釧路駅から花咲線(根室本線)の普通列車で1時間弱。厚岸町は北海道の東部で太平洋に面する、人口約9千人の港町。江戸時代から漁港として栄え、厚岸湖のカキは特産である。駅弁は厚岸駅の開業とともに創業した調製元が、今は駅前で販売。「かきめし」は駅弁と地域の名物である。1917(大正6)年12月1日開業、北海道厚岸郡厚岸町宮園町。
2023(令和5)年の7月までに東京で発売か。容器の構造は、厚岸駅の駅弁「かきめし」と同じ。掛紙の絵柄も、背景と商品名以外は、だいたい共通。この浅く平たい容器に、ひじき入り炊き込みご飯を詰め、ホタテ煮を並べ、しいたけ、あさり、つぶ貝、ふきも載せ、たくあんと福神漬けを添える中身も、「かきめし」とよく似ている。どうもこの駅弁は、2010年代に現地の厚岸駅前でまれに買えたり注文できた弁当が、現地で売り止めてから製造委託で東京に進出したものらしい。2023年時点でも厚岸の駅弁は現地ではほぼ開店休業中のようで、このまま厚岸を名乗る東京駅弁になるのだろうか。価格は2010年代の現地で900円、2023年の東京で1,080円。
2022(令和4)年1月の京王百貨店と阪神百貨店の駅弁大会で、厚岸駅の駅弁として実演販売。同じ場所で作る「かきめし」と同じカキ飯に、ホタテ煮、カキ煮、焼きサーモン、いくら、錦糸卵を並べ、玉子焼とわかめを添える。見た目と構成で、厚岸駅弁らしからぬ普通の姿をしている。醤油味なのかカキのエキスなのか、味の濃さは特徴だろう。この時点で駅でも注文か予約すれば買えるのか、そもそも厚岸駅前の駅弁屋は営業しているのか分からない。
2019(平成31)年2月の鶴屋百貨店の駅弁大会で実演販売。百貨店のチラシには「平成24年第49回厳選弁当」「鶴屋創業60周年記念限定商品」という具合に、厚岸駅の駅弁でなく厚岸駅の駅弁屋がつくる催事限定商品であることを明記したが、現物にそんな表記はなく、駅弁マークも付いた本物の駅弁に見える。
同じ場所で実演販売されていた厚岸駅弁「かきめし」と同じ容器に同じ御飯を詰めて、同じカキ4個、錦糸卵、カニほぐし身、蒸しウニをきれいに並べた。ボリューム感のある味。2020年の同大会でも1,680円で、2022年の同大会でも1,780円で実演販売された。
※2022年4月補訂:値上げを追記2018(平成30)年2月の鶴屋百貨店の駅弁大会で、厚岸駅弁のかきめしとともに実演販売されたお弁当。「氏家かきめし海鮮スペシャル」と書いた掛紙を用意、中身は通常版の「かきめし」の飯を、カキ5個、ウニ、イクラ、カニのほぐし身とブロック、豚肉細切れ焼で覆うもので、もはやカキ飯の味はしない。北海道駅弁や北海道催事の海鮮駅弁とはずいぶん違う印象を持つ、濃く暗い色彩を持つB級グルメ。ただし価格は豪華海鮮駅弁以上。
2014(平成26)年の秋に発売。翌2015(平成27)年1月の京王百貨店の駅弁大会で実演販売された。これは主に、製造委託で駅弁催事や東京駅の駅弁売店「駅弁屋 祭」などの、日本レストランエンタプライズ(NRE)の駅弁売店で売られる商品であるが、現地でも事前の予約により販売し、調製元も公式サイトでそう案内する。
中身は、厚岸駅の名物駅弁「かきめし」に、カニとワカメと玉子焼を追加したもの。かきめしの部分の味は評判どおりだが、見た目でも味でもカニが浮いてしまっており、弁当全体での評判はどんなものか。価格は2015年の購入時で1,200円、2017年時点で1,280円、2020年時点で1,480円。
※2020年5月補訂:値上げを追記楕円形あるいは小判形の容器に、帆立の煮汁で炊かれたと思われる焦茶色の御飯を詰め、錦糸卵できれいに覆い、その上に濃く味付けられた大きなホタテを3個載せて、アスパラなどを添える。厚岸駅の名物駅弁「かきめし」と同じく、磯の香りを通り越して潮臭い濃厚な風味。
2004年の厚岸駅への訪問時、駅のキヨスクでは「かきめし」とこの「ほたて弁当」を販売していた。一日平均500名程度しか利用しない駅で、そうたくさん駅弁が売れるとは思えないのに、「かきめし」と御飯を炊き分けた点に凄みを感じた。2004年末頃の情報では、良いホタテの入手難により予約販売に切り替わったとか。また、厚岸駅弁の駅での販売は2011年6月から取り止められているという。価格は2004年の購入時で800円、2010年時点で900円。
※2020年5月補訂:値上げを追記2018(平成30)年1月の京王百貨店の駅弁大会で、厚岸駅の駅弁「かきめし」とともに実演販売されたお弁当。通常版の「かきめし」と同じ容器を、専用のスリーブに収める。中身は通常版の御飯を使用、飯をカキに加えて、イクラ、ウニ、カニ、玉子焼で覆い、海藻を添える。見た目はいろんな具が載る「ミックス」も、厚岸駅弁かきめしのカキの味と臭いが支配する、海鮮弁当の面白い変わり者。ここと2021年の鶴屋百貨店の駅弁大会でのみ販売か。
※2022年4月補訂:終売を追記2007(平成19)年の秋頃までには、スーパーの駅弁催事で売られ始めた模様。商品名と見本写真が賑やかなスリーブに収めた、小物入れにできそうなプラ容器に、茶飯を少し敷き、ズワイガニのぶつ切り、ホタテ2個、イクラ、ホッキ貝、カズノコで覆い、錦糸卵や山クラゲやシイタケや甘酢生姜を添える。
容器が小さいので分量は少ないが、見た目にも食べてみても贅沢な仕上がり。厚岸では名物のカキに加えて、年間100t程度のホタテやホッキに、年間20t程度のニシンも獲れるとはいえ、このような駅弁が厚岸の駅や街にあるというイメージが湧かない。実際にこれは、スーパーの駅弁催事でしか売られない疑義駅弁である模様。商品の名前はチラシなどでは「厚岸氏家海鮮弁当」とされた。2011年頃までの販売か。
※2020年5月補訂:終売を追記2005(平成17)年10月の新作と案内される、スーパー駅弁催事用の可能性を否定できない、初見の厚岸駅弁。深さのある経木枠わっぱ型容器に、タコ角切りが混ざるタコ飯を軽く詰めて、タコ団子や椎茸や玉子焼などを載せた透明トレーでフタをして、駅弁の名前や立売写真などを描いたビニール袋に詰める。
風味も見てくれも、現地の駅弁とはまるで異なる。新作なのでまだ知名度がゼロなのだと言い訳を付きたくても、大手スーパーの駅弁催事で新登場でも新作でない厚岸駅弁として大々的に販売した以上、狭義でウソだし広義でも疑義を感じる。JR線の営業キロで横浜〜京都間くらい離れる厚岸と静内で、輸送駅弁でしか見ないデザインの同じ箸袋を使う時点で、妖しさいっぱいの疑義駅弁。調製元の所在地や電話番号の記載がないのも、もっと怪しい。2011年頃まで催事に時々出ていた模様。
※2020年5月補訂:終売を追記購入時の首都圏の商業施設で毎日実演販売していた、厚岸駅の駅弁を名乗る商品。掛紙を使わずプラ容器の透明なふたに、「厚岸道立自然公園」と銘打つ厚岸と周辺の略図を印字する。中身茶色の濃い茶飯を、イクラで半分弱、シメジやエリンギなどで半分強覆うもの。現地で売られることはないようだ。2005〜2006年の駅弁大会シーズンでは、まだ発見していない。
購入時の首都圏の商業施設で毎日実演販売していた、厚岸駅の駅弁を名乗る商品。掛紙を使わずプラ容器の透明なふたに、「厚岸道立自然公園」と銘打つ厚岸と周辺の略図を印字する。中身茶色の濃い茶飯を、ウナギの蒲焼きで半分強、シメジやエリンギなどで半分弱覆うもの。現地で売られることはないようだ。2005〜2006年の駅弁大会シーズンでは、まだ発見していない。
1981(昭和56)年5月2日7時の調製と思われる、昔の厚岸駅弁の掛紙。厚岸湖に厚岸大橋や国泰寺にカキやヒオウギアヤメやエゾヤマサクラなどの厚岸の線画と、北方領土や厚岸の地図が描かれる。
1950年代、昭和30年前後のものと思われる、昔の厚岸駅弁の掛紙。下記の「お辨当」と同じもので、価格を60円から80円に訂正した。
1950年代、昭和30年前後のものと思われる、昔の厚岸駅弁の掛紙。収集者は1954(昭和29)年3月13日の調製とみなし、掛紙に数字を書き入れた。当時の名所として、北大臨海実験所、国泰寺、かき島、捕鯨場を、文字とイラストとシルエットで掛紙に記す。イラストが1点多く、これは大黒島と灯台を描いたものか。