浅草駅から特急リバティ会津で3時間強。南会津町は福島県の南西部で阿賀野川(阿賀川、荒海川)の源流の山中に位置する、人口約1.4万人の森と雪と農業の町。1990(平成2)年築の大きな公共施設「会津田島ふれあいステーションプラザ」にある駅では、なんと駅弁が売られており、松茸の駅弁がテレビなどで紹介された。1934(昭和9)年12月27日開業、福島県南会津郡南会津町字西番場。
2010年より前から販売か。掛紙には表面に駅弁の名前と調製元の情報を記し、裏面に中身の説明を描く。竹皮柄の紙製容器の中身は、シソの葉の梅干しおにぎり、いなりずし、鶏唐揚、玉子焼、ニシン山椒漬、かまぼこ、アスパラ天などを大きなサイズで詰合せ。掛紙でも使用を記す、ハンバーグにしか見えない串は、郷土料理の「しんごろう」といい、おはぎときりたんぽを足して2で割ったような甘い飯球。地元の素材と料理がぎっしり詰まっていた。価格は2020年時点で1,000円、2021年の購入時で1,100円、2023年時点で1,200円。
※2023年10月補訂:値上げを追記2020(令和2)年2月8日に購入した、会津田島駅弁の掛紙。値段以外は、上記の2021年のものと同じ。
2021(令和3)年の夏までに発売か。薄めの容器に、きのこやタケノコなどの混ぜ御飯に、焼鮭とかまぼこと玉子焼、鶏照焼、とんかつ、ほたて、ごぼうやニンジンなどの煮物、ごま和えなどを詰める。掛紙に小さく「松茸ごはん」と書かれるとおり、混ぜ御飯にはマツタケも入るようなので、これは残念にも消えた駅弁「松茸二段弁当南山のたび」の後継か。個性と雰囲気はそれに及ばなくても、ふるさとのぬくもりを感じられると表せるかもしれない、出会えて良かった駅弁。価格は2021年の購入時で1,000円、2023年時点で1,200円。
※2023年10月補訂:値上げを追記会津田島駅で駅弁を売る売店にて買えた惣菜。洋食タイプの惣菜向けプラ皿に、白飯を敷き、キャベツの千切りで覆い、トンカツのソース漬けを1枚、6切れにカットして載せ、大根桜漬を添える。惣菜に見えて、その中身は郷土料理。この駅や会津若松駅などで、時々駅弁になっては消える、会津名物の甘いソースカツ丼。調製元は会津田島駅の2階にある、近年はラーメン店と紹介される食堂。そのメニューには当然にソースカツ丼もある。
2017(平成29)年12月に発売。会津田島駅の駅舎を兼ねる南会津町の公共施設「会津田島ふれあいステーションプラザ」の、2階に入居する食堂「レストランヴォーノ」でカツサンドを調製し、1階の土産物店「やまなみ」で売り始めた。透明プラ製の惣菜容器に、ロースカツと千切りキャベツのソース漬けを挟んだ小さなカツサンドを3切れ詰め、ラップと掛紙を巻く。郷土の名物を反映した超軽食。発売時は3切れで750円、2020年の購入時は半身が3切れで350円。調製元のみなみやま観光株式会社は、2020年4月から株式会社みなみあいづ。
駅弁のなかった会津田島駅でひっそりと売られ始め、2000年代をかけて少しずつ知名度を上げた地元の駅弁。正方形のプラ製の惣菜容器を2つ重ねて、仕出し用のボール紙箱に詰め、駅弁の名前しか書かない簡素な掛紙を置いて、麻ひもで十字にしばる。中身は下段が松茸しめじ御飯、上段がおかずでエビフライ、エリンギ、玉子焼、タケノコなどの煮物、ワカサギのフリッターなど。
現存する松茸の駅弁として、マツタケの大きさと分量は日本一ではないかと思う。おかずも衣がカラッとしたままの大きなエビフライ、その脇を固める野菜や山菜などの煮物や和え物。これだけ風味と雰囲気が良い弁当が、1000円ちょっとの駅弁として買えたとは、コンビニのバイヤーさんも感心していたし、駅弁ファンとしても感嘆。ローカル線の駅弁の最高峰。
価格は2007年時点で1,000円、2015年時点で1,080円、2019年10月から1,180円。調製元が2021年3月に廃業したそうで、以後は売店に置かれなくなった。
※2021年3月補訂:終売を追記2011(平成23)年10月21日に購入した、会津田島駅弁の掛紙と紙箱。下記の2007年や上記の2017年のものと比べて、掛紙の色が異なるが、容器も中身も価格も変わらない。
2007(平成19)年2月3日の調製である、会津田島駅弁の掛紙と紙箱。上記の2011年や2017年のものと比べて、掛紙の色と、そこに記される駅弁の名前が異なるが、容器も中身も価格も変わらない。
2017(平成29)年に「南山のたび 田舎弁当」をリニューアルか。店頭に「リバティ会津運行記念」とあり、同年4月の浅草駅と会津田島駅を結ぶ特急列車「リバティ会津」の運行開始を記念したものと考えられる。掛紙には会津田島で毎年7月に行われる祇園祭の、名前とイメージと説明を描く。9区画の中身は、赤飯とキノコ飯といなりずし、でっかいニシン天と鶏照焼と煮物と棒だら煮、豚肉ロールと煮豆と山菜。幕の内弁当の姿をしていない、手作り感の盛りだくさん。調製元が2021年3月に廃業したそうで、以後は売店に置かれなくなった。
※2021年3月補訂:終売を追記2005年前後に発売か。全国チェーンでないコンビニや弁当屋で使われるようなプラ製の惣菜容器に、駅弁の名前を墨字風に印刷した茶色い掛紙をかけて、麻ひもでしばる。中身は白御飯をサバ味噌煮、タラの芽フライ、鶏ごぼう、椎茸やこんにゃくなどの煮物、薩摩芋、玉子焼など、たっぷりのおかずで囲むもの。
現在は大内宿が観光地になっている、主に現在の東武鬼怒川線、野岩鉄道、会津鉄道のルートでと日光を結んだ会津西街道は、南山(みなみやま)通りとも呼ばれ、その沿道を南山地方と呼んだ。その名前に続く駅弁の名前に少々の勇気を感じた、会津田島の幕の内駅弁格。おかずが出す暖かみ、手作り感、風味、雰囲気は、直前に食べた浅草駅弁とはまるで対照的。ここまで来た甲斐があった。2017(平成19)年に上記の駅弁「幕の内弁当会津田島祇園祭」へリニューアルか。
※2020年5月補訂:終売を追記2007(平成19)年1月の京王百貨店の駅弁大会で実演販売されていた、会津鉄道会津田島駅弁を名乗るお弁当。京王百貨店が駅弁大会のために、福島県の密かな名物である煮込みソースカツ丼の元祖と言われる会津若松市内の食堂を駅弁屋に仕立てたと思われる。
持ち帰り丼タイプの容器に、仕出し弁当タイプの薄い掛紙をセロテープで貼る。中身は白御飯の上にやや固めなウスターソース漬けロースカツの卵とじを載せて、グリーンピースで彩り、漬物を添える。
田島はともかく会津の地域性が反映されている弁当だが、さぼてん、万世、まい泉、和幸その他の柔らかカツに慣れている東京の人に売り込むには、高額感が前面に出てしまう。それに、駅弁として冷めた状態で売ったり食べるとどうか、そもそも会津田島駅で売られるのか、需要が存在するのか、駅弁大会の会場で食べながらも、様々な懸念が思い浮かんだ。
上記の駅弁「なかじまソースカツ丼」の現地版。駅弁の名前、価格、掛紙、容器、中身、風味のいずれも、京王百貨店の駅弁大会で買ったものと同じ。改札外駅舎内のキオスク型売店で、雑誌や雑貨に囲まれて発泡スチロールの保冷箱が置かれ、その中でホカホカになって詰まっていた。
駅弁が駅で買えるのは当たり前だと思われているはず。しかし駅弁大会に出てくる駅弁は、そうでないものも少なくない。特に今回2007年の京王ではこれとかこれとかこれとかこれとか、目玉の実演販売駅弁がことごとく、催事のために開発した新作で、催事の終了とともに消滅するという、駅弁と呼ぶにふさわしくない催事用弁当ばかりであった。
そのため、現地と催事場で同じ駅弁が売られていたことに驚いた。会津田島駅での駅弁の需要は大きくないと思うが、デパートのチラシや催事場、そしてテレビのワイドショーや雑誌などで大々的に駅弁だ駅弁だと宣伝したのだから、当分の間は売り続けなければならないと思う。土休日のみ一日10個の発売という情報がある。
2011年10月に会津田島駅へ再訪したら、場所を少し変えた売店でこの弁当はすでに影も形もなかった。やはりあまり長続きしなかった模様。
※2012年6月補訂:終売を追記これは駅弁や会津田島駅のものではなく、訪問時の湯野上温泉駅で買えた鯛焼。普段はキッチンカーで移動販売する、下郷産の食材を使う商品らしい。冬季を除く土休日や紅葉シーズンなどに、会津若松駅〜会津田島駅で運転される観光列車「お座トロ展望列車」が、湯野上温泉駅で9分間停車する間に、ホーム上で販売していた。袋入りのたいやきが、1ぴき200円。プラ容器入りのおかずたいやきが、1個300円。あるものから全4種類を選んで、ちょうど1,000円。中に表示どおりのハムチーズ、カレー、クリーム、あんこが入った、ふんわり、しっとり、具だくさんの鯛焼だった。
浅草駅から特急列車と会津鉄道の列車を乗り継いで約4時間。その名のとおり芦ノ牧温泉の最寄り駅とはいえ、駅から温泉までは5km以上離れ、駅名も1987(昭和62)年7月までは「上三寄」だった。ここにソースカツの駅弁が存在することになっているが、これはトロッコ列車の乗客向けに予約販売する駅前食堂の商品であり、駅でも駅前食堂でも弁当は買えない。1927(昭和2)年11月1日開業、福島県会津若松市大戸町上三寄乙。