東京駅から新幹線で3時間弱。神戸市は兵庫県の南東部で大阪湾に面する、人口約150万人の港町。古代からの湊は1868年の開国開港で関西を代表する港湾都市となり、異国情緒や夜景で有名な観光地でもある。駅弁は第二次大戦後に神戸へ移転した駅弁屋の、肉や洋食や新幹線型など、様々な駅弁が賑やかである。1972(昭和47)年3月15日開業、兵庫県神戸市中央区加納町。
1965(昭和40)年10月14日の鉄道記念日に神戸駅で発売。2021(令和3)年1月1日にリニューアル。「牛めし」でなく「肉めし」。牛もも肉を特製のタレに漬け込んだ後に、焼いてスライスしたローストビーフで、カレー風味の黄色いバレンシアライスを覆い、錦糸卵、くるみ甘煮、アスパラガスのごま和え、パインとさくらんぼを添える。霜降り黒毛和牛の薄造りが、口の中で香る。発売当時にその名をとどろかせ、今も類例を見ない、上質のローストビーフ丼。価格は2021年の購入時で1,100円、2022年3月から1,200円。
※2022年4月補訂:値上げを追記上記の駅弁「肉めし」の、2002(平成14)年時点の姿。2020年までこの姿。リニューアルしたとは思えないくらい、見た目の差異はほとんどない。当時は牛肉が広く薄いもので、見た目に乾燥していても噛み締めると味が湧いてくる赤身で、タレを別添していた。付合せも海老クルトン団子やキャベツソテーがあり、少し異なる。価格は2002年の購入時で1,000円、2014年4月の消費税率改定で1,030円。
※2021年2月補訂:新版の収蔵で解説文を手直し神戸の名物駅弁の、パッケージの復刻版。1965(昭和40)年当時のカラーコピーなのだろう、神戸市の調製元の市内局番がまだ2桁である。山陽新幹線も新神戸駅も、その頃はまだ存在していない。中身と価格は、2013年当時で現行のものと同じ。
2021(令和3)年1月の発売。神戸の名物駅弁「肉めし」の、牛肉を神戸ビーフにした高級版。それでは通常版と見分けが付かないためか、中身を収めるプラ製トレーの色を白から黒に変え、ふたの表面と裏面の市松模様を広くとり、駅弁の名前のところの「神戸名物」を「神戸ビーフ」に変えている。そんな姿と味はむしろ、リニューアル前の通常版「肉めし」に似ている。薄く平たく広いローストビーフは、赤身とスパイスの味わい。1年間ちょっとの販売か。
※2023年4月補訂:終売を追記2005(平成17)年の新作か。真っ黒で中身は赤い容器を、駅弁の名前と売り文句を描いたボール紙のパッケージに入れる。中身はキノコピラフに淡路屋秋山総料理長が選んだ面積のある国産黒毛和牛ローストビーフが貼られ、きんぴらごぼうなどを添えるもの。
有名な神戸駅弁「肉めし」の上等版で、商品名は「ええ牛・肉めし」と区切って読む。無印な肉めし自体が肉も風味もええものなので、何度も食べるか並べて消費しないと品質差を感じにくいような。今回添付のつぶ塩とコショウをかけると、ぐっと味が締まる。
上記の駅弁「ええ牛肉めし」の、2007(平成19)年1月時点での姿。駅弁の名前と風味を変えないまま、ローストビーフを減らしてごまポテトを加え、価格を200円下げた。著名駅弁「肉めし」との差違は「牛」ではなく「めし」にある印象で、どちらかといえば駅弁催事が主戦場か。現在は販売されていない模様。
※2013年5月補訂:終売を追記入手状況から1993(平成5)年1月28日11時の調製と思われる、昔の新神戸駅弁の掛紙の一部。絵柄は21世紀に現存するものと変わらない。宣伝文の内容は、2002年当時のものと変わらない。
1981(昭和56)年6月13日14時の調製と思われる、昔の神戸駅弁のパッケージ。現在の「肉めし」とは、パッケージの構造や絵柄こそ異なるが、内容はおおむね同じで、価格も現在とそう大差がない。当時としてはかなり高価な駅弁だったはず。