博多駅から鹿児島本線の電車で約30分。鳥栖市は佐賀県の東端に位置する、人口約7万人の宿場町。幹線鉄道や高速道路が交わる交通の要衝で、工場や物流施設が立地する。駅弁は明治時代からの駅弁屋のものが、駅舎内と各ホーム上のうどん店で売られる。1889(明治22)年12月11日開業、佐賀県鳥栖市京町。
博多駅から新幹線で1駅13分。九州新幹線鹿児島ルートの開業により、長崎本線との交差点に駅ができ、将来は九州新幹線の長崎ルート改め西九州ルートの分岐が予定されている。駅の開業とともに、在来線の改札脇に鳥栖駅の駅うどん・そば屋が進出し、駅弁も売る。2011(平成23)年3月12日開業、佐賀県鳥栖市原古賀町。
「復刻版焼麦」と紹介されることもある。その名のとおり鳥栖焼麦の復刻版で、2003(平成15)年3月6日に鳥栖駅で発売。経木枠の長方形の容器を朱色のボール紙の枠にはめる。中身は1956(昭和31)年の発売開始時から昭和50年代頃までの味を再現したもので、模造竹皮に包まれた15個の焼麦は、当時の通常品に比べてジューシーな感じ。売店の売り子さんもこちらがおいしいよと勧めた。一方で日持ちはしないので、お土産には向かない。価格は2004年時点で525円、2014年4月の消費税率改定で540円、2023年時点で580円、12月から600円。
鳥栖駅の焼麦あるいは焼売は、長崎中華料理専門店の指導により、1956(昭和31)年に発売。昭和時代の駅弁紹介本では、当時は東海道本線の沿線を中心に全国各地に存在した駅売り焼売の中で、「東の横浜、西の鳥栖」と、横浜駅弁の崎陽軒のシウマイとともに高く評価されていた。平成時代にはそうでもなくなってきたが、焼麦弁当の販売や復刻版焼麦の誕生で、鉄道ファンや駅弁ファンの間ではその名を取り戻しつつあると思う。
※2024年3月補訂:写真を更新2017(平成29)年2月4日に購入した、鳥栖駅弁のスリーブ。上記の2024年のものと変わらない。変わらないから、売り場で分かりやすい。
2004(平成16)年2月22日に購入した、鳥栖駅弁のスリーブ。上記の2017年ものと、まったく同じ。パッケージで「しゃおまい」と書いて、食品表示ラベルで「しゅうまい」と書く、商品名の相違もまた変わらない。
1977(昭和52)年10月15日の調製と思われる、昔の鳥栖駅弁の掛紙。現在の鳥栖駅のシュウマイは焼麦と書くので「やきむぎ」などと呼ばれることがあるが、当時のこれならシュウマイと呼んでもらえそうで、しかし掛紙でのふりがなは「しうまい」である。また、暖めれば美味いぞという、駅弁らしからぬ注記がある。
2023(令和5)年8月19日に鳥栖駅と新鳥栖駅で発売。鳥栖駅で70年近い歴史を刻む「焼麦(しゃおまい)」の、スリーブを黄色くして、火を噴く鶏を描き、見た目がちょっと黄色いしゅうまいを15個並べる。中身は似て非なるもので、豚肉でなく鶏肉を使い、キャベツと玉ねぎとグリーンピースなどに加えて胡椒と唐辛子とチリソースを混入。食べれば香辛料の香りが立ち、少しするとその刺激が広がる。駅弁では記憶になく市販の食品でもまず見ない、辛いしゅうまいは新感覚。価格は8月の発売時で580円、12月から600円。
1986(昭和61)年に発売。鳥栖駅で1913(大正2)年から売られる鶏飯の駅弁「かしわめし」に、鳥栖駅で1956(昭和31)年から売られて昭和時代に名声を築いた駅売り焼売の新名称「焼麦(しゃおまい)」を合わせて作られた。鶏スープの味付飯を鶏フレークと錦糸卵で覆い、しゅうまいを6個詰めて、甘酢生姜と大根桜漬と、醤油と辛子を添える。そんないいとこどりの駅弁に見えて、この駅弁の存在感は薄く、下記の駅弁「長崎街道焼麦弁当」のほうがよく出てくる。価格は2001年時点で700円、2014年時点で740円、2023年時点で780円、12月から820円。
※2023年12月補訂:値上げを追記2001(平成13)年11月12日に購入した、鳥栖駅弁のふた。上記の2022年のものと同じ。容器も中身も変わらないし、値段もたいして変わらない。駅弁催事に出てこなくなり、現地でないと買えなくなった点が、変化かもしれない。
鳥栖駅の鶏飯と焼売の駅弁「焼麦(しゃおまい)弁當」に、鮭や煮物など幕の内弁当タイプのおかずを加えた商品。鳥栖駅の駅舎を描いたふたには、「焼麦弁当」や「かしわ鶏めし」の名はあるが、長崎街道の文字はどこにもなく、食品表示ラベルに記されるのみ。スーパーやデパートの駅弁大会で輸送販売される鳥栖駅弁は、だいたいこれ。価格は2004年時点で850円、2011年時点で900円、2014年4月の消費税率改定で930円、2023年時点で980円、12月から1,030円。
※2023年12月補訂:値上げを追記2004(平成16)年11月9日に購入した、鳥栖駅弁のふた。上記の2019年のものと、何も変わらない。容器も中身も変わらない。「長崎街道」の表記は、ふたには当時からなかった。
1956(昭和31)年に発売し、1990(平成2)年にパック入りへとリニューアル。14センチ四方のボール紙製容器の中に、こちらにも能書きがある密封容器が入り、その中に9個の焼麦が収められている。「駅弁」とは言い辛いが、箱に日本鉄道構内営業中央会の駅弁マークが入るので、こちらで紹介。このタイプの焼麦は2017年の夏頃に終売の模様。
※2019年8月補訂:写真を更新し終売を追記2002(平成14)年3月19日に購入した、鳥栖駅弁の紙箱。上記の2017年のものと、まったく変わらない。
3種類が存在した鳥栖駅の焼麦で、一番高価なパッケージ。とはいえその中身は、15日間保存可能な9個420円の密封パック版焼麦が2パック入るもの。通常・特製その他のバリエーションがある東の横浜のシウマイとは異なり、この西の鳥栖の焼麦は消費期限が当日限りの15個入り540円のものも含め、豪華さに差異があるわけではない。このタイプの焼麦は2017年の夏頃に終売の模様。
※2019年8月補訂:写真を更新し終売を追記2004(平成16)年2月23日に購入した、鳥栖駅弁の紙箱。上記の2017年のものと、まったく変わらない。