東京と日本の中央駅。東海道・山陽・東北・上越・山形・秋田・北陸の各新幹線、東海道・中央・総武・東北の各線、山手線や京浜東北線などの電車が、一日あたり3000本以上行き交い、100万人以上の利用者で終日賑わう。駅弁はJRの子会社が調製するもので100種類以上とも、エキナカの商品を含めて400種類以上とも、デパ地下の弁当を含めて1000種類以上ともいわれる、世界一の駅弁販売駅。1914(大正3)年12月20日開業、東京都千代田区丸の内1丁目。
東京駅の商業施設「グランスタ」地下1階で行列ができる、全国の大都市にチェーン店を展開する大阪梅田のいなりすし専門店「豆狸(まめだ)」で買えた商品。上げ底の激しい容器に巻いた掛紙での商品名は「グランスタ東京限定」、食品表示ラベルでの商品名は「東京駅限定詰合せ」とあり、東京駅構内でのみ売られる商品とみられる。中身は稲荷寿司が8個。うちプレーンの「豆狸いなり」が4個と、グランスタ東京限定と紹介され煉瓦積みの焼き目を付けた穴子いなりが4個。お揚げの水気か出汁が豊かに思える、食べれば普通の稲荷寿司。この店の商品は、ネットメディアでは東京駅限定お弁当売上ランキング第2位などの言い方で、東京駅の駅弁のように紹介される。
東京駅の商業施設「グランスタ」地下1階に入居するテナント「豆狸(まめだ)」で買えた商品。スーパーの惣菜向けなプラ製トレーに、稲荷寿司を6個並べる。透明なふたに「わさび 豆狸 月替り 穴子 生姜 五目」のシールがあり、この順番ですべての中身が異なる。豆狸とはプレーンで、今回の月替りは鶏ごぼうだった。駅弁にはとてもみえないが、現地では東京駅限定のお弁当として電飾広告で宣伝されており、東京駅弁と紹介するネットメディアもある。食べれば普通の稲荷寿司。調製元は大阪梅田のいなりすし専門店の業態も持つ、阪急阪神ホールディングスの孫会社またはひ孫会社。
東京駅の駅構内商業施設「京葉ストリート」には2022年4月に入居したテナント「サカナバッカ」で買えた惣菜弁当。デパ地下で見られるような、ふたが透明の長方形容器に酢飯を詰め、マグロ、マダイ、カンパチ、コハダの切り身で覆い、あさりしぐれ煮、大葉に載せた筋子醤油漬、玉子焼を添える。刺身で酢飯を覆い尽くした、高級か豪華なちらしずし。
東京都心でチェーン展開する持ち帰り寿司店が、東京駅限定で販売する商品のようで、商業施設の出入口にそんな宣伝看板が出ていた。同店の品川駅限定商品と違い、見た目が駅弁らしくないものの、よく見ると商品名のシールに鉄道の地図記号や電車の顔がみえるから、駅売りを意識した商品だと思われる。筋子でなく魚の味と量で、値段に納得。
東京駅の商業施設「グランスタ」地下1階で売上ランキング常連という、ここに入居する持ち帰り寿司店「築地竹若」が、東京駅グランスタ限定で販売する商品。中トロ2貫をはじめとしたマグロのにぎり5貫、甘エビ、サーモンなど人気のネタ10貫と卵焼き入りのセットが1,680円、というのが公式な宣伝文。文字上では東京駅の駅弁のように思えて、しかし商品そのものは駅弁にはとても見えないお惣菜。デパ地下の持ち帰り寿司と同じく、普通においしい握り寿司だった。
東京駅の商業施設「グランスタ」地下1階に入居するテナント「過門香(かもんか)」で買えた惣菜弁当。平たく浅く二重底な長方形のプラ容器に、炒飯、麻婆豆腐、チンジャオロース、甘酢肉団子、エビチリ、餃子、くらげ冷菜を薄く盛り付ける。駅弁にはとてもみえないが、現地では東京駅限定のお弁当として電飾広告で宣伝されており、東京駅弁と紹介するネットメディアもある。高めの価格は駅弁らしい中華弁当。調製元は東京日本橋の外食事業者が2000年から東京都心でチェーン展開する中国料理店。
2022(令和4)年の春に東京駅などの駅弁売店「HANAGATAYA」で発売か。下記のとおり18年前にも同じ名前と中身の商品が発売されており、久々の再登板となった。黒い掛紙で創業三百余年江戸料理「八百善(やおぜん)」を名乗り、調製は水戸駅弁のしまだフーズとなっている。中身は黒い稲荷寿司が5個。生姜酢漬と白ごまを混ぜた酢飯を、黒糖で炊いたらしい油揚げに詰める。それ以外は何も入れない、袋詰めの甘酢生姜や紅生姜や醤油のようなものも入らない、シンプルすぎる商品。味の癖はなくなり、甘辛の辛はないが甘すぎることもない、食べやすいおいなりさん。
2020(令和2)年3月に東京駅の商業施設「グランスタ」地下1階の食品売り場に店舗を設けた若廣(わかひろ)が、この店舗限定で販売し始めた商品。中身は同店で主力の焼きサバ寿司であり、酢飯に焼きサバを貼り付ける。そんな中身をおおよそ想像できない、細身で小さなボール紙箱には「MOBILE SABA STICK」とあり、食品表示ラベルの商品名は「鯖スティック(醤油)」、シールとレシートには「旨醤油味」とあった。
キャッチフレーズは、ワンハンドで召し上がれる新感覚の焼き鯖すし。例えば太めの魚肉ソーセージのように、焼きサバ寿司を食べられる異色の商品。調製元は福井や東京や大阪に催事や通販に手を広げる食品製造業者で、時と場合によりその各地の駅弁屋や空弁屋を名乗る属地不詳な業者であるが、これは東京駅弁と呼んでよいかもしれない。
包装は土産物風で、小さなボール紙容器を包装紙で包装する。中身はひとくちサイズの天然海老天ぷらのおむすびが5個。味は良いがこの分量でこの価格はなかなか高価で、実は高級弁当。横浜のスーパーで購入したが販売箇所に東京駅構内が入っていたので、ここで紹介。
2022(令和4)年2月3日に東京駅構内で買えた恵方巻。この日に各社が盛大に販売した恵方巻のひとつであるが、東京駅弁とも紹介される弁当を出すブランドの商品が、東京駅弁と紹介される弁当も売る売店で買えたので、駅弁紹介ページに掲載する。現地も現物も駅弁とも東京駅弁とも紹介されず、これを駅弁と思い買う人はいないと思う。
海苔巻き1本を収めた透明なプラ容器に、節分のシールを貼り、ブランドの掛紙を巻く。中身は酢飯、玉子焼、しいたけ、かんぴょう、きゅうり、おぼろを海苔で巻いたもの。奇抜や個性は見あたらない、普通のお惣菜。2000年代以降の恵方巻ブームが過熱のうえ定着し、この日の東京駅のエキナカでも各店舗が盛大に恵方巻を積んでいた。
2022(令和4)年2月3日に東京駅構内で買えた恵方巻。この日に各社が盛大に販売した恵方巻のひとつであるが、東京駅弁とも紹介される弁当を出すブランドの商品が、東京駅弁と紹介される弁当も売る売店で買えたので、駅弁紹介ページに掲載する。現地も現物も駅弁とも東京駅弁とも紹介されず、これを駅弁と思い買う人はいないと思う。
海苔巻き1本を収めた透明なプラ容器に、節分のシールを貼り、ブランドの掛紙を巻く。中身は酢飯、玉子焼、辛子明太子、えび、焼あなご、しいたけ、かんぴょう、きゅうり、カニかまぼこ、大根漬、おぼろを海苔で巻いたもの。太く短く具だくさん。これは恵方と呼ばれる方角を向いて直接かぶりつくとされる恵方巻でなく、惣菜の太巻きという感じ。
2015年か2016年頃から東京駅の駅弁売店で売られるようになったサンドイッチ。1932(昭和7)年創業の麻布十番の甘味屋「天のや」が、2015(平成27)年から関東地方各地のデパートの食品売り場で売り始めたタマゴサンド。調製元のロゴマークを印刷した専用の紙箱に、パンにだし巻き卵のみを挟んだサンドイッチを3切れ分詰める。
家庭料理でない市販品ではまず見られない、玉子焼のサンドイッチ。ふわふわのだし巻き卵はかなり甘く、しかしマスタード入りマヨネーズをパンと玉子の間に塗ることで、甘いだけでない味を入れている。ネット上ではミシュランだ芸能人御用達だ完売続出だの文言が並ぶが、東京駅で買うのは難しくない。
東京駅構内の商業施設「グランスタ」で買えたお弁当。商品名と宣伝文と中身の写真をシンプルに描き、まるで駅弁のように容器を覆う掛紙に、「東京駅限定」の文字がある。中身はその名のとおり、鰻重とヒレカツ重。白飯にウナギの蒲焼きの刻みと漬物を載せたトレーと、白飯をヒレカツと卵とじで覆ったトレーが、ひとつずつ入る。印象はその名に違い、価格と比べた御得感はとくになし。大都会のどこにでもある笹八なので、地域感も無し。2016年から2017年までの販売か。
東京駅構内の商業施設「グランスタ」で買えたお弁当。調製元は名古屋、東京、大阪の各地の商業施設に店舗を展開する惣菜屋ないし食品業者であるため、この弁当も東京駅に限らず各地で売られるものと思われる。中身は白御飯が多め、具が少なめの、鰻丼とカツ丼の組合せ。これを名古屋っぽく表現して、「うなぎまぶしと味噌ヒレカツ」となる。見た目どおりの味がする、デパ地下の惣菜弁当。駅弁屋と違い、ここでは各テナントが店内で弁当を調製している。2016〜2017年の販売か。
1990年代からコンビニなどで断続的に販売されている菓子パンで、今回は東京駅の新幹線ホーム上売店で売られていたもの。球に近い形状のあんパンをひとつ、和紙風の袋に詰めて、ボール紙のパッケージに組み込む。十勝産エリモ小豆と種子島産を使用したそうで、好物のつぶあんを選択したが、風味や食感に少々の締まりがあるかなと思った以外は、特段の感想はなし。
ここでは200円だったが、コンビニでは168円の商品らしい。駅にコンビニが入ることが当たり前になった昨今、菓子パンは簡単に買えるようになったし、従来型のキヨスクでも昔から販売商品のひとつであったが、こういう少々の過剰包装があると、駅弁とは言えないまでも駅売り食品として格が上がると思う。購入した年に終売か。
※2018年8月補訂:終売を追記数年前は空弁や軽食の駅弁で好んで使われた竹皮接着トレーに、掛紙を巻いてセロテープで留め、ひもを縦に巻く。中身は鮭フレークのおにぎりが1個、高菜で目貼りしたおにぎりが1個、玉子焼と鳥唐揚と、きんぴらが少々。
つまり、商品名どおりのおにぎり弁当。分量や価格はそんなものだろうが、この内容なのに御飯がうまくないという致命的な欠点がある気がした。調製元もスーパーの駅弁大会での属地不詳調製所不明さが気になっているところ。駅では「杣人飯」の名で様々な内容と価格の弁当をあちこちで出していた模様。それらの商品群は2016(平成28)年頃までの販売か。
駅弁を食べ過ぎていると、北海道や東北ではなく東京駅にあることに違和感を覚える商品名。黒塗り金文字で高級感を出した長方形のボール紙容器に、その対極を行く簡素な掛紙を巻いて、セロハンテープで留める。中身は半分がイクラ酢飯、半分が鮭粕漬と玉子焼の他は細々とした煮物を詰め込むおかず。
経験的に駅弁屋の調製ではない東京駅弁は、運搬中にビニール袋の中で転倒する確率が高い。これもその被害に遭い、気が付いたら容器が横に立っていて、大粒いくらが煮物や容器の隙間に飛散した。こういう気遣いに駅弁屋とそれ以外との差が出る。中身の見た目は悲惨だが、風味は散らし弁当になって乙なものだった。おかずもていねいに作られていた。現存しない模様。
※2020年5月補訂:終売を追記東京駅構内のJR系コンビニで買った商品。透明なプラ製容器の中に、鮭おにぎりと昆布おにぎりが1個ずつと鶏唐揚、玉子焼、肉団子が入るコンビニ弁当だが、NREの駅弁売店で売っている太巻きと同じような体裁を備え、しかもブランドネームまで入れているので、駅弁と見なされたり紹介される可能性を感じる。味はコンビニの水準を超えている。このブランドの商品や店舗が消えた2007年頃までの販売か。
2004(平成16)年3月26日に発売。十代三百年続く都内の割烹屋「八百善(やおぜん)」が監修した松花堂弁当。いくら・ゆかり・緑茶時雨の扇形御飯、高野豆腐・穂付筍・風呂吹き大根などの煮物、海老風月煮・鶏紅梅煮・揚げ蒲鉾など「口替り焼物」というジャンルで括られた八百善秘伝の折料理、デザートにミルクプリン「八百善豆腐」。最近の東京駅には似たような高級弁当が続々と登場して競争が厳しく、その中で一定の地位を獲得できるかどうか。2005年頃までの販売か。
※2020年5月補訂:終売を追記内面だけ朱塗りで高級風な長方形の容器に白い掛紙をかけて真っ赤な専用のリボンで見栄え良くしばる。中身はプレーンな白御飯にタンシチュー、鶏照焼、鮭マスタードソース、海老フライ、パスタ、ポテトサラダなど。なんでもない御飯と箸も内容を演出する、洋食という言葉が生きていた時代を反映させている和風洋食弁当。東日本キヨスクの弁当売店「膳まい」での取り扱い。現存しないのではないかと思う。
※2017年7月補訂:終売を追記2004(平成16)年3月26日の発売。十代三百年続く都内の割烹屋「八百善(やおぜん)」が監修した、黒砂糖を使ったいなりずし。8センチ×16センチの小さな紙箱に黒糖色のおいなりさんが4個入り550円。味は黒かりんとうをなめたような黒糖の甘さが強く、万人受けするものではないかもしれない。同封のしおりによると、江戸で琉球王国産の貴重な砂糖を使い二月の初牛の稲荷明神開帳日に親戚知人に振る舞ったものだという。東日本キヨスクの弁当売店「膳まい」での取り扱い。数年間の販売か。
※2018年6月補訂:終売を追記