東京駅から快速電車で約40分。千葉市は千葉県の西部で東京湾に面する、人口約98万人の城下町で県庁所在地。かつては行政や陸軍で、第二次大戦後は工業都市として発展した。駅弁は1928(昭和3)年から万葉軒が販売、かつてはコンコースや各ホーム上に駅弁売店を構え、安価な名物駅弁をいくつも擁した。1894(明治27)年7月20日開業、千葉県千葉市中央区新千葉1丁目。
2014(平成26)年1月までに週末限定の駅弁として発売か。中身はパッケージの写真のとおり、黒い丼に白御飯を盛り、三色のピーマンやパプリカで彩った銚子産マグロのソースカツ2個と甘辛味かつ煮2個、はんぺん、切り昆布煮、漬物を載せる。18種類のハーブをブレンドしたという味はカジュアルで、御飯が進む。食品商社大手の日本アクセスの東日本大震災復興支援活動「ミールリングス」のロゴがあるため、1個あたり1円が東北3県へ寄付されたはず。価格2015年の購入時で980円、2015年7月から1,000円。2016年までの販売か。
※2017年5月補訂:終売を追記2013(平成25)年春の新作か。茶飯をマグロのステーキと南蛮漬で覆い、うずら卵、はじかみ、玉子焼、煮物、漬物を添える。というか、マグロの白身魚フライ風とマグロ照焼を茶飯に載せた感じ。対照的なマグロに多種の付合せで様々な味を楽しめたり、透明カップに盛る漬物の種類がえらく豊富だったり、容器がコンパクトで持ちやすかったり、よくできていた。2015年までの販売か。
2010(平成22)年の5月までに発売か。従前の類似品を統合したのか、アジ、タイ、サンマ、イワシとこのサンマで5種のシリーズを組む。こちらは円筒状の酢飯に、サンマの西京焼とおぼろ昆布を半周以上巻き付けて、透明なシートを巻いてから笹の葉の上に置き、駅弁の名前を書いた専用の小さなボール紙箱に収めるもの。
昆布のぬめりと酢が軽い酢飯に、サンマの身のほどほどの厚さと控えめな分量と焼き魚感がよく合い、これもまた飯が進む。そういえばサンマの駅弁は珍しいかも。価格は2013年の購入時で680円、2014年4月の消費税率改定で700円、2015年7月から750円。2020年の春頃までに、ひっそりと終売か。
※2021年3月補訂:終売を追記2012(平成24)年1月の京王百貨店の駅弁大会で輸送販売されたお弁当。他の千葉駅弁でも見掛ける細身な長方形の木製枠の容器に、和紙風の掛紙を巻いてゴムで留め、伊能忠敬が測量時に用いた「御用旗」を模したしおりをセロハンテープで貼り付ける。
中身は白御飯の上にマヨネーズをかけた銚子マグロのもろみ網焼き(白醤油焼)を2切れ貼り、はじかみや梅干しなどで彩り、佐原イカダ焼(ワカサギ)、佐原香取の南瓜金時(かぼちゃのペースト)、香取のウズラ(卵)醤油漬やヤマトイモ(素揚げ)や芋ようかんやイモ茎佃煮、シメジ甘煮、野田おり漬など。佐原と醤油と伊能忠敬をテーマにした造り込みの深さがとても印象で、今回の京王では最も良かった。しかしこれは京王百貨店駅弁大会の専用商品であった模様。
伊能忠敬(いのうただたか)は、千葉県佐原が誇る偉人で、江戸時代の測量家。18歳で婿入りした商家を再興した後、50歳で隠居し江戸に出て天文と測量を学び幕府を説得し、寛政12年(1800年)から文化13年(1816年)にかけて10次17年で日本中の海岸線や主要街道を歩いて測量、平面図として以後約百年に渡る使用に堪えた正確無比な日本地図「大日本沿海輿地全図」を創り上げた。その人生、特に後半生は、映画やテレビ番組、書籍や雑誌、教科書や論文集など、様々な媒体で21世紀の今も紹介され続ける。
2010(平成22)年5月までに発売か。従前の類似品を統合したのか、アジ、タイ、サンマ、イワシとこのカツオで5種のシリーズを組んでいる。こちらは甘酢生姜と大葉を混ぜた円筒状の酢飯に、カツオのヅケとカツオブシシートを半周以上巻き付けて、ビニールで巻いてから笹の葉の上に置き、駅弁の名前を書いた専用の小さなボール紙箱に収めるもの。クセのない旨味を少量安価に凝縮した、帰り道にお手軽な駅弁。2011年度限りで終売か。
※2015年8月補訂:終売を追記2009(平成21)年9月1日に発売、後に10月から3月までの季節限定駅弁となった。中身や漁船の写真を載せた深い青色のボール紙容器をラップでまるまる包む。中身は酢飯にサンマの西京焼を載せておぼろ昆布で巻いた、ひょろっと細く小さな棒寿司が1本、6切れにカットされて収まるもの。銚子で揚がったサンマと佐倉で作られる味噌を使ったという、ジューシーな焼き魚軽食。2011年以降には販売されていない模様。
※2015年8月補訂:終売を追記2008(平成20)年5月3日に発売。赤い長方形の容器を、飯岡漁港と千葉県の形と中身の写真をそれぞれ小さく載せたボール紙の枠にはめる。中身は白御飯の上にシラスを振り、千葉県旭市の飯岡漁港で水揚げしたというカタクチイワシの酢漬けをきれいに並べて貼り、いわしつみれを置いたうえで、鯛味噌やサツマイモ茎佃煮や赤カブ漬などを添える。添付の醤油はイワシの魚醤(ぎょしょう)。
一昔前であれば見るからに臭そうな内容。しかしこれを食べれば臭いはなく、控えめにプリっとした口当たりと、クールで透明感のある舌触りと、程良く脂が乗った風味が感じられる。いまやイワシは大衆魚ではなくなり、漁師や弁当屋や料理人がまともに取り組んでくれる食材になった。
2007(平成19)年の秋に、JR20周年記念駅弁の千葉駅版として発売。2008年1月の京王百貨店の駅弁大会で実演駅弁として大々的に宣伝され、同時期の各地の駅弁催事や千葉駅でも販売し、その頃からひっそりと予告していたとおり、3月限りで終売となった駅弁。
小柄で細長い真っ黒な容器を割りばしごとラップで包み、中身の写真を載せたボール紙の枠にはめる。中身は白御飯の上に駅弁の名前どおり、カツオのたたきを漬けにして炙って盛ったもの。館山の黄金玉らっきょうと、佐原の芋つる佃煮を付合せとして添付。
パッケージの見栄えにこそ、「こだわりの伝承」や「駅弁の達人」の修飾を付ける催事屋の臭いがするが、中身は千葉駅弁の個性だと思っている、雰囲気の良い野暮ったさと臭みがある。そんな旅行者向けの駅弁は、千葉駅に旅情のかけらでもある列車さえ発着すれば定着できるのでは。
2004(平成16)年12月22日に発売。底や側面に穴が開く白い陶器に、花いっぱいな柄の掛紙をかけて、丸ごとラップで包む。中身は黒いプラ製カップに入っており、鯛の炊き込み御飯の上を薄焼き卵で覆い、鯛の佐倉味噌焼や姫筍の豚巻きや鰯団子などを添える。
過去に催事で売られた「南房総花摘み弁当」とコンセプトが似ており、花の種が付いて容器が植木鉢になる点は同じだが、商品の大きさが普通になり価格は下げられ分量が多くなり、より実用的な駅弁になった。
2004(平成16)年前半頃の新作も、2002年の春に同じ名前の駅弁を見たという報告がある。黒塗りの長方形な容器に割り箸とナイフを添えて、掛紙で包み輪ゴムでしばる。中身はゴマ混じりの酢飯の上にシソを挟んでイワシを載せるもの。
さすがにサバやアジの同種駅弁と比較すると見栄えが劣り、やや水っぽい味もしたが、イワシやシソが嫌いでなければそこそこいけるし、関東の駅弁にしては飯がうまい。かつては獲れすぎて捨てられたり畑の肥料にされたイワシも、近年は漁獲高が激減しているため、そのうち高級魚となり、調理技術も多く注がれるようになるだろう。「沖じめ鰯づくし」の発売により、2008(平成20)年5月までに終売か。
使われた時期がまったく分からない、昔の千葉駅弁の掛紙。上記の駅弁「鰯乃押寿司」の、2004年11月のものと同じ。リサイクル識別表示があるから2000年代以降のものだろうが、調製印がない、食品表示ラベルもない、絵柄もない、価格もないでは、もうお手上げ。リサイクルの識別表示があるため、2001年以降のものとなろう。