東京駅から北陸新幹線で約2時間。富山市は日本海の富山湾に面した、富山県の面積の3割を占めるの県庁所在地で、人口約41万人の城下町。かつて市内を流れる神通川のサクラマスを使った押寿司の郷土料理「ますのすし」が、鉄道の開通で駅弁となり全国に知名度を広げ、富山と駅弁を代表する商品として君臨する。1899(明治32)年3月20日開業、富山県富山市明輪町。
2017(平成29)年2月13日に発売。富山駅の駅弁売り場で、12時より一日30食を注文販売するお弁当。通常の駅弁のような作り置きはせず、客を5分ほど待たせて、暖かいものを売る。プラ容器をおそらく調製元汎用の包装紙「源 天人楼」で巻く見た目は、まるでデパ地下タイプの惣菜弁当で、残念ながら駅弁らしくなく、駅弁の名前も分からない。中身は白御飯を氷見牛の焼肉で覆い、切り干し大根の和え物を添えたもの。少し冷めただけの牛焼肉の、肉とタレの香りがおいしくいただける。
もとは2005(平成17)年7月から9月までの期間限定駅弁だったらしい。真っ黒な長方形の容器に、文明開化がちょっと薫る正方形の掛紙をかけて、金色の輪ゴムでしばる。中身は御飯の上に牛すき焼き肉が敷かれ、タマネギや煮豆腐や椎茸などが載る、見た目も内容も風味もまさに駅弁の名前どおり。漂う香りと牛肉の風味はすき焼き以外の何者でもなく、廉価なのにただ者ではない感じ。価格は2005年の購入時で700円、2015年時点で夏季販売の800円。
※2015年9月補訂:値上げを追記2017(平成29)年夏の発売か。富山駅の駅弁屋の駅弁シリーズ「源の旅めし」の第二弾だと思われる。実態は2005(平成17)年からの夏季限定駅弁「すき焼風牛丼弁当」の改称と通年販売化。旧称時の中身と同じく、白飯を牛肉煮、タマネギ、しらたき、焼豆腐、花麩、シイタケで覆い、野沢菜とラッキョウと七味唐辛子を添える、牛すき焼き弁当。
全国各地の同種の駅弁より、価格は安め。上の「氷見牛弁当」と違い、駅弁らしく常温の作り置きで販売し、商品名と中身の写真や宣伝文などを描いた、駅弁らしい絵柄のスリーブを使う。氷見牛弁当より廉価で風味に差異は小さく、肉がたっぷり入った印象を受けた。2018年までの販売か。2022年に再登場。
※2022年4月補訂:発売を追記2017(平成29)年10月7日に富山、金沢、新高岡、高岡の各駅で発売。富山駅の駅弁屋の駅弁シリーズ「源の旅めし」の第三弾だと思われる。パッケージの文字を書き起こすと非常に長い名前だが、駅弁売店では「能登豚弁当」とシンプルな名称で販売。その背景の写真のとおり、中身は白御飯を長い豚バラ肉2枚で覆い、玉子焼、ブロッコリー、ニンジン、ガリを添えたもので、タレの味で食べる豚焼肉丼。
石黒種麹店は富山県福光で江戸時代に創業して明治時代に種麹屋となった、北陸で唯一、全国でもわずか十軒余りしかないという、種麹を売る店。直源醤油は石川県金沢にある江戸時代からの醤油製造業者。能登豚は商標等の登録が見つからないうえネット上に複数の由来が記されるためよく分からないが、公益社団法人石川県畜産協会によると石川県内産豚肉のこと。上の牛肉駅弁と同じく、この内容と分量と風味の豚肉駅弁として、安めの値段だと感じる。価格は2018年の購入時で850円、2020年時点で900円。2020年までの販売か。
※2021年3月補訂:終売を追記