新宿駅から中央本線の特急列車で約2時間。北杜市(ほくとし)は山梨県の北西端を占める、人口約4万人の市。甲斐駒ヶ岳や八ヶ岳や金峰山や茅ヶ岳に囲まれた高原に、農地が広がり、山や緑に観光客が来る。駅弁は大正時代から売られ、平成時代に売店へ「小淵沢駅の名物は駅弁です」と掲示するほどの名物となった。1894(明治27)年12月21日開業、山梨県北杜市小淵沢町。
2024(令和6)年1月の京王百貨店の駅弁大会で実演販売。続く1〜2月の鶴屋百貨店と2月の阪神百貨店の駅弁大会でも実演販売。多量の国産牛ヒレ肉ステーキのぶつ切りとマヨネーズを、黒玉ねぎパンの耳あり食パンで挟んだものを2切れ、紙に包んで真っ二つに切断し、正方形のプラ箱に詰めて黒いスリーブに収める。この軽食で2,400円もするので容赦ない。ふんわりとしたお肉の塊が油まみれになって胃腸を襲う、小さくても重量級の食事。小淵沢駅で販売または注文販売されることは、あるのだろうか。
2023(令和5)年10月1日に東京、新宿、小淵沢の各駅で発売。同日からのJR東日本の駅弁キャンペーン「駅弁味の陣2023」にエントリー。赤ワインと一緒に炊き込んだご飯に刻み梅を添え、山梨県産赤ワインを使用したデミグラスソースの炭火焼和牛ハンバーグを刻んで据え、スパゲティ、フライドポテト、コーン、ブロッコリー、えび、たけのこ、れんこん、にんじん、かまぼこ、玉子焼、らっきょうを添える。レトロでデザインした紙箱に加え、色違いの幕の内駅弁のような中身の見栄えも、昭和時代の懐かしさを持つ最新作。ハンバーグは冷たいのに身が詰まり食べやすかった。
2021(令和3)年3月27日に小淵沢、甲府、新宿、東京の各駅で発売。調製元とJR東日本八王子支社とのコラボで、ワイン県やまなしの魅力を発信するため、調製元がワインに合う駅弁をテーマに企画し、商品作りに甲府エリアのJR社員アンケートを生かしたという。食材や料理が列車内で乾杯する掛紙のイラストは、北杜市の堀内麻実氏と絵本作家のこいでなつこ氏によるもの。9区画の中身は、カツサンド、牛焼肉、ほうとうグラタン、鶏照焼、サーモンマリネ、チーズケーキとレーズンパン、鳥もつ煮、アヒージョ、ドライフルーツとチョコレート。ワインも御飯も入らない、なかなか奇抜なおつまみ。
2018(平成30)年10月1日に東京都内で発売か。平成初期頃からいくつかの駅弁で使われた「しあわせ甲斐」を副題に持つ。同日に同年10月から11月までのJR東日本の駅弁キャンペーン「駅弁味の陣2018」にエントリー。
中身は牛丼とハンバーグ丼のセット。バスケット型と呼ばれる東京駅弁のチキン弁当と同じような構造のボール紙箱に、やはり同じように詰めたように見える2区画のプラ製トレーの、両方に茶飯を詰め、一方を牛焼肉やタケノコや山菜や大根漬で覆い、他方をハンバーグとミックスベジタブルとジャガイモとインゲンで覆う。牛肉は筋がしっかりあり、ハンバーグは密度と洋風を備え、好みは後者。赤ワインや白ワインがソースに使われるというが、これには気が付かなかった。価格は2020年の購入時で1,100円、2022年6月から1,180円。
※2022年6月補訂:値上げを追記2018(平成30)年10月7日に購入した、小淵沢駅弁の紙箱。発売当時はこのように、モダンな絵柄で写真が使われていなかった。構造や中身や味や価格は、上記の2020年のものと変わらない。
JR東日本の駅弁キャンペーン「駅弁味の陣2016」へのエントリーに合わせ、2016(平成28)年10月に発売か。パッケージの写真のとおり、大きな円形の加熱機能付き容器に、白御飯、ビーフシチュー、インゲンとミックスベジタブルを詰める。駅弁にあるまじき汁物に、果敢に挑戦した。しかしメインの牛肉ワイン煮はまるで塩辛で、しかも普通に弁当を運んでも中身がこぼれてしまい、味でも形でもうまくなし。これはどうしたものだろう。半年間ほどの販売か。
※2019年8月補訂:終売を追記2016(平成28)年1月の京王百貨店の駅弁大会でデビューか。黒い長方形の加熱機能付き容器に、中身の写真や山梨県のシルエットなどを使う黒い掛紙を巻く。中身は白御飯の上に、牛焼肉、ポテト、ミックスベジタブルを載せ、ラッキョウとインゲンを添えるもの。柔らかさと厚みと分量があるステーキそのものに加え、タレないしソースにもこだわりがありそうな気がした。同じ名前と価格と中身で、加熱機能付き容器でないバージョンもある模様。2019年までの販売か。
※2020年4月補訂:終売を追記上記の駅弁「甲州赤ワインステーキ弁当」の、加熱機能付き容器でないバージョン。2016(平成28)年1月の京王百貨店の駅弁大会で実演販売したのはこのタイプ。容器以外は見た目も中身もまったく同じで、白御飯の上に、牛焼肉、ポテト、ミックスベジタブルを載せ、ラッキョウとインゲンを添える。高価な加熱機能付き容器を使わないのに、値段までも同じ。キンキンに冷蔵された状態での販売でも、すき焼きや焼肉でなくステーキを名乗る厚さの牛肉には柔軟さがあった。掛紙の写真に比して中身がこれかという文句は、ネット上で見られる。2019年までの販売か。
※2020年5月補訂:終売を追記2010(平成22)年9月15日の発売は、同年10月から12月までのJRグループの観光キャンペーン「信州デスティネーションキャンペーン」や、2010〜2011年の駅弁大会シーズンに向けた投入か。電子部品でも入っていそうな独特な形状の薄いプラ製容器を使用、透明なふたの中に掛紙や割りばしやおしぼりを詰める。
中身はイヅツワイン「信州紀行」の赤ワインのミニボトル1本に、笹巻きサーモン押寿司、丸めたハムチーズサンド、レーズンレパン、野菜のキッシュ、豚肉串団子、野菜アンチョビマヨネーズ。これは下記のワイン入り駅弁「甲州ワインランチ」の生まれ変わりなのだろうか。とすれば価格が700円下がり、中身は軽食に変貌。しかし笹寿司と野菜スティックがあり得ないほど酸っぱいことだけが印象に残った。2011年に終売か。
※2015年9月補訂:終売を追記2008(平成20)年11月5日の発売は、京王百貨店の駅弁大会または駅弁大会シーズンに向けたものか。2009年1月の京王百貨店の駅弁大会では酒入り駅弁特集で輸送駅弁コーナーに積まれたが、現地では前日16時までの要予約駅弁。
トレー入り容器とワインの小瓶1本を詰めたボール紙の容器には、駅弁の名前に加えて卵殻モザイク画が印刷される。中身はアワビ煮貝の押寿司、紅マス押寿司、古代米の細巻が御飯として入る他は、甲州ワインビーフのサイコロステーキ、スパニッシュオムレツ、レーズンパン、スイートピクルスなどのサラダ、ヤマイモにブロッコリーなど。これに「中央線オリジナルワイン 甲斐のしずく」180ml瓶とプラ製カップが付いてくる。ワインは予約時のリクエストで赤ワインへ変更可能。
ワインに合いそうなおかずを添えた中身の選定や見栄えや味は妙に洗練されている。1982(昭和57)年の塩尻駅「ワインランチ」を発祥とするワイン入り駅弁は、各地でなにかと入手難となっているため、後発でもガンガン売って駅弁の魅力を発信してもらいたいもの。なお、山梨県内では駅や道路の観光売店でワインの大瓶や小瓶を気軽に買えるため、駅弁にわざわざワインをセットする必要があるかといえば、そうではないかもしれない。2010年に終売か。2013年1月の京王百貨店の駅弁大会に、ひょっこり出てきた。
※2015年9月補訂:終売を追記2007(平成19)年中に発売か。トレーを接着した長方形の容器に黒いプラ製のふたをして、中身のイラストを描いたボール紙の枠にはめる。中身は駅弁の名前どおりの牛めしで、白御飯の上に色黒でクズのきめ細かく、かなり甘く柔らかい薄切り牛肉煮を載せて、椎茸やタケノコや蒲鉾や玉子焼などを添えるもの。見栄えも味もよくできているが、催事対応商品がコロコロ変わる小淵沢駅弁なので、来年の今頃はまったく別の名前や内容になっているかもしれない。価格は2008年の購入時で1,050円、2014年時点で1,100円。2014年までの販売か。
甲州ワインビーフとは、山梨県甲斐市の小林牧場が生産する牛肉の商品名で、ワイン向けブドウの絞りかすなどを与えて育てているという。同社公式サイトによると2007年に日本農業賞個別経営の部大賞、農林水産祭畜産部門内閣総理大臣賞、畜産大賞経営部門優秀賞をこれで獲得したそうな。
※2016年9月補訂:終売を追記2006(平成18)年3月に発売か。正方形2つ分の長方形ボール紙容器には中身写真と商品名が描かれる。中身は2つに別れ、一方が甲州風というソースメンチカツ丼、もう一方が甲州甘辛という接頭語が付く牛丼。牛が肉を敷き詰めた牛丼なのに対して豚が小さなメンチカツなので、勝負は明らかに牛の勝ち。しかし牛丼も甘辛の「甘」が強く、食べるのは少量で十分な感じ。調製元の宣伝と違い、ボリュームもボリューム感もないので、これで合っている。価格は2006年の購入時で1,050円、2014年時点で1,100円、2015年時点で1,200円。2017年までの販売か。
※2019年8月補訂:終売を追記