東京駅から東北新幹線はやぶさ号で2時間強。盛岡市は岩手県の中部に位置する、人口約29万人の城下町で県庁所在地。古くから人が住み、地域の拠点があり、江戸時代に南部氏盛岡班の城下町が確立。河川も道路も鉄道も高速道路も新幹線も分岐する交通の要衝で、行政や商工業の集積がある。駅弁は明治時代からあるものの、21世紀に入ると国鉄時代からの駅弁屋2社が消え、東京資本の駅弁屋2社の支店も消え、今は仙台駅や青森県あるいは東京の駅弁を販売。1890(明治23)年11月1日開業、岩手県盛岡市盛岡駅前通。
2002(平成14)年までには発売か。中身はスリーブの写真のとおり、丸い容器に白飯を詰め、イクラ、蒸しウニ、カニ、アワビ煮と味付めかぶで90度ずつ覆うもの。「たっぷり使った海の幸、ぜいたくな美味しさです。」を少量ずつ収めた小柄な駅弁で、新幹線の車内食としてうまくできているように思えた。また、日本レストランエンタプライズ(NRE)のコンセプト「FRESH&HEALTHY」に基づくのか、海草に着色料を用いないのは、駅弁ではとても珍しいと思う。
盛岡駅は岩手県内で最大の鉄道ターミナル。しかし2005年時点で駅弁に関しては、むつ弁の廃業、村井松月堂の倒産、伯養軒の事業譲渡と暗い出来事が続いた結果、魚元の宮古駅弁が入荷する他は、NREが東京都内と同じ駅弁を売るような駅になってしまった。
この駅弁は調製元の盛岡支店の閉店により、なんと新青森駅の駅弁に進出した幸福の寿司本舗へ引き継がれた。
※2017年8月補訂:現況を追記全国の駅売店やコンビニなどでおなじみの、味付ゆで卵。JRの駅のキヨスクや、東北その他JR東日本の新幹線では車内販売で売られるタイプは、味付ゆで卵を2個、食品表示ラベル情報を印刷した紙ナプキンに包んで、白いプラ製ネットに詰める。殻のどこにも穴が開いていないのに、半熟の中身に塩味が付いていることに、誰もが一度は疑問を持ったのではないかと思う。
こういう市販の味付ゆで卵は、1980(昭和55)年に発売したらしい。鉄道の高速化や所要時間の短縮で、従来の塩付きゆで卵の需要が減少したため、岩手県の鶏卵業者がこれを開発、盛岡駅のキヨスクで販売を開始したという。これがヒットして、今では属地性のない全国区の商品であるが、その元祖に敬意を表し、盛岡駅の駅弁として紹介する。このJR東日本の駅売店や車内販売で取り扱われる、味付ゆで卵の元祖であるマジックパールは、しっとり濃厚な風味が人気で、味付ゆで卵は東京駅に限るという意見も聞く。価格は2010年時点で140円、2019年時点で144円、2021年時点で146円、2022年時点で160円
※2023年6月補訂:値上げを追記2019年5月19日に購入した、味付けゆで卵のナプキン。下記の2008年のものと同じ機能と表示を持つ紙で、調製元の社名の変更が反映されている。上記の2020年のものとは、なぜか商品名が異なる。
2008(平成20)年5月8日に購入した、盛岡駅弁のナプキン。上記の2019年のものと同じもので、値段もそれほど変わらない。2014(平成26)年に何らかの事業再編があったようで、第一ポートリーファームのマジックパールが東日本マジックパールのものになったらしい。商品名もちょっと変わった。
上記の商品「マジックパール」の、1個売りパッケージ。JR東日本エリアの駅のコンビニやキオスクで時々見掛ける。中身と味は同じで、添付のナプキンもプラ製ネットも同じもの。しかしなぜかこちらには、商品名の朱書きがなかった。
上記の商品「マジックパール」の、1個売りパッケージ。2017(平成29)年の秋から、東京駅の巨大な駅弁売店「駅弁屋 祭」のレジ横商品になった。キヨスクの袋入りでなく、コンビニのボール紙枠タイプ。業界の再編があったようで、調製元と商品名がだいたい一致した。味付ゆで卵そのものは変わらない。この巨大駅弁売店にこれを持ち込んだ担当者が、もしこの商品が誕生した経緯を意識していたとしたら、かなりの強者かと。
円形の容器に透明なフタをして、駅弁の名前と中身写真を載せたボール紙の枠にはめる。中身は御飯の上に焼鮭、イクラ、玉子焼、帆立、エビ、笹蒲鉾、煮穴子、栗、椎茸、レンコン、フキ、姫竹その他を載せるもの。下記の販売状況はともかく、中身の味は良かった。
2005年9月は東京駅で、今回の2011年5月は一ノ関駅で購入。一ノ関駅では地元の駅弁屋が2社入るという、国鉄時代の東北地方では当たり前で今はもはや希少な駅であるのに、改札外駅舎内の駅弁売店はNREスタイルに改装されてしまい、NRE盛岡の駅弁が置かれるようになってしまった。
この駅弁は調製元の盛岡支店の閉店により、仙台支店へ引き継がれて仙台駅の駅弁となった。価格は2010年時点で1,000円、2014年時点で1,070円、2016年時点で1,100円。2019年までの販売か。
※2023年6月補訂:終売などを追記下記の駅弁「味噌ヒレカツ弁当」の、2010年時点での姿。容器と価格と中身と風味はまったく変わっていないが、今回は商品名だけしか書かれていないとはいえ掛紙が巻かれており、輸送駅弁として恥ずかしくない体裁にはなったと思う。価格は2010年の購入時で600円、2014年時点で640円、2016年時点で650円、2017年時点で700円。
この駅弁は調製元の盛岡支店の閉店により、仙台支店へ引き継がれて仙台駅の駅弁となった。2019年までの販売か。
※2023年6月補訂:終売などを追記御飯の上にキャベツの千切りを敷いて、衣がサクッとしたひれかつを3切れ載せて、わさび漬けなどを添える。写真のとおり、駅弁としての紹介に値しない、個性も地域色もない味噌ヒレカツの惣菜弁当。味はこの手の商品としては、かなりうまい。
この弁当が盛岡駅で売られて、駅弁代わりに使われてもおかしくない。しかしこれがわざわざ新幹線で大宮まで運ばれて、盛岡駅弁として販売されると非常に違和感を覚える。地元業者を駆逐して東京資本が制圧した新幹線主要駅の駅弁が今後どうなっていくかを暗示する、趣味的に見たくなかった商品。
長方形の容器に同色同素材のフタをして、大きな食品表示ラベルを貼った赤い掛紙で包んで、ひもで割りばしごとしばる。中身は白御飯の上に糸コンニャクとゴボウと前沢牛などを載せ、クルミや南蛮漬などを添える。千円を超える値段の駅弁にしては見栄えが素っ気ないが、品質は良い。
しかし、一ノ関駅弁の斎藤松月堂が先に同じ名前の駅弁を出して現地や駅弁催事で人気や評価を得ており、それをまるでNREが意地悪く横取りした感じ。実際に「駅弁屋旨囲門」で一ノ関駅弁と混同して買いガッカリしたという報告がいくつも出ていた。
この駅弁は調製元の盛岡支店の閉店により、仙台支店へ引き継がれて仙台駅の駅弁となった。価格は2005年の購入時で1,100円、2010年時点で1,200円、2014年時点で1,300円。2019年までの販売か。
※2023年6月補訂:終売などを追記