大阪駅から特急列車「こうのとり」で約2時間40分。駅前から広がる城崎温泉は、1300年の歴史を持つと言われる古くからの温泉地で、7つの外湯めぐりがここの特徴である。過去には豊岡駅と同じ駅弁が売られ、訪問時には神戸と鳥取の駅弁屋の弁当が売られていた。1909(明治42)年9月5日開業、兵庫県豊岡市城崎町湯島。
2018(平成30)年の秋までに発売か。鳥取駅の駅弁屋が、鳥取駅の駅弁「元祖かに寿し」と同じ中身を詰め、城崎温泉に関する記載がある掛紙をかけて、城崎温泉駅の売店に卸している模様。酢飯を錦糸卵とカニほぐし身と細いカニ脚で覆い、塩昆布と奈良漬と生姜甘酢を添える。漬物や昆布はうまくても、かに寿しが酸味しかない強烈な酢漬けで残念だった。2022年に「城崎温泉かに寿し」へ改称し1,380円に値上げ、2023年時点で1,480円。
城崎温泉は、兵庫県の北部で円山川のほとりにある温泉地。約1300年の歴史があるといい、京都や大阪と特急列車で結ばれる鉄道駅から徒歩圏にあり、年に約100万人の観光客が訪れるとされる。伝統的に旅館が内湯を持たず、1956(昭和31)年の配湯開始後も条例で浴槽容量を規制するため、7つの外湯を日帰り客に加え宿泊客も利用し、外湯めぐり、温泉街めぐり、町歩きができることが特徴。温泉街全体を一つの旅館と見立て、「駅が玄関、通りが廊下、外湯が大浴場で商店が売店」というコンセプトを持つ。
※2023年8月補訂:改称と値上げを追記2018(平成30)年の夏までに発売か。鳥取駅の駅弁屋が、鳥取駅の駅弁「お好みかに寿し」と同じものに、城崎温泉の風景写真と外湯めぐりの一覧を記載した掛紙をかけて、城崎温泉駅の売店に卸している模様。鳥取駅弁の元祖かに寿しと、カニの細巻き8個と、カニの握り3個のセット。漬物や昆布はうまくても、各種のかに寿しが酸味しかない強烈な酢漬けで残念だった。価格は2018年時点で1,500円、2020年時点で1,600円、2023年時点で1,800円。
掛紙に記すとおり、城崎温泉には「一の湯」「御所の湯」「まんだら湯」「地蔵湯」「鴻の湯」「柳湯」「さとの湯」の7つの外湯があり、銭湯や温浴施設のように気軽に立ち寄れるほか、全7箇所を一日中使える入浴券も売られる。城崎温泉駅のすぐ右手にもあるので、列車の乗り継ぎ待ち時間に入浴することもできる。
※2023年8月補訂:値上げを追記秋冬の駅弁大会シーズンに向けた、2016(平成28)年秋の新商品か。スリーブの絵柄と表記でJR城崎温泉駅の駅弁を名乗る。長方形の加熱機能付き容器の2区画の、一方でカニみそと海苔の御飯を醤油味のカニほぐし身とカニ爪とホタテ煮で覆い、他方で醤油飯を牛肉煮、糸こんにゃく、ネギ、とうふなどの牛すき焼きで覆う。細かいほぐし身や牛肉煮の見栄えと風味に、駅弁として古典的な安心感があった。価格は2018年の購入時で1,200円、2022年3月から1,250円、2023年時点で1,480円。
※2023年8月補訂:値上げを追記2022(令和4)年1月の京王百貨店の駅弁大会で、仙台駅の伊達政宗、新潟駅の上杉謙信、加賀温泉駅の前田利家、甲府駅の武田信玄、豊橋駅の徳川家康、名古屋駅の織田信長、城崎温泉駅の明智光秀、姫路駅の黒田官兵衛、広島駅の毛利元就、出水駅の島津義弘の10種類が各1,500円で一斉に発売、同月の阪神百貨店の駅弁大会でも販売。約20年前の疑義駅弁である日本古窯弁当シリーズと同じく、福井県の催事業者がプロデュースし、各地の駅弁業者が調製し、大規模な駅弁大会で販売する、各地の駅弁を名乗るが現地の駅では買えない商品だと思われる。調製元や鉄道会社などは、この駅弁とその発売に何も触れていない。
駅弁の名前は「武将弁当明智光秀大丹波光秀栗めし」とも。今回は黒いプラ容器が円錐状とボウル状で2種類あり、この明智光秀はボウル状のもの。これに明智家の家紋を入れ、日本古窯弁当と同じ半透明のふたをして、今回のシリーズで共通のしおりを置き、それらしき絵柄のスリーブで留める。中身は茶飯を鶏照焼、くるみ甘煮、黒豆煮、ゆでキャベツ、しめじ、くり、にんじん、ちまき餅で覆うもの。多量のクルミと黒豆で飯を食べ進めさせるような、不思議な構成。明智光秀が基礎作りをした大丹波エリアの名物料理を豊富に盛り付けたのだという。丸一日の日持ちがする弁当としては、まあよいと思う。
明智光秀は、当時の美濃国、現在の岐阜県に生まれ、坂本城で近江国滋賀郡、現在の滋賀県大津市などを治めた戦国時代の武将。そんなことより、どんなことよりも、天正10年6月(1582年6〜7月)の、天下を統一する目前だった主君の織田信長を裏切り討った本能寺の変から、10日ほどで羽柴秀吉に討たれた山崎の戦いまでの出来事が広く知られ、日本史上有数の悪役として記憶や娯楽などに刻まれる。天正年間の1570年代に信長の命で丹波を平定、治世に長けたことから、現在の京都府の福知山市や亀岡市あたりでは名君として慕われるという。城崎は当時の但馬国、現在の神戸は摂津国や播磨国。丹波国の駅弁は事実上全滅したため、隣国の城崎温泉駅や京阪神地区に駅弁を持つ神戸の駅弁屋の商品としたか。
2017(平成29)年の発売か。国鉄時代の駅弁屋が2011年9月に消え、その後も他社の駅弁が出ては消えた城崎温泉駅に、同じ県内ながら特急列車で3時間も離れた異国である神戸の駅弁屋が進出してきた。
そのため神戸の駅弁の雰囲気を感じるパッケージと容器に、駅弁の名前どおりのカニ飯を詰める。カニ味噌と海苔を混ぜた御飯に、カニのほぐし身とカニ脚と海苔がたっぷり載って、カニそのものの香りやうまみに頼らない、個性的でうまい丼もの。半年か1年で売り止めか。
※2020年6月補訂:終売を追記2012(平成24)年までに城崎温泉駅で売られ始めたという、駅弁のようなお弁当。他に「かにずし」「但馬牛弁当」があるという。正方形の木箱に酢飯を詰め、錦糸卵を敷き、こっぺ(ズワイガニのメスの、丹後地方での呼び名)の脚肉と身と内子と外子と殻を載せる。身と旨味を凝縮したようなつくり。値段なりの味と個性があった。調製元は京都府間人(たいざ)の料理旅館「三養荘」。調製元のフェイスブックによると、2016年で駅での販売を終え、その後は駅前弁当になっているという。
間人(たいざ)は、丹後半島で日本海に突き出た港町。1400年前の飛鳥時代からの歴史が伝わり、江戸時代は北前船の寄港地であり、今は温泉と海鮮の観光地。ここで11月から3月までに水揚げするズワイガニは「間人蟹(たいざがに)」と呼ばれ、厳格な漁獲管理と選別でカニの最高級品として流通するほか、間人ガニを食べるために寒くて陸上交通に恵まれない地へ観光客が訪れる。
※2020年1月補訂:終売を追記2012(平成24)年までに城崎温泉駅で売られ始めたという、駅弁のようなお弁当。ボール紙を組み立てて竹に見立てた容器に酢飯を詰め、錦糸卵で覆い、カニほぐし身でさらに覆い、グリーンピースで彩り、甘酢生姜を添える。極薄の酢とふんわりとしたカニで、とても柔らかく優しい味。調製元は京都府間人(たいざ)の料理旅館「三養荘」。調製元のフェイスブックによると、2016年で駅での販売を終え、その後は駅前弁当になっているという。
※2020年1月補訂:終売を追記