徳島駅から特急列車「剣山(つるぎさん)」で1時間弱。貞光は吉野川に面する徳島県美馬郡つるぎ町の中心地で、貞光駅には特急を含めすべての列車が停車する。駅弁は2005年秋の遠隔地での駅弁催事で突然に登場して駅弁ファンを驚かせたが、以後に毎週火木曜日のみの試験販売を改札外駅舎内の売店で続け、2011年頃まで実施した模様。1914(大正3)年3月25日開業、徳島県美馬郡つるぎ町貞光馬出。
2020(令和2)年10月10日に発売。同日に徳島線の徳島駅〜阿波池田駅で運行を開始した観光列車「藍よしのがわトロッコ」の、阿波池田駅行き下り列車「さとめぐみの風」の乗客に対して、乗車日4日前までの予約により、貞光駅からの車内で販売するお弁当。車内限定での販売であり、駅では売らないので、断じて「駅弁」ではないが、商品名に「駅弁」と書いてある。加えて報道や宣伝やJR四国が、徳島県に駅弁が復活と明記した。主にJR駅の駅弁屋で構成する日本鉄道構内営業中央会の会員が調製する弁当だからと、そう解釈されている。徳島駅行き上り列車「かちどきの風」でも「藍よしのがわうなぎ弁当」が予約販売されるが、こちらは駅弁とは紹介されない。
掛紙の絵柄はその観光列車と車窓の写真。簡易なプラ容器に白飯を詰め、阿波尾鶏(あわおどり)の塩焼、鶏そぼろ、玉子そぼろで覆い、季節の野菜つけ合わせ、みまからドレッシングのカップ、すだちを添える。その内容は下記の駅弁「阿波尾鶏とりめし」をアレンジしたものだという。今回はデパートの駅弁大会での実演販売で、すだちが現物でなく汁の袋入りとなり、付合せはひじき、切り干し大根、じゃがいもであった。2022(令和4)年は1月の京王百貨店の駅弁大会に加えて、続く阪神百貨店の駅弁大会、鶴屋百貨店の駅弁大会でも販売した。
2005(平成17)年の秋に、各地のスーパーの駅弁大会で突然に出現した、貞光駅の駅弁を名乗る弁当。スリーブには立派な鶏と商品名と地鶏の説明を高らかに掲載。中身は茶飯を鶏そぼろと錦糸卵で覆い、鶏照焼2枚と大根桜漬を載せるもの。阿波尾鶏というブランド鶏を、地鶏を名乗るにしては、身に締まりを感じられない、ゆるい風味と食感を持っていた。
調製元は鳴門金時羊羹(ようかん)その他の芋菓子で定評や表彰歴のある、徳島県貞光の和菓子屋さん。貞光駅の駅構内営業の権利を持っており、日本鉄道構内営業中央会の会員なので、弁当に駅弁マークを使うことができる。
まずは2005年9月16日から2006年3月まで、毎週火・木曜日だけ貞光駅の売店で一日三個のみの試験販売を開始した。その形態を続けたまま、2011年頃に販売が終了した模様。しかしこの弁当はこのように、貞光駅の駅弁を名乗り、スーパーの駅弁大会に出荷され続ける。法令の改訂で製造委託の業者名が記されるようになり、食品表示ラベルに上場企業の弁当業者の名前が出てきた。
※2021年3月補訂:写真を更新し現況を追記2005(平成17)年11月6日に購入した、貞光駅弁のスリーブ。上記の2021年のものと、まったく同じ。容器も中身も同じ。当時もスーパーの駅弁大会で盛大に販売されていたが、現地でも一応ひっそりと、曜日限定個数限定で販売の実態を持たせていた。
フライドポテト大のサツマイモを6本、密封してボール紙のパッケージに収める。焼き芋のような、大学芋のようなもの。パッケージに書かれるとおり、製造元の主力商品「鳴門うず芋」の姉妹品。同商品が10〜4月販売の季節限定商品で、これが5〜9月の季節限定商品で、どちらかが売られているという仕組み。訪問時は6月なので、こちらのみが買えた。徳島空港でも販売。全国のデパートで買えるかもしれない。
この商品は駅弁ではないが、かつて上記の駅弁を販売したとされる業者の商品で、同社はJR徳島線貞光駅の構内営業者であり、2016(平成28)年時点でも引き続きそうである模様。駅売りの名物とは認識されていないとは思うが、駅舎には売店があり、「鳴門うず芋」をまるで駅弁の立ち売りのような姿で売る写真を使う宣伝ポスターが貼られていた。