博多駅から新幹線で約1時間半。薩摩川内市は鹿児島県の西部で東シナ海に面する、人口約9万人の工業都市。2004年に新幹線が開通し、ほぼすべての列車が止まる。駅弁は1932(昭和7)年から売られ、2008年に撤退、以後は出水駅や鹿児島中央駅の駅弁の、ごく一部が売られることがある。1914(大正3)年6月1日開業、鹿児島県薩摩川内市鳥追町。
深めで小さな経木枠の長方形の容器に木目調のボール紙でフタをして、白い掛紙ですっぽり包んでゴムで留める。中身はちりめん御飯にサバ竜田揚、カレーコロッケ、薩摩揚、大学芋、玉子焼、だいこんなますなど。この価格でお品書きまで付いている、見た目も風味も美しく、かわいらしい駅弁。この駅弁は2008年の駅弁業者の撤退により失われた模様。
川内駅は2004年3月の九州新幹線部分開業に合わせて、旧来の国鉄型駅舎を撤去して大きく立派な橋上駅に生まれ変わった。駅前広場も完璧に整備され、新幹線とマイカーの時代合わせたアップデートが完了したが、その結果なんとなく人の賑わいが薄れたような気がした。
※2009年9月補訂:終売を追記主に在来線特急「つばめ」車内で販売するために開発された駅弁。赤い正方形の容器に菱形の仕切りを入れ、真ん中に鮭そぼろと胡麻を半分ずつ振った御飯、その周囲に野菜の煮物や高野豆腐の含め煮など、おかずとしてヘルシーな煮物を多く配置する。御飯の上には花が咲き、各食材の形が整っているなど、見た目に本当に美しい駅弁。もちろん、味も大丈夫。この駅弁は2008年の駅弁業者の撤退により失われた模様。
2003年度には九州新幹線新八代・西鹿児島間の開通が予定される。川内には新幹線の駅ができ、鹿児島本線のうち八代駅から川内駅までの間は第3セクター会社で営業が続けられるものの、博多駅と西鹿児島駅を約4時間かけて結ぶ特急列車「つばめ」は八代駅で打ち切りとなり、九州新幹線列車との乗り継ぎによる1時間ちょっとずつの旅となる。この駅弁はそのとき、どうなるのだろうか。
※2009年9月補訂:終売を追記経木枠の栗型容器に木目調のボール紙でふたをして、単純に栗を描いた掛紙で包み、ビニールひもでしばる。中身は茶飯の上に栗の甘い甘い甘露煮をごろごろと、そのうえ有頭海老、アミエビ佃煮、蒲鉾、肉団子、玉子焼、薩摩揚、ひじき、椎茸その他多種の付属品が付いてくる、栗飯駅弁の枠に収まらない充実の内容。この駅弁は2008年の駅弁業者の撤退により失われた模様。
「九州の駅弁ランキング第2弾」では新作と案内されたが、掛紙の「いい日旅立ち」マークのとおり国鉄時代から存在し、しかし近年は前日まで5個以上での予約を要するという知られざる駅弁であった。そんな取り扱いを駅弁ラリー開始後も続けたため、チラシ片手のラリー客が困り果てたが、ほどなく1個から予約OKに改善された。この駅弁の内容を一個から作るのはコストがかかりそうで、ランキングにエントリーしなければ良かったのではと思う。
※2009年9月補訂:終売を追記2005(平成17)年の初頭には発売か。ふた付きで長方形の黒くて厚い容器に、割りばしとおしぼりを置いて簡素なデザインの掛紙を巻き、ビニールひもでしばる。中身は煮込黒豚めしなるタレの浸みた五目飯の上に、黒豚ロース味噌焼がべったり載る、見た目に重厚で濃厚なもの。味もそのまんまで、際立つ個性は半端でない。鹿児島県内の駅弁屋はすべて黒豚弁当に手を出したが、例えば駅弁催事に出すとして、最も活躍しそうなのはこれかもしれない。この駅弁は2008年の駅弁業者の撤退により失われた模様。
薩摩川内(さつませんだい)市は、2004年10月に川内市と8町村の合併で誕生した、鹿児島県内で最も面積が大きい自治体。川内市を名乗ると宮城県の仙台市と読みが同じなので、旧国名である「薩摩」の冠を被せた。駅名はそのまんまで、川内駅も仙台駅もいずれも新幹線駅となったが、相手は東北の首都であるし、JR線で1,769.5キロも離れているので、混同はほとんどないだろう。
※2009年9月補訂:終売を追記川内駅の幕の内系駅弁。大きめな容器を大きな掛紙で包み、ビニールひもでしばる。中身は仕切りで十分割され、梅とプレーンの花形御飯が二個、鶏唐揚や玉子焼や昆布巻、煮鯖やちりめんやひじき、薩摩芋甘露煮に薩摩揚にかつおみそなど、デザートに果物のゼリー。この駅弁は2008年の駅弁業者の撤退により失われた模様。
中身に鹿児島を感じ、手製のお品書きまで付いて、それによると鹿児島を感じない中身も材料は地元のものだそうで、通常は幕の内駅弁など来ない都会の百貨店の駅弁大会に出品されているとなると、これは駅弁の名前に違い幕の内弁当ではない。
※2009年9月補訂:終売を追記1960(昭和35)年に発売し、2004年の九州新幹線開業に合わせて同年7月20日にリニューアルした、川内駅の要予約駅弁。長方形の経木枠の容器に木目調のボール紙でフタをして、駅弁の名前を書いた掛紙をかけて紙ひもでしばる。中身は玉子焼や薩摩揚などを添える鰻重。御飯の上に加えて中にも、地元の川内うなぎの蒲焼が敷き詰められる。
風味は淡泊な感じで、予約時に特上の名前や1,300円の価格に期待したがゆえに、食べてガッカリという感想も見る。しかし地元のウナギを駅弁にするところは他に浜松と豊橋くらいか、お店でも中国、三河、浜名湖産でないウナギを見ることは少ない感じ。普段は味わえない風味を提供し、旅の気分を盛り上げる役割を担えるはず。うなぎの分量も、駅弁にしてはたっぷり入る。
川内駅の駅弁屋はたくさんの名前を持つらしい。「お弁当の西原」「弁当の西原」「西原弁当」に加えて、この駅弁には「西原特急弁当謹製」などと書かれていた。
この駅弁は2008年の駅弁業者の撤退により失われた模様。
※2009年9月補訂:終売を追記