東京駅から電車で約25分。横浜市は神奈川県の東部で東京湾に面した、人口約380万人の港町。東京の衛星都市として人口日本一の市であるほか、異国情緒とウォーターフロントで多くの観光客も集める。駅弁は、大正時代からの駅弁屋がコンコースやホーム上や駅周辺各地に駅弁売店を構え、「シウマイ弁当」は日本一売れる駅弁とされる。1915(大正4)年8月15日開業、神奈川県横浜市西区高島2丁目。
2023(令和5)年7月5日から7日まで、横浜駅など神奈川エリアと東京エリアで販売。調製元は七夕弁当という名の商品を、初めて販売したのではないかと思う。その販売は当然に、ここでは7月7日である七夕(たなばた)にちなんだものだろう。掛紙にも夏の月夜の笹飾りという、七夕らしい絵柄がある。
その裏面のおしながきのとおり、中身は牛肉ちらし寿司、昔ながらのシウマイ3個、海老の黄身揚げ、海藻麺と蒸し鶏の天の川サラダ、笹かまぼこ煮、星型しんじょ煮、筍煮、大根なす漬け、笹団子。七夕の星空をイメージし、七夕らしさを演出したという。なかなか高価な駅弁となった。
2016(平成28)年9月19日の敬老の日に「祝敬老の日ありがとう弁当」の名で発売。翌2017(平成29)年には「おじいちゃんおばあちゃんありがとう弁当」に改称し、この2020(令和2)年は「祝敬老の日秋の贅沢弁当」の名で、9月21、22日の両日に販売した。
容器は発売時から変わらない、赤い9区画。中身は松茸御飯、鮭のせ白御飯、特製シウマイ、えびシウマイ、有頭海老とニシン昆布巻と彩り大根なます、牛肉とぶなしめじのすき焼き風煮、銀ヒラス白醤油焼と玉子焼、マイタケ天と小松菜のおひたし、シイタケ煮とカボチャ煮とサツマイモのレモン煮。
2019(令和元)年8月23日に発売。ただし、店舗や無予約では買えず、3個からの受注販売で、横浜市内であれば15,000円以上など指定地域への一定金額以上での配達となる、団体向け仕出し弁当。崎陽軒初をうたう、ヴィーガン対応のお弁当。6区画の中身は白飯、トマトペンネ、煮物、甘酢和え、野菜あんかけ、ベジタブルシウマイ2個。
世のベジタリアン向け弁当にありがちな、食べるのに我慢を強いるものとは違い、ほぼ普通の弁当の味がした。肉も「五葷」つまりネギ、ニンニク、ニラ、タマネギ、ラッキョウといった匂いの強い野菜も使わないベジタブルシウマイなど、普通の駅弁として、あるいは「シウマイバル」や「+DELI」といった崎陽軒の惣菜店で、単品販売してほしいとも思う。2020年からの新型コロナウイルス感染症の蔓延以降、長らく「販売を一時休止しております」状態にあると思う。
※2022年2月補訂:現況を追記横浜駅の駅弁屋が売る、個別包装の肉まんとあんまん。一個200円で売るレギュラー商品であるが、2015(平成27)年11月21日から翌年1月11日まで、肉まん3個とあんまん2個を専用のボール紙箱に詰め、20円引きの980円で販売した。日本全国のコンビニで買える肉まんやあんまんと比べて、少し大きめかもしれないが、味が優れたり個性的だというわけではない。セット販売期間の終了後も、定価の1,000円で販売が続く。
2015(平成27)から、3月3日のひなまつりの日と、その前日と前々日の3日間だけ販売される期間限定弁当。今回購入のものは、ひなまつり弁当の7年目で、2021(令和3)年3月1日から3日まで販売。中身はエビやとびっこのちらし寿司、有頭海老の香り揚げ、サトイモのゆばとカニのあんかけ、菜の花やこんにゃくなどの和え物、三色団子、シウマイ3個など。桃色や赤系の色彩で、桃の節句をおいしく祝う。価格は2015年の発売時で1,000円、2019年から1,250円。
上記の駅弁「ひなまつり弁当」の、販売2年目の2016(平成28)年バージョンで、3月1日から3日まで計1,000個を販売。中身はエビやイクラのちらし寿司、合鴨ロース煮、フキやコンニャクなどの煮物、ニシン昆布巻、菜の花とカニとタケノコの和え物、三色団子、シウマイ2個など。
※2021年3月補訂:新版の収蔵で解説文を手直し2003(平成15)年8月18日発売の、横浜の駅弁屋さんのレトルトカレー。写真のものはみなとみらい線開業記念として、布袋入り5個セットで販売されていたもの。レトルトカレーにしては厚く細身なパッケージは文明開化色いっぱいのデザイン。中身は写真を取り忘れてしまったが、シウマイを煮込んだスープをベースにしたどろどろ系カレーに、シウマイがまるごと3個入っているもの。とはいえ味は奇抜でなく普通な感じだった。
正式名称は横浜「口加」「口厘」という、パソコンにない字を使う。調製元の公式サイトでの標記は「横濱かりぃ」。2020年3月にパッケージの中袋を「電子レンジ対応パウチ」に変更。価格は2004年の購入時で1個あたり420円、後に400円、2010年9月から380円、2014年4月の消費税率改定で390円、2014年8月から400円、2016年9月から410円、2022年10月から420円、2023年10月から440円。
※2023年10月補訂:値上げなどを追記2024(令和6)年2月21日から27日まで、崎陽軒横浜駅中央店、横浜駅西口地下街の「崎陽軒+DELI」、無印良品港南台バーズの3店舗で16時から販売。横浜市資源循環局と良品計画「無印良品」港南台バーズと崎陽軒が共同で、崎陽軒の生産工程で発生する規格外のサイズや形、余剰となってしまった食材を活用した弁当を、ごみ分別、食品ロス軽削減、SDGsの名目で販売した。第1弾は2022年6月4日から12日まで崎陽軒本店ショップと、無印良品港南台バーズで830円にて販売、第2弾も同じ店舗で10月24日から30日まで880円で販売、今回の第3弾は初めて駅構内の駅弁売店を販売箇所に加えて販売した。
横浜駅弁「かながわ味わい弁当」などと同じ容器を、同じ面積の4区画に仕切り、鮪と長ねぎの白胡麻和えをトッピングした白飯、胡麻塩をトッピングした赤飯、わかめの千切り生姜煮と大学芋と帆立フライ、太刀魚の竜田揚げ胡麻だれ和えとししとうの素揚げと大根の漬物を詰める。無漂白紙に単色印刷したような感じの掛紙には、表面に地球環境イラストを、裏面に解説付きのおしながきを掲載。一日約100個とした販売個数は、当日の生産状況に応じて変動させたため、購入が困難な商品となった。なお、写真にはこの日に買った他の商品も映り込む。
2023(令和5)年11月11日に発売、30日まで販売。調製元の北海道産帆立応援企画の第1弾。第2弾は弁当でなく「北海道産の刺身用帆立貝柱(冷凍)1kg」を11月20日から12月20日まで通信販売、第3弾は12月に崎陽軒本店ほか全レストランで北海道産帆立メニューを提供した。既存の横浜駅弁「炒飯弁当」の容器に、商品名とホタテと北海道を描いた掛紙をかける。
中身は帆立風味茶飯に北海道産昆布佃煮を載せ、帆立フライ、帆立のマヨソース、焼き帆立、小松菜のおひたし、玉子焼き、筍煮、紅生姜、昔ながらのシウマイ2個。シウマイも含めホタテづくしの内容も、食べれば淡い風味でホタテの存在感を良い意味で感じにくい、秋冬のお弁当という感じだった。
中国は東京電力福島第1原子力発電所の処理水の海洋放出を口実に、2023年8月末に日本からの水産物の輸入を全面的に停止。生産量の8割を中国へ輸出していた北海道産ホタテの行き場がなくなったことがテレビなどで多く報じられ、このような買って食べて応援するという機運が生まれてきた。
2023(令和5)年6月23日から7月9日まで、調製元の神奈川エリア5店舗と東京エリア15店舗に限り販売。駅で買えたのは、横浜駅中央店とエキュート立川駅店のみ。何かのイベントや宣伝や行事にちなんだものでなく、発売の前日に突然発表され、半月で消えた謎の商品。
「崎陽軒の自慢のごはん三本柱を一度にお楽しみいただけるお弁当」とする中身は、ふくいサーモンの西京焼きで覆う白飯、チャーハン、ピラフ、筍煮とニシン昆布巻と人参煮、小松菜のおひたし、ポテトサラダ、風味蒲鉾とクラゲの酢の物、シウマイ2個、ごま団子。既存の崎陽軒を、ほんの少しずつ詰め合わせた。
横浜駅弁のチャーハンは第二次大戦前からあり、冷めてもうまいと評判。ピラフは知られていない感じで、感想が聞こえてこない。白飯は、特に「シウマイ弁当」に詰める経木折の俵飯は絶賛され、この白飯だけ売ってほしいという声まで聞こえるが、駅弁にも惣菜店にも予約商品にも、そんなものはない。他に赤飯があり、よくできていて、5個以上の予約により単品でも買える。
2023(令和5)年3月1日から31日まで、調製元のネット通販での予約と直営約150店舗での受取に限定して、1万個を販売。駅弁の名前「福笑」は「ふくわらい」でなく「ふくしょう」と読ませる。調製元と福井県庁が北陸新幹線の福井延伸開業を控え2022年7月19日に令和4−6年度分を締結した「福井県の魅力発信および認知度向上に係る相互協力協定」のもと、北陸新幹線福井・敦賀開業1年前を記念し、BSフジのテレビ番組「小山薫堂東京会議」のメンバーの協力により開発した、福井県をアピールするお弁当。
掛紙には福井県を代表する観光地の次に位置するような、三方五湖、一乗谷朝倉氏遺跡、丸岡城、水島の写真を使用。その裏面でカラーの写真と文字で紹介される中身は、福井梅干しの日の丸御飯、小鯛のささ漬けとおぼろ昆布の寿司、油揚げの含め煮、へしこ糠とちりめんじゃこのポテトサラダ、福井県産甘えびの唐揚げ、崎陽軒の筍煮、ふくいサーモンの西京焼き、三年子花らっきょう、玉子焼き、にしんの昆布巻き、シウマイ2個、羽二重あんころ餅。磁器の醤油入れ「ひょうちゃん」は3種の絵柄をランダムに封入。福井県にとにかくちなんだ、御飯の多いお弁当。販売終了後の4月に調製元の公式ツイッターが突然に再販をつぶやき、その時にこれを買えた。
2022(令和4)年5月13日から9月30日まで、調製元の横浜・川崎エリア約50店舗で販売。沖縄北部を舞台にした2022年4〜9月放送のNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」で、横浜市鶴見区も舞台のひとつになったことにちなむ。掛紙には蝶や花と鶴見つばさ橋のイラストに、NHKでなく横浜市鶴見区役所の横浜鶴見プロジェクト実行委員会のロゴマークを掲載、裏面では中身の写真と解説に加えて、横浜鶴見と沖縄の関係も紹介する。
中身は沖縄風炊込飯「ジューシー」、カレイの天ぷら、シークヮーサー入りもずくサラダ、鮪入りゴーヤーチャンプルー、黒糖入りわらび餅、人参と蓮根の煮物、紅生姜、昔ながらのシウマイ3個。沖縄料理を取り扱うテレビ小説のように、沖縄の食材や料理でできている。沖縄と、横浜でなく鶴見のお弁当。
鶴見は、東京や川崎と横浜の間。有史以降も特に何かあったわけでなく、生麦事件の発生や鉄道の開通でようやく19世紀後半から歴史に顔を出す。20世紀に入ると曹洞宗大本山総持寺の移転や京浜工業地帯の形成で、国内に加えて海外からも人が移り企業が進出し発展した。この頃に何万人もの沖縄県民が鶴見へ移住し、沖縄の町ができ、今も沖縄の風景や商品や料理が見られるエリアがある。
鶴見で1920年代に、当時の川崎町と合併するか、横浜市に編入されるか、単独で市制を敷くか検討され、近代水道の整備を条件に横浜市の一員となることを選んだ。1927(昭和4)年4月に横浜市の鶴見区となり、分区も合区もなく今に至る。ここには横浜の港町でも郊外住宅地でもない、東京ではなく川崎でもない、別個の町があるように思える。
2022(令和4)年1月14日に「勝!わっぱで突破めし」とともに、神奈川エリアと東京エリアで880円にて発売、2月28日までの販売を予定。受験シーズンに対応した、ゲン担ぎのお弁当。弁当の名前を記した青い掛紙には合格祈願だるまも描く。円形の輪っぱ(曲げ物の容器)と表現されたプラ容器に白飯を詰め、銀鮭の西京(最強)焼き、のり塩とり天(取り点)、ししとう土佐煮(勝お節)を載せ、レンコンとニンジンとタケノコの煮物、玉子焼、昔ながらのシウマイ2個、しば大根漬けを添える。
この年に大学入試センター試験を改称した大学入学共通テストは1月15、16日の実施。首都圏の中学受験は長らく2月1日からの数日間がピーク。神奈川県の公立高校の学力検査日は2月15日。ベビーブームと呼ばれた1940年代や1970年代には200万人を超えた1学年あたりの日本人が半減し、大学に入れず高校を卒業した浪人生とこれを対象にした予備校がその数を減らしても、受験が楽になったり進学難が解消したわけではなく、受験産業は栄え、報道は過熱を続け、学生さんの大変さは変わらないと思う。
2022(令和4)年1月14日に「最強!わっぱで突破めし」とともに、神奈川エリアと東京エリアで880円にて発売、2月28日までの販売を予定。受験シーズンに対応した、ゲン担ぎのお弁当。弁当の名前を記した赤いい掛紙には合格祈願だるまも描く。円形の輪っぱ(曲げ物の容器)と表現されたプラ容器に白飯を詰め、塩麹仕込みのヒレカツ(勝)3枚、彩り野菜の受カレーディップを載せ、めでたい!めんたい!ポテトサラダ、昔ながらのシウマイ2個、紫キャベツのピクルスを添える。カツで勝つとは、受験よりもむしろギャンブルの世界で親しまれるように思えることは気にしない、軽い食感を持つトンカツ弁当。
2020(令和2)年7月17日から8月16日まで販売。横濱中華弁当サイズの容器に、シウマイ弁当などに入る鶏唐揚を、通常版に加えてタンドリー風、レモンペッパー、海苔塩の4種類で各1個を詰め、日の丸俵飯、牛肉ガーリックバター炒め、タケノコ煮、かまぼこと玉子焼、ポテトサラダ、紅生姜、シウマイ2個と合わせた。同様に4種類の鶏唐揚を詰めた東京駅弁より、御飯が多くて鶏肉が少ないので、御飯を食べてお腹を満たすお弁当という感じだった。発売の意図は、なんだろうか。
原鉄道模型博物館と、角川マガジンズの雑誌「横浜ウォーカー」と、崎陽軒のコラボレーション企画として、2018(平成30)年6月23日から7月8日まで横浜駅とその周辺の店舗で1,500個を販売。駅弁の名前のとおり、掛紙がぬりえになっていて、ツイッターに投稿するか原鉄道模型博物館に持ち込めば賞品が当たる「掛け紙おえかきコンテスト」が実施された。
塗り絵仕様で色のない掛紙の絵柄は、観覧車とホテルと鉄道模型。中身は半分が炒飯、半分がおかずでシウマイ、シウマイまん、鶏唐揚が各2個と、ナポリタン、タケノコ煮、フルーツ。そのほとんどが既存の横浜駅弁と同じものであり、味も同じ。普段は単体で売る「シウマイまん」が弁当に入るのは珍しかった。
これは駅弁でなく、崎陽軒が横浜駅西口の地下街に出店した店舗でのみ売られる惣菜弁当。店内で調製し販売するのはデパ地下弁当と同じ感じ。掛紙をかけない二段重ねの容器の、下段は季節の御飯で、上段がおかず。今回は下段が日の丸御飯とタケノコ御飯、上段がシウマイ3個、鶏唐揚2個、玉子焼、タケノコ煮、シイタケとニンジンとサトイモとシイタケの煮物、山クラゲなどの和え物、漬物。シウマイ弁当その他横浜駅の駅弁と同じものが組み合わされていた。2023年時点で販売されていない。
※2024年5月補訂:終売を追記2016(平成28)年11月16日に「五目野菜あんかけ丼」とともに発売。6年前の電子レンジ対応チルド商品「おいしさ長もち」シリーズの、弁当タイプの商品の再来に見えるが、今回はそのシリーズを名乗らない。丸い紙容器に炒飯を敷き、半透明のトレーに帆立と蟹のあんかけの具を注ぎ、透明なふたをして、その中身が見えるような掛紙を置き、まるごとラッピング。指示どおり電子レンジで加熱しておいしい丼もの。こういうお弁当そのものの冷凍食品や冷蔵食品は、いつどこで誰がどうやって食べているのかなと思う。価格は2016年の発売時で680円、2018年9月から700円。2020年までの販売か。
※2021年3月補訂:終売を追記2016(平成28)年11月16日に「帆立と蟹のあんかけチャーハン」とともに発売。6年前の電子レンジ対応チルド商品「おいしさ長もち」シリーズの、弁当タイプの商品の再来に見えるが、今回はそのシリーズを名乗らない。丸い紙容器に白飯を敷き、半透明のトレーに五目野菜のあんかけの具を注ぎ、透明なふたをして、その中身が見えるような掛紙を置き、まるごとラッピング。指示どおり電子レンジで加熱しておいしい丼もの。価格は2016年の発売時で630円、2018年9月から650円。2020年までの販売か。
※2021年3月補訂:終売を追記2014(平成26)年11月1日から12月21日まで販売。横浜労災病院「すまいるごはん♪プロジェクトチーム」の監修により、調製元との共同開発により誕生した、おいしく健康的な、あるいは糖尿病や生活習慣病に対応した駅弁。掛紙には商品名や監修者とともに、「エネルギー545kcal」「食塩相当量3.0g」と明記。
和食器柄のプラ製トレーに収まる中身は、雑穀飯、鮭の南蛮漬、イカやカボチャやタケノコなどの煮物、玉子焼、茎わかめと寒天などの酢の物、キノコや白滝などの生姜煮、根菜などのひじき煮、柚子わらび餅、アンズ、シウマイ3個など。横浜駅弁のシウマイ弁当と同じ物がいろいろ入るなど、健康のために不味い弁当にはなっていないものの、小さく細長い食材の和え物が多様される点などに、我慢が求められているような気がした。
崎陽軒が2012(平成24)年10月から展開する電子レンジ対応チルド商品「おいしさ長もち」シリーズに、2013年3月1日に追加された弁当。円形の紙カップに白御飯を詰め、透明なふたにエビチリとスクランブルエッグを仕込む。味はさすが中華の崎陽軒だが、メインのエビチリは粘りがない液体のためか、トレーで密封できず漏れてくるという、持ち歩く弁当として詰めが甘い、崎陽軒らしからぬ商品だと感じた。価格は2013年の購入時で750円、2014年4月の消費税率改定で770円。2016年時点で販売されていない模様。
※2016年8月補訂:終売を追記崎陽軒の東京エリア限定の弁当が横浜でも登場。内容は東京エリアのものと同じで、正六角形の容器に帆立御飯、海老とタケノコの湯葉包み揚げ、サケ塩焼、ホタテやシイタケなどの煮物、特製シウマイ2個、玉子焼、海老唐揚、カニカマとクラゲと錦糸玉子の酢の物、小粒大福が収まる。しかし横浜エリアでの販売は長続きしなかった模様。2011年までの販売。
※2019年8月補訂:終売を追記2001(平成13)年11月1日に発売。茨城県筑波産の朝引き熟成鶏を使用、長方形の容器の中にマスタードソース焼きで収められる。他にはエビイカフライ、ポテトフライにポテトサラダ、そして御飯はなんとコーンの混ぜ御飯という洋風駅弁。これのどこが横浜なのかは理解に苦しむが、味はうまい。2003年現在で販売されていない模様。
調製元の女性チームの開発により、2011(平成23)年11月1日から12月25日までの販売。白いプラ製トレーに透明なふたをして、商品名をデザインしたランチョンマット柄の紙帯で留める。中身はベジタブルピラフ、フィットチーネを敷いた鶏バジル焼、カボチャやニンジンなどの煮物、ジャーマンポテト、さつまいも、いちごタルトなど。
見た目も内容も味もまるでデパ地下弁当。500キロカロリーの低カロリーで、揚げ物を使わず、野菜をたくさん食べられるのだという。駅弁の崎陽軒という固定観念から大きく脱線転覆したスタイルがネット上ではどうも不評だが、こんな実験もあってよいと思う。調製元がデパ地下向けにサブブランドを持てば、こんな商品展開になるのかもしれない。
2004(平成16)年4月1日から6月30日まで販売した、開国150周年と横浜開港145周年の記念駅弁。黒船の船体を模したような黒い容器をフィルム素材の糊付掛紙で巻いて留める。「日本の洋食」がコンセプトという中身は、オムライス、マカロニサラダ、海老フライ、ハッシュドポーク、2種類の揚げパン。割りばしは付かずプラスティックの先割れスプーンが付く。記念弁当ということで容器も中身も定番商品にない思い切りを感じる。
中身のハッシュドポークは、ビーフが米国BSE騒動などで騒がしいので豚に変更したかと思っていたら、1885(明治18)年にアメリカ人女性が出版した本「手軽西洋料理」に登場しているのだとか。ネット上の感想文を見ていると、なぜか揚げパンが食べた人の絶賛を浴びている気がする。
横浜駅のキヨスク系売店で売られるお弁当。楕円形の容器に透明なふたをしてラップで包み、上面に商品名シールと価格シールを、下面に食品表示ラベルを貼る。中身は買う前から見えるとおり、鶏炊込飯を鶏照焼で覆い、ししとうと大根辛味漬を添える、シンプルな鶏飯。
飯に対する鶏肉の分量が多いことを差し引いても、全国各地の鶏駅弁に匹敵する豊かな風味と、それらに負けない肉の締まりと、それらにないジューシーさを備える、駅構内販売弁当として優秀な一品。駅弁としての体裁を整えていない点を除き、少なくとも横浜駅構内に対抗馬はいない。
この商品の不思議なところは、県内はおろか東海道本線沿線で記録上最古の駅弁屋である、小田原駅弁の東華軒が調製元であるのに、小田原駅その他の同社管轄駅で見たことがなく、その見栄えや風味にも該当品がないこと。駅弁屋がコンビニ弁当や仕出し弁当に手を出すのは珍しくなく、むしろそれが本業であることもよくあるが、最近の小田原駅弁のように、伝統の駅弁、新作の駅弁、駅弁大会の駅弁、キヨスク売りの弁当の四者で、まるで別業者とも思えるくらい商品の形態や風味が異なるところまでいくのは、ちょっと思い付かない。
なお、おそらく横浜駅西口駅ビル工事に伴い、この売店が閉店したため、現在は横浜駅では買うことができない。どこかのスーパーで買えるかもしれない。
※2012年11月補訂:駅での終売を追記イズミ食品のデパ地下弁当。長方形のプラ製の惣菜容器に白御飯を敷いて、見た目も分量も名前相応の大海老天が3本横たわり、天つゆがかけられる。ししとうも天ぷらで添付。初見の二重構造なプラ製容器は、上げ底用か、風味維持用か。分量も常温での風味も良好。空港やサービスエリアでも販売されているかもしれないので、ここに収蔵。
なお、2007年末頃に京急連絡口脇の弁当売店が撤去されたため、この弁当は現在は駅では買うことができない。
※2011年2月補訂:現況を追記2006(平成18)年12月1日に発売。やや小柄な正方形の容器に同素材で木目調のふたをして、袋に入れた割りばし、楊枝、おてふきをシールで貼り付け、朱色鮮やかな掛紙をセロテープで貼る。中身はトッピングがそれぞれ異なる5個の俵飯、きのこの塩味スパゲティ、エビカツ3切れ、フライドポテトやブロッコリーなど。
メインの海老カツに身のまま入る海老は、掛紙記載どおりのプリプリ感が満点、俵飯の飾り方も松阪駅の一万円駅弁の他に見たことがないような。だからといって風味価格品質とも誰もにおすすめできるというレベルではないが、駅弁として若々しい印象を受けた。調製元は最近、横浜の駅弁屋としても認知されつつあり、今後の成長が楽しみ。
なお、2007年末頃に京急連絡口脇の弁当売店が撤去されたため、この弁当は現在は駅では買うことができない。
※2011年2月補訂:現況を追記2004(平成16)年3月1日に発売。木の質感を出す長方形の容器に背景も文字も淡いデザインの掛紙をかけてゴムで軽くしばる。中身は薩摩芋の混ぜ御飯に赤魚柚香焼、鶏マスタード焼、野菜寄玉子焼、ひじきや煮物各種などだが、やや塩辛い焼き魚を除き本当に薄味ないし無味で、素材そのものの風味を存分に感じられる。薄味弁当など一歩間違えば味気ない病人食になるから、この調理技術はお見事。ただ、昔から味付けが濃すぎるとされる駅弁界に一石を投じるほどの注目度はない感じ。
横浜駅での新顔「牛めし」の調製元が、直営売店や実演販売で併売するお弁当。フタまで長方形の容器に、初代広重の東海道五拾三次の保土ヶ谷の部分引用に、みなとみらいとベイブリッジを描いた掛紙を巻いて、ひもでしばる。中身はサバとアナゴとカニのばってらがひとつずつ、ウナギとタイの錦糸巻きがひとつずつ、いなりがひとつ。
両商品とも2006年の初頭の神奈川県内駅弁大会で何度か見たほか、横浜駅西口地下街では毎日買える。調製元は横浜市保土ケ谷区にあるため、このように東海道保土ヶ谷宿の名を出して商売をしているが、最寄り駅が相鉄線西谷駅である調製元と旧宿場町は保土ヶ谷区の東端と西端で大きく離れており、だいぶ無理がある。保土ヶ谷宿の遺構も完全に消滅している。
なお、2007年末頃に京急連絡口脇の弁当売店が撤去されたため、この弁当は現在は駅では買うことができない。
※2011年2月補訂:現況を追記横浜駅での新顔「牛めし」の調製元が、デパートの駅弁催事で実演販売していたお弁当。調製元のブランドを記した黒く丸いプラ製容器を、中身とそのフタの写真を印刷したボール紙の枠にはめる。中身は酢飯の上にマグロ、カニ、穴子、タコ、ボイル海老、帆立貝柱、イクラ、玉子焼、ウニ、着色ワカメ、刻み海苔を詰めた、賑やかな海鮮丼。
見栄えも風味も良いが、横浜の新名物にはならないと思う。この調製元の弁当自体、「牛めし」登場の頃は駅や駅弁との結び付きも感じられたが、横浜駅西口地下売店や京急改札脇弁当売店が消滅したため、今は駅やその付近で買えないと思う。今後は羽田空港と海老名サービスエリアと催事場が主戦場になるのだろう。
なお、2007年末頃に京急連絡口脇の弁当売店が撤去されたため、この弁当は現在は駅では買うことができない。
※2011年2月補訂:現況を追記これは駅弁ではなく、横浜駅西口の高島屋横浜店の地下食料品売り場の改装を記念して、2015(平成27)年6月17日から30日まで入居の各社が販売した記念弁当の、崎陽軒バージョン。百貨店のイメージフラワーであるバラを配した赤い掛紙の中身は、この年の1月から3月までに販売した「春の彩りちらし弁当」と同じく、ちらし寿司、桜えび入り薩摩揚、しらすと菜の花の和え物、シウマイなど。崎陽軒のちらしずしとは珍しく、今回もやっぱりうまくなし。あの固さ具合の御飯と、この酢や具は合わない気がする。
2012(平成24)年2月4日と5日に横浜駅の改札内コンコースでのNREの駅弁大会で販売された記念駅弁。この年の5月にも同じ場所で売られた模様。角を落とした長方形の容器に、明治時代の横濱駅や横濱市街のイラストでデザインした掛紙を巻く。中身は中華おこわと白御飯の俵飯、有頭エビチリ、マグロ西京焼、アサリしぐれ煮、サーモンマリネ、牛肉煮、鶏ビール煮、豚バラ煮、かまぼこ、野菜のカレー和え、玉子焼、ザーサイなど。
調製元はなんと大船軒。崎陽軒でない駅弁屋の記念駅弁を横浜駅長がおすすめするなど、悪意で書けばNREによる東日本平定の手がついにここへ来たのかと。小田原方面へも大船軒が来たり、崎陽軒が相模の駅構内に来たり、100年続いた神奈川県内の棲み分けに変化が生じている印象。
大都市横浜の駅弁らしからぬ田舎風な、昭和末期でJR発足2年目の時期らしからぬ古めかしい駅弁掛紙。一応、横浜市内でも栗を生産する農家があるとか。
1975(昭和50)年2月3日10時の調製と思われる、お弁当の掛紙。これが駅弁の掛紙かどうか分からない。左側に「横浜ステーションビル1Fサンドイッチコーナー」と書いてあり、駅で売られた弁当、駅売り弁当の可能性を感じる。
1976(昭和51)年8月14日6時の調製と思われる、お弁当の掛紙。これが駅弁の掛紙かどうか分からない。「横浜ステーションビル売店」「オダキュー売店」「東急弘潤会売店」と書いてあり、東急横浜駅の売店で売られた弁当かもしれない。
1930(昭和5)年1月7日の調製と思われる、昔の横浜駅弁の掛紙。記載内容が御飯に関する注意書き、当時の鉄道省の東京鉄道管理局の路線図と管内の名物、価格表であるため、幕の内弁当(上等か並等の御辨當)の二重折のうち御飯の容器にかけられた掛紙でないかと想像する。横浜の名物として「シウマイ」や「ヤキメシ」などが挙げられるが、崎陽軒がこの前年に発売のシウマイは、まだ名物にはなっていなかったと思う。