東京駅から電車で約45分。大船駅のある鎌倉市は、神奈川県の東部で相模湾に面した、人口約17万人の古都。13世紀に幕府と呼ばれる武家政権がここを拠点とし、農漁村に戻るも明治時代に別荘地や観光地として再興、文人や要人が好んで住んだり訪れた。東海道本線が横須賀線を分岐する大船駅では、1898(明治31)年から大船軒が駅弁を販売、鎌倉の文人や駅前の映画撮影所の関係者に親しまれた。1888(明治21)年11月1日開業、神奈川県鎌倉市大船1丁目。
2021(令和3)年10月に大船駅などで「牛肉としらす二色盛弁当」とともに発売。梅干しと白飯の日の丸御飯に、牛肉煮にだいこんやタケノコなどの煮物、かまぼこと玉子焼、鯵マリネとポテトサラダとミニ大福を添える姿は、3年から5年くらい前に売られた大船駅の幕の内弁当に似る。普段使いの幕の内弁当の基本を押さえ、価格を抑え、鯵を入れて大船駅や大船軒の駅弁らしさが表れ、漬物を入れず甘味を入れた変化も現れる。JR東日本の方針でこの年の3月に寿司以外の駅弁が全滅した大船駅に、なぜか再びこのような駅弁が戻ってきた。
2016(平成28)年の夏までに、従前の「列車の幕の内弁当」を改称のうえ一部リニューアルか。幕の内駅弁として、日の丸御飯に焼鮭、かまぼこ、玉子焼、サトイモとタケノコとシイタケの煮物という基本と、マグロ唐揚、牛肉ごぼう煮、アサリ蒸し、シラスのごま油炒めとサクラエビという応用がある。幕の内駅弁としては、少量でコンパクトなつくりだと思う。2017年の5月頃に掛紙を中身の写真入りのものに変更、2018年にはこれを元に戻し、2019年1月に松花堂弁当タイプの「駅辨幕の内」(1,100円)へリニューアルした模様。
※2022年2月補訂:終売を追記東京駅や上野駅や新宿駅を発車する列車の車内販売限定弁当として、日本レストランエンタプライズが2013(平成25)年1月11日から3月末まで販売。調製元は大船軒で、以後は東京エリアや大船軒の幕の内駅弁として販売された模様。2011(平成23)年に第1弾から第3弾まで販売された「東北二色めし」の好評を受けて開発したという、関係なさそうなことが販売元のニュースリリースに書いてあった。
今回購入したものは、レシートに「列車幕の内第2弾」とあったので、過去に第1弾が存在した模様。中身の写真を使う掛紙に、列車の停車駅案内のようにおしながきを記す。中身は日の丸御飯にアサリ時雨煮、焼鮭とかまぼこと玉子焼、蒸し鶏とマグロのコチジャンとシラス炒め、サトイモやシイタケなどの煮物と漬物。大船駅弁や大船軒らしさのない、普通の幕の内駅弁。2016(平成28)年の夏までに、上記の駅弁「湘南鎌倉大船軒の幕の内」へリニューアル。
下記の駅弁「かあさんの手づくり弁当」の改訂版か。価格と全体的な雰囲気を変えないまま、名前が短くなり容器は角張り、今回の中身は日の丸御飯に漬物を添え、おかずは汐ます、豚煮カツ、えび真丈揚げ、玉子焼、きんぴらごぼう、ちくわなどの煮物。おかずの内容は時々変わる模様。コンセプトは昭和30年代のおふくろの味なのだそうな。そうかな、とは思うけれど、手作り感とお買い得感のある、地味が好ましい幕の内駅弁。2012年までに終売か。
※2015年9月補訂:終売を追記従来の「里の味おべんとう」に代わり、2002(平成14)年5月1日に発売された、大船駅の普通幕の内駅弁。価格を買えずに容器が小さく簡素になり、中身は揚げ物がなくなり鮭塩焼と煮物類となった。つまり事実上の値上げ。食べる前には量の割に高価な印象を受けたが、味にまったく妥協がなく、掛紙のデザインと中身の御飯や具の配置が手作り感たっぷりな良い駅弁だった。2006年頃までの販売か。
※2015年9月補訂:終売を追記大船駅の普通の幕の内弁当。掛紙をかけて湘南電車の色の紙ひもでしばる長方形の容器の、半分は白御飯、半分はおかずで揚げ焼売・鶏唐揚・白身魚フライ・焼鮭に椎茸等の煮物が入る。御飯は美味く、おかずも身の締まった良い食感。神奈川県、特に大船駅の幕の内弁当は本当に美味い。これを購入した直後の2002年5月に「かあさんの手作り弁当」へリニューアルされた。
1939(昭和14)年5月7日19時の調製と思われる、昔の大船駅弁の掛紙。鉄道に関する記述がないため、仕出し弁当向けの掛紙かもしれない。日の丸と旭日旗を対面されて何かを記念するように見えて、何を記念したのかは分からない。