東京駅から新幹線こだま号で1時間弱。三島市は静岡県の東部で伊豆半島の付け根に位置する、人口約11万人の門前町かつ宿場町。東海道が通り三嶋大社が位置する古くからの市街であり、富士の湧水を活かした工業都市でもある。駅弁は沼津駅で明治時代からの駅弁屋が、両駅で同じものを販売。1934(昭和9)年12月1日開業、静岡県三島市一番町。
東京駅から新幹線こだま号と普通列車を乗り継いで約1時間。沼津市は静岡県の東部で伊豆半島の付け根に位置する、人口約19万人の港町かつ宿場町。駿河湾の水産物と水産加工業と観光で賑わう。新幹線の開業前は鉄道の要衝でもあった。駅弁は1891(明治24)年からの駅弁屋が健在で、地元財界と駅弁業界の名門企業でもある。1889(明治22)年2月1日開業、静岡県沼津市大手町1丁目。
2023(令和5)年4月14日に、抹茶駅弁シリーズとして「抹茶あじ寿司」(1,380円)「沼津香まだい寿司(抹茶寿司飯)」(1,320円)「抹茶めし弁当」(1,080円)の3種を、沼津駅と三島駅で発売。2020年4月より休業していた三島駅新幹線ホーム2号売店の営業再開を記念したという。一方で、中身の写真と色彩を使うふたには「沼津駅弁」と記し、食品表示での品名を「沼津駅弁抹茶あじ寿司」とした。
長方形の容器に麦入り抹茶酢飯を詰め、〆鯵で覆い、錦糸卵と茎わさびで彩り、椎茸軸佃煮、ガリ、生わさび、醤油を添える。そういえば茶も鯵も山葵も椎茸も、沼津やその近隣の特産。酸味のあるアジ寿司に、それらがタッグで味付けて香り付ける、クールな風味。
2003(平成15)年4月22日に発売。沼津駅や三島駅で、一番人気の駅弁。青い立体紙箱に長方形の小さな紙箱を収める。中身は酢締めの鯵の握りをワサビの葉で包んだ「にぎわい鮨」とシソの葉で巻いた「ぬまづ鯵鮨」が3個ずつと、鯵の切身を太巻とした「鯵わい太巻き」2個が入るもの。おろし金付きの天城山生ワサビに2個の醤油が付いており、本格的なわさび醤油でいただけるもの。3月から4月までは「春限定」として、シソ巻きが桜の葉巻きに変わる。
「沼津あじ寿司」を沼津のブランド商品にと普及活動を進めるために2002年11月に官民合同で設立された「沼津あじ寿司のれん会」の公認商品第1号ということで、味の保証はもちろん、宣伝活動にも力が入る。過去には新宿と箱根や沼津を結ぶ小田急ロマンスカー車内でも売られた。価格は2006年の購入時で850円、2010年時点で880円、2014年時点で910円、2016年時点で960円、2018年時点で1,000円、2023年時点で1,080円。
※2024年9月補訂:値上げを追記上記の駅弁「港あじ鮨」の、3月から4月まで販売の春限定版。いつものパッケージに「春限定」のシールを貼り、中身のうち「ぬまづ鯵鮨」3個を、シソの葉でなくサクラの葉で巻いている。今回は以前より、酸味が強く、アジのぷりぷり感が少なかった気がした。価格は2015年時点で910円、2016年時点で960円、2018年時点で1,000円。2022年時点で1,080円、2024年時点で1,180円。
※2024年9月補訂:値上げを追記2004(平成16)年10月9日に購入した、沼津駅弁のパッケージ。上記の2006年のものと同じ構造と大きさと絵柄を持つが、駅弁マークがなく、そのかわりに「平成十五年度燦々ぬまづ大賞 最高賞受賞」のマークが付いている。
2012(平成24)年3月1日に発売。6月から9月までは販売を休止。容器は沼津駅弁のヒット商品「港あじ鮨」と同じような構造で、あちらの青に対してこちらは赤。ワサビ入りの酢飯を、マダイの昆布と炙りで覆い、ガリのパックと本わさびのカットを添える。白身魚の無味無臭と、その柔らかすぎず固すぎない食感がとても上品。価格は2012年の発売時で980円、同年12月の購入時で1,020円、2014年4月の消費税率改定で1,050円、2019年時点で1,080円、2020年時点で1,100円、2023年時点で1,230円。
三島駅の表側である南口の駅舎は、1934(昭和9)年に丹那トンネルの開通により現在地へ事実上移転(旧・三島駅を下土狩駅へ改称)した際に、富士山と三嶋大社をイメージして建てられた。以後約80年、戦争を経ても、新幹線ができても、旅の駅から通勤通学の駅に変わっても、鉄道省が国鉄を経てJRに変わり、JR東海のカラーに塗り替えられても、そのままの構造を保ってきた。
しかし耐震化を理由に2011年から2012年にかけて解体、2013年8月に新築された。まだ昭和の建物であるためか、解体を惜しむ声は聞かれなかった。また、新しい駅舎も平屋建てで規模がほぼ同じであること、屋根の形状などで旧駅舎を模したうえ平面レイアウトがほぼ変わらないこと、すでに駅サイン類などがJR東海カラーで厚化粧されていたこと、駅前に道路や樹木が多く駅舎の全景を意識できないことなどから、まるで建て替えに気が付かないくらい、変わった感じがない。
※2024年9月補訂:値上げを追記2012(平成24)年12月21日に購入した、三島駅弁のパッケージ。上記の2020年のものと、まったく同じ。中身も味も変わらない。
2017(平成29)年9月に復活。2015(平成27)年8月発売の「ふじのくに浜ちらし」と入れ替わりに消えた駅弁が、お客様の声に応えて再登板したそうな。丸長の容器に、酢の軽い酢飯を詰め、錦糸卵、サクラエビ揚、とびっこ、ガリ、きゅうり、えび、たこなど、本当にいろんなものを散らす姿は、その外観とともに従前と、16年前に買ったものとあまり変わらない。価格は2017年の復活時や2018年の購入時で800円、2020年時点で820円。
※2021年2月補訂:値上げを追記2018(平成30)年2月6日に、白飯バージョンと桜えびめしバージョンの2種を発売。昔ながらの折箱のサイズの長方形の容器を2段に重ね、四面に商品名や宣伝文を書いたボール紙のスリーブにはめる。これは白飯のほうで、下段が一面の白御飯、上段がおかずでサワラ幽庵焼、煮物、サクラエビかき揚げ、春雨サラダなど。まるで第二次大戦前の幕の内駅弁を21世紀風に作り替えたような体裁と分量で、その落ち着きに感心するお弁当。駅弁の名前と主題になる焼き魚も、大きくてうまい。2022年までに終売か。
※2023年4月補訂:終売を追記2018(平成30)年2月6日に、白飯バージョンと桜えびめしバージョンの2種を発売。昔ながらの折箱のサイズの長方形の容器を2段に重ね、四面に商品名や宣伝文を書いたボール紙のスリーブにはめる。これは桜えびめしのほうで、下段が茶飯にサクラエビをふりかけたもの、上段が白飯版と同じおかずで、サワラ幽庵焼、煮物、サクラエビかき揚げ、春雨サラダなど。これもまた、雰囲気の良いお弁当。このサクラエビを振りかけた茶飯だけを腹一杯食べたい気になった。2022年までに終売か。
※2023年4月補訂:終売を追記2018(平成30)年3月の発売か。翌4月14日の朝日新聞「帰ってきた食べテツの女」に掲載されて人気だとか。駅弁屋の店舗ではなく、キヨスクの売店やコンビニで売られる商品。スーパーやコンビニの惣菜容器に白飯を敷き、焼アジのフレークで覆い、大葉を振り、柴漬けを添える。
体裁はコンビニ弁当に商品名シールと食品表示ラベルを貼っただけ。アジの干物は全国のスーパーで売られ、全国の家庭で焼かれていると思うが、たしかにこんな市販の弁当は珍しいかと。コンビニ容器なのでお茶漬けにできるのも確か。調製元は三島市街のステーキ屋という意外さ。2019年までの販売か。
※2021年3月補訂:終売を追記2015(平成27)年8月5日に「ふじのくに大浜ちらし」とともに発売。両者は大きさが異なるだけで内容は同じ。四角い容器に酢飯を詰め、大葉や錦糸卵で覆い、サーモン、タコ、でん酢〆、高野豆腐、錦糸卵、おぼろ、酢ばす、いくら、きゅうり、エビを散らし、ガリを添える。具の角切りのちらし寿司。飯も具も酸味があまりなく、具の味も量も強くなく、そのためインパクトは薄いものの、安心して食べられる丼もの。1年間ほどの販売。
2015(平成27)年8月5日に「ふじのくに浜ちらし」とともに発売。両者は大きさが異なるだけで内容は同じ。四角い容器に酢飯を詰め、大葉や錦糸卵で覆い、サーモン、タコ、でん酢〆、高野豆腐、錦糸卵、おぼろ、酢ばす、いくら、きゅうり、エビを散らし、ガリを添える。具の角切りのちらし寿司。飯も具も酸味があまりなく、具の味も量も強くなく、そのためインパクトは薄いものの、安心して食べられる丼もの。1年間ほどの販売。
京王百貨店の駅弁大会での実演販売に向けて、2008(平成20)年1月に発売。長方形の小さく浅い容器に、海鮮系駅弁でも具山盛りタイプでもないのになぜか透明な上げぶたをして、これを葛飾北斎の代表作「冨嶽三十六景」の中で最も有名な1枚「神奈川沖浪裏」から波だけ転記したボール紙の枠にはめる。中身は酢飯を浅く敷いて、その上にマグロの漬けを揚げたものと、それをさらにタレにくぐらせたものを載せる。
実演販売での購入なので、現地の味とは違うかもしれないが、マグロのここまでの油っぽさと味の濃さはどうかと思う。また、東京の人に「まぐろ重」と言えば、刺身か漬けを期待されそうな気もする。会場では千葉駅の「勝浦鰹のたたき漬け炙り盛り」と競っていたが、賑わう牛肉対決の脇でどちらも駅弁山積みの客待ち状態だったような。翌年の京王百貨店の駅弁大会でも販売され、そこで終売か。
※2015年10月補訂:終売を追記1990年代に発売か。絵柄は地味な青く広い長方形の専用紙箱に黒いトレーを入れる。中身は桜えびの炊込御飯に桜えびをふりかけ、桜えびのかき揚げや海老唐揚や鶏唐揚、煮物に焼き魚に玉子焼やよもぎ麩など。桜えびを取り入れて地域色満点な幕の内駅弁という感じ。2017年までの販売か。
※2021年2月補訂:終売を追記枠にプラスティックのトレーを蒸着した廃棄物減量容器を使用、ボール紙製パッケージも容器を押さえる分だけの幅しかない。中身は酢飯の上にカニ・エビ・タコ・鯖・刻み椎茸・錦糸卵・きゅうり・刻み海苔・とびっこなどを無秩序かつきらびやかに敷き詰めたちらしずし。味もなかなか。価格は2002年の購入時で580円、2010年時点で680円、2014年4月の消費税率改定で700円。2015年で終売か。同年に「ふじのくに浜ちらし」という駅弁が誕生している。2017(平成29)年9月に800円で再発売。
※2018年6月補訂:再発売を追記