東京駅から新幹線で18分。水田の中に出現した新横浜駅は、開業後約20年間は閑散としていたが、「ひかり」の停車と地下鉄の開業で急速に発展、駅の表口はオフィスビル街となり、その先に大きな競技場もできた。駅弁は横浜駅と同じものと、東海道新幹線各駅のものと、テナントの弁当屋のものが売られる。1964(昭和39)年10月1日開業、神奈川県横浜市港北区新横浜二丁目。
新横浜駅では2023(令和5)年の春までに発売か。調製元は2010年前後に横浜駅や新横浜駅あるいは東京都内で売られた「横濱牛めし」などで見た名前。駅では久々に出会えたと思う。つくりは新横浜駅で買える崎陽軒やジェイアール東海パッセンジャーズなどの駅弁と同じ感じで、商品名を描いた掛紙を巻いた長方形のプラ容器に、白飯を敷いて豚バラ肉のミンチ「ルーロー」で覆い、半熟卵のようなもの、チンゲンサイ、サトイモの唐揚げ、キャベツのマリネ、高菜炒めを添える。五香粉などで台湾料理の香り豊かで、お肉もたっぷりで、駅弁屋の弁当に負けず常温でおいしい豚丼。
2015(平成27)年から羽田空港で見られるようになった「皇居外苑」ブランドの土産物群の弁当版。新横浜駅で購入したが、東海道新幹線の東京駅や品川駅でも売られているのではないかと思う。松花堂と名乗るので容器の4区画に、ちらしずし、鮭とアサリときんぴらごぼうの御飯、鶏照焼や玉子焼や煮物、イクラ和えや牛肉和えや漬物など。そんなちょっとごちゃごちゃした中身を、羽田空港の土産物と同じく、皇室の菊の御紋に似た菊紋をいくつも描いた包装紙で包んでいた。
新横浜駅で崎陽軒の横浜駅弁やJRCPの東京駅弁を売る売店で、2019(平成31)年までに取り扱いを開始。横浜市野毛で1923(大正12)年に創業した老舗の精肉店「尾島商店」が、高島屋横浜店のデパ地下などで2016(平成28)年頃から売るお弁当。底のみボール紙の経木折を、弁当名と宣伝文をささやかに書いた落ち着きのある包装紙で包む。白飯を錦糸卵で覆い、焼豚の薄切りでさらに覆い、焼売2個と鶏唐揚と鶏つくねと煮物を添えた、上品でも力強くボリュームある内容。
新横浜駅の新幹線改札内の待合室で、2017(平成29)年5月31日にリニューアルオープンした店舗「LAT.25」で売られる箱入りサンドイッチ。窓がある白い紙箱に、端整なロースカツを軽めのソース漬けにして、耳なし食パンに挟んだものを3切れ収めた。商品が機能的あるいは売り場的にサンドイッチ駅弁と同じ存在であることと、横浜創業の三本コーヒーが空港と東海道新幹線駅に展開する店舗であることから、ここに収蔵。商品の調製元そのものは、東京都江戸川区のホールセールベーカリー。
2012(平成24)年頃から新横浜駅構内、厳密には駅ビルあるいは交通広場の一角での台売りを始めた商品のひとつ。調製元は1987(昭和62)年開業の高架下店舗「新横浜アスティ」に入居し、その閉鎖と駅ビル「新横浜キュービックプラザ」の開業でそこへ移転した洋食屋さん。
調製元店舗の掛紙を巻いたホカ弁向けな容器に白御飯を敷き、トンカツの卵とじをどーんと載せて、海苔を振って柴漬けを添えたもの。豚肉の脂身の固さと赤身の臭さが昔懐かしい卵とじカツ丼。価格もホカ弁仕様で、実際に同じフロアでこの弁当を売るホカ弁屋があり、この弁当はそこで調製する。「シウマイ弁当」などの横浜駅弁の崎陽軒でもいいけれど、それ以外の駅弁も食べたいな、という地元の新幹線客に、少しずつ支持が広がっている印象。
2012(平成24)年頃から新横浜駅構内、厳密には駅ビルあるいは交通広場の一角での台売りを始めた商品のひとつ。ふたに調製元店舗の名前を印刷した、浅い紙製の仕出し弁当向け容器に、ゆかりの日の丸御飯と3切れのヒレカツを詰めて、キャベツの千切りとソースとマスタードを別添する。とんかつチェーン店のテイクアウトに匹敵する品質のお弁当。
新横浜駅は1985(昭和60)年に、国鉄ダイヤ改正で「ひかり」の約半数がだいたい30分毎に停車するようになり、同日に横浜市営地下鉄が延伸開業してからは、駅の表口にビルが林立し、混雑緩和の目的での駅構内の改造が続いた。2008年には駅前広場の半分を潰して、JR東海の駅ビル「キュービックプラザ新横浜」が開業、駅とタクシー乗り場とホテルとオフィスと商業施設を入れて、駅の利便性が向上した。一方で崎陽軒でもJRCPでもない駅弁が、なぜか一斉に消えてしまった。
2012(平成24)年頃から新横浜駅構内、厳密には駅ビルあるいは交通広場の一角での台売りを始めた商品のひとつ。オレンジ色で大きめな専用紙箱に、トーストした食パンにチーズやタマネギやロースカツを挟んだカツサンドを3切れと、ポテトフライを直に詰める。バターのような脂身とトーストされた食パンで個性がある。同じ調製元のトンカツ弁当より高価な価格設定と、上記3点をまとめて同じ場所で購入したのに、体裁も内容も風味も同じ業者の製造販売とは思えないような三者三様が、興味深かった。
新横浜駅限定商品として、2006(平成18)年の秋に発売。黒い長方形の容器にラップをかけて、ソースと割りばしとスプーンを置いて、横浜の観光名所である赤レンガ倉庫を描いた紙ぶたをして、ラップでまるごと包む。中身は半熟卵のオムライスにハンバーグ、ポテトフライ、焼売、ニンジン、コールスローとごぼうサラダ。後に東海道新幹線の東京駅や品川駅でも売り始めた。価格は2014年の購入時で750円、2015年時点で770円。
オムライスの発祥は横浜でも開港の時期でもないが、わかりやすく風味に間違いのない和製洋食は、きっと人気商品になっていると思う。常温放置で卵の半熟さを保つのにかなり苦労したそうで、そう考えるとすごい、知らなければ安めでうまい洋食弁当。2018年までの販売か。
※2019年8月補訂:終売を追記2008(平成20)年8月17日に購入した、新横浜駅弁のふた。上の6年後と、まったく同じ。容器も中身も同じ。価格の改定も消費税率分なので、何も変わっていない。
2009(平成21)年までには東京駅や羽田空港で登場していた模様。黒いプラ製トレーの容器に透明なふたをして、商品名と書いたオレンジ色の掛紙を巻く。中身は白御飯の上を「和豚もちぶた」の照り煮なる豚肉で覆い、タマネギ煮とシシトウ、玉子焼と大根桜漬を添えるもの。内容のシンプルさと分量が心地良く、しかし冷めた状態で食べる味ではないとも思う。
和豚もちぶたとは、仙台駅でも駅弁になったことがある、群馬県渋川市のグローバルピッグファームが持つ銘柄豚で、2011年8月現在で北海道から佐賀県まで81農場で生産されているという。この駅弁の調製元はJRCPではなく、「牛めし」で駅や空港へ乗り込んできたイズミ食品。一時は横浜駅の中や近くでも同社の弁当が買えたが、いつしか売店ごと消滅し、その後にJRCPとの取引ができたようで、このようにJRCPの駅弁売店で買えるようになっている。
新横浜の駅前ホテルが調製する、知る人ぞ知る隠れた新横浜駅弁で、さらにマイナーな別バージョン。事務的に白い正方形のボール紙箱を赤バージョンの掛紙で包む。中身は玉子そぼろと豚そぼろの御飯に、ステーキのような鶏唐揚、ウインナー、フライドポテト、クリームコロッケなど。ホテルのブッフェな雰囲気と風味を感じる。
新横浜の表側は駅開業後長らく、空き地と古タイヤ置き場とラブホテルの街であったが、1985(昭和60)年3月の国鉄ダイヤ改正による「ひかり」毎時2本停車実現と、同日の横浜市営地下鉄延伸開業と、その後のバブル経済により、一瞬でオフィスビル街に変貌した。しかし裏側は地元の区画整理断固反対姿勢により農村が残り、それが徐々に乱開発されつつある。
なお、新横浜駅では2004年からJR東海が駅ビル工事を開始、その進展に伴い従来の売店が一掃されてしまい、以降はこの弁当を駅で見つけられていない。
※2009年3月補訂:終売可能性を追記新横浜の駅前ホテルが調製する、知る人ぞ知る隠れた新横浜駅弁の元祖。事務的に白い大きな正方形のボール紙箱を、青バージョンの大きな掛紙で包み、事務用輪ゴムで留めて調製印シールを貼る。中身は俵型日の丸御飯、蒲鉾と焼鮭と煮物、海老フライとカニ爪フライにハムとパスタなどの、和洋折衷幕の内駅弁。
2005年の手狭な新横浜駅からは、かつて「こだま」のみの停車駅で利用が伸びず、新幹線高架下の広い空間を持て余していた国鉄時代が想像できない。2008年に開業した地下4階地上19階建て、延べ床面積約9万平方メートルの規模を持つ新横浜駅ビルは、駅開設当時の国の定めにより横浜市と国鉄で半分ずつ敷地を持った駅前広場の土地を利用、駅の混雑緩和も目的とする。
なお、新横浜駅では2004年からJR東海が駅ビル工事を開始、その進展に伴い従来の売店が一掃されてしまい、以降はこの弁当を駅で見つけられていない。
※2009年3月補訂:終売可能性を追記2003(平成15)年11月1日に発売。新横浜の駅前ホテルが調製する、知る人ぞ知る隠れた新横浜駅弁。調製弁当特有の透明山蓋容器を、神奈川県の形や地名に横浜名所を描いた駅弁らしい専用のボール紙の枠にはめる。中身は日の丸御飯に三崎まぐろ味噌焼、葉山牛しぐれ煮、三浦大根のきんぴらや煮物、小田原の蒲鉾などで、神奈川県産がコンセプト。
神奈川県の駅弁隆盛度は日本一級だが、JR駅は明治時代からの大手3社が押さえて各社がそれぞれ看板商品を持つことと、神奈川県は旧国名でも行政でも東部と西部に分かれて一体感がないため、県全体をコンセプトにした駅弁が生まれていなかった。もっとも、2つの政令指定都市を抱える東部は都市化と工業化で農林水産業が衰退したため、駅弁の内容は神奈川というよりは相模食べ歩きという感じ。
なお、新横浜駅では2004年からJR東海が駅ビル工事を開始、その進展に伴い従来の売店が一掃されてしまい、以降はこの弁当を駅で見つけられていない。
※2009年3月補訂:終売可能性を追記新横浜駅ビルの食品フロアで販売されていたお弁当。長方形のしっかりした容器に、「横浜中華点心」や「Isogo Country Club Yokohama」の文字を記した包装紙を巻く。中身は内蔵容器に収まる日の丸御飯と、白いトレーに収まるシュウマイ、海老包み蒸し、カニ爪フライ、干し貝柱の卵炒め、ごぼうとれんこんの炒め物、白身魚マリネ、エビチリ、チャーシュー、大根とキュウリの甘酢、ザーサイ。
デパ地下の高級惣菜といったところであるが、改札口の真上にある駅ビル内で、地元のゴルフ場を名乗り、新横浜限定で販売されているそうなので、駅弁と思って食べてもおかしくない。割りばしやおてふきの袋も専用品なので、ポイントが高い。2016年以降に店舗がなくなってしまい、今は新横浜駅では買えない。
磯子カンツリークラブは神奈川県横浜市の南部の円海山の麓で1960(昭和35)年に本開業した18ホールのゴルフ場。会員権の相場が関東地方で十指に入る名門であり、東京都心から車で1時間、洋光台駅からタクシーで5分と、交通の利便性にも優れる。クラブハウスで提供されるシュウマイその他の中華料理が評判で、2008(平成20)年3月26日には新横浜の駅ビルに売店を出すまでに至った。ゴルフをやらなくてもセレブにならなくても磯子カンツリーの味が楽しめると喜んだ人もいるそうな。
※2019年8月補訂:終売を追記