新宿から小田急特急ロマンスカーで約1時間半。箱根観光の玄関口のひとつであり、1200年以上の歴史を持つ温泉郷であり、全国有数の登山電車の乗り場でもあり、鉄道も道路も一年中混んでいる。駅弁はホーム上のキヨスク型売店と、2階改札外の土産物店で、各社のものが売られる。1919(大正8)年6月1日開業、神奈川県足柄下郡箱根町湯本。
箱根湯本駅のおにぎり駅弁。平たい正方形の折箱に、平たい白飯に鮭と梅干しの具を貼り付けて周囲に海苔を巻いて三角形っぽく整形した、おにぎりというよりは海苔巻のような独特の形をした飯と、海苔で目張りした普通の形のおにぎりと、鶏肉の竜田揚、かまぼこ、伊達巻き、鶏肉団子、大根桜漬、みかんを詰める。内容はともかく、コンビニやスーパーにない見た目を持つお弁当。
※2022年10月補訂:写真を更新し解説文を全面改訂2004(平成16)年7月10日に購入した、箱根湯本駅弁の掛紙。上記の2022年のものと絵柄は同じで、容器や中身も同じ。価格は失念。「あじさい弁当」と合わせて900円だったはず。
箱根湯本駅の稲荷寿司駅弁。長方形の折箱に、具を見せたおいなりさん4個と紅生姜を詰め、経木のふたをして、昭和時代の箱根ロープウェイと箱根海賊船を描いた包装紙で包む。具はそれぞれ、梅じそふりかけ、のり玉ふりかけ、山菜、青のりと、とてもシンプル。今の箱根や駅弁にない素朴さがあると思う。
箱根の観光開発について、第二次大戦戦後から昭和40年代にかけて西武鉄道と小田急電鉄が熾烈な縄張り争いを展開、「箱根山戦争」などと呼ばれ小説にも描かれた。観光形態の構造変化に加え利用者不在の喧嘩も荷担し、箱根の観光客数が十年で7分の6に減ってようやく、2003年12月10日に両社が仲直りを宣言、まずはお互いの観光施設に路線バスを入れたり、バス停の名称の統一を実施した。
※2022年10月補訂:写真を更新2011(平成23)年11月27日に購入した、箱根湯本駅弁の包装紙。上記の2022年のものと、絵柄は同じ。版を替えたようで、重ねて比べると誤差の範囲でない絵柄の変化が感じられる。容器や中身は変わらない。
2004(平成16)年7月10日に購入した、箱根湯本駅の包装紙。2011年時点のものとデザインは同じで、当時は食品表示が食品表示ラベルになっていた。
箱根湯本駅の助六寿司駅弁。長方形の容器に経木のふたをかけて掛紙で割りばしごと包み紙ひもでしばる。中身はおいなりさん3個、細巻4個、太巻2個の典型的な助六寿司。柔らかい味が特徴だが、具だくさんでもないのにこの分量でこの価格は割高感がある。
小田急線と箱根登山鉄道はレールの間隔が異なり、本来は電車が相互に行き来できない。しかし小田原・箱根湯本間6.1kmの区間は1950年にレールを3本敷いて、双方の電車が走れるようにした。さらに電気の電圧も違うので、この区間は小田急の1500Vに合わせ、箱根登山鉄道の電車には箱根湯本以遠の600V区間(のちに750V)も走れる複電圧対応の改造を施した。ただ、このような鉄道路線は運営のコストは高いようで、山形新幹線や秋田新幹線では一部区間を除き三線軌条を採用せず在来線列車を廃し、電圧の差異は低速運転なら大丈夫とそのままにしているとか。