東京駅から新幹線で3時間弱。神戸市は兵庫県の南東部で大阪湾に面する、人口約150万人の港町。古代からの湊は1868年の開国開港で関西を代表する港湾都市となり、異国情緒や夜景で有名な観光地でもある。駅弁は第二次大戦後に神戸へ移転した駅弁屋の、肉や洋食や新幹線型など、様々な駅弁が賑やかである。1972(昭和47)年3月15日開業、兵庫県神戸市中央区加納町。
2022(令和4)年9月の新作か。ステーキ弁当を名乗らず、神戸祥の鉄板焼き、神戸生まれの名物料理を名乗るが、その中身は下記のステーキ弁当群と同じようなもの。長方形のプラ容器に、黒いガーリックペッパー御飯を敷き、味付け牛肉ステーキで覆い、じゃがいも、かぼちゃ、パプリカ、アスパラガス、とうもろこし、ブロッコリーを添える。香りと刺激の強い飯やおかずに囲まれて、淡泊に思える固めの牛焼肉を味わう洋食弁当は、神戸駅弁らしい感じ。スリーブには神戸の文字が6箇所にあり、スリーブに神戸ポートタワーも描いて、神戸を印象付ける。
ここでいう鉄板焼き、スリーブの絵柄のように客の目の前で肉などを鉄板にて焼き上げる食堂は、第二次大戦後の1945(昭和20)年に、神戸市内のお好み焼き店「みその」が発祥という。これが進駐軍や旅行者によりアメリカへもたらされ、Teppanyakiを売りとする日本食レストランができ、固有名詞となった。神戸のみそのは今も神戸市三宮に健在で、元祖鉄板焼ステーキとして複数の支店を展開する。
発売時期不詳。似たような名前の駅弁が、下記のとおり新神戸駅にはいくつもあると思う。これは白御飯を牛ステーキと牛肉煮と、ごぼうと糸こんにゃくで覆い、柴漬けときゅうり漬を添える。パッケージの見た目は違うが、中身や味は今までのものとほぼ変わらず。
秋冬の駅弁大会シーズンに向けた、2015(平成27)年秋の新商品で、9月に発売。黒い容器を、黒いボール紙のスリーブにはめる。中身はきのこピラフ、牛ステーキとポテトフライ、牛肉煮とネギやニンジンの煮物、クルミとサクランボグラッセ。そんな内容は、同じシーズンに京王百貨店の駅弁大会で実演販売された「ステーキ&しゃぶしゃぶ弁当」にそっくり。それはすぐ売り止めたが、これは新神戸駅弁の定番商品になった。価格は2017年の購入時で1,200円、2022年3月から1,250円。
※2022年4月補訂:値上げを追記2016(平成28)年1月16日に購入した、新神戸駅弁のパッケージ。上記の2017年のものと、名前も価格も中身も味も見た目も変わらない。この駅弁の発売当時には、日本鉄道構内営業中央会の駅弁130周年マークが付いていた。
作り置きでなく出来立てを販売する、新神戸駅でのみ販売される変わった駅弁。2007(平成19)年5月に「すき焼き弁当」「二段重弁当」で登場し、以後も名前や中身を変えながら改札外コンコースの駅弁売店での販売が続く。売店の隣が食堂であり、注文を受けて厨房で調理して客に提供する。掛紙には商品名のみが記され、いたってシンプル。
今回の中身は、白御飯、牛ステーキ、ポテトフライ、くるみ甘露煮、ピクルス。写真ではただの駅弁にしか見えないが、実物は高級なホカ弁であり、暖かい御飯と焼き立てのステーキが楽しめるので、時をおかずに食べてしまいたいもの。ただ、個人的にはステーキ弁当よりすきやき弁当のほうが好み。
駅弁屋には昔から、駅弁が冷めていて不味い、暖かい弁当が欲しい、出来立ての弁当を買いたいという苦情が来るらしい。そんな声を受けて、駅弁屋の売店で弁当を注文販売する、出来立ての駅弁を提供する試みは、平成初期かそれ以前から各地で実施されている。しかしそんな駅弁が人気になったり話題になることはない。この駅弁も発売時を除き、まったく話題に上がらず、売れているかどうかも分からない。客の苦情にかかわらず、駅弁には冷めてもうまいものが求められている。
2006(平成18)年3月に発売。きのこピラフの上に牛ステーキを切って並べ、コーンとインゲンで彩り、ニンジンとジャガイモときゅうりピクルスを添える。赤身の柔らかさで勝負する牛焼肉は、常温で売って食べられる弁当に合っていると思った。価格は2006年の発売時で1,200円、2014年4月の消費税率改定で1,230円、2016年時点で1,250円。
上記の駅弁「神戸のステーキ弁当」の、2006(平成18)年の発売当時の姿。前年の秋に発売した「神戸ビフテキ弁当」と、容器の構造、内容、価格、風味はほとんど同じだったので、そのリニューアル品だったのだろう。中身は上記の14年後と、コーンの軸の有無くらいしか変わらない。容器の絵柄と構造は違っていた。
※2021年2月補訂:新版の収蔵で解説文を手直し2021(令和3)年8月の新作か。神戸ポートタワーをレモン色にしたスリーブに収めた長方形の白い容器に、ピラフのような風味の炊込み御飯を詰め、牛肉ステーキの塩レモン風味を並べ、レモンのスライスとブロッコリーも置き、かぼちゃ揚げ、たまねぎマリネ、れんこん揚げなどを添える。レモンステーキが神戸や関西の味だとは聞いたことがなく、レモンの酸味と塩だれを持つはずの牛焼肉はタレもビーフも感じない乾燥した板であり、内容や風味で神戸や駅弁を理解しがたいものであった。レモンステーキで駅弁といえば、長崎県の佐世保駅のものが知られる。1年間ほどの販売か。
※2023年4月補訂:終売を追記2020(令和2)年9月か10月の発売。スリーブに載る中身の写真のとおり、それぞれの区画できのこピラフを牛モモステーキ、牛ハラミステーキ、牛バラステーキで覆う、牛焼肉丼の3区画。ところが今回は、白く脂が浮く肉の固さに難儀する、この調製元らしくない駄作に思えた。2021−2022年駅弁大会シーズンまでの販売か。
※2023年4月補訂:終売を追記2019(平成31)年4月の新作だろうか。新作駅弁を即座に公式サイトへ掲載する調製元なのに、この駅弁の紹介がない。サフランライスを2種のステーキとニンジンとブロッコリーで覆い、レンコン揚げやサツマイモなどを添える、洋食弁当の雰囲気。脂が浮いてはいたが、牛肉がプリプリしていた。この月以外に売られた記録が見付からない。
※2020年12月補訂:終売を追記2016(平成28)年1月の京王百貨店の駅弁大会で、実演販売で発売。醤油飯を国産牛のステーキ4切れとしゃぶしゃぶ肉で覆い、小松菜とクルミを添える。3年前に同じ場所で同じように売られた、3,000円の「神戸牛ステーキ弁当」を、今回は国産牛ステーキにして、しゃぶしゃぶ肉も詰めて、安くした感じ。実演販売の作り置きなので、味はそんなに変わらず、安価にできる今回のものが良いと思った。さくらんぼグラッセ入りのクルミ甘煮という付合せが、駅弁では斬新。しかし事実上の京王百貨店駅弁大会限定販売か。
2013(平成25)年1月の京王百貨店の駅弁大会での実演販売のためにデビューか。赤ワイン色にデザインされたボール紙の枠に収まる容器の中身は、きのこピラフに赤ワイン色をした牛肉ステーキを載せて、コーン、インゲン、ニンジンを添えるもの。
レストランのステーキの雰囲気が、駅弁で見事に再現されている。肉はやや噛み切りにくく、ここの駅弁であれば「肉めし」のほうが食べやすい。しかし、こういう駅弁に挑戦する調製元は多くないはず。パッケージのデザインも含めて、神戸らしさが出ていると感じる。
価格は購入時で1,200円、2014年4月の消費税率改定で1,230円、2016年時点で1,250円。2019年までの販売か。
※2020年12月補訂:終売を追記2013(平成25)年1月の京王百貨店の駅弁大会で実演販売。催事場では1,200円の「神戸ワインステーキ弁当」と併売されていた。容器も見た目もその安いほうと、ほとんど同じ。ステーキの牛肉を神戸牛にして、この価格になった。その高級感を出すためか、包装は替えられている。
神戸牛ステーキの身とタレの香りは素晴らしいものがあったが、食感は高級和牛としては赤身と筋の硬さが気になった。今回から自由意見が書き込めるようになった京王百貨店駅弁大会の公式ブログにも、辛辣な意見とお詫びのコメントがあったらしい。
2005(平成17)年の秋に発売。神戸の著名駅弁「肉めし」と色や柄が似たボール紙のパッケージを使用、中身はサフランライスかバターライスのようなキノコピラフの上に但馬牛ステーキを貼り、エンドウ・ピクルス・フライドポテトなどを添えるもの。「肉めし」同様、牛肉は見た目にパサついているのに、タレとスパイスと牛肉の風味がぎゅっと詰まる。現在は販売されていない模様。
※2013年5月補訂:終売を追記