新宿駅から中央本線の特急列車で約2時間。北杜市(ほくとし)は山梨県の北西端を占める、人口約4万人の市。甲斐駒ヶ岳や八ヶ岳や金峰山や茅ヶ岳に囲まれた高原に、農地が広がり、山や緑に観光客が来る。駅弁は大正時代から売られ、平成時代に売店へ「小淵沢駅の名物は駅弁です」と掲示するほどの名物となった。1894(明治27)年12月21日開業、山梨県北杜市小淵沢町。
秋冬の駅弁大会シーズンに向けた、2016(平成28)年秋の新商品か。鮮やかに黄色い袋に密封した、サンドイッチ向けプラ容器に、甘くふんわり厚く焼き上げた玉子焼のサンドイッチを3切れ詰める。発売時の最近数年で、大阪や東京から流行が全国に広がった、たまごサンド、玉子焼サンドの一種。価格は2017年の購入時で680円、2020年時点で720円、同年9月から750円、2022年6月から780円。
※2023年3月補訂:写真を更新2017(平成29)年9月18日に購入した、小淵沢駅弁の箱。この駅弁の発売時はこのように、他の小淵沢駅のサンド駅弁と同じく、紙箱を使っていた。中身も少し異なり、甘い玉子焼が5層のミルフィーユ。まるでチーズ入りのような、てかりと粘りがあった。
この名前と見た目では、2019(平成31)年の春までに発売か。小淵沢駅の人気駅弁「甲州かつサンド」とほぼ同じものに見えて、こちらは普通のカツサンド。ロースカツのソース漬けを耳なし食パンで挟んだカツサンドを3切れ、透明のプラ製トレーに詰めて、マスタードを添えて専用の紙箱に詰める。脂肪分の分量と歯応えが多めな、味も普通のカツサンド。「厚切り」とした分だけ、高さあるいは幅が控えめで、量も普通のカツサンド。スーパーの駅弁大会でも積極的に売られる。
2006(平成18)年までには登場していた模様。中身は上記の駅弁「甲州かつサンド」からキャベツの千切りを抜き、ソースをカレー風味に変えたもので、これで商品名とパッケージのデザインを変えている。カレーの風味はとても弱いため肉の脂肪に負けており、そのため味は「甲州かつサンド」ほぼ変わらない。百貨店よりはむしろスーパーの駅弁大会の常連であり、現地では30分待ちの注文販売である模様。価格は2011年時点で580円、2015年時点で650円、2019年時点で680円、2020年時点で720円、同年9月から750円。
清里高原は、中央本線を小淵沢駅で乗り換えて小海線で約30分登坂した先にある、八ヶ岳の南東で飯盛山に挟まれた丘陵地。太平洋戦争の終戦直後にアメリカ人のポール・ラッシュが開拓したとも、東京都が水源開発で建設した小河内ダム(奥多摩湖)で湖底に沈んだ村民が入植したともされる。昭和50年代から60年代にかけて、ペンションやタレントショップが林立する一大観光地として、現在の東京都原宿のような賑わいがあり、小海線にも奇妙な臨時列車が走ったりもした。ブームの終焉で駅前の表通りはゴーストタウンに。
※2021年3月補訂:値上げを追記2011(平成23)年1月24日に購入した、小淵沢駅弁の紙箱。清里の町並みと駅弁の中身を描いている。中身と価格は上記の2013年のものと同じ。
駅弁催事で人気に火がついた「甲州かつサンド」の鶏肉版で、2009(平成21)年1月の阪神百貨店の駅弁大会で発売。紙箱の絵柄を白めに変え、中身からは千切りキャベツを抜いて、豚肉のソースカツを「甲斐味鶏(かいみどり)」の鶏肉のしょうゆカツに差し替え、ゆずこしょうとマヨネーズを添付する。とても甘くて脂っぽく油っぽいヤングの味。これも現地では所要時間30分の受注生産である。価格は2009年の購入時で600円、2014年時点で680円、2019年時点で700円。
※2019年8月補訂:値上げを追記2005(平成17)年10月に発売したそうだが、事実上のお披露目は2006(平成18)年1月の阪神百貨店の駅弁大会か。商品名と売り文句に中身のイラストを描いた黒い紙箱に透明なトレーを入れて、フジザクラポークの薄切りロース肉を重ねて揚げたソースカツとキャベツの千切りを挟んだカツサンドを3切れ詰める。
このトンカツは、ロースやヒレの揚げ物でなく、薄切りを重ねた揚げ物。駅弁では今まで見たことがなかった、奇抜な姿。これはもしかすると安く硬く脂肪だらけの肉をおいしく食べさせる工夫ではないかと驚いたが、阪神百貨店の駅弁大会では前年の閑散とした「元気甲斐」実演販売と違って待ち時間が1時間を超える大行列ができ、ネット上での評判も良いので、たぶん思い違いだろう。阪神百貨店では一週間で1万個が売れたそう。翌2007年は京王百貨店の駅弁大会にも登場し、13日間で13,396個を売り切った。価格は2006年の購入時で550円、2009年現在で650円、2010年から600円、2014年時点で680円、2016年時点で700円、2019年時点で750円。
発売時は軽食駅弁なのに、現地では前日までの要予約、しかし百貨店の駅弁催事や山梨催事では派手に売る、事実上の実演販売向け商品だっだ。2006年中に現地での当日予約販売を開始、出来立ての味を提供するポリシーのもと、日中に注文すると数十分の待ち時間で作ってもらえる。雑誌等での紹介例も増えてきて、今では小淵沢を代表する人気駅弁に成長した感もある。駅弁大会でも引き続き人気を保つ。
※2019年8月補訂:値上げを追記2023(令和5)年1−2月の鶴屋百貨店の駅弁大会で実演販売。掛紙に書くとおり60回記念鶴屋限定、鶴屋百貨店の駅弁大会「全国有名駅弁当とうまいもの大会」の開催60回を記念し、この駅弁大会限定で売られた商品。上記の小淵沢駅弁「八ヶ岳高原たまごサンド」について、箱を用意して掛紙を刷り、パンには黒たまねぎパンを使用、まるでムースのような厚焼き玉子をこれで挟み、4切れを詰めた。
今回の鶴屋では、小淵沢駅の駅弁屋の商品としてサンドイッチばかりを販売。10年くらい前とは違い、大阪や東京で流行の新商品という売り文句がなくなり、客を呼んでいる感じはしなかったが、このような駅弁が小淵沢や山梨にあることを、九州でアピールできただろうか。
2023(令和5)年1−2月の鶴屋百貨店の駅弁大会で実演販売。掛紙に書くとおり60回記念鶴屋限定、鶴屋百貨店の駅弁大会「全国有名駅弁当とうまいもの大会」の開催60回を記念し、この駅弁大会限定で売られた商品。長方形の小箱に収めたサンドイッチ4切れは、駅弁マークも付けた専用の掛紙に記されるとおり、甲州富士桜ポーク、甲斐味鶏(かいみどり)、八ヶ岳高原玉子、厚切り豚かつがひと切れずつ。これらに対応してマヨネーズ、マスタード、柚子こしょうを添付。もし小淵沢駅などで甲州かつサンドなどサンドイッチの駅弁が、注文販売でなく作り置きを買えるほど売れるようになれば、こんな商品も出てくるかもしれない。この駅弁大会ではそれぞれのサンドイッチの単品商品も併せて実演販売された。
2023(令和5)年1月の、京王百貨店の駅弁大会で実演販売。商品名を記す黒い掛紙を巻いた箱に、ロースカツのソース漬けを白い食パンで挟んだサンドイッチと、厚焼き玉子を黒い食パンで挟んだサンドイッチを、正方形のひとくちサイズで4個ずつ、市松模様に詰める。甲府駅や小淵沢駅や茅野駅を名乗り、過去や現在に売られたサンドの詰合せ。それでいて価格は驚きの1,480円。豚肉と玉子が高かったのだろうか、おいしくも高級な雰囲気は感じられない。商品名が「かつサンド」とあるのに、中身の半分がカツサンドでないのはどうかとは、個人的な感想。催事場での見た目では、よく売れていた。この駅弁大会以外で売られたかは不明。
2020(令和2)年1月の京王百貨店の駅弁大会で実演販売。2年前の「八ヶ岳高原たまごサンドプレミアム」に「2020」を付けて、分厚く重ねた玉子焼を挟むパンをオニオンブレッドに替えた。値段は高価なままで、催事場ではそんなに売れていないように見えた。これもやはり、事実上の駅弁大会専用商品だった模様。
※2020年12月補訂:終売を追記2019(平成31)年1月の京王百貨店の駅弁大会で実演販売。その名のとおり元号「平成」の最後の年を記念した。サンドイッチ向けプラ容器を収めるスリーブを黄色と黒で派手にデザイン。中身はトンカツのソース漬けとタマゴを耳あり食パンで挟んだカツサンドが2切れ。そのいずれもが異常に分厚く、普通の食べ方はとても無理。駅弁イベントの一翼を担った、お祭りタイプのキワモノ商品。同月の阪神百貨店の駅弁大会でも販売された。現地でも注文販売に応じたかどうか。
2018(平成30)年1月の阪神百貨店の駅弁大会での実演販売でデビューか。2016(平成28)年秋の新商品である「八ヶ岳高原たまごサンド」の高級高額版なのだろう、パンより具のほうが大きい、分厚い玉子焼サンドを4切れ箱詰めし、商品名を書いた掛紙を巻く。そんな内容は、最近流行の甘い玉子焼サンド。味は甘口が2切れとだし巻きが2切れで、見た目と味を変えたようだが、いずれも最近の甘さ控えめケーキ程度に強い甘さに埋もれ、その差が分からなかった。この駅弁大会以外では、ほぼ売られなかった模様。
※2020年12月補訂:終売を追記2017(平成29)年1月の阪神百貨店の駅弁大会で実演販売。パンにキャベツ千切りのマヨネーズ和えとコンビーフを挟んだものを4切れ、箱詰めして掛紙を巻く。その掛紙には、枕缶を巻き取り鍵で開けるデザインが取り入れられていた。肉はたっぷり入っているが、価格は実に1,200円。コンビーフ缶が安かった時代はとうの昔。あの独特な缶の開け方とともに、忘れ去られそうな気がする。これは現地では売られなかったようだが、一応半年間くらいは注文販売に応じた模様。
2016(平成28)年1月の阪神百貨店の駅弁大会での実演販売でデビューか。市販の鶏唐揚サイズの「とりかつ」ないし山賊揚の半身を、だいぶ強引にパンで挟んだサンドが3切れ。味はつまりパンと鶏唐揚。専用のボール紙製パッケージの記載によると、山賊揚げとは長野県中信地方の鶏肉を使った郷土料理で、名前の由来の一説として、山賊は物を「取り上げる」から「鶏揚げる」に語呂を合わせたものだそうな。普通の唐揚げとはひと味違うことがある模様。2017年までの販売か。
※2019年8月補訂:終売を追記2016(平成28)年1月の京王百貨店の駅弁大会での実演販売でデビューか。その名のとおり、小淵沢駅の人気駅弁「甲州かつサンド」の極厚版で、薄切り豚肉の重ね揚げの厚さのみを、通常版の倍にした感じ。こうすると、例えばカツサンドのカツを2倍というか2枚にした万世の羽田空弁「弐万かつサンド」と同じく、肉とパンのバランスが崩れてしまうような印象を私は受けた。いろんな商品があって選べて、話題も得られるのなら、それは良いこと。2017年までの販売か。
※2019年8月補訂:終売を追記2015(平成27)年1月の京王百貨店の駅弁大会での実演販売でデビューか。真っ黒な容器を、駅弁の名前を書いた金色の掛紙で巻く。中身は牛肉を層状に重ねて巻いて揚げてソースに漬けたカツを、トーストした食パンに挟んで4切れを詰めたサンドイッチ。つまりだいたい、上記の駅弁「甲州かつサンド」の牛肉版。感想はそれ以上でも以下でもない。価格は2015年の購入時で1,080円、ほどなく1,100円へ値上げ、2016年時点で1,150円。2017年までの販売か。
※2019年8月補訂:終売を追記2014(平成26)年1月の京王百貨店の駅弁大会と阪神百貨店の駅弁大会で実演販売。これ以外の場所では売られなかったのではないかと思う。中身を記した黒い紙箱に、その内容のとおり、既存の甲州かつサンド(ぶた)2切れ、他にない甲州サンドかつ2切れ、既存の甲州かつサンド(とり)2切れを収めた。既存のものは当然に既存の味。牛肉サンドをまるごと揚げたものは、脂と油の臭さが勝ったような。購入時は京王百貨店50周年として、100円引きの800円で販売していた。
2009(平成21)年9月20日の発売。サンドイッチ向けな市販のプラ製の惣菜容器を、中身と武将のイメージイラストや商品の名前を書いた専用のボール紙箱に詰める。中身はつまり上記の駅弁「「甲州かつサンド とり」に金粉をまぶしただけなので、味は同じ。その「甲州かつサンド とり」のリニューアルかと思ったら、どちらも現行の駅弁である模様。価格は2011年の購入時で580円、その後に600円、2013年頃までの販売か。
※2016年12月補訂:終売を追記