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 旅の友「駅弁」。実際に食べた9,000個以上の駅弁を中心に、日本全国と世界の駅弁を紹介します。

JR西日本 柳井(やない)駅 JR-West Yanai Station
2020(令和2)年10月訪問 GoogleMap「柳井駅」

駅名標 駅舎 駅構内

広島駅から電車を乗り継いで約1時間半。柳井市は山口県の南東部で瀬戸内海に面した、人口約3万人の商業都市。江戸時代までは瀬戸内や山陽道の一商都として栄え、今も市街には室町時代の町割りや江戸時代の家並みが残る。駅弁は昭和時代になくなったが、当時の駅弁屋が寝台特急列車の車内販売向けに幕の内弁当を卸しており、これが列車が廃止される2009年3月まで続いた。1897(明治30)年9月25日開業、山口県柳井市中央2丁目。

【終売】特製幕の内弁当(950円)Tokusei Makunouchi Bento (end of sales)
2004年2月22日に寝台特急はやぶさ号の車内販売で購入 Feb. 22, 2004

掛紙 中身
掛紙 外観 外観 中身

黒いプラスティックのトレーを詰めたボール紙のふた付き箱という汎用弁当容器を使用、駅弁の名前と食品表示のシールを貼り、輪ゴムで十字に留める。中身は日の丸御飯にメンチカツ、鶏唐揚、揚げたこ焼き、焼き魚など、その柔らかい食感と水気の多さは駅弁でなく仕出し弁当だと感じる。後述の販売形態からも、この弁当を駅弁と見なせるかどうかは微妙であった。

この駅弁は駅や調製元での発売がなく、東京発九州行の寝台特急列車の徳山からの車内販売でのみ、一日5〜10個が発売されたという入手困難なもの。それ以前には予約や新幹線「こだま」車内でも販売されていたとか。昭和時代まで遡ると、柳井駅は公式な駅弁販売駅で、日本初の珍駅弁「ドライカレー弁当」が有名であった。

2009年3月14日のJRダイヤ改正による、東京と九州を結ぶ寝台特急列車の全廃により、この駅弁と車内販売も同時に廃止、柳井駅弁は完全に消滅することとなった。廃止末期の寝台特急では鉄道ファンや駅弁ファンが早朝の1号車に行列をつくる、柳井駅弁の争奪戦が繰り広げられた。

※2009年4月補訂:終売により解説文を修整
※2005年4月補訂:販売現況の推測を追記
販売駅
山陽本線 柳井(やない)駅 1897(明治30)年9月25日開業 山口県柳井市中央2丁目
調製元
有限会社 水了軒 山口県柳井市中央2−7−24 0820(22)0048

【掛紙】駅べんとう(100円)Ekibento
1955年7月30日調製 Jul. 30, 1955

掛紙

1955(昭和30)年7月30日の調製と思われる、昔の柳井駅弁の掛紙。まだ「特製御辨當」のような古めかしい名前で幕の内駅弁を売る所が多かった時代に、ずいぶんとモダンな名前と絵柄だと思う。

販売駅
山陽本線 柳井(やない)駅 1897(明治30)年9月25日開業 山口県柳井市中央2丁目
調製元
水了軒 山口県柳井市駅通り 49番