和歌山駅からJRの電車で約2時間、大阪阿部野橋駅から近鉄特急で約50分。駅名のとおり、鉄道が開通した明治時代は吉野の入口であり、後の延伸で現在は通過駅ないし乗換駅。駅弁は明治時代から長らく売られ、鮎ずしや柿の葉寿しが名物であったが、2018年の撤退で、今は駅では買えない。1896(明治29)年5月10日開業、奈良県御所市古瀬。
商品としても駅弁としても、奈良や和歌山を中心に各地で買える柿の葉寿司のうち、これが駅弁としての大将格であった。甘酢で締めた一口サイズの、鯖や鮭の押し寿司を柿の葉に包み、長方形の容器に8個詰める。地域や調製元の個性が出ない内容ではあるものの、柿の葉寿司は幕の内弁当と異なり、立てても裏返しても中身が崩れないので、持ち運びや車内販売で重宝した。2004年度JR西日本「駅弁の達人」対象駅弁。
価格は2004年の購入時で880円、2014年4月の消費税率改定で910円、2016年時点で980円、2018年時点で1,080円。2018(平成30)年6月に吉野口駅のホーム上の売店を閉じ、2019〜2020年の駅弁大会シーズンからは駅弁催事への輸送販売もなくなり、2021年4月には吉野口駅近くの調製元と商品を一新して駅弁から決別した。柳屋の柿の葉寿しは現存するが、吉野口駅の駅弁はなくなった。
※2022年3月補訂:駅弁としての終売を追記上記の駅弁「柿の葉寿し」と、まったく同じ容器を使う。ふたを開けたら柿の葉寿司が8個入るところも、まったく同じ。その中身がサバ4個にサケ4個であることだけに差があり、これが価格の差と対外的な駅弁の名前の差となる。よく見るとパッケージに「ミックス サーモン サバ」の文字を加えている。
価格は2014年4月の消費税率改定で1,030円、2016年時点で1,080円、2017年時点で1,100円。2018(平成30)年6月に吉野口駅のホーム上の売店を閉じ、2019〜2020年の駅弁大会シーズンからは駅弁催事への輸送販売もなくなり、2021年4月には吉野口駅近くの調製元と商品を一新して駅弁から決別した。柳屋の柿の葉寿しは現存するが、吉野口駅の駅弁はなくなった。
※2022年3月補訂:駅弁としての終売を追記2004(平成16)年12月11日に購入した、吉野口駅弁のパッケージ。上記の2017年のものと色合いが異なるのは、おそらくスキャナのせい。絵柄は変わらない。21世紀になってもなお、パッケージに1988(昭和63)年制定の駅弁マークを入れていなかった。
上記の駅弁「柿の葉寿し」のミニサイズ。笹の葉色のボール紙の容器に、サバの柿の葉寿司を5個詰めて500円、8個で880円のものより、単価が10円安い計算で、味は当然に同等。パッケージの記述によると、吉野口駅前の本店の他に八木と高田と大阪・心斎橋大丸に支店があり、そこでも買える模様。この商品は現存しない模様。
※2020年12月補訂:終売を追記サバの柿の葉寿し4個と、きぬ巻時雨ずし5個の詰合せ。これを調製元で汎用する紙折箱に詰める。「産比米(むすめ)」とは珍しい名前なので、昭和時代の駅弁紹介本ではよく取り上げられていたと思う。2018(平成30)年6月に吉野口駅のホーム上の売店を閉じ、この商品は他所や駅弁催事などに送られることもなく、2021年4月には吉野口駅近くの調製元と商品を一新して駅弁から決別した。今後にこれが駅弁と紹介されることは、もうないと思う。
※2022年3月補訂:駅弁としての終売を追記上記の商品「産比米(むすめ)」の、吉野口駅に駅弁売店があった2003(平成15)年当時に、駅でなく調製元で購入したもの。容器は異なるが、調製元の汎用品であることと、柿の葉寿しときぬ巻時雨ずしの詰合せであることに変わりはない。どんな箱に何個ずつ入っていても、柿の葉寿しときぬ巻時雨ずしの両方があれば、販売名「産比米(むすめ)」となった。
※2020年12月補訂:新版の収蔵で解説文を手直し1962(昭和37)年の発売。酢飯にアサリのしぐれ煮をサンドイッチしたものを、おぼろ昆布で巻いたものを10切れ詰める。昭和時代の発売当時は三重県桑名のハマグリのしぐれ煮を挟んでいたそうな。価格は2003年の購入時で460円、2015年時点で480円。
2018(平成30)年6月に吉野口駅のホーム上の売店を閉じ、この商品は他所や駅弁催事などに送られることもなく、2021年4月には吉野口駅近くの調製元と商品を一新して駅弁から決別した。柳屋の絹巻時雨寿司(表記を変えたらしい)は現存するかもしれないが、今後にこれが駅弁と紹介されることは、もうないと思う。
※2022年3月補訂:駅弁としての終売を追記昔から吉野の名産だったそうで、駅弁としても1911(明治44)年からあるという、吉野口駅の鮎の姿寿司。鮎と笹の葉を描いたボール紙のパッケージに、木目調の汎用紙容器を入れ、その中で腹開きの鮎がまるごと一匹、笹を敷いた酢飯の上に載っている。価格は2003年の購入時で800円、2014年4月の消費税率改定で820円。
吉野口駅は近鉄吉野線とJR和歌山線の接続駅であるが、乗降客も乗換客も少なく、ひっそりとした駅。古い木造駅舎も最小限の大きさなので、昔からそうなのだろう。阿部野橋と吉野を結ぶ近鉄特急を除き、優等列車や長距離列車の来ない駅に駅弁の需要など皆無に見えるが、気が付けば奈良や王寺をさしおいて奈良県唯一の公式駅弁販売駅。ホーム上の待合室で営業する売店で駅弁が買えた。
2018(平成30)年6月に吉野口駅のホーム上の売店を閉じ、この商品は他所や駅弁催事などに送られることもなく、2021年4月には吉野口駅近くの調製元と商品を一新して駅弁から決別した。柳屋の鮎寿司(表記を変えたらしい)は現存するかもしれないが、今後にこれが駅弁と紹介されることは、もうないと思う。
※2018年9月補訂:駅での終売を追記吉野口駅の駅弁「鮎ずし」について、福井県の催事屋がプロデュースした、京王百貨店駅弁大会と阪神百貨店の駅弁大会で売られる復刻版。商品名は「掛紙復刻鮎鮨」とも。戦前昭和の頃のものと思われる駅弁掛紙の絵柄を使用、経木折の中身は、アユの姿寿司。掛紙や容器を気に留めなくても、こんな内容の鮎ずしそのものが、昭和あるいは明治時代の昔の味。現地で売られることはないだろう。
吉野口駅弁の調製元で買えた商品。太巻き3切れ、きゅうりの細巻き6本、サバの柿の葉寿し2個、きぬ巻時雨ずし3個で820円。駅で売られることはないだろうし、そもそも駅の駅弁売店が現存しない。こんな昔ながらの寿司屋の持ち帰り商品風な商品が近所にあれば、時々買いに来たいもの。
第二次大戦前の、大正時代か昭和時代のものと思われる、昔の吉野口駅弁の掛紙。中身はおそらく現在のものと同じ、アユの姿寿司だろう。桜と清流と魚影で吉野を表現か。
1922(大正11)年の調製と思われる、昔の吉野口駅弁の掛紙。同年に上野公園で開催された平和記念東京博覧会で英国の皇太子殿下が来日されたことを記念して、全国各地の駅弁屋が同じデザインの記念掛紙を使用したもの。周囲に日本と英国の国旗を配し、右に駅弁の名前、左下に調製元、下部に日英の歓迎文、上部の2枠は広告枠。
おそらく1920年代、大正時代末期か昭和時代初期のものと思われる、昔の吉野口駅弁の掛紙。名刺サイズほどの大きさしかない、とても小さな紙片に、商品名と価格と調製元と注意書きを記す。