弁の掛紙。容器も中身も上記の2014年のものと同じ。この頃までは掛紙に価格の記載があった。
2006(平成18)年8月12日に購入した、横浜駅弁の掛紙。同年8月1日のリニューアル直後の姿。駅弁の名前を元に戻し、容器は経木枠紙底の素材を変えずに小柄な長方形に変わり、今回の中身は普通米のチャーハンに鶏チリ、タケノコ煮、きゅうり漬物、シウマイ2個。後にふたのボール紙を厚手から薄手に変えた。
横浜駅弁の崎陽軒が2017(平成29)年から、10月末に販売するハロウィン駅弁。2019(令和元)年は10月21〜31日の販売。掛紙の絵柄も、お化けとカボチャのハロウィン仕様。中身は黒チャーハン、鶏チリソース、塩焼きそば、かぼちゃの揚げ浸し、キャベツとタマネギのピクルス、紅生姜、シウマイ3個。既存の「炒飯弁当」と似ていて、色彩が黒く、味付けが酸っぱくなっていた。価格は2017年の発売時で900円、2018年から930円、2022年は950円。
※2019年11月補訂:写真を更新2018(平成30)年10月28日に購入した、横浜駅弁の掛紙。2018(平成30)年は10月22日から31日までの販売。厳格化される前の食品表示を除き、上記の2019年のものとまったく同じ。値段は前年から30円のアップ。
2017(平成29)年10月26日に購入した、横浜駅弁の掛紙。横浜駅弁の崎陽軒が初めて出したハロウィン駅弁で、2017(平成29)年10月23日から31日までの販売。掛紙は上記の1年後と変わらない。この時の中身は、黒炒飯、鶏のチリソース、塩焼きそば、かぼちゃの揚げ浸し、紫キャベツと紫タマネギのピクルス、紅生姜、シウマイ3個ということで、タケノコ煮がなかった。
調製元と横浜市と出版社のKADOKAWAとのコラボレーション企画で、2019(令和元)年9月20日から11月2日まで販売。日本でのラグビーW杯の開催期間に合わせたもので、公式なライセンスやタイアップではないが、「横浜とラグビーの未来を応援しよう」という理屈で販売したようだ。横浜駅などの崎陽軒売店に加え、臨港パークでの同大会のパブリックビューイング「ファンゾーン」でも販売した。
商品名のとおり、内容は普段の「炒飯弁当」の増量版。中身の炒飯を約1.5倍に、鶏唐揚を2個から3個に、塩焼きそばを2倍に、カニかまとクラゲの和え物を1.5倍に、タケノコ煮を約3倍に、紅生姜を約1.5倍に、シウマイを3個から5個に増量し、容器の幅と値段も1.5倍くらい。普段の味に食べ応えを加えた。
2005(平成17)年11月1日に「横濱チャーハン」をリニューアル。真円の経木枠の容器に商品説明付きの縁付きフタをして、シウマイ御弁當の掛紙に描かれる水晶玉の色違いを中心に据えた柄のボール紙枠にはめる。中身はチャーシューが混じりエビとグリーンピースが載る発芽玄米入り炒飯に、野菜中華和えとシウマイ二個を添えるもの。
風味の良さは受け継がれ、見栄えがまた向上し、しかし今回は30円の値上げを伴った。公式サイトによると、シウマイ御弁當に次ぐ人気商品なんだとか。その地位は以前はおべんとう春(夏・秋・冬)であり、その前は横濱中華弁当だったような。2006年8月に上記の駅弁「横濱チャーハン」へリニューアル。
時代とともに小変化が続く水晶玉の絵柄は右から、横浜ベイブリッジ、山手町の街並み、マリンタワー、氷川丸、中華街の門、神奈川県庁、横浜税関、横浜市開港記念会館、神奈川県歴史博物館、横浜第二合同庁舎、パシフィコ横浜、観覧車コスモクロック21、ランドマークタワー、崎陽軒本社ビルか。こう並べると、ちゃんと立地順に描かれている。
2003(平成15)年4月に、駅弁の名前と価格を変えないままリニューアル。正八角形の経木枠の容器に横浜名所の白黒写真を薄く載せた掛紙をかけて正方形に包む。中身は2/3がチャーハンで1/3にシウマイ2個とあんずに鶏肉甘酢など。リニューアル前と比較してシウマイが1個減ったもののおかずの種類は増えているし、外観の見栄えは格段に良くなった。2005年11月に上記の駅弁「横濱炒飯」へリニューアル。
2005(平成17)年5月4日7時の調製と思われる、横浜駅弁の掛紙。上記の2003年の「横濱チャーハン」との違いは、製造年月日と消費期限の印字方法くらい。
かつて「やきめし」の名で売られた横浜駅弁。チャーハンの駅弁が気軽に買えるのは、全国でも横浜駅くらい。角を落とした長方形の容器の3分の2に炒飯を敷き詰め、シウマイが3個添えられる。箸ではなく先割れスプーンを添付。炒飯は冷めているのに御飯の粒々感を残し適度な水分を持ちおいしくいただけ、さすが冷めてもおいしいシウマイを開発した崎陽軒の作品。駅弁の他に学校給食でよく使用された先割れスプーンは食事の作法に反するという議論はどこに行ったのだろうか。2003年4月に上記の駅弁「横濱チャーハン」へリニューアル。
2012(平成24)年10月1日にシウマイ4種と弁当1種で一斉に発売された「おいしさ長もちシリーズ」のひとつで、消費期限を4日間に拡大した要冷蔵のカップ飯。直径14センチの紙カップにチャーハンを浅く詰め、その上でフタ付きトレーにフカヒレ入りのあんかけを仕込む。これは「電子レンジ専用」の商品であり、紙帯での注意書きにて電子レンジでの加熱を指示するが、そのまま食べても味が落ちたり悪いものではない。冷めた、または冷たいチャーハンの味で、崎陽軒の右に出る者はいないと思う。価格は発売時や購入時で950円、2014年4月の消費税率改定で980円。2016年時点で販売されていない。
※2016年8月補訂:終売を追記2014(平成26)年11月発売の「横浜ピラフ」を、2015(平成27)年5月18日に早くもリニューアル。横濱チャーハンと同じ容器に、エビとグリーンピースをトッピングするピラフ、鶏唐揚、スパゲティナポリタン、ポテトサラダ、パプリカ、シウマイ2個を詰める。
掛紙の色と絵柄が明らかに異なるので、売店で兄貴分の「横濱チャーハン」と見間違うことはないが、中身の見た目は本当に似ている。魚介類のブイヨンで炊いたご飯が、角の取れた淡い色と淡い味を出す。価格は2014年の発売時で600円、2016年9月から630円、2018年9月から660円、2022年10月から690円、2023年10月から730円。
※2024年9月補訂:写真を更新2020(令和2)年5月21日に購入した、横浜駅弁の掛紙。中身は下記の2015年のものと変わらず、掛紙の絵柄も同じ。法令の強化で食品表示の分量がすごいことになっている。また、今までは「横濱ピラフ」を名乗りながら東京工場の製品だったが、今回は横浜工場製だった。
2015(平成27)年7月21日に購入した、横浜駅弁の掛紙。上記の2024年のものと、法令の強化で増えた食品表示を除き、まったく同じ。
2014(平成26)年11月15日に「横濱チャーハン」の弟分として発売。横濱チャーハンと同じ容器に、エビとグリーンピースをトッピングするピラフ、チキンのクリーム煮、スクランブルエッグ、パプリカ、デミグラスソース漬けのシウマイ2個を詰める。発売から半年後の2015(平成27)年5月に、上記のものへリニューアル。
2022(令和4)年の2月16日から3月1日まで、高島屋横浜店の崎陽軒店舗でのみ販売。大豆ミートのネクストミーツと横浜高島屋との催事「大豆ミートはこんなにおいしいフェア」で、横浜高島屋地下食料品フロアにある30店舗が、大豆ミートを使う約40種類の期間限定メニューを販売、これはその崎陽軒バージョンである。
横濱チャーハンや横濱ピラフで使う容器に、大豆ミートを使用したカレーピラフを詰め、5種の野菜の素揚げには玉ねぎソースを添え、ポテトサラダと漬物も添付。掛紙も専用に起こされて、見栄えはまるで駅弁。味も変な紛れのないカレーピラフで、こんな弁当が駅で時々売られてもよいと思う。
2020(令和2)年8月1日に「冷凍ピラフ弁当」とこの「冷凍チャーハン弁当」を発売。注文はインターネット上に加えて電話やFAXや注文用紙でもできるが、駅弁売店などの店舗では購入も受取もできず、冷凍宅配便での配送となる。
白いトレーにチャーハンを詰め、エビとグリーンピースを載せ、鶏唐揚とタケノコ煮とシウマイ2個を添え、まるごと冷凍して透明な袋に密封し、掛紙と食品表示のラベルを貼る。電子レンジで温めて、そのまま食べられる。駅で買える「横濱チャーハン」から漬物とチリソースを除いたもので、味はそう変わらない。タケノコ煮の単品での冷凍販売が出れば、ファンが喜ぶのではないかと思う。価格は2020年の発売時や購入時で630円、2022年10月から650円、2023年10月から670円。
政府の新型コロナウイルス感染症対策は、公共交通機関の利用者を激減させた。月次では2020(令和2)年2月にパーセントの単位で減り始め、3月の特別措置法、4月の緊急事態宣言の発令で底が割れ、6割減や8割減という数字が現れた。4月の東海道新幹線の利用者は、85%も減少したという。駅弁屋など駅や公共交通機関への依存度が高い商売は深刻な打撃を受けた。横浜駅弁の調製元の売上高も、4割や6割も減少したという。
※2023年10月補訂:値上げを追記2020(令和2)年8月1日に「冷凍チャーハン弁当」とこの「冷凍ピラフ弁当」を発売。注文はインターネット上に加えて電話やFAXや注文用紙でもできるが、駅弁売店などの店舗では購入も受取もできず、冷凍宅配便での配送となる。
白いトレーにピラフを詰め、エビとグリーンピースを載せ、鶏唐揚とタケノコ煮とシウマイ2個を添え、まるごと冷凍して透明な袋に密封し、掛紙と食品表示のラベルを貼る。電子レンジで温めて、そのまま食べられる。駅で買える「横濱ピラフ」からパプリカとポテトサラダとスパゲティを除き、タケノコ煮を加えたもので、味はそう変わらない。価格は2020年の発売時や購入時で630円、2022年10月から650円、2023年10月から670円。
人の接触を減らすため、外出の抑制、出勤者の7割削減を目指した、政府の新型コロナウイルス感染症対策における2020(令和2)年4〜5月の緊急事態宣言の発令は、それが明けると人の移動が戻り始めた。しかしテレビのニュースやワイドショーがコロナの話題で占められ、鉄道や飛行機は密室で危険だ危険だと煽り続けた結果、車社会化が一層進むことになり、道路の風景は元に戻り沿道の商業施設は売上が増える一方で、電車やバスの利用者は2〜3割減の傾向が定着し、駅に近い商店も犠牲となった。横浜駅弁の調製元でも、駅弁売店の売り上げが戻らない一方で路面店はそうでもないようで、幹線道路沿いへの出店に力を入れ始めた。
※2023年10月補訂:値上げを追記1983(昭和58)年10月22日7時の調製と思われる、昔の横浜駅弁の掛紙。現在の「横濱チャーハン」「炒飯弁当」は、当時は「やきめし」を名乗り、シウマイ弁当より長い歴史を持つ。帆船を描く、港町らしい絵柄。