東京駅から東北新幹線と磐越西線を乗り継いで約3時間。会津若松市は福島県西部の会津地方の中心である、人口約11万人の城下町。鶴ヶ城や城下町、東山や芦ノ牧などの温泉、白虎隊その他明治維新前後の史跡などで、年間で約300万人もの観光客を集める。駅弁は明治時代からの駅弁屋が1960年前後に撤退、仙台駅弁の支店が出たが2005年に撤退、代わりに進出の地元業者も2008年に撤退、仙台駅弁の郡山支店が再進出するも2020年に撤退、同年10月から郡山駅の駅弁が電車で運ばれる。1899(明治32)年7月15日開業、福島県会津若松市駅前町。
会津若松駅で駅弁も売るコンビニ「ニューデイズ」で、2022(令和4)年11月14日に発売。調製元は会津若松市街の中心部にある割烹料理店で、会津鉄道の車内弁当や会津若松バスターミナルのバス弁も手掛ける。同社の食堂や弁当で1970年から提供される看板商品「輪箱飯(わっぱめし)」のうち主力の「五種輪箱」に、JR只見線の2022年10月の全線運転再開を記念し、只見線の名とすべての駅名を記した緑色の掛紙をかけて、JR会津若松駅へ卸し始めたのではないかと思う。
会津の曲げわっぱにちなんだと思われる木製で円形の容器に、プラ製の上げ底を仕込み、だし飯を詰めて、きのこ煮、ぜんまい煮、鮭、かに、玉子焼で5種の具と枝豆で覆う。蒸し飯の料理であり、煮汁か蒸気でみずみずしく、御飯にはおこわかちまきのような粘度があるため、見た目以上のボリュームで腹持ちがする。価格はバス弁の3割増でも、食堂の3割引なのでお買い得か。
会津若松駅で駅弁も売るコンビニ「ニューデイズ」で、2023(令和5)の秋までに発売か。商品名は食品表示ラベルでは「ソースカツわっぱ」とある。おそらく調製元で汎用の赤い掛紙をかけた、木製で円形の容器に、プラ製の上げ底を仕込み、白飯を詰めて、キャベツの千切りを軽く敷き、ロースかつのソース漬けをカットして並べる。そんな内容と甘いソースで、会津では標準的なソースカツ丼にみえる。値段は標準より3割くらい高い気がするが、会津あるいは福島県内からこの内容の駅弁は消えており、存在するだけで価値があると思う。調製元の食堂のメニューには、カツ丼は見あたらない。
JR会津若松駅の駅前にある、会津乗合自動車の会津バスターミナルで買えた惣菜。ここでは2018(平成30)年3月から、駅弁でなく「バス弁」として弁当が売られる。掲示によらず品揃えは引き続き不定のようで、今回はこれが買えた。商品名は食品表示ラベルでは「ミニ会津輪箱」とある。同じ日にJR会津若松駅で買えた上記の弁当と同じ絵柄の、おそらく調製元で汎用の赤い掛紙をかけた、木製で円形の小柄な容器に、プラ製の上げ底を仕込み、だし飯を詰めて、きのこ煮、ぜんまい煮、鮭、玉子焼、枝豆、大根桜漬で覆う。上記の弁当「田季野わっぱ只見線」と、だいたい同じ内容で、味もそうで、分量と値段は半分以下。
2020(令和2)年10月31日に会津若松駅と郡山駅で発売。駅弁屋が何度も撤退し続ける会津若松駅で、今度は郡山駅の駅弁屋の駅弁が、磐越西線の快速列車による輸送で販売されることとなった。JR東日本仙台支社が福島県会津地域の盛り上げや観光活性化を目的に2019年12月から実施する「会津若松エリアプロジェクト」の一環で、翌2020年2月から郡山駅の駅弁屋と新作駅弁の開発を進めたという。
木製の枠に同柄のボール紙を貼り付けた丸いわっぱを、会津木綿の柄と質感を持つ掛紙で包む。掛紙の裏面には駅弁の特徴と、協力者として織物工場と木綿織元の名も記す。中身は会津コシヒカリの白飯を、会津地鶏のそぼろ、玉子そぼろ、だし巻玉子、ニシンとイカの天ぷら、ゼンマイ、きのこ煮、アスパラ、にんじんで覆うもの。鶏肉と天ぷらで味のあるキノコ丼。一緒に輸送される郡山駅の名物駅弁とともに、今度こそ駅での販売が定着するか。価格は2020年の発売時や2021年の購入時で1,000円、2023年時点で1,100円
※2023年10月補訂:値上げを追記2012(平成24)年2月までに発売。下記の「会津街道蔵出弁当」と、名前は少し異なるが、内容はほぼ同じ。「會津塗」と書いてある、小判形あるいは楕円形の黒いプラ製容器を重ね、下段に山菜栗めし、上段にニシン天ぷら、サケ照焼、鶏照焼、タラやコンニャクなどの煮物、玉子焼、あん玉などを詰める。
2017年のJR東日本の駅弁キャンペーン「駅弁味の陣2017」にエントリー。12年前に食べた記憶は曖昧だが、今回はこんなにうまいものだったかと驚き、今年の味の陣ではナンバーワンだと感じた。受賞はならず。2019年までの販売か。
※2021年3月補訂:終売を追記秋冬の駅弁大会シーズンに向けた、2003(平成15)年秋の新商品か。プラスティック製の黒い小判型容器は二段重ね、これを倉の壁をイメージしたデザインのボール紙枠にはめる。中身は下段が栗とクルミと山菜が軽く載った茶飯、上段が棒タラや身欠きニシンに鶏味噌焼やフナ甘露煮や味噌南蛮や厚焼玉子など。分量は少なめで少々の割高感はあるが品質も風味も見栄えも良く、会津をゆっくり巡る高めの年齢層に向く感じ。容器も小物入れに適す。
「会津街道」をインターネットで調べると様々な路線が引っかかるが、つまり会津に向かう街道ならなんでも会津街道らしい。阿賀野川や磐越西線とともに新潟方面へ向かうルートには、一部に会津藩の街道整備による一里塚や石畳が残り、知られざるウォーキングコースとして渋い人気を集める。
なお、調製元の経営不振による事業譲渡に伴い、この駅弁を含めた既存の会津若松駅弁は2005年7月23日限りですべて終売となった。支店も31日で閉店となる。
※2005年12月補訂:公式サイトの閉鎖に伴いURLを削除。調製元の名称・所在地・連絡先も変更された可能性がある。JR東日本の観光キャンペーン「LOOK EAST」のオリジナル駅弁131種類のひとつとして、1989(平成元)年3月に発売か。真っ黒な正方形の容器に、駅弁と調製元の名前をシンプルに記した掛紙を巻く。大3個と小4個の正方形に仕切られた中身は、日の丸御飯、棒ダラにがんもどきやシイタケなどの煮物、ニシン天と玉子焼と鮭えごま味噌焼などのおかず、馬肉煮や山菜煮や漬物にあん玉などの付合せ。
公式には「まるで山里の家庭料理をおばあちゃんが作ってくれるような、自分の田舎に帰った気分になる松花堂風の会津らしいお弁当」だそうな。ボール紙で模した器の絵柄も含め、旅館の昔懐かしい和朝食。価格は2013年の購入時で1,000円、2017年時点で1,100円。調製元が支店を閉めたため、2020年の夏頃に終売。
※2021年3月補訂:終売を追記2005(平成17)年7月から9月までのJRグループの観光キャンペーン「あいづデスティネーションキャンペーン」の開催に伴い、あいづふるさと市町村圏協議会が5種の弁当をプロデュースして、同年7月1日に会津若松駅のキヨスクにてデビュー。その終了後も会津若松駅弁として売られている商品。
2000年以降に多くの駅弁で使われ始めている竹皮編み容器に、駅弁の名前と中身をちょっぴり紹介する紙帯を巻いて、値段シールと食品表示ラベルを貼る。中身は小さな舞茸おにぎり、金ゴマおにぎり、黒ゴマおにぎり、梅入おにぎりが笹の葉に載って各1個、それにニシン味噌、鶏唐揚、黒豆団子、おから玉子焼、棒だら甘露煮を添える。この分量で千円も取るので割高感はあるが、具の一個一個が小粒でかわいらしく、駅弁に必要な個性をしっかり備えている。それに確かに、米がクールにうまかった。
価格は2006年の購入時で1,000円、2017年時点で1,100円。後に調製元がウェルネス伯養軒に変わったらしい。2019年までの販売か。
伯養軒の駅弁事業を継承した外食業者は、郡山、仙台、盛岡、青森を除く支店をすべて閉鎖することにしたため、さらなる継承者が出た秋田を除く各地で、駅弁がその販売ごと消滅した。会津若松もこれに該当するが、上記の経緯を経て結果的に駅弁販売が続いている。ただ、前後のつながりがないようで、商品は名前も内容も雰囲気も完全に入れ替わった。
※2021年3月補訂:終売を追記2003(平成15)年頃に発売。2004年のNHK大河ドラマ「新選組!」放送にちなんだものか。東北地方でよく見掛ける、内部を細分する長方形二角落としの容器に木目紙のふたと割りばしを置き、ファンシーな掛紙をかけて紙ひもでしばる。
中身は日の丸と山菜のダブル御飯に鮭塩焼、鯉唐揚、数の子和え、山菜の煮物や油炒め、馬肉しぐれ煮などにデザートの会津駄菓子。お品書きが完備されるなど最近の駅弁の流れを表していると思うが、キャラクターのデザインは十年遅れていると思う。
なお、調製元の経営不振による事業譲渡に伴い、この駅弁を含めた既存の会津若松駅弁は2005年7月23日限りですべて終売となった。支店も31日で閉店となる。
※2005年12月補訂:公式サイトの閉鎖に伴いURLを削除。調製元の名称・所在地・連絡先も変更された可能性がある。2002(平成14)年頃に発売。近年の駅弁業界で流行中の竹皮籠容器に、駅弁の名前と食品表示のシールを直接貼り、紙ひもで割りばしごとしばる。透明トレーに入った中身は、まるまる太った味噌焼にぎりとシソ葉巻にぎりがひとつずつ、煮ニシン、舞茸天、玉子焼、海老蒲鉾など。
見た目の雰囲気が良く味も悪くないが、東北にしては価格が高めで、仙台駅弁の三段落ちから一段落ちくらいまでレベルアップが図られたような駅弁。駅舎内改装により駅弁販売もくすみがちな専用売店から新しく明るいウォークイン総合売店にレベルアップ。
なお、調製元の経営不振による事業譲渡に伴い、この駅弁を含めた既存の会津若松駅弁は2005年7月23日限りですべて終売となった。支店も31日で閉店となる。
※2005年12月補訂:公式サイトの閉鎖に伴いURLを削除。調製元の名称・所在地・連絡先も変更された可能性がある。汎用と思われる掛紙をかけた、小ぶりな長方形の容器の中身は、胡麻振り梅干し御飯に玉子焼・蒲鉾・焼き魚(鱒)のいわるゆ三種の神器に、漬け物と山菜を付ける。近年に各地でよく見られるようになった、朝御飯に対応した少量で低価格な幕の内弁当。「朝一番」なのに午後の調製とは変な感じ。
なお、調製元の経営不振による事業譲渡に伴い、この駅弁を含めた既存の会津若松駅弁は2005年7月23日限りですべて終売となった。支店も31日で閉店となる。
※2005年12月補訂:公式サイトの閉鎖に伴いURLを削除。調製元の名称・所在地・連絡先も変更された可能性がある。こけしの頭を模したプラスティック製の容器に、掛紙をかけてひもでしばる。中身は茶飯の上に鶏肉、殻付海老、しめじ、栗などを載せるもの。風味や食材の調和はイマイチも、さすが東北の駅弁で飯はうまい。中身は会津や福島や駅弁屋さんとの関連性を見い出せないため、容器を見て持ち帰って楽しむ駅弁。
なお、調製元の経営不振による事業譲渡に伴い、この駅弁を含めた既存の会津若松駅弁は2005年7月23日限りですべて終売となった。支店も31日で閉店となる。
※2005年12月補訂:公式サイトの閉鎖に伴いURLを削除。調製元の名称・所在地・連絡先も変更された可能性がある。会津で蔵を、そしてしめじを描く、専用のボール紙容器を使用。白いトレーに詰めた中身は、グリーンピースとしめじの混ぜ御飯が少量と、焼鱒や鶏唐揚にホタテフライなど。つくりも味も、どうもあまりうまくない感じ。
なお、調製元の経営不振による事業譲渡に伴い、この駅弁を含めた既存の会津若松駅弁は2005年7月23日限りですべて終売となった。支店も31日で閉店となる。
※2005年12月補訂:公式サイトの閉鎖に伴いURLを削除。調製元の名称・所在地・連絡先も変更された可能性がある。昭和50年代のものと思われる、昔の会津若松駅弁の掛紙。栗めしは会津若松に限らず東北各地で売られていたポピュラーな駅弁であり、会津若松ではこれが一番人気であったらしい。
第二次大戦前の調製と思われる、昔の会津若松駅弁の掛紙。調製元は「榮町清水屋」とある。掛け紙に描かれる城は、この頃には実在しなかったはずの鶴ヶ城だろうか。
JR会津若松駅の駅前にある、会津乗合自動車の会津バスターミナルで買えた惣菜。ここでは2018(平成30)年3月から、駅弁でなく「バス弁」として弁当が売られる。バス会社の公式サイトでも「会津ならではのお弁当」「毎日できたてバス弁」とするが、品揃えに関する表示や紹介がなく、今回の訪問ではこの商品を除いて前日も当日も品切れで、どんな弁当があるか分からない。バス弁の調製元は「田季野」だそうで、この商品にはその名を記すシールが貼られる。
中身は、白御飯を豚挽肉とニンジンとタマネギのカレーで覆い、大根桜漬とまんじゅうの天ぷらを添えるもの。「まかない丼」なので中身は一定でなく、今回はたまたまキーマカレーで、天丼や鶏丼などになることもあり、しかし添え物は毎回同じらしい。福島県会津地方では、まんじゅうを天ぷらにして食べる習慣があるそうなので、その点が、その点だけが会津ならではか。調製元は会津若松の中心市街地にある割烹料理店。