松江の城下町の南側で宍道湖に面する、一畑電車の終着駅。山陰地方で唯一の私鉄線が、松江と平田と出雲市と出雲大社を結ぶ。2014(平成26)年4月に駅弁を発売したほか、台湾の駅弁大会に毎年出展するが、駅で買える弁当はない模様。1928(昭和3)年4月5日開業、島根県松江市中原町。
台湾の駅弁大会「鐵路便當節」の、2025年6月の台北駅での第10回開催で、一畑電車の駅弁として販売されていたお弁当。この大会に毎年出店する一畑電車では今回、この弁当のみを販売し、観光チラシを配っていた。厚紙製の弁当箱をふたつ重ね、オレンジ色の電車と島根県の観光キャラクター「しまねっこ」を描いた、黄色い掛紙を巻く。品名は掛紙に「ガーリックサイコロロースト牛弁当」とあり、繁体字表記もだいたいそんな意味。
中身は下段で白飯に牛肉を載せてニンニク粉を振り、上段には煮玉子にブロッコリーやズッキーニやトマトなど様々な野菜を詰めた。柔らかくもざらついた牛肉丼や品名にない所で爽やかなピクニック弁当。こうして台北駅では期間限定で毎年、一畑電車の駅弁が買えるが、実際の一畑電車ではもう駅弁が売られないのかと思う。
2014(平成26)年4月29日に発売された、土休日限定の駅弁。一畑電車の松江しんじ湖温泉駅と出雲大社駅で、同じものが売られる。名前のとおり、1928(昭和3)年生まれで映画に出演した一畑電車最古の現役車両「デハニ50」であり、掛紙にはそのイラストが描かれる。
ボール紙の箱に茶碗風の絵柄を持つプラ製トレーを収める、市販の惣菜弁当向け容器の9区画の中身は、白御飯、ちらし寿司、シジミ御飯、鶏唐揚、マイタケとエビの天ぷら、牛肉煮、あらめ炒め物、玉子焼とあご焼き(ちくわ)、小松菜和え。
現物にはないが、売店には中身を写真で説明する掲示があった。島根の味が詰まっているようで、しかしあご焼き以外は全国区の食材であり、テーマが拡散してしまい、この姿では駅弁が長生きできないような気がした。9月か10月までの、半年間ほどの販売か。
※2021年3月補訂:終売を追記2017(民国106)年7月21〜24日に、台湾の台北市内のコンベンション施設「台北世界貿易中心(台北世界貿易センター)」で開催された展覧会「2017台灣美食展」での「第3回鐵路便當節(鉄道弁当祭)」で販売された商品。日本の鉄道会社10社と、韓国、スイス、台湾2社の駅弁が、ここで展示販売されていた。
一畑電車の駅弁の掛紙には、島根県のゆるキャラ「しまねっこ」、一畑電車のイラストと社名、今回の弁当の調製元である復興空廚の社名を印刷した。四角く平たく駅弁らしい形をした木製エコ容器を4つに仕切り、それぞれにイクラを載せたチャーハン、エビやカボチャなどの天ぷら、魚の南蛮漬と牛肉煮、鶏肉とポテトとフルーツを詰めた。いずれも味は日本風、食感はべちゃっと台湾風。この「駅弁」は、出雲の地で売られることはあるのだろうか。