大阪駅から特急列車「こうのとり」で約2時間半。兵庫県豊岡市は兵庫県の北部で日本海に面した、人口約8万人の城下町。コウノトリの里やかばんの街として知られ、出石の伝統的建造物や城崎の温泉など豊富な観光資源を抱える。駅弁は国鉄時代からの駅弁屋が2011年9月に撤退した模様。1909(明治42)年7月10日開業、兵庫県豊岡市大手町。
下記の駅弁「但馬名物かにずし」の、事実上復刻版と言えるもの。草色か抹茶色の紙箱に、カニの魚拓を金色で描いた掛紙をかける。容器の内側も金色で、中身は「かにずし」のカニを松葉蟹に置き換えたかにちらしずし。カニは少量だし、自身にカニを食べ比べる能力はないが、事前に1,600円も払っているだけに、なんとなく風味が何か大きく違う感じを受けた。
昔は他のカニ駅弁にもマツバガニを使っていたが、その高騰により他のカニに代えたものを、この駅弁ではそれに見合う価格を付けることで、1968(昭和43)年に天皇皇后両陛下が召し上がられたものに近付けているらしい。11月から3月まで限定発売で、2004年度のJR西日本の駅弁キャンペーン「駅弁の達人」の対象駅弁。
この駅弁は駅弁屋の撤退により2011年9月12日限りで失われた模様。
※2011年9月補訂:終売を追記2004(平成16)年12月29日調製の豊岡駅弁の掛紙。2011年時点のものとの違いは、駅弁の名前での「松葉」の有無、70円差の価格と、コウノトリに触れているか否かの3点である。
※2011年9月補訂:写真の削除と解説文の移動2010(平成22)年5月2日に発売。つや消しな黒色のプラスティック製な正六角形の容器を使用、商品名とキャラクターを描いた黄色い掛紙を巻く。豊岡市のマスコット「玄さん」の顔を容器に、全身像を掛紙に記す。中身は一面に敷き詰めた酢飯を錦糸卵で覆い、牛肉しぐれ煮を詰めたうえで紅生姜とグリーンピースを散らすもの。淡い酢飯に甘辛で少量の牛肉を振って千円越えとは、世の牛丼は200円台で競争しているのにと言われそうだが、但馬牛で駅弁であれば仕方がない。
「玄さん」とは、2009年11月5日に発表された兵庫県豊岡市のマスコットキャラクター。市の石「玄武岩」にちなみ、市内の観光名所で天然記念物である玄武洞と、2008年12月に日本ジオパーク委員会 が認定した山陰海岸ジオパークをPRするために作られた。ジオパークとは現地での宣伝を見る限り、夫婦岩だ亀岩だとかの昭和40年代風観光案内ではなく、地質学上の解説や案内をもって露岩や断崖に興味を持ってもらうものだと感じたが、高校理科で最も地味で不人気だったと思う地学で果たして観光客を呼び込めるのか、どうなのだろう。
この駅弁は駅弁屋の撤退により2011年9月12日限りで失われた模様。
※2011年9月補訂:終売を追記2004(平成16)年の春に発売か。角の丸いプラ製の黒い弁当箱をボール紙の枠にはめる。中身は御飯に山菜を少々混ぜて、約5分の3が牛肉丼、残りの半分が山菜丼、その残りが錦糸卵丼。これにはじかみ生姜と奈良漬を添える。
カニで鳴らす豊岡駅弁らしくないタイプの駅弁で、見たり食べたりしただけでは但馬つまり現在の兵庫県北部という地域性を感じにくいと思うが、牛肉駅弁として水準級の風味は備えており、こういう内容は一般受けするし、駅弁の選択肢の幅を広げるタイプの商品。駅でよりむしろ車内販売で売れているのではと思う。なぜか6〜8月は販売を休止する。
なお、2008年4月5日のリニューアルで名前が「但馬牛 牛弁」に変わった。容器を変えて、中身はだいたい同じ模様。
※2010年8月補訂:リニューアルを追記2002(平成14)年の秋頃に発売か。9〜6月に豊岡駅と城崎駅で販売される夏季以外限定駅弁。ボール紙の箱に入ったプラスティック製の釜型容器の中で、カニの炊込御飯の上に手作り感のあるカニほぐし身を敷き詰める。見た目も風味もモリモリ食べられるタイプの駅弁で、変に思われるかもしれないが、個人的になんとなくマヨネーズをかけてみたくなった。2004年度のJR西日本の駅弁キャンペーン「駅弁の達人」の対象駅弁。
この駅弁は駅弁屋の撤退により2011年9月12日限りで失われた模様。
※2011年9月補訂:終売を追記公式には2004(平成16)年7月の発売。発売前の公式発表では駅弁の名前が「名物」だったが、現物の掛紙には「名産」と書かれた。竹皮を模したボール紙容器に空色の和紙風掛紙をかけて黄金色の紙ひもでしばる。中身は地元の津居山漁港で水揚げされたイカの中に酢飯を詰めたいかずしがふたつ。弾力性と柔軟性を兼ね備える無味無臭なマイカとそれに味気を付ける酢飯が醸し出すハーモニーはくせになる。2004年度のJR西日本の駅弁キャンペーン「駅弁の達人」の対象駅弁。
冷凍物には出せない味を提供するコンセプトで、7月から9月まで豊岡駅と城崎駅で販売される夏季限定駅弁。一方で、つまりそれこそ時節柄に左右されるということで、この時は6月中には発売しており、9月半ばには材料の入手難で発売が中止された。それでは駅弁の達人シールの収集者が困るので、9月30日までは他の何らかの駅弁を買えばシールをもらえたらしい。
この駅弁は駅弁屋の撤退により2011年9月12日限りで失われた模様。末期は材料の手配難でなかなか売られなかったとも聞く。
※2011年9月補訂:終売を追記カニ駅弁のバリエーションが増えているように思う豊岡・城崎の駅弁で、比較的以前から発売されているもの。カニの姿を浮き彫りにした蓋付柔らかプラスティック容器を、カニを描いた紙箱に入れる。中身は但馬産米を使ったかにちらしずし、カニの細巻、カニの押寿司と三種の蟹寿司が入っている。価格はそれなりだが目でも舌でもカニづくしを感じられる内容で、温泉客に人気がありそう。2004年度のJR西日本の駅弁キャンペーン「駅弁の達人」の対象駅弁。
この駅弁は駅弁屋の撤退により2011年9月12日限りで失われた模様。
※2011年9月補訂:終売を追記1955(昭和30)年頃に発売。長方形のボール紙製パッケージの中に、カニを浮き彫りにした赤い容器が収められ、但馬産コシヒカリを用いた酢飯の上に隙間なく敷き詰められた甘酢漬けカニほぐし身と、アクセントでカニ足の身が載せられる。
1968(昭和43)年には兵庫を訪れた天皇皇后両陛下と皇太子ご夫妻に献上された伝統の駅弁。酸味の強さと、今となっては細かすぎる感もあるほぐし身も昔懐かしいのではないか。山陰沿岸は1990年代半ばまで夏の海水浴列車で賑わったが、現在は冬のカニ列車で賑わう。
この駅弁は駅弁屋の撤退により2011年9月12日限りで失われた模様。
※2011年9月補訂:終売を追記紙箱に収められた焼き物の釜の中身は、カニ汁で炊かれた御飯とカニの足のみ。美味ではあるが、カニ足は殻付きなので明らかに駅弁としては向かない。ただ、2003年12月に城崎駅で見た見本写真では、御飯の上にカニほぐし身が乗っていた。
この駅弁は駅弁屋の撤退により2011年9月12日限りで失われた模様。
※2011年9月補訂:終売を追記容器に豊岡地域の伝統工芸品である柳行李を使用した予約制の駅弁。中身は但馬産コシヒカリの握り飯がふたつに焼き鮭と但馬牛しぐれ煮などという高額駅弁らしからぬ姿だが、杞柳(きりゅう)製品は手提げ鞄のサイズで20万円以上するというから、この駅弁容器の小物入れサイズの細長い容器が駅弁価格の大半を占めるのだろう。要予約で、年間数個しか売れないという。
月に40日は雨が降るなどと云われる多雨地帯の豊岡地域では、杞柳と呼ばれる落葉灌木「コリヤナギ」の枝を使用した工芸品が奈良時代以前から製造されているという。戦国時代の頃に登場した柳行李は戦前まで多くの家で鞄として使われ、戦後は新素材に代わられたものの、現在でも豊岡市は日本一のかばん製造の町である。
価格は長らく6,000円とされていたと思うが、2005年には10,000円になり、2008年には13,000円と紹介されている。この駅弁は駅弁屋の撤退により2011年9月12日限りで失われた模様。駅弁の定義にもよるが、東武日光駅の15万円の駅弁に次ぎ、全国第2位の高額駅弁であった。
※2011年9月補訂:終売を追記1993(平成5)年1月31日の調製と思われる、昔の豊岡駅弁の掛紙の一部。この地域の国道と鉄道のイラストマップを絵柄とした。
昭和40年代のものと思われる、昔の豊岡駅弁の掛紙。上方には現在も通じる鉄道路線図と名所案内があるが、とんかつ弁当やそのイラストとは何の関連も持たなそうな気がする。
1980年代頃の調製と思われる、昔の豊岡駅弁の掛紙。えびランチという名前の駅弁を売り出したのは、全国でもここだけではないか。どんな中身であったのだろうか。
調製印等はないが、2006年10月21日の調製と思われる記念弁当の掛紙。この日に姫路・浜坂間で運転された臨時列車「急行あまるべ」の車内で販売されたほか、ツアーの団体客に配られたという。調製は豊岡駅弁のたで川で、中身は豊岡駅の幕の内弁当だったそうな。