東京駅から北陸新幹線で約2時間。富山市は日本海の富山湾に面した、富山県の面積の3割を占めるの県庁所在地で、人口約41万人の城下町。かつて市内を流れる神通川のサクラマスを使った押寿司の郷土料理「ますのすし」が、鉄道の開通で駅弁となり全国に知名度を広げ、富山と駅弁を代表する商品として君臨する。1899(明治32)年3月20日開業、富山県富山市明輪町。
2021(令和3)年4月29日に発売。2022年の6月までに、この姿へリニューアル。有磯海(ありそうみ)とは、伏木から氷見までの海域、あるいは富山湾全体を指す古名で、滑川市内の北陸自動車道のサービスエリアの名に使われる。正六角形の容器を覆う掛紙は、中身のイラストでできていて、見た目に駅弁の名前が分からない姿は珍しい。
各角と中央で7区画の中身は、ベニズワイガニとイクラのだし炊き御飯、ホタルイカとグリーンピースと錦糸卵の酢飯、ぶり照焼と赤かぶ酢漬の白飯で3区画の御飯に、海老しんじょうと厚焼き玉子、白海老かき揚げ、ぶり昆布巻と大根のうま煮、いんげんとカボチャのとも和えと紅白なます。富山の食をおめでたく、そして落ち着いて詰めた感じ。日本酒に合うお食事かもしれない。価格は2021年時点で1,000円、2022年時点で1,100円、2023年時点で1,150円。
※2024年5月補訂:写真を更新し解説文を手直し2021(令和3)年12月5日に購入した、富山駅弁の掛紙。同年の発売時の姿。「魚津市の海岸から撮影」とある、しかし射水市の富山新港に架かる新湊大橋を正面に据えた富山湾の写真を使う。2022年の春頃に上記のとおり、まったく異なる姿に変わった。中身はあまり変わらない。
2023(令和5)年11月11日に、金沢、新高岡、富山の各駅などで発売。日本鉄道構内営業中央会の「駅弁マーク」制定35周年を記念し、会員のうち29社が主に11月10日から期間限定で販売した31種類の記念駅弁のうち、富山駅の駅弁屋のもの。正八角形の容器のふたに、大きめの駅弁マークのシールを貼り、記念のしおりを挟み、商品名とカニを描いた紙帯を締める。
中身は俵型で蟹みそ混じりの酢飯にベニズワイガニのほぐし身と脚肉を載せたもの9個に、すだちを載せ、ガリ、わさび昆布、玉子焼を添えたもの。駅弁にも富山にもこだわらない、北陸地方を含め他駅の駅弁にないような、上品なカニ寿司に仕上がった感じ。11月11日から当分の間販売。
2023(令和5)年4月10日に、富山駅でなく東京駅の駅弁売店「駅弁屋 祭」で発売だそうな。正方形のプラ容器に白飯を詰め、白海老天ぷら、半熟卵天ぷら、赤蕪天ぷら、隠元天ぷらで覆う。そんな中身は、2017年から2019年まで売られた富山駅弁「源の旅めし 白えび天ぷら」と同じで、値段が600円も上がった。さすがに常温では衣と油で具の風味を感じづらいものの、おいしくいただける天丼。
富山で春季に、4月頃に売られる駅弁。2021(令和3)年1月の京王百貨店の駅弁大会では、新作の駅弁として実演販売された。中身の食材をデザインした掛紙は、この催事のために新たに起こされたのだろう。プラ製の釜飯駅弁向け容器に茶飯を詰め、ホタルイカの含め煮、マスのヒレのうま煮、くり、菜の花、タケノコ、ワラビ、こごみ、ニンジン、大根桜漬で覆う。内容の個性と、おしとやかな風味に掛紙。車窓が欲しくなる優れ物。2021年の京王百貨店の駅弁大会では1,200円で売られたが、現地では1,000円。2023年時点で1,100円。
※2023年7月補訂:価格改定を追記2015(平成27)年の夏または年末に発売か。とてもコンパクトな長方形の押寿司容器に、美しい見本写真の掛紙を巻く。中身はその写真のとおり、マス、マスのハラミ、ホタテ、ブリ、カニ、タマゴ、アマエビの具を並べた押寿司。実物は酢飯がつながっていて、添付のヘラまたは割り箸で切りながら食べる。
少量で高価な駅弁でもあり、ぺったんこになっても見栄えの美しさをそこそこ保つそれぞれの具は、分量と品質と、押寿司らしからぬみずみずしさが確保されている。海鮮の美食を、消費期限を気にせず手軽に味わえる、今までの富山や駅弁になかった商品だと思う。価格は2015年の発売時で1,400円、2017年時点で1,100円、2019年時点で1,200円、2024年4月から1,250円。
※2024年4月補訂:値上げを追記東京駅の巨大駅弁売店「駅弁屋 祭」で売られていた焼きサバ寿司。炙りサバを挟んだ寿司飯に焼きサバを乗せて、白板昆布で巻いてカットして、4切れ分を半透明なシートで梱包してボール紙の箱に収める。小さく軽く、お手軽な軽食。塩糀(しおこうじ)仕立てという接頭辞が付くが、シオもコウジもよくわからなく、各地の駅や空港やデパートで食べ慣れた普通の味。調製元が「ますのすし」で名高い富山駅の駅弁屋であるためここに収蔵したが、富山駅では売られているのだろうか。2019年時点で1,400円の高級駅弁になり、2024年4月から1,500円。
※2024年4月補訂:値上げを追記2020(令和2)年1月の京王百貨店の駅弁大会で実演販売。細長い容器に酢飯を詰め、マスで覆い、カニとイクラとチーズを振りかける。富山駅弁のマスの棒寿司「ますのすし小箱」に具を載せたようなもの。「ますのすし」の駅弁屋なので、マスの厚みと旨さは抜群だったが、この催事場で会期の前半に実演販売し例年どおりの人気だった「ぶりかまめし」と違い、この新作はおしとやかすぎて客が付いていなかった。
2019(令和元)年6月の発売。2013年の新潟駅や2015年の松江駅に遅れること数年、ノドグロに富山と富山駅弁らしさを加えて、満を持して投入された新作駅弁。
富山と駅弁の名物「ますのすし」と同じ構造を持つ、正方形の押寿司向け木箱に、笹の葉を敷き、酢飯を詰め、ノドグロの塩麹漬を並べ、白板昆布で覆い、「のどぐろ」とのみ描いたスリーブに収める。酢漬けや炙りだった他駅の駅弁とも、押寿司の空弁とも異なる、脂もほどほどに身の詰まった白身魚を素材で味わえる軽食。プラ製のへらを添付するが、笹の葉ごとつまんでかじれば食べやすい。1年間ほどの販売か。
※2021年3月補訂:終売を追記2017(平成29)年4月9日に富山、金沢、新高岡の各駅で、加熱機能付き容器を使い1,100円で発売。翌2018(平成30)年の春に、容器を加熱機能付きでなくしたこの900円のものへリニューアル。富山駅の駅弁屋の駅弁シリーズ「源の旅めし」の第一弾だと思われる。中身は白御飯の上に天ぷらのみを載せる天丼。その内容はパッケージの写真のとおりで、具の多くが白えびで、他に赤かぶ、いんげん、そしてなんと半熟卵も天ぷらになっていた。常温の天丼という地雷なのに、味は意外に爽やか。2019年までの販売か。
※2021年3月補訂:終売を追記2016(平成28)年の秋に発売か。名称は「源の枡寿し」のものと「能登枡寿し」のものがあった模様。これは翌2017年2月の熊本市の鶴屋百貨店での駅弁大会で購入したもので、四角い小箱にカニ寿司が収まる。富山駅の有名駅弁「ますのすし」のように、真っ白な酢飯を身で覆い、笹の葉に包まれ、竹と輪ゴムでしっかり押されていた。1年間ほどの販売か。
2003(平成15)年11月11日に発売。小柄な正方形の容器に、カニとブリとイカと海を描いた掛紙を巻いて、金色のゴムでしばる。松花堂風に4分割された中身は全区画に御飯が入り、ブリ照焼、白エビかき揚げ、カニと錦糸卵と鳥そぼろ、ますのすしとぶりのすしに焼ホタルイカが入る。
安価少量なのに、中身は富山湾オールスターズ、購入時の期待を上回るという点でも評価の高い無名駅弁。というより、富山に「ますのすし」がある限り、この駅の他の駅弁は無名であり続けなければならない宿命にある。価格は2005年の購入時で800円、2015年時点で1,000円、2019年時点で1,100円。2021年で終売か。
※2023年7月補訂:終売を追記1999(平成11)年2月28日18時の調製と思われる、昔の富山駅弁の掛紙。日本海産ズワイガニがたっぷりな、北陸タイプの四角いカニの押寿司を、正八角形の容器に列べたものだったらしい。