新宿から小田急特急ロマンスカーで約1時間半。箱根観光の玄関口のひとつであり、1200年以上の歴史を持つ温泉郷であり、全国有数の登山電車の乗り場でもあり、鉄道も道路も一年中混んでいる。駅弁はホーム上のキヨスク型売店と、2階改札外の土産物店で、各社のものが売られる。1919(大正8)年6月1日開業、神奈川県足柄下郡箱根町湯本。
箱根湯本駅の鶏竜田揚駅弁。平たく四角い、まるで昔の駅弁の経木折のようなサイズ感の折箱に、経木のふたをして、掛紙で包み、ひもで十字にしばる。中身は茶飯の上に刻み椎茸煮を載せ、鶏竜田揚を数個詰めて、伊達巻や蒲鉾やゴマ昆布煮を添えるもの。メインの鶏竜田揚は脂が白く浮いて見栄えは悪いものの、味は家庭料理風のおいしさがあり、それでもやはりやや油っぽい気はする。中身はシンプルで価格は控えめ、掛紙の調製印が、最近流行のシールタイプでなく昔ながらの判子である点も、趣味的に良い。価格は2015年時点で700円、2019年時点で720円。
箱根登山鉄道は、事実上国内唯一の本格的登山電車。ケーブルや歯車を使わない通常タイプの鉄道では日本最急である8%の勾配と、列車の進行方向を変える3箇所のスイッチバックで、箱根の外輪山に挑む。とはいえそれは箱根湯本から先の話、小田原駅から箱根湯本駅までの間は、普通の通勤電車でも走れる緩勾配区間で、しかも小田原からの乗客の半数は箱根湯本で降りてしまう。
※2020年5月補訂:写真を更新2004(平成16)年7月5日に購入した、箱根湯本駅弁の掛紙。その絵柄に加えて、容器も中身も風味も、上記の2020年のものとの差異を感じられない。この渋さが魅力となる。
箱根湯本駅の鶏飯駅弁。平たく四角い、まるで昔の駅弁の経木折のようなサイズ感の折箱に、経木のふたをして、掛紙で包み、ひもで十字にしばる。中身は茶飯の上を鶏そぼろと鶏照焼で分け、その境の対角線を山ごぼうで仕切り、伊達巻やわさび漬やウグイス豆を添えるもの。鶏飯は良く言えば柔らかめ、悪く言えば締まりのない味。それでもその体裁の駅弁らしさに趣味的な好感が持てる。価格は2004年時点で700円、2015年時点で770円。
小田急特急ロマンスカーが乗り入れる箱根観光の玄関口である箱根登山鉄道の箱根湯本駅には、以前から駅弁が存在するらしい。長年にわたり観光客に親しまれているはずが、私鉄駅の駅弁なので知名度が薄く、ネットや雑誌での紹介例がほとんどない。
※2020年5月補訂:写真を更新2004(平成16)年7月5日に購入した、箱根湯本駅弁の掛紙。その絵柄に加えて、容器も中身も風味も、上記の2020年のものとの差異を感じられない。この渋さが魅力となる。
2009年の発売か。下記の駅弁「黒毛和牛ステーキ重」と同じ、正方形の真っ黒な容器に、商品名や食品表示ラベルを貼り付けた赤黒い紙を巻く。中身は白御飯の上に味噌だれの牛タンを貼り付けてゴマをまぶし、小松菜、お多福豆、干しタラ、レンコンの漬物を添えるもの。商品名どおりの牛タン焼肉の味と香り。
黒い正方形の容器に、焼肉のイメージ写真を掲載した黒い掛紙を巻く。中身は白御飯の上に牛肉ステーキを貼り付けて、小松菜や辛い煮物などを添える韓国風焼肉弁当。小田原城下の焼肉店「HANILKAN」の弁当で、掛紙の「35周年記念限定特別商品」とは同店の35周年である模様。値は張るが、霜降りの脂肪分が最近の高級牛肉ほどくどくなく、常温でもうまい逸品だった。