東京駅から新幹線こだま号で1時間弱。三島市は静岡県の東部で伊豆半島の付け根に位置する、人口約11万人の門前町かつ宿場町。東海道が通り三嶋大社が位置する古くからの市街であり、富士の湧水を活かした工業都市でもある。駅弁は沼津駅で明治時代からの駅弁屋が、両駅で同じものを販売。1934(昭和9)年12月1日開業、静岡県三島市一番町。
東京駅から新幹線こだま号と普通列車を乗り継いで約1時間。沼津市は静岡県の東部で伊豆半島の付け根に位置する、人口約19万人の港町かつ宿場町。駿河湾の水産物と水産加工業と観光で賑わう。新幹線の開業前は鉄道の要衝でもあった。駅弁は1891(明治24)年からの駅弁屋が健在で、地元財界と駅弁業界の名門企業でもある。1889(明治22)年2月1日開業、静岡県沼津市大手町1丁目。
2023(令和5)年11月11日に沼津駅で発売。沼津市の市制施行100周年を記念し、沼津市を舞台とする漫画やアニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」とのタイアップにより、沼津駅限定、ネット予約限定、週末の土休日限定で売り始めた。発売の半年後には偶然かどうか、こうして予約せず買うこともできた。専用の紙箱は沼津の風景とラブライブのキャラクターでできている。
9区画の中身は、ハッシュドポテトとチャイナポテト、イカ墨パスタ海賊焼き、おでん、玉子焼とハンバーグ、みかんと鶏肉の甘酢煮、桜えびめし、梅ちらし、金目鯛のソテーとブロッコリーと人参、真鯛のチーズはさみ揚げ。作品に登場する9人の少女たちをイメージしたといい、少女のイラスト付きのお品書きも添付されるが、それらはいったいどんなイメージなのだろう、御飯や炭水化物が少し多めな、なんでもまるごと弁当になった。
ラブライブは、KADOKAWAとランティスとサンライズが2010年に始めたアイドルコンテンツ。女子高生のグループ歌手活動を、アニメで描き、漫画で刊行し、ネットに掲載し、当時で主に20代前半の女性声優を割り当てて音楽作品をリリースしライブを開催するなど、メディアミックスと呼ばれる手法で人気を獲得して十数年のシリーズ展開を継続中。
ラブライブ!サンシャイン!!は2015年からのシリーズ2作目で、架空の学校とアイドルグループを扱いながら沼津市内に実在する施設や風景を描く。そのため、作品のファンが沼津を訪れたり、作品と沼津市役所や沼津の企業などとのタイアップやコラボレーションが行われる。JR沼津駅にはキャラクターの掲示やアイドルグループ名「Aqours(アクア)」の文字が見られ、改札脇の駅弁売店には以前からキャラクターのぬいぐるみやイラストが置かれていた。アイマス(ナムコのアイドル育成ゲーム「THE IDOLM@STER」(アイドルマスター)からのメディアミックス)と何が違うのか戸惑いながら、沼津での存在感の大きさに目を見張る。
2017(平成29)年までには三島駅の売店「ベルマート」で発売か。惣菜弁当向けの平たいプラ製トレーに、御殿場産こしひかりの日の丸御飯、箱根西麓牛のカルビ焼き、三嶋ぎょうざ、みしまコロッケ、日の出たまごの玉子焼、煮豆を詰め、おろしぽん酢と中濃ソースを添える。コンビニのような店舗で売られるコンビニ弁当に見えて、中身は三島やその近隣でがっちり固め、商品名と中身の食材を書いた紙帯を締め、三島商工会議所が認定する「三島ブランド」を取得したようなので、これは地元の弁当であり、まるで駅弁のようなもの。調製元は自社公式サイトでは、静岡県三島のラーメン店チェーンとする。価格は2017年時点で950円、2023年時点で977円。
三島駅で買えた、地元の惣菜パン。その名のとおり、みしまコロッケをパンに挟んで袋詰め。第三回全国ご当地パンまつり優勝、全日本パン協同組合連合会が2010年から2015年まで主催したイベント「日本全国ご当地パン祭り」の、2012年11月の第3回で優勝したことを、商品名のシールで静岡県三島市のマスコットキャラクター「みしまるくん」がアピールする。
日本全国で昭和時代から買えるコロッケパンと違い、具は三島馬鈴薯のコロッケのみ、味付けはソースのみ、パンは市販品や土産物で「饅頭」の名が付きがちな、白く粘りのある生地。たしかにこれは、うまいかも。調製元は静岡県の函南町で主に学校給食へパンを卸す食品会社。
三島駅のミニコンビニ「ベルマート」で、2021(令和3)年の発売だろうか。長方形の容器に茶飯を敷き、6個ものホタテ煮で覆い、イクラとパセリときぬさやで彩り、玉子焼と柴漬けを添える。つまり帆立弁当。これがなぜ三島駅で売られるのか、とても不思議に思う。青森か北海道で食べて、普通においしかったと言えるような内容と風味。
2021(令和3)年の夏頃か2022(令和4)年1月までに、三島駅で発売か。助六寿司の普通駅弁の上等版に見えて、これは2022年のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の放送にちなみ、伊豆の国市にゆかりのある北条義時にちなんだものだという。昭和時代までの寿司折詰のサイズのボール紙箱に、割りばしとチラシとおしぼりを載せ、調製元の包装紙で包む。
中身は太い太巻きが1切れ、いなりずしが2個、細巻きが梅きゅうり3個と漬物4個、ミツウロコの焼き印入り玉子焼。焼き印を除き北条氏や鎌倉殿がどこにいるのかよくわからなくても、白飯っぽい酢飯の弾力感は印象的。飯だらけで肉や魚に乏しくても、おかず要らずでいただける。2023年時点で「家康寿司」(1,050円)、2024年時点で「源氏旗揚げ寿司」(1,180円)と、名前と価格を変えてきている。
※2024年9月補訂:改称と値上げを追記2022(令和4)年3月6日に三島駅や沼津駅などで発売。静岡県庁の外郭団体である公益財団法人静岡県産業振興財団と、浜松市の社会福祉法人聖隷福祉事業団による支援事業「令和3年度しずおかウエルネスごはんプロジェクト」に参加した調製元が、聖隷福祉事業団保険事業部の管理栄養士の指導のもと、フレイル予防を、加齢に伴う心身の活力が低下した状態を予防することを健康課題にメニューを組み立てた、県産食材10食品群26品目を内容に取り入れたお弁当。
中身はちらし寿司、伊豆修善寺黒米入りご飯、駿河湾産しらす厚揚げピザ風焼き、ブロッコリー、南瓜サラダ、鮭と野菜のクリーム煮、しめじと東伊豆産ニューサマーオレンジのマリネ、富士の鶏ダイダイ酢焼き、三つ葉と沼津産ひじきのたまご焼き、レンコンやタケノコなどの煮物。駅弁屋が駅弁売店で売る駅弁であっても、容器も盛り付けも価格も、これは駅弁でなく惣菜弁当のもの。健康食ということで肉も魚も味付けも控えめながら、おいしかったお惣菜。
2017(平成29)年1月の発売か。駅弁屋の店舗ではなく、キヨスクの売店やコンビニで「オリジナル弁当」として売られる商品。平たい長方形の持ち帰り寿司タイプの容器を、「WEL☆COM」とある美術部的に色鉛筆画が賑やかな、商品名を記さない包装紙で丸ごと包む。中身は御飯をシイタケ煮、菜の花か高菜に思えた「水かけ菜」、サクラエビ、炒り卵、マグロフレークでバーコード状に覆ったもの。淡く柔らかい香りと風味と食感を持つちらし寿司。調製元は伊豆長岡の寿司割烹。価格は発売時や2018年の購入時で870円、2020年時点で940円、2022年時点で950円、2023年時点で1,050円、2024年時点で1,180円。
※2024年9月補訂:値上げを追記2020(令和2)年9月12日に購入した、三島駅弁の包装紙。たくさんの猫が自転車に乗る絵柄は、静岡県伊豆市で東京五輪の自転車競技が行われることにちなみ、同県伊豆の国市のイラストレーター、やまだゆきえ氏が気運を盛り上げるために作成したイラスト。近隣の教育施設に配布したほか、実家の駅弁屋で包装紙にもなった。
2020(令和2)年9月12日に購入した、三島駅弁の包装紙。100匹の犬が東京から富士山まで自転車の車列を作る絵柄は、静岡県伊豆市で東京五輪の自転車競技が行われることにちなみ、同県伊豆の国市のイラストレーター、やまだゆきえ氏が気運を盛り上げるために作成したイラスト。この年の6月19日に本人がツイッター上で、伊豆山海おぼろ寿司が実家の駅弁であることと、以前から自身にイラストが駅弁の包装紙に使われていたことを公表した。
2017(平成29)年1月の発売か。駅弁屋の店舗ではなく、キヨスクの売店やコンビニで「オリジナル弁当」として売られる商品。平たい長方形の持ち帰り寿司タイプの容器を、店の名前と電話番号などを描く、寿司屋らしい絵柄の包装紙で丸ごと包む。中身は細巻きで梅きゅう巻3個とかんぴょう巻4個、「名物太巻」1個、いなり2個、ガリの助六。構成は定番で、かんぴょうや玉子焼やカニカマなどに加えてきゅうり細巻そのものを巻いた太巻の見栄えに個性を感じた。こちらも同じ日に買った「伊豆山海おぼろ寿司」と同じく、お味はやわらか。価格は発売時や2018年の購入時で920円、2020年時点で940円。2022年時点で売店になく、2024年時点で改めて「源氏旗揚げ寿司」(1,180円)という商品が出ている。
※2024年9月補訂:現況を追記2014(平成26)年1月30日の発売。伊豆市で売り出し中のサツキマス「紅姫あまご」を使う、棒状の押寿司。調製元と、あまごを生産する下山養魚場と、両社を仲介した三島信用金庫の協働作品だそうな。わさび茎を混ぜた酢飯に、あまごの身を貼って押す。風味にも食感にも刺激や抵抗が全然なく、本当に柔らかいものだった。
2014(平成26)年10月11日に購入した、沼津駅弁のパッケージ。上記の2017年のものとは中身も価格も、パッケージの構造も変わらない。「ふじのくに新商品セレクション受賞」ロゴマークが、この時にはなかった。
三島駅の駅弁売店で買えたコロッケ。サツマイモ入りの甘く平たいコロッケがひとつ、ソースのボトルとともに紙袋へ収まる。これはけっこう売れているのだろう、この1個入りに加えて2個入り、3個入り、4個入り、5個入りの各種が、仮設の小さな駅弁売店に並べられていた。価格は2012年の購入時で130円、2020年時点で140円。2022年時点で売店になかった。
2008年7月1日に誕生したと2009年に設定された「みしまコロッケ」の定義は、メークインのジャガイモ「三島馬鈴薯」(みしまばれいしょ)を100%使用する、だけ。三島市役所では商工観光課に「みしまコロッケの会事務局」を設置し、ジャガイモの仕入先を確認することで認定をし、あとは民間の創作、つまり勝手に作らせて売らせ、三島馬鈴薯の普及や三島の街の活性化を目指す。ジャガイモに代えてサツマイモを、三島甘藷(みしまかんしょ)を100%使う「甘藷みしまコロッケ」は、みしまコロッケの姉妹品と位置付けられ、駅弁売店では12月から6月まではこれを、7月から11月までは甘藷の付かない「みしまコロッケ」を販売。調製元の桃中軒は同会の認定を得ている。
※2022年5月補訂:値上げなどを追記上記の「みしまコロッケ」の通常版で、新幹線ホームの駅弁売店で購入。とはいえ、この姿ではお惣菜そのもの。じゃがいものコロッケがひとつ、今回は紙袋でなく、透明なプラ容器に入っていた。価格は2017年時点で130円、2020年時点で140円、2023年時点で160円。
※2023年8月補訂:写真を更新し値上げを追記2017(平成29)年5月12日に購入した、三島駅弁の食品表示ラベル。、上記の2023年のものと同じ。原材料名をしっかり見比べると少し異なるほか、この頃は栄養成分表示の義務が法令になかった。
三島駅のミニコンビニ「ベルマート」で買えた、みしまコロッケ。惣菜容器にコロッケがふたつ入って300円。駅弁売店で買える駅弁屋のみしまコロッケより小柄な気がしたが、いずれも普通のコロッケであることに変わりない。調製元は三島駅でなく伊豆箱根鉄道駿豆線の三島田町駅にある、「元祖三嶋ぎょうざ」を名乗る餃子屋さん。
2005(平成17)年11月に発売。駅弁の名前は「さとやまのさち「黒米弁当」」とも紹介され、現物の食品表示には「黒米弁当」とのみあった。木と紙でできた長方形の容器の一方に、黒米混じりの俵飯と漬物などを詰め、他方はおかずでカレイ照焼き、サクラエビ炒煮、ひじき煮、玉子焼と蒲鉾と煮物類など。中身の見栄えもふたの絵柄も、昭和時代の駅弁のように見える、落ち着いたお弁当。価格は2006年の購入時で850円、2014年4月の消費税率改定で880円。
※2015年10月補訂:値上げを追記2022(令和4)年の4月10日から14日まで、三島駅と沼津駅で販売。駅弁の日に合わせ、日本鉄道構内営業中央会の会員のうち21社が、FMヨコハマのラジオ番組「FUTURESCAPE」とタイアップし、この年の4月10日から各社の駅売店などで販売した、駅弁の日記念のおにぎり駅弁の、三島駅・沼津駅バージョン。ここでは新作が用意され、5日間限定で販売された。
三島駅の他の駅弁でも時々使われる木質のエコ容器に、駅弁の名前にお品書きと食品表示を記した掛紙をかける。中身は「あしたか牛すきおにぎり」「沼津港水揚げの鯖塩焼きおにぎり」「たけのこ御飯桜の花添え」「煮物(人参、筍、蒟蒻、がんもどき)」「鶏のから揚げ」「玉子焼き」「香の物」とあり、小柄なこれらがコンパクトに折り重なる。固めの食感で食べ進める、駅弁というか惣菜弁当というか。今回のキャンペーンで各社に用意された「駅弁カード」とそのチラシが、各1枚付いてきた。
韮山反射炉のユネスコ世界文化遺産への登録を記念し、2015(平成27)年7月27日に発売。専用のボール紙の容器には、その韮山反射炉と、その前に建つ江川太郎左衛門英龍像が描かれる。食器の絵柄を持つ9区画のトレーの中身は、黒米飯、鶏そぼろ炊込飯、鶏照焼とマダイ山葵味噌焼、根菜の煮物、豚肉チーズ巻とシイタケ焼、うぐいす豆と反射炉の焼き印が入る玉子焼、エビ天とミートローフ磯部揚、山菜や漬物、イチゴジャムゼリー。江川家の食卓や韮山の特産を詰めたという、なんでもまるごと弁当。2019年までの販売か。
2015年7月15日に世界文化遺産への登録が決まった「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」は、登録の十数年前に九州で近代化産業遺産を見直し始めたことから始まるため、その対象が各地に点在することとなった。申請や推薦と前後して炭坑関連施設が増えたり減ったりして、結果的には九州や山口を中心に岩手県釜石市と静岡県伊豆の国市を飛び地として8県11市に点在する23資産で構成された。世界遺産委員会での議論において、韓国が日韓外相会談での約束を反故にして反日感情に基づく登録反対の主張を展開し、また国内での反感と嫌韓を招いてしまった。
静岡での対象は韮山反射炉のみ。日本でいう江戸時代の製鉄に使われた技術と構造物で、国内では唯二、山口県萩とここに残る。ここは従前から100円の入場料を取り、ボランティアガイドの案内を聞けたり、周囲に観光売店やビアホールがある、ささやかな観光地であったが、世界文化遺産への登録やその前の勧告により、来場者が3倍から9倍に激増したという。
※2021年2月補訂:終売を追記2010年放送のNHK大河ドラマ「龍馬伝」にちなみ、2010(平成22)年2月25日に発売。正八角形の柔らかい容器に木目柄のボール紙でふたをして、下田の風景と駅弁の名前などを描いた正八角形の掛紙で包む。中身はヒョウタン型と扇型の白御飯、キンメダイ酒蒸し、カツオ昆布巻、野菜とイセエビの煮こごり、海老アメリカンソース、鶏つくね焼、玉子焼、ニンジンやコンニャクなどの煮物など。容器の強度のなさが気になるが、内容と風味は上々。2017年までの販売か。
駅弁の名前も中身も掛紙もしおりも、龍馬と下田にちなんでいるという。大河ドラマの放送による龍馬ブームの発生を期待してか、2008年4月には静岡県下田市で「伊豆龍馬会」が発足、無名の脱藩藩士が後に司馬遼太郎に書かれる英雄になったきっかけが下田であると「龍馬、飛翔の地」を売り出そうと頑張り始めたそうな。
※2021年2月補訂:終売を追記沼津商業高校との共同開発駅弁として、2008(平成20)年12月12日に高校の体験実習と三島駅と沼津駅で発売。実習は翌日まで、駅では翌年5月末までの予定で、一日20個が販売される。正六角形の容器にフィルムをかけて、おしぼりとお客様ハガキと駅弁のしおりを置き、富士とお茶とトビウオと牛を描いたボール紙でふたをして、駅弁では見たことがない6方向の放射状にひもでしばる。
中身は1/3が茶飯をあしたか牛のそぼろで覆い、ブロッコリーとサツマイモとニンジンを添える「あしたかめし」、1/3が酢飯の上にキンメダイとエビとタコを刻んでクロムツを載せる「トロール漁の駿河ちらし」、1/6が白御飯の上に茶葉を敷いてメギス揚げを置く「トロール漁のなめろうめし風」、1/6が西浦みかんゼリー。予定を超えて2010年まで販売か。
沼津商業高校3年経営コースの授業の一環として、沼津の市役所や商工会や農協の協力のもと、2008年6月から地元食材を利用した駅弁開発に取り組んだという。それをこうやって地元の駅弁屋が商品化。御飯ばかり食べさせられていることを感じさせない、見た目も味も彩り豊かな印象。しおりには誕生経緯やおしながき、沼津駅周辺地図や年中行事に地元のクイズが記される。
※2015年10月補訂:終売を追記1987(昭和62)年11月にJR東海の「新幹線グルメ」キャンペーンで誕生した駅弁。通常は添え物のわさびを、ここでは前面に出した。正八角形の容器の中身は、ワサビの小片が散らばった白飯と、海の幸の煮物を中心とした旅館の夕食のような多種のおかずで構成。おろし金付きの本ワサビに、それを持ち帰るための小袋を付け、おかずも味付きとわさび醤油で食べる物とが分けてあり、ワサビのために配慮されている。2006年に販売を終了。
※2015年10月補訂:終売を追記三島・沼津駅弁の「文士の玉手箱シリーズ」第4弾として、2010(平成22)年10月に発売。下記の第2弾である若山牧水編と同じ容器を使用、中身はエビピラフ、ビーフステーキ、じゃこスパゲティ、鯛フライ、椎茸フリッター、玉子焼、いちごジャムゼリーなど。内容は意欲的かつ個性的だが、飯と肉は固く、おかずは油っぽく、出来立てでないと味が落ちる、駅弁らしくない洋食弁当という印象。この駅弁シリーズは、この第4弾で終了した模様。
明治時代の文豪である夏目漱石は、英語教師としての赴任先である松山と熊本で観光資源に駆り出されているが、本来は江戸生まれの東京育ちであり、両地及びイギリス留学の期間中を除き一貫して東京在住である。晩年に療養のため修善寺に滞在したことで伊豆とつながり、この駅弁の題材にもなった。
※2015年10月補訂:終売を追記三島・沼津駅弁の「文士の玉手箱シリーズ」第2弾として、2008(平成20)年5月から1年間の予定で発売。ボール紙を小さな本か大きな筆箱のように組み立てた容器を使用、中身はクルミとくこの実と松の実を混ぜた御飯に玉子焼、キンメダイ照焼、アイガモくん製、ナスの鶏挟み焼、イワシ緑揚げ、なます、セリ胡麻和え、ニンジンやサトイモなどの煮物など。
若山牧水の歌に登場する食材を使ったところが「若山牧水編」なのだそうで、食べ終わると容器の底から歌が3つ出てくる。文学的素養がゼロな私の感想としては、小粒なものを細々と添えた内容と風味に、年齢と作品を重ねた文士が渋い顔をしながら食べていそうな雰囲気があった。
若山牧水(わかやまぼくすい)は1885(明治18)年に宮崎県に生まれ、1928(昭和3)年に沼津にて43歳で没した歌人。15の歌集その他に収めた8794首の他に、旅と酒が大好きで大正時代には紀行文も書いており、鉄道やバスや船や馬車などを使い各地へ出掛けているため、東海道線その他の駅弁もきっと食べているのだろう。
三島商工会議所と桃中軒の共同開発により、2006(平成18)年8月17日に発売。発売日と価格は下記の故事にちなむ。外側が金色に光り、内側が朱色に輝く専用の紙箱は二段構造、下段に梅とみょうがを添えた黒米飯と茶葉を添えた緑茶飯をそれぞれ梅花型に固め、上段に鶏肉生姜煮、蒸し白身魚、サザエ醤油煮、栗、玉子焼、ナス味噌焼、海老のすり身、人参などが小さな一口サイズで収まる。2009年頃までの販売か。
おしながきに書かれるとおり、中身のすべてが源頼朝やその時代にちなんでいる。1192年に鎌倉に幕府を開いたと小学校の社会科で教えられた源頼朝が、流刑地である伊豆で1180年8月17日に「旗挙げ」(挙兵)したことが、平家征伐そして全国平定への足掛かりとなる。そのゆかりの地である三島では「公」付けで親しまれるそうな。なお、鎌倉時代の開始年について、最近は1192(いいくに)年ではなく1185(いいはこ)年と教えられているらしい。
※2015年10月補訂:終売を追記1973(昭和48)年5月25日の調製と思われる、昔の沼津駅弁の掛紙。富士山と帆掛け船と、マスと海のイメージか。ここでは特にうたわれていないが、静岡県でマスといえば海のさけ・ますでなく陸のニジマスであり、富士山麓の湧水を利用した養殖が盛んなので、この駅弁もニジマスの姿寿司だったのかもしれない。