東京駅から特急列車で約2時間半。下田市は静岡県の東部で伊豆半島の南東に位置する、人口約2万人の港町。幕末から昭和まで、風待ち港や開港場や造船や漁港と港で栄えたが、商工業が衰退した今では黒船来航と海産物や温泉などの観光に生きる。駅弁は改札外駅舎内の売店で販売。1961(昭和36)年12月10日開業、静岡県下田市東本郷。
2016(平成28)年に下記の駅弁「下田の贅沢釜飯」を改称。プラ製の釜型容器にヒジキの混ぜ御飯を詰め、キンメダイの味噌焼、焼鮭、鶏照焼、ニンジンとゴボウとレンコンとフキの煮物、うずらの卵、くり、枝豆を散らす。ヒジキとキンメダイで伊豆の駅弁を主張し、味も量もコンパクトに締まって詰まった、駅弁として個性的な釜飯。
一方で、「海の幸と山の幸を贅沢に」と宣伝されると、肉や魚の量が寂しいし、もし見本の写真を先に見てしまうと、金目も鮭も鶏も実物は半分だぞとガッカリする。つまり、下田の贅沢釜飯とほぼ変わらない。見た目もしかり。なぜ名前を変えたのだろうか。
2016(平成28)年の発売か。伊豆急下田駅で主力の駅弁「金目鯛押ずし」の、上等版のようなもの。容器を共用し、パッケージは黒地金文字で豪華な感じになり、値段が300円高い。中身はキンメダイの棒寿司に代えて、キンメダイの押寿司を2個、キンメダイの炙り押寿司を2個、キンメのそぼろと酢飯をわさびの葉の酢漬けで巻いたおぼろ寿司を2個詰めたもの。味の印象は、通常版とそれほど変わらない。
2015(平成27)年に下記の駅弁「とろ金目の塩焼き弁当」を改称。白御飯に海苔を振り、キンメダイの塩焼きを載せ、ふきとレモンを添え、こんにゃく、さつま揚げ、シイタケの煮物を添付。メインのキンメダイがよいおかずになり、それよりも海苔の香りが素晴らしく、伊豆で味わうべき味がしっかり入る、おいしい駅弁。つまり、とろ金目の塩焼き弁当と何も変わらない。見た目もしかり。なぜ名前を変えたのだろうか。
伊豆急下田駅で最も推された駅弁。キンメダイの塩漬けの酢締めに白板昆布をあてて酢飯に載せた棒寿司を、笹の葉に包んでラップで巻き、細長い容器にわさび茎カップ、醤油、プラ製ナイフ、割りばしとともに収める。存在そのものが珍しいキンメダイの駅弁で、酸味を抑えて淡泊な味が生きている。2020年までの販売か。
伊豆急線沿線の稲取港や下田港は、キンメダイの水揚げ日本一を争っているそうな。かつて知名度も市場も小さかった、金魚の化け物のような深海魚に、伊豆では昭和50年代頃から釣り人や消費者が興味を示し始め、地元でも品質保持や流通ルートを整備していったことで、今は東伊豆の観光や漁業になくてはならない名物となった。
※2022年4月補訂:終売を追記2010(平成22)年1月9日に購入した、伊豆急下田駅弁のパッケージ。容器や中身や味は上の「金目鯛押ずし」と同じなのに、名前が異なる。伊豆急下田駅の駅弁は不思議と、名前のみを変えることがよくある。価格は2010年の購入時で840円、2014年4月の消費税率改定で870円、2017年時点で1,000円。
2006(平成18)年7月14日に購入した、伊豆急下田駅弁の紙箱。後のものより、だいぶけばけばしい絵柄で、棒寿司の駅弁としてはあまり見られない色遣いやデザインだと思う。容器や中身や味は、後のものと変わらない。
2013(平成25)年1月の発売。スリーブも容器も中身も風味も値段も、上記の駅弁「伊豆の贅沢釜飯」とほとんど同じ。価格は2013年の購入時で1,000円、2014年4月の消費税率改定で1,030円。
※2019年8月補訂:新版の収蔵で解説文を手直し下記の駅弁「とろ金目の塩焼き弁当」の、2013年時点での姿。見た目や内容や味に変化はないが、メインのキンメダイは「筋金目」の頃の半分くらいに小さくなってしまった。調製元が変更されているが、これは「ホテル伊豆急」を運営する伊豆急行の子会社なので、関連会社内での業務の移管か、または名目上だけの変化か。価格は2013年の購入時で1,000円、2014年4月の消費税率改定で1,030円、2015年に「金目鯛の塩焼き弁当」へ改称し、2017年時点での価格は1,130円。
※2017年10月補訂:改称と値上げを追記下記の駅弁「脂金目の塩焼き弁当」の後継品か。中身も風味もそれと同じで、写真ではキンメダイ塩焼きの形状が異なっているが、これはおそらくロットによるもの。伊豆急の駅弁は、というより私鉄の駅弁はその名がなかなか広がらないが、こうやって駅弁催事に出てきたり、最近の駅弁紹介本では掲載駅弁をJR駅に限っていなかったり、徐々に平等・公平な地位を獲得しつつあるのは、それぞれの商品の実力によるものだろう。
やや小ぶりな長方形の容器に木目調の紙ぶたをかけて、駅弁の名前を大書きしたクラフト調の包装紙で包んで紙ひもでしばり、割りばしを挟む。中身は白御飯の上に焼き岩海苔をふりかけ、キンメダイの塩焼きを2切れ載せて、レモンと少々の煮物などを添えるもの。
焼き魚駅弁の最高峰級。脂が乗って柔らかく薫り高い、塩気控えめで素材の味を楽しめる脂金目でも、駅弁全体に香りと風味を付ける岩海苔でも、食事としての旨さと旅のうまみを引き出している。私鉄の駅弁なので全国的な知名度はないが、とりあえずで買って食べた人からの絶賛の声も聞かれる、伊豆急駅弁の事実上のフラッグシップとして、ローカルメディアでの紹介例も多い。
2016(平成28)年2月17日に「伊豆下田きんめ茶寿し」とともに、伊豆急下田駅の駅弁売り場に登場。調製元は伊豆急下田駅近くのとんかつ食堂。2015(平成27)年11月の下田商工会議所「伊豆大特産市」で最高金賞を得た商品「静岡茶めし寿司 下田金目鯛」の姉妹品が、食堂と駅で売られるようになったもの。
まきす風の細長い容器の中に、緑茶の酢飯を使う生タイプのキンメダイ棒寿司を1本置き、桜葉巻をひとつ添付。漬けのようなキンメダイがにゅりと飯にまとわり付き、緑茶の香りでスッキリした味になる、最高級のキンメダイ駅弁。2017年までの販売か。
※2019年8月補訂:終売を追記