東京駅から新幹線つばさ号で3時間弱。山形市は山形県の東部で蔵王連峰のふもとに広がる、人口約24万人の城下町で県庁所在地。市域に立石寺のある山寺や、スキーや樹氷で知られる蔵王が含まれる。駅弁は明治時代の末頃から売られる。1901(明治34)年4月11日開業、山形県山形市香澄町1丁目。
2023(令和5)年1月の京王百貨店の駅弁大会で、山形駅の駅弁として実演販売。中身は掛紙の写真や宣伝文のとおり、酢飯を塩と胡椒で焼き上げた山形牛のローストビーフで包んだ握り寿司6個と、肉に載せずに脇に置いたネギとワサビとガリ。10年くらい前に同じ催事場で売られた一ノ関駅弁「前沢牛ローストビーフ肉巻にぎり寿司」の再来のようで、おいしかったけれども、すごい値段になってしまった。ここ以外で売られたという話を聞かない。
2022(令和4)年8月の新商品か。長方形のプラ容器に白飯を詰め、だし巻玉子3個と山形牛しぐれ煮で覆い、ごぼうときのこの醤油漬と紅大根酢漬を添える。どこかの輸送駅弁で見たことがあるような、玉子焼が多めであること以外は普通にシンプルな牛丼駅弁。
2022(令和4)年8月の新商品か。小柄な長方形の発泡材容器に炊込飯を詰め、牛肉、サトイモ、ねぎ、こんにゃく、たけのこ、しいたけの煮物で覆い、ニンジンで彩り、大根としその酢漬けを添える。2010年発売の加熱機能付き容器の「いも煮弁当」に次ぐ、山形県の内陸部で親しまれる郷土料理「芋煮(いもに)」の名を持つ、唯二の駅弁だろう。こちらは常温で芋煮の雰囲気を醸し出せたかどうか、柔らかみのある牛丼弁当。
2019(令和元)年10月の新作か。調製元は公式サイトでは「10月10日より新発売」としたが、同月1日からのJR東日本の駅弁キャンペーン「駅弁味の陣2019」にエントリーされ、東京駅では6日に買えた。四角い容器に白飯を敷き、牛肉煮、錦糸卵、牛そぼろで覆い、玉子焼、いも煮を意識したような煮物、酢の物を添える。肉が少なめな、普通の牛肉駅弁。「総称」とは何かというと、山形牛の胴元の公式サイトに「総称山形牛」とあり、これが山形牛の本当の名前である模様。価格は2019年の発売時や購入時で1,300円、2022年時点で1,250円、2023年時点で1,280円。
※2023年6月補訂:値上げを追記木目柄で正方形の容器を、ボール紙のパッケージに詰める。中身は白御飯の上に牛肉と山菜と玉子焼を載せて、玉こんにゃくなどを付け合わせるもの。味が濃く野暮ったい古き悪しき駅弁にも見えるし、山形県内陸部の名産をしっかり押さえた風情ある名駅弁にも見える。価格は2008年の購入時で900円、2016年時点で1,000円、2018年時点で1,100円、2020年時点で1,250円。
平成に入り新幹線も高速道路もどんどん延伸され、みちのくは東京から遠い存在ではなくなった昨今、みちのく弁当の旅とはどんな旅だろうか。この駅弁の販売駅である山形駅と新庄駅はいずれも立派で近代的に改築され、大都市やその近郊と何ら変わらない。
※2020年6月補訂:値上げを追記2005(平成17)年頃の発売か。多くの駅弁でおなじみのトレー接着容器を、山形駅弁らしくない催事受けしそうな絵柄のパッケージにはめる。中身は一見してただの牛めしに見えるが、御飯の上に真っ黒な牛すき焼き肉と牛そぼろを載せて、錦糸卵と糸こんにゃくとしめじや山ごぼうなどを詰めて、赤かぶ漬、味噌入りしそ巻き、サクランボのしそ漬けを添えるという、ちょっと特徴的な内容。
風味は可もなく不可もなく。山形県でも奥羽本線沿線な羽前の国は、米沢の牛肉系弁当が知名度を得ており、これが山形の駅弁のイメージになっているから、山形駅でも同種駅弁が売られるのは正しいと思う。価格は2006年の購入時で980円、2016年時点で1,100円、2018年時点で1,200円。
※2019年11月補訂:値上げを追記秋冬の駅弁大会シーズンに向けた、2018(平成30)年秋の新商品か。白御飯を牛そぼろと海苔で覆い、牛肉煮を載せ、キムチもやし、シイタケとニンジンの煮物、大根の漬物を添える。隣県の郡山駅で大ヒットした「海苔のりべん」を、山形駅で牛肉駅弁にしたようなものだろう。味付けは甘めで、米沢駅の駅弁と同じ味がする。価格は2020年の購入時で1,200円、2021年時点で1,250円。2021年春に終売か。
※2022年4月補訂:終売を追記牛肉駅弁の変わり者。専用の紙箱には、駅弁を宣伝するように見える様々なフレーズを描く。白いふたつのプラ製トレーに収めた中身は、一方が山形の紅花ごはんという黄色い御飯、他方がおかずでローストビーフ、らっきょう、ミックスベジタブル、ポテトサラダ、漬物、フルーツなど。ローストビーフの洋食弁当に、和食の駅弁で捨てきれない内容が残された、古めかしく野暮な内容だと感じた。一部の絶賛と多くの不支持に分かれる評価の原因が、なんとなく分かる気がする。2008年頃まで販売された模様。
※2016年10月補訂:終売を追記かつて山形駅で親しまれた駅弁が、駅から撤退し山形駅の駅ビルで売られたもの。長方形の容器を、牛でなく馬と武将を描いたように見える掛紙で包み、スズランテープできつくしばる。中身は白飯を赤身とタレの色が濃い牛すき焼き肉と牛そぼろで覆い、漬物などを添えるもの。視覚と味覚につやのある、常温で柔らかい牛丼。2013年頃までの販売か。
※2022年4月補訂:終売を追記し解説文を整理上記の弁当「山形名産牛肉弁当」の、2011(平成23)年時点での姿だそうな。デパートの山形物産展で実演販売。名前と価格と見栄えはだいぶ変わったが、引き続き山形駅ビル「エスパル」1階で販売された。