東京駅から新幹線で25分、在来線で40分前後。さいたま市は、2001年に浦和・与野・大宮の3市が合併してできた、人口約133万人の政令指定都市。大宮駅は明治時代からの鉄道の要衝で、在来線に加えて新幹線も分岐するターミナル。駅弁は1907年から2社が競ったが、1990年頃までに2社とも撤退し、東京駅と同じ駅弁が売られるようになってしまった。1885(明治18)年3月16日開業、埼玉県さいたま市大宮区錦町。
2019(令和元)年10月に事実上の新発売。2001(平成13)年発売の「彩たま弁当」から、名前や調製元を変えながら大宮や埼玉の食をテーマにしてきたが、ここでこれを離れて「鉄道のまち大宮」に変えて、中身を激変させてきた。スリーブには大宮駅に発着する新幹線電車のうち二階建て車両を除く5形式を描く。
中身もその5形式の色が1本ずつ。山形新幹線E3系電車の紫芋コロッケ、東北新幹線E5系電車の鶏そぼろ入り酢飯高菜おにぎり、北陸新幹線E7系電車の玉子焼、秋田新幹線E6系電車の揚げ赤パプリカとナポリタンスパゲティ、上越新幹線E2系電車の焼ポークソーセージおにぎり、他にオニオンコールスローサラダと豚の甘辛味噌焼と岩下の新生姜。見た目や風味を味わう駅弁ではないが、従前の野暮ったさはなんとなく健在。
半年ほどで終売か。その後は2021年10月のヘッドマークスタンプラリー、2022年6月の東北新幹線開業40周年、同年11月の上越新幹線開業40周年という具合に、鉄道に関するイベントやキャンペーンの都度、スリーブの絵柄を変えたり掛紙を巻いて売るようになっている。
※2023年4月補訂:現況を追記下記の駅弁「大宮弁当」を、2017(平成28)年6月までにリニューアル。見た目や内容に加えて、調製元やコンセプトも替わっており、事実上の新発売。掛紙には埼玉県内の鉄道路線図のように見えるものと、中身に採り入れた食材の姿を描く。松花堂弁当風に正方形の4区画に仕切られた中身はそれぞれ、うなぎ御飯、ヒレカツ御飯、ナマズの天ぷら2種とマリネ、シャモとネギの旨煮とコマツナの和え物とサツマイモ。
ウナギやナマズの使用で値が張るのだろうが、1200円の駅弁にしては、中身も味も、掛紙も容器も、日本レストランエンタプライズの時の大宮弁当に比べて、ずいぶんとチープなつくりだと感じた。調製元は宇都宮駅の駅弁屋だが、この駅弁は大宮駅でのみ売られるのではないかと思う。2019年10月に上記の駅弁「大宮辨當」へ改変。
※2019年11月補訂:終売を追記下記の駅弁「大宮弁当」を、2014(平成26)年3月1日にリニューアル。駅弁の名前は変わらないが、コンセプトを以前の大宮や埼玉から、大宮駅から新幹線でつながる東日本や北陸に変えた。掛紙もそれらの新幹線の路線図になっている。
添付のチラシにイラストで描かれる中身は、埼玉で深谷ねぎのねぎ味噌を添えた白御飯、富山でマス寿司風ちらし、仙台で牛たんと笹かまぼこ、新潟でマイタケ煮と鮭塩焼、青森でナガイモ揚げ煮とホタテ煮、長野で野沢菜天、山形で玉こんにゃく、川越で大学芋、秋田でいぶり漬物など。旅人には分かりやすい北が入る。飯のおかずになるものが少なく、飯を持て余す感じを受けた。2017年に上記の駅弁「埼玉の味大宮辨當」へリニューアル。
※2017年9月補訂:終売を追記2017(平成29)年3月17日に購入した、大宮駅弁の掛紙。掛紙も中身も価格も、上の一年半前と同じ。食品表示ラベルに価格の表記がなかったのは仕様か、あるいは20個以上まとめ買いしたので団体向けに価格を外したか。北陸新幹線の長野駅から金沢駅までは、無事に「2015年3月14日開業」となった。
2015(平成27)年9月23日に購入した、大宮駅弁の掛紙。埼京線の池袋駅から大宮駅までの開業と川越線直運転開始の30周年を記念し、おそらく同年9月から10月まで「大宮弁当」の掛紙を、埼京線の電車に掲げたヘッドマークと同じ図柄を使うものに差し替えた。価格や中身は通常版と同じ。
新幹線の建設に猛反対した沿線への懐柔策と、東北本線の混雑緩和を目的に建設した埼京線には、もともと高崎線の電車が乗り入れる予定であった。しかし車庫の用地が埼京線の沿線でも高崎線の沿線でも確保できず、川越線の沿線の南古谷で確保できたため、1982(昭和57)年11月頃に乗り入れ先を変更することにした。そのため、実に1969(昭和44)年まで汽車が走った川越線は電化されて都市の電車に変貌、赤羽駅から大宮駅までの構造物は15両編成の電車に対応していると思われ、大宮駅から宮原駅までの間には未使用の鉄道用地が残る。
2014(平成26)年3月9日に購入した、大宮駅弁の掛紙。上記の2017年のものと、名前も価格も中身も絵柄も同じ。北陸新幹線の長野駅から金沢駅までの、開業前かつ開業日の発表前なので、該当の箇所が「2015年の春開業予定」となっていた。
2005(平成17)年3月の記念駅弁「大宮駅120周年記念弁当」の、リニューアル販売継続商品。木目調の正方形の容器を、以前の「幕の内おおみや」でも使われた駅周辺俯瞰古図を転記した掛紙で包み、ゴムでしばる。中身は松花堂風に4分割され、刻みウナギ付き茶飯、各種煮物、鮭味噌焼や鮎甘露煮や鶏肉や玉子焼やナメコ、ごぼう唐揚やタラの芽唐揚やおはぎなど。
以前の教訓を生かしてか、中身と大宮や埼玉との関連はない模様、つまり東京駅弁と何ら変わらない。価格を見なければ品質も風味も上等だが、大宮駅弁としての味はどうも出てこない。学生の創作駅弁の販売拒否などせずに、地元駅弁の出現を促す大人の姿勢が、JRやNREに欲しいところ。価格は2005年の購入時で1,200円、2014年時点で1,250円。2014年3月に上記の駅弁「大宮弁当」へリニューアル。
※2015年10月補訂:リニューアルを追記2007(平成19)年10月20日の調製である大宮駅弁の掛紙。中身と価格は上記の駅弁「大宮弁当」と同じ。2007年10月の鉄道博物館のオープンに合わせてか、掛紙に「鉄道博物館オープン記念」「大宮駅長推薦」の文字が入り、丸窓の写真も大宮駅から博物館の館内に差し替わり、そしてJR各社の発足20周年を記念したロゴマークも入り、さらにそれにちなみ毎月20日は200円引きで販売した。
開館1週間の鉄道博物館は大混雑、館内の2食堂には行列ができ、しかしそもそもただの線路際であった館外に商店や飲食店はなし。そこで館内の少なくとも3箇所で台売りしていた東京と東日本各地の駅弁が買われ、飲食可能な展示車両で家族連れが駅弁を広げていた。現役の鉄道では昼飯時の団体客に当たらないと見られない光景が展開され、おそらく昭和40年代の駅弁最盛期が図らずも再現されたのでは。その車両も、昭和40年代から50年代に活躍した特急・急行型電車だった。
2012(平成24)年6月15日の調製である大宮駅弁の掛紙。同年6月23日の東北新幹線開業30周年を記念し、掛紙に記載されたとおり6月1日から30日まで、その事実とロゴマーク、かつて「やまびこ」などに使われた200系2000番台と、今の「はやぶさ」などに使われるE5系新幹線電車の走行写真を載せた掛紙を使用した。中身と価格は通常版と同じ。
東北新幹線は1982(昭和57)年6月23日に大宮駅と盛岡駅との間で暫定開業。大宮以南の強硬で猛烈な新幹線建設反対運動により、今から見れば中途半端な形で営業を開始した。1985(昭和60)年3月に上野開業、1991(平成3)年6月に東京開業、2002(平成14)年12月に八戸開業、2010(平成22)年12月に新青森開業と、1971(昭和46)年11月の着工から実に39年もの歳月を要して全通した。高速道路の東北自動車道は、5年早い1966(昭和41)年7月の着工で、こちらは昭和のうちの1987(昭和62)年9月に全通している。
2013(平成25)年6月30日の調製である、大宮駅弁の掛紙。掛紙に書かれているとおり、埼京・川越線でのE233系電車のデビューを記念して、「大宮弁当」が6月30日から7月15日までこの掛紙で売られた。価格や中身は変わらない。
埼京線は1985(昭和60)年9月の開業。東北新幹線の建設に対して強硬に反対した東京都内や埼玉県内の住民や自治体に対して、国鉄が懐柔策として通勤新線ないし通勤別線の仮称で、利便性の向上や新幹線騒音の緩和を目的に、新幹線の高架橋と並行して建設した。東北本線や京浜東北線の混雑緩和の目的も併せ持ち、そのためか公式な路線名称は埼京線ではなく東北本線(赤羽・大宮)である。
開業当時は山手線などから103系電車の中古が来て、新幹線より盛大な騒音を放っていた。1989年からは205系電車が新車で入り、20年以上使い倒した後、2013年から2年度でこのE233系電車の新車ですべて置き換えた。捻出された205系電車の多くはインドネシアに輸出され、ジャカルタで走っている。
2009(平成21)年の秋に発売された大宮駅弁「黒豚みそだれ弁当」が、2018(平成30)年12月に全面リニューアル。透明なふたも底も上げた海鮮弁当タイプの正方形の容器を収めるスリーブには、アートな商品名、おしながき、大宮でなく東松山の宣伝を記す。
中身は白米と黒米の御飯を「彩の国黒豚生姜焼き」で覆い、ニンジンのナムル、しゃくし菜のしそ風味漬け、五家宝を添えるもの。タレ色の肉と飯から辛さが消えたと思ったら、容器の縁から「ひびきのみそだれ」袋が出てきて、これが激辛だった。駅では2019年までの販売か。
※2020年5月補訂:終売を追記例によってNRE大宮営業所長の監修により、2009(平成21)年の秋に発売。ボール紙を厚く組み立てた長方形の容器に、中身の写真や宣伝文などを印刷した掛紙を巻く。中身は埼玉県産米「彩のかがやき」96%と黒米4%を混ぜた御飯の上を、調製元特製のみそだれをしっかりかけた、埼玉県深谷市産「彩の国黒豚」の生姜焼で覆い、ごぼうのきんぴら、小松菜、しゃくし菜、芋ようかんを添えるもの。みそだれがビリビリ辛い、埼玉で固めた豚焼肉丼。一日20個から30個の販売だという。
埼玉県内には西武秩父駅を除き、地元の駅弁屋は存在しない。大宮駅はJR東日本の100%子会社で東京資本の日本レストランエンタプライズ(NRE)であり、熊谷駅で買える駅弁は群馬県のものであり、秩父鉄道は列車弁当であり、その他の駅ではデパ地下やコンビニの弁当となる。この弁当も販売はNREであるが、調製元の所在地を見ると埼玉県川越市と書いてある。駅所在地のさいたま市ではないのだが、県内業者を採用しないどころか時には排除したJR大宮駅で、国鉄時代からの駅弁屋2社が相次いで撤退したバブル経済以降、約20年ぶりの県内業者による大宮駅弁と呼べるかもしれない。調製元は川越の焼鳥屋。2018年12月に上記の駅弁「黒豚みそだれ弁当」へリニューアル。
※2019年8月補訂:リニューアルを追記2013(平成25)年11月15日に購入した、大宮駅弁の掛紙。上記の翌年のものでは、ここにあった三浦由紀江氏の名とイラストと監修文がなくなっている。
2010(平成22)年9月4日に購入した、大宮駅弁の掛紙。上記の2013年のものと同じに見えて、「お問い合わせ」の背景、調製元の所在地、モンドセレクションの受賞回数が異なる。
2012(平成24)年6月15日に購入した、大宮駅弁の掛紙。掛紙に記載されたとおり、同年6月23日の東北新幹線開業30周年を記念して、その記念列車が運転されることと新幹線電車の顔2つを上部に印刷する。それ以外は通常版と同じ。
2012(平成24)年11月16日に購入した、大宮駅弁の掛紙。掛紙に記載されたとおり、同年11月15日の上越新幹線開業30周年及び10月1日の「長野新幹線」開業15周年を記念して、記念列車が運転されることと新幹線電車の顔2つを上部に印刷する。それ以外は通常版と同じ。
2016(平成28)年9月27日の発売。調製元の7年ぶり2作目の駅弁であり、埼玉県内の12事業者が連携して作った県産駅弁といい、埼玉の歴史や観光地をJR東日本管内に広くPRするための駅弁とされ、同年10月のJR東日本の駅弁キャンペーン「駅弁味の陣2016」へのエントリーに向けて発売したのかもしれない。
駅弁の名前は、武蔵坊弁慶を先頭とした源義経の一行が、北陸道加賀国安宅関を通過する様子を描く、歌舞伎の演目で歌舞伎十八番のひとつである「勧進帳」(かんじんちょう)にちなむ。源義経の正室である郷御前(さとごぜん)が埼玉県内の出身とされることから、大宮駅の駅弁の名に付けた。パッケージの絵柄は、盆栽に見立てた大宮駅発着の新幹線の路線図、右下に埼玉県の地図にも黒豚にも見えるイラスト、左下に埼玉県のマスコットで2000年生まれの「コバトン」と2014年生まれの「さいたまっち」。
中身は左側で春日部在来大豆の豆ごはんを彩の国黒豚のみそ漬け焼きで覆い、右側で埼玉県ブランド米彩のかがやきごはんを彩の国黒豚のほろほろ煮で覆ったもの。つまり、漬物と人参を挟み、左に豚味噌漬焼丼、右に豚ほろほろ煮丼と、名前やパッケージを見ても気付かない、実に肉々しいお弁当。2018年までの販売か。
※2019年11月補訂:終売を追記駅弁の名前のとおり、大宮駅の開業130周年を記念し、2015(平成27)年3月16日から31日まで、大宮駅、鉄道博物館、東京駅などで販売。掛紙には明治時代や昭和時代や現在の大宮駅の写真が6点使われる。中身は白御飯を錦糸卵で覆いウナギを添え、サーモン押寿司、鮭塩焼、玉子焼、大学芋、根菜サラダ、笹かまぼこ、ホタテ煮、イワシ磯辺揚、牛タン塩焼、いも煮、いぶりがっこなどで、大宮駅から乗れる新幹線の沿線の味を各種詰め合わせたものに見える。
上野駅から高崎駅を経て前橋駅までの鉄道が、1884(明治17)年8月までに私鉄の日本鉄道により開業した時、浦和駅の次は上尾駅であり、大宮に駅はなかった。ここから東北地方へ向けて路線を伸ばす際に、前橋駅から延伸するか、途中の熊谷駅で分岐するか、この中山道大宮宿のあたりから分岐するかを比較し、距離も架橋も短くて済む大宮分岐案を採用したことで、1885(明治18)年3月に初めて大宮駅ができ、ここに鉄道の車庫や工場ができ、鉄道職員の町ができ、大宮が町になった。
以後は現在のJR川越線や東武野田線が乗り入れたり、東北新幹線や上越新幹線が乗り入れたり、東京の発展でベッドタウンとして人口が増えたりして、埼玉県一の大都会に発展した。2001(平成13)年5月にライバルの浦和市などと合併して「さいたま市」になり、県庁所在地の地位も得る。
2002(平成14)年に発売された、大宮駅限定の幕の内弁当。南高梅を載せた白御飯に、里芋や蓮根などの煮物と、鮭塩焼にハム照焼など。人参の煮物が埼玉県のシンボルマークにくり抜かれていることで大宮を、というより埼玉をアピールしている。おそらく「大宮弁当」と入れ替わりに消滅。
八角形の容器にかかるボール紙のふたには、昔の大宮駅周辺の俯瞰図が描かれる。その図には鉄道工場と住宅地しかないように、大宮は何もない土地に高崎線と東北本線の分岐駅と鉄道工場が設置されてようやく街になった鉄道の街。もちろん駅弁屋さんもあり「盆栽ずし」などを販売していたが平成初期に撤退し、現在はJR東日本の子会社が東京都内と同じ弁当を売る。
浦和・与野・大宮の各市の合併による「さいたま市」誕生を記念して、2001(平成13)年4月21日に発売した大宮駅限定の駅弁。中身が一部透けて見える正方形のボール紙製容器の中に9区画に分けられる白いトレーを入れ、それぞれの区画に鯰の南蛮漬にりんごのワイン煮など9種類の食材が収まり、お品書きにすべての名前が記される。埼玉米キヌヒカリを使用する。
発売当初は埼玉県産の食材をふんだんに使用したとされていたが、実は県外産を多く含んでいたことが発覚し、半月程度の販売停止を余儀なくされた、いわくつきの駅弁。一時は東京都内でも購入できたが、おそらく上記の駅弁「幕の内おおみや弁当」と入れ替わり終売となった模様。