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 旅の友「駅弁」。実際に食べた9,000個以上の駅弁を中心に、日本全国と世界の駅弁を紹介します。

ぶどう饅頭(950円)Budo Manju
2020年8月2日に徳島空港の売店で購入 Aug. 2, 2020

掛紙 中身
掛紙 掛紙 外観 外観 外観 中身 中身

1914(大正3)年に発売。この商品は駅弁でないが、戦後昭和の一時期に調製元が国鉄の構内営業の権利を得て、徳島本線(当時)の穴吹駅で立ち売りにて販売したことがあるようなので、ここに掲載した。駅売り銘菓というよりはむしろ、銘菓の駅売りであった。穴吹は剣山の玄関口のひとつ。この町で土産物として、剣山の武道信仰と果物の葡萄にちなむ「ぶどう」のまんじゅうを作ることを、製造者の創業者が思いついたのだそうな。

包装紙に書かれるとおり阿波名物、徳島名物のぶどう饅頭。直径2センチほどの、練乳を混ぜ込んだ小さなあんこ玉を5個、串刺しにして1本ずつ白い溝に収めて袋詰めする。味はつまり、こしあん。玉の表面には生地がとても薄くコーティングされていて、これで「饅頭」なのだ旨、添付のしおりに記される。この8本入りは950円、5本で594円、1本108円、12本で1,404円。徳島県内やネット通販で購入できる。

販売駅
徳島線 穴吹(あなぶき)駅 1914(大正3)年3月25日開業 徳島県美馬市穴吹町穴吹字岩手
調製元
有限会社 日乃出本店 徳島県美馬市穴吹町穴吹字東岩手12−1 0883(52)1061 https://www.budoumanju.com/

【終売】ぶどう饅頭(540円)Budo Manju (end of sales)
2017年6月4日に阿波池田駅のコンビニで購入 Jun. 4, 2017

掛紙 中身
掛紙 掛紙 外観 外観 外観 中身 中身 中身

上記の商品「ぶどう饅頭」の、2017(平成29)年時点での姿。当時は3本ずつトレーに収めて包装されていた。2018(平成30)年4月に、1本ずつの個包装へリニューアル。2010年頃までは9本入りの密封パックだった。商品に入る壱億円札は「日乃出幸運券」。大正時代から入る紙片で、お客様に笑いを届けたり、時代によりおみくじや抽選券になったりしたものらしい。

※2021年2月補訂:新版の収蔵で解説文を手直し
※2020年5月補訂:現況を追記
販売駅
徳島線 穴吹(あなぶき)駅 1914(大正3)年3月25日開業 徳島県美馬市穴吹町穴吹字岩手
調製元
有限会社 日乃出本店 徳島県美馬市穴吹町穴吹字東岩手12−1 0883(52)1061

JR四国 川田(かわた)駅 JR-Shikoku Kawata Station
2017(平成29)年6月訪問 GoogleMap「川田駅」

駅名標 駅舎 駅構内

徳島駅から徳島線の普通列車で1時間前後。川田は徳島県の中部で吉野川の南側の右岸に位置する、小さな駅と町。今は駅弁も売店もなく、駅員もいない駅であるが、大正時代の駅開業時から昭和30年代頃までは駅弁が、昭和50年代後半まで饅頭が立ち売りされたという。その饅頭が2023年10月まで、駅前で生き残った。1914(大正3)年3月25日開業、徳島県吉野川市山川町川田。

【終売】川田満んぢう(かわたまんじゅう)(650円)Kawata Manju (end of sales)
2017年6月4日に脇町の土産物店で購入 Jun. 4, 2017

掛紙 中身
掛紙 掛紙 掛紙 掛紙 外観 外観 中身 中身 中身

明治5年(1872年)に阿波で創業した和菓子屋が、1907(明治40)年から売る饅頭。プラ製の白い半透明トレーに、横浜のシウマイくらいの大きさの白い饅頭を15個並べ、ボール紙箱に収め、包装紙で包む。阿波名物を名乗るが、川田駅周辺の狭い地域でのみ知られる模様。白く不揃いな饅頭に、味わいがある。のちに4個入り密封パックのものも発売。

川田付近には1900(明治33)年8月に私鉄の徳島鉄道が徳島駅からの鉄道を敷き、1907(明治40)年8月に川田駅が開業。1913(大正2)年4月に同社を買収した国が、翌1914(大正3)年3月に阿波池田駅まで全通させた際に、川田駅が現在の位置へ移動した。これに合わせて、弁当屋と饅頭屋が駅構内へ進出し、商品を立ち売りし始めた。

駅弁は昭和30年代頃まで、饅頭は昭和50年代後半まで売られた模様。その饅頭が、この川田まんじゅうである。今も駅前で作られ、駅前と国道沿いの店舗で売られ、地元のスーパーや道の駅でも買えるという。この商品は駅弁でないが、かつての駅売り銘菓。添付のしおりでは今でも、駅のホームや構内で立ち売りされていたことを記載する。その絵柄は、駅売り時代の掛紙のものではないだろうか。

調製元の廃業により、2023年10月限りで終売。1か月前に新聞記事になると、注文が殺到とのことで買えなくなった。阿波ういろと日曜限定のおはぎも、併せて終売となった。

※2023年10月補訂:終売を追記
販売駅
徳島線 川田(かわた)駅 1914(大正3)年3月25日開業 徳島県吉野川市山川町川田
調製元
有限会社 吉田商店 徳島県吉野川市山川町川田198 0883(42)2206

JR四国 阿波池田(あわいけだ)駅 JR-Shikoku Awa-Ikeda Station
2010(平成22)年8月訪問 GoogleMap「阿波池田駅」

駅名標 駅舎 駅構内

岡山駅から特急列車「南風(なんぷう)」で約1時間20分。阿波池田駅は、吉野川が山中に分け入る地点に位置する、土讃線と徳島線列車の接続駅で、すべての列車が停車する。池田はカタカナの地名や1980年代の高校野球で知られる。駅弁は1929(昭和4)年からの駅弁屋が、鮎鮨など名物の駅弁を抱えたが、1997年頃までに撤退し、今は駅弁がない。1914(大正3)年3月25日開業、徳島県三好市池田町サラダ。

【終売】鮎ずし(600円)Ayuzushi

高徳線と徳島線の列車の乗換駅である阿波池田駅で、最後まで売られた駅弁のひとつ。長方形の細長いトレーを容器に酢飯を置き、腹から割いた鮎をまるごと1匹載せた。

吉野川の鮎は柔らかいと評判だったそうで、駅売りの他に特急列車「南風」「しまんと」の車内販売でも取り扱われたそうだが、1990年代半ばに駅弁業者ごと過去帳入り。これにより徳島県は当時、鉄道のない沖縄県を除き唯一の、駅弁のない県となった。

販売駅
土讃線 阿波池田(あわいけだ)駅 1914(大正3)年3月25日開業 徳島県三好市池田町サラダ
調製元
有限会社 清月別館 徳島県三好郡池田町サラダ1893−1 08837(2)1166

【終売】あめご弁当(600円)Amego Bento

経木枠の正方形の容器の中身は、胡麻をかけ梅干しを載せた俵飯に蒲鉾・玉子焼・煮豆にリンゴを入れた幕の内弁当。但し焼き魚としてアマゴ(アメゴ)丸ごと1匹入っている。これも阿波池田駅弁の消滅のため、現在は入手できない。

徳島県三好郡池田町は、1980年代に甲子園の高校野球で一世を風靡した池田高校の地元。いわゆる平成の大合併により、2006年3月に三好市(みよしし)の一部となった。大正3年の開業時からの駅舎は、JR四国が瀬戸大橋で儲けていた頃に全駅改装の掛け声で1990年4月にリニューアル。

販売駅
土讃線 阿波池田(あわいけだ)駅 1914(大正3)年3月25日開業 徳島県三好市池田町サラダ
調製元
有限会社 清月別館 徳島県三好郡池田町サラダ1893−1 08837(2)1166

【掛紙】お弁当(200円)Obento
調製年月日不詳

掛紙

1970年代のものと思われる、昔の阿波池田駅弁の掛紙。写真は祖谷(いや)のかづら橋。1954(昭和29)年11月に国の選択無形民俗文化財となった「蔓橋(かずらばし)の製作工程」により、シラクチカズラを編んで深い谷に架けた吊り橋で、1955(昭和30)年2月に国の重要有形民俗文化財となった「祖谷の蔓橋」は、昭和時代には四国と全国を代表する観光地として、路線バスや観光バスで観光客が押し寄せた。

販売駅
土讃線 阿波池田(あわいけだ)駅 1914(大正3)年3月25日開業 徳島県三好市池田町サラダ
調製元
清月別館 徳島県三好郡池田町字サラダ1893の1 08837(2)1166