博多駅から新幹線つばめ号で40分。玉名市は熊本県の北部で有明海に面する、人口約6万人の河港町。かつて高瀬を名乗った有明海や菊池川の港町で、古くは朝鮮や中国との貿易港、江戸時代は肥後米の出荷で栄えた。JR鹿児島本線の特急停車駅であった玉名駅に駅弁はなかったが、九州新幹線鹿児島ルートの全通でできた新玉名駅には、地元の食堂や料理屋の駅弁ができ、駅の観光案内所の売店で売られる。2011(平成23)年3月12日開業、熊本県玉名市玉名。
2011(平成23)年3月12日の新玉名駅の開業とともに駅弁デビュー。玉名市地域振興課に設けた「新玉名駅開業イベント実行委員会」で、この年の1月に駅弁コンテストの参加者を募集し、2月9日の審査会で優秀賞となった弁当と、玉名ブランド協議会が2008(平成20)年2月から毎年1〜2回の認定を実施する「玉名ブランド」の弁当が、新幹線の駅の駅弁となった。これは後者で、2010(平成22)年12月の第4回認定品のひとつであり、調製元の日本料理屋が1973(昭和48)年から作るもの。
県内の南関町の米を使う寿司飯の上を、甘い醤油とだしで味付けたワラビ、タケノコ、ゼンマイ、セリなどの山菜で覆う。昭和の昔に各地で人気だった山菜駅弁とは一線を画す、味と食感の柔らかさが印象的。シンプルで安価な点もまた印象的。価格は2013年の購入時で500円、2016年時点で580円、2017年時点で600円、2021年時点で630円、2022年時点で650円、2024年時点で700円。
※2024年9月補訂:値上げを追記2011(平成23)年3月12日の新玉名駅の開業とともに駅弁デビュー。そのプロフィールは、上記の駅弁「山菜寿し」とまったく同じ。具の木耳(キクラゲ)が鶏肉になり、掛紙の色と絵柄が違う他は、容器や中身も同じである。県産鶏の余分な油を抜き、秘伝のタレで長時間じっくり煮込んで味付けたという甘めの鶏肉は、見ても食べてもツヤツヤしている。価格は2013年の購入時で500円、2016年時点で600円、2017年時点で650円、2021年時点で680円、2022年時点で700円、2024年時点で750円、9月のJR九州の駅弁キャンペーン「第15回九州駅弁グランプリ」へのエントリー時で800円。
※2024年9月補訂:値上げを追記これは駅弁ではないが、駅弁と同じ売店で販売されていた地元の食べ物。これも新玉名駅弁「山菜寿し」と同じ「玉名ブランド」を、同じく2010(平成22)年12月の第4回認定品として得ている。つぶあんが入る白いまんじゅうに、熊本県のどこにでも現れるキャラクター「くまモン」の焼き印を押して、透明なプラ製容器に1個を収め、くまモンを印刷した掛紙で巻く。やさしさのあるおまんじゅう。新玉名駅の売店もまた、くまモンに占拠されていた。
新玉名駅では2012(平成24)年7月14日に土休日限定で発売。長洲町旅館飲食店組合が1年かけて開発し、この年の4月1日に長洲町で発売した予約制の弁当が、隣の町で駅弁になった。同年8月には社団法人熊本県物産振興協会の平成24年度優良新商品審査会において優良商品賞を受賞し、そのシールもふたに貼られる。
正六角形の容器の半分に、有明海産アサリの炊込飯にアサリの酒蒸しと金魚型のニンジンを置いた「きゃあめし」を、もう半分にイイダコ、玉子焼、サトイモやカボチャなどの煮物、「的ばかいだご」という長洲のあんころもちなどを詰める。これもまた駅弁らしからぬ風味と食感の柔らかさと、おかずの身の大きさがあると思う。価格は2013年の購入時で800円、2016年時点で1,000円。2017年時点で、駅では売られていない模様。2021年のJR九州の駅弁キャンペーン「熊本・鹿児島 九州新幹線駅弁シリーズ2021」にエントリーされ、価格は1,100円。
※2021年3月補訂:発売と値上げを追記2016(平成28)年7月16日の発売。同年度のJR九州の駅弁キャンペーン「第12回九州駅弁グランプリ」にエントリー。四角い容器に御飯を敷き、たっぷりの刻みアナゴと錦糸卵で覆い、煮物と生姜を添える。包装も見た目も味も、きれいなお弁当。味付けは物足りないくらい、軽くあっさり。「木の折箱」なので、ひつまぶしとして茶やだし汁をかけることはできない。熊本のひつまぶしはこういうものだ、ということでもないようだ。2018年頃までの販売か。
JR九州の駅弁キャンペーン「第9回九州駅弁グランプリ」の実施に合わせて、2012(平成24)年10月に発売か。同キャンペーンにエントリーされ、第6位の評価を得た。前年の新玉名駅の開業を目前にした2011(平成23)年2月の「玉名発!オリジナル駅弁コンテスト」で、優秀賞を得た作品の商品化。横に細長いボール紙製の仕出し弁当容器を包む掛紙には、駅弁の名前、阿蘇と通潤橋と思われるイラスト、賞状の縮小コピー、一部手書きのおしながきを載せる。
地元の薬草と食材を多用する中身は、春夏秋冬の季節により変化する。今回購入の冬バージョンは、エノキなどの炊込飯、南関米と薬草の俵おむすび、ハヤの佃煮、海老の塩焼き、ナズナとオオバコのコロッケ、きぬさや、鶏とカボチャの煮物、ミニトマト梅肉漬、みかんゼリー、オオバコ入り天ぷらなどが入っていた。掛紙に「二人で食べる」とあり、割りばしが2膳付いてきて、多くの具が2個入っている。分量はそこまで多くなく、ひとりで食べられる。価格は2012年の発売時や2014年の購入時で1,000円、2014年10月までに1,100円へ値上げ。2018年頃までの販売か。
※2021年3月補訂:終売を追記JR九州の駅弁キャンペーン「第10回九州駅弁グランプリ」の実施に合わせて、2013(平成25)年10月に発売か。見た目は全国各地にある肉駅弁で、御飯の上で牛肉煮と錦糸卵と豚肉煮がストライプを描き、野菜と生姜を付け合わせる。掛紙には商品名と中身の写真を載せ、くまモンと九州駅弁マークを掲載。価格は2013年の発売時や2014年の購入時で900円、2014年10月までに1,000円へ値上げ。2018年頃までの販売か。
あそび豚、正式には「肥後あそび豚(とん)」は、熊本県大津町の養豚業者のブランド豚。県内2箇所の自社農場で繁殖し肥育する。オランダから導入した品種「ハイポー」と、阿蘇の伏流水を飲んで広い豚舎で育つことと、出荷豚の体重を均一化したことが特徴だとか。
※2021年3月補訂:終売を追記2011(平成23)年3月12日の新玉名駅の開業とともに駅弁デビュー。これも同日に駅弁となった「山菜寿し」などと同じく、2010(平成22)年12月の第4回認定品の「玉名ブランド」の弁当のひとつ。中身は、熊本県南関町の一部で生産される大粒の米「大蛇の瞳」を使う酢飯を、同町特産の「南関あげ」で巻いた太巻きが4切れと、サトイモやレンコンなどの煮物と高菜など。
太巻きの具には、シイタケ、カンピョウ、玉子焼、カニかまなどとともにミツバとクリームチーズが含まれており、都会的あるいは外国的な香りが感じられる。玉名なのに隣町の南関だらけだが、南関町は玉名郡で玉名エリアの一員であり、過去には南関や長洲を含めた玉名地域の1市8町で合併推進協議会が設置されたこともあったから、外してはいない。2017年時点で、駅では売られていない模様。
※2017年4月補訂:終売を追記新玉名駅の駅弁「玉名特産南関揚げ巻き寿司弁当大蛇の瞳」の、2014(平成26)年時点での姿。名前と掛紙と容器と価格は変わらない。太巻きが4切れから3切れに減り、鶏肉と金時豆が入り、煮物の内容が変わっていた。いずれにせよ、今は駅では買えない
熊本駅からJR鹿児島本線の電車で約30分。2011年に九州新幹線が開業するまで、玉名の鉄道での玄関口は玉名駅であり、博多と熊本や鹿児島を結ぶ特急列車が停車した。この駅が高瀬駅を名乗っていた明治時代に、駅弁が売られたことがあるらしい。1891(明治24)年4月1日開業、熊本県玉名市中。