小田急新宿駅から特急ふじさん号で約100分。御殿場市は富士山の裾野に広がる、人口約9万人の軍都。陸上自衛隊や在日米軍が駐屯し市の経済を支えるほか、古くから富士登山の玄関口のひとつとして観光でも賑わう。今は公式な駅弁の販売を確認できないが、駅のコンビニで地元名物の鱒寿司が買えるほか、出入口のそば屋で沼津駅弁を取り寄せることができる。1889(明治22)年2月1日開業、静岡県御殿場市新橋。
これは御殿場駅の駅弁ではないかもしれないが、駅の売店で駅弁のように売られる地元の名物であり、駅弁ファンのブログやサイトでは御殿場駅弁と紹介されるもの。包装紙にあるイラストのとおり、細長い折箱に鱒の姿ずしが1本、酢飯にベニマスの半身と黒板昆布を貼って細かめにスライスしたもののみを収める。
調製元は御殿場駅前で1935(昭和10)年に創業した、寿司とうなぎと天ぷらの食堂「妙見」。この鱒の姿ずしは地元ではよく知られ、吉田首相、岸首相、秩父宮様など数多くの著名人が愛したのだという。マスに加えて季節や仕入れにより、アユ、タイ、サバ、ウナギで5種類の押ずしがあるといい、駅ではこのマスと、夏場にアユが売られる。
※2023年9月補訂:写真を更新し解説文を手直し2011(平成23)年11月18日に購入した、御殿場駅弁の掛紙。絵柄や記載内容は、上記の2023年のものとだいたい同じだが、よく見てみるとレイアウトなどに差異がある。中身は同じ。
2006(平成18)年7月30日調製の御殿場駅弁の掛紙。内容や風味は2011年時点と変わらないが、掛紙の色調が異なるほか、価格も異なる。
近年に御殿場駅弁と紹介され始めた地元の名物で、駅のコンビニでも売られる土産物系食品。経木枠の長方形の容器に枠付きのふたをして、調製元チラシと割りばしをのせてクラフト調の包装紙で包み、中身絵柄付きの商品名シールを貼る。中身は軽く昆布がかかるアユの姿寿司が、まるごとひとつだけ。アユの駅弁と考えると、ずいぶん高価な商品。酢飯の型をアユとぴったり合わせるこまやかさ、飯と鮎の輝き、その柔らかでもしっかりした風味には、名物となる実力がありそう。
富士登山の帰りで御殿場駅から汽車に乗る際に、駅前で土産として買い求められる名物として、50年以上の歴史を刻むそうな。6月から9月までの販売。宅急便での取り寄せも可。価格は2006年の購入時で1,500円、2017年時点で1,650円、2023年時点で1,750円。
※2023年9月補訂:値上げを追記近年に御殿場駅弁と紹介され始めた、駅のコンビニ取り扱いの土産物系食品。経木枠の長方形の容器に枠付きのふたをして、調製元チラシと割りばしをのせて調製元の包装紙で包み、商品名を貼る。中身はいなりずし3個と細巻き4個。見栄えも風味も、おしとやか。調製元は駅徒歩1分の有名寿司屋。
御殿場駅では沼津駅弁の桃中軒が橋上駅舎の下でうどんそば屋を営み、そこで沼津駅弁のごく一部が売られるため、時刻表に駅弁販売駅の記号が付いている。実態としては改札外コンコースの大きなコンビニが土産物店の機能を持ち、そこで食事も調達される感じ。御殿場や御殿場ベースの観光は、自動車がないと何もできないが、渋滞を避けてここで送迎車や知人の車や観光バスに乗り継ぐゴルフ客や登山客などは、そこそこいる。