東京駅から新幹線はやぶさ号で約100分。仙台市は宮城県の中央に位置する、人口約110万人の城下町で県庁所在地。豊かな植生で杜の都(もりのみやこ)と呼ばれる、東北地方の首都として君臨する大都会。駅弁は明治時代から売られ、戦後昭和から平成時代に3社が競う日本一の激戦区であったが、JR東日本の子会社が駅弁売店を独占した2010年代からは活気がない。1887(明治20)年12月15日開業、宮城県仙台市青葉区中央1丁目。
仙台駅弁のお花見弁当の2014(平成26)年版で、3月末から5月頭までの販売か。こうやって東京駅でも買えるようになった。こちらは2種類が来たうちの高いほうで、松花堂弁当をダブルで重ねた8区画に、タケノコ御飯、ウナギ御飯、松笠イカや豚角煮、鶏手羽竜田揚、ペンネ、タラの芽天やエビ、煮物、イチゴとティラミスなどを収める。紙製の容器も箸袋も、サクラの色と花びらがいっぱい。
仙台駅弁のお花見弁当の2014(平成26)年版で、3月末から5月頭までの販売か。こうやって東京駅でも買えるようになった。こちらは2種類が来たうちの安いほうで、6区画にタケノコ御飯、チキンカツと野菜肉巻と肉団子、エビチリ、帆立照焼とサメ味噌焼とコロッケ、ペンネとオムレツと牛しぐれ煮、煮物などを収める。紙製の容器も箸袋も、サクラの色と花びらがいっぱい。
下記の駅弁「お花見弁当花ごよみ」の、2011(平成23)年版。値段が同じで中身もおおむね共通だが、掛紙を廃してボール紙製の容器に直接、駅弁の名前や調製元の名称を金文字で印刷している。現地では大小の2種が出ており、ここでは高いほうを購入。紙箱の6区画が賑やかな内容だった。
2010(平成22)年3月15日から5月10日まで販売。この駅弁は毎春の発売で、不思議と上野駅の駅弁売店にもやってくる。花柄の紙箱に、駅弁の名前を書いた桜色の掛紙を巻き、輪ゴムとプラ製の帯で留める。中身はちらし寿司に鮭塩焼、玉子焼、ホタテ串焼、牛肉炒め、コールスロー、サトイモやがんもどきなどの煮物にニシン昆布巻、コロッケやペンネトマトソースやきゅうり一夜漬など。
この弁当ひとつでお花見はできないと思うし、春は中身ではなく箱や掛紙にのみある印象だが、少量なのになんでも入って食べ応えがある。なお、仙台の花見の時期はだいたい4月頃であるそうな。
JR東日本の駅弁キャンペーン「駅弁味の陣2015」の実施を前に、2015(平成27)年10月までに発売。正八角形の容器の中央に白御飯を詰め、鯛みそを置き、ホタテの南蛮漬、サバと野菜のマリネ、笹かまぼことアカモク揚、海苔とアサリの佃煮、牛すき煮、ずんだ白玉団子、豆腐味噌田楽、カボチャやニンジンなどの炊き合わせ、タコとワカメの醤油漬で囲む。
仙台や宮城の食材や料理で構成した、仙台宮城まるごと弁当。新作なのに既視感があり、当館内で探してみると、6年前の同駅同社の「伊達幕」だった。多種のおかずは、おしながきの内容にあるほどコテコテの宮城や仙台というわけでもなく、真ん中の白飯がおいしく、新幹線で酒と楽しめる駅弁だろうかと。どうもキャンペーン終了後直ちに売り止めた模様。
※2017年4月補訂:終売を追記2015(平成27)年5月29日に発売。毎年5月の「仙台青葉まつり」、毎年8月の「仙台七夕まつり」、毎年12月の「SENDAI光のページェント」を「仙台三大まつり」として、掛紙の表面にそれらの写真を、裏面に説明を印刷する。扇形の容器の中身は、鮭はらこめし、牛たんと牛そぼろの御飯、お麩、笹かまぼこ、ホタテ、玉子焼、イカナゴ佃煮、ずんだもち、赤かぶ漬。
祭と中身の関連はないようだが、内容のほとんどが宮城や仙台であり、これは現時点で最強の仙台づくし駅弁。販売箇所は限られると思うが、ここの食の概要を知るために買って食べておきたい駅弁。その方面を解説するしおりが欲しいところ。2018年頃までの販売か。
※2020年4月補訂:終売を追記2011(平成23)年7月16,17日に仙台で開催された「東北六魂祭」に向けて、同年7月1日の販売開始。赤地に黒塗りの容器に直接、東北の6つのお祭りをイラストで描いたボール紙のふたをする。中身は日の丸御飯に1マス、残り6マスは東北6県をイメージし、青森で帆立照焼とイカ酒蒸しとシイタケ肉詰め、岩手でワカメ甘辛炒と鮭ほぐしとサンマ香味揚、秋田でとんぶり甘酢漬ときりたんぽ味噌焼といぶりがっこ、宮城で白石温麺サラダと小茄子煮浸しと笹かまぼこと豚肉の仙台味噌焼、山形で牛肉と野菜の炊き合わせ、福島で若鶏甘辛焼と厚焼玉子とぶどうを詰めるもの。
「東北六魂祭を応援」の文字どおり、東北6県の祭のイラストと各県にちなんだおかずが詰められていて、見栄えは賑やか。 しかし肉の臭みやその他おかずの酸味がかなり気になる感じで、この調製元らしくない。時節柄なのか、震災の影響か。この夏限りの発売だった模様。
2011年3月11日の東日本大震災の影響、地震や津波による直接の被害はもちろん、その後の連日連夜の震災報道による自粛ムードや風評被害による観光その他の地域経済への打撃を打破すべく、東北6県が一堂に集い復興の狼煙を上げると、7月の三連休の土日曜日に仙台市の中心部で「東北六魂祭」が初めて開催された。駅弁のふたのとおり、青森県「青森ねぶた祭」、岩手県「盛岡さんさ踊り」、宮城県「仙台七夕まつり」、秋田県「秋田竿燈まつり」、山形県「山形花笠まつり」、福島県「福島わらじまつり」が順繰りに披露される予定であった。
しかし2日間で10万人という想定を上回る36.6万人もの来場者があり、最高気温33.5度を記録する猛暑も手伝い、会場の定禅寺通は混乱、熱中症での搬送者が続出したり、青森ねぶた祭と秋田竿燈まつりの披露は中止されるなど、呼び寄せられた観光客に不満と災難をばらまく形となってしまった。
2007(平成19)年2月10日に発売したペーパークラフト駅弁。小さな長方形の容器2個を横に並べて、絵はがきやしおりなど様々な紙を挟んで、中身の写真や仙台関連のイラストを印刷したボール紙の枠にはめて、輪ゴムや食品表示ラベルで留める。中身はひとつが鮭はらこめしとずんだもちなど、もうひとつが牛たん弁当に笹かまぼこにナス漬などという、仙台の食と駅弁の主流が少量ずつ詰まる便利な駅弁。
ペーパークラフトには夏と冬の2バージョンがあるそうで、駅弁売店でその写真か実物を見ることができる。添付のチラシにはその組立方法に加えて仙台の祭を7つ紹介、おしながきも完備され、味も常温の駅弁として申し分なく、仙台ビジターズ産業ネットワークの認定を受け、仙台観光コンベンション協会の後援まで付けて、そんな事実を積み重ねれば、とんでもなくすごい駅弁に見える。
しかしウェルネス伯養軒とその駅弁は、前身の伯養軒とその駅弁の東北地方における大きな大きなプレゼンスを考えると、不思議なくらい傍流脇役に追いやられている印象。清算前より縮小したとはいえ郡山・仙台・盛岡・青森の4支店体制を守っているのに、ネット上を除いて会社や商品の紹介例に乏しい。各支店でひとつずつ抱えるペーパークラフト駅弁も、そのアイデアに比して評価や評判は地味なままでいる感じ。
この駅弁は2015年時点で現存しない模様。2011年までの販売か。
※2015年5月補訂:終売を追記2008(平成20)年5月の発売か。長方形の容器に、七福神に加えて調製元のイメージキャラクターである小林亜星氏も満面の笑みを浮かべるめでたい絵柄のボール紙でふたをする。中身は赤飯と桜を添えた白御飯、桜色のエビフライに鮭粕漬、鶏味噌焼、昆布巻、菜の花、大根漬、サトイモやニンジンなどの煮物と紅白のようかん。何を祝いたいのかは分からないけれど、紅白づくしでおめでたい。これを大安吉日限定販売などとやれば、特異な仙台駅弁として目立たせられるのではないかと思う。2008年限りの販売か。
2004(平成16)年の夏に期間限定で販売された同じ名前の東京駅弁が、仙台駅でレギュラー入り。中身は半分が茶飯にウニ、カニ、イクラを載せたごはん、半分が青森で焼帆立やイカ飯、秋田でハタハタ焼やいぶりがっこ、宮城で笹かまぼこやずんだ餅や仙台麩、山形の芋煮や玉こんにゃくなど。
掛紙と中身と風味はほとんど同じで、容器が竹皮編みからボール紙を組み立てたものへと変化した。しかし、東北の祭や食を誰もがマスターしているわけではないので、お品書きがなくなったのは不便だと思う。2009年のリニューアルで容器が正方形になり、2010年頃までの販売か。